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| さて、ここでは航空機の黎明から戦闘機の登場、そして朝鮮戦争までの戦闘機を講義しましょう。
| この一連の基礎講義は、以降の航空兵器講義全ての前提になるもの。
| まず最初に、この基礎講義を受けておくことをお勧めしますね。
| なお艦上戦闘機は後の「艦上・艦載機基礎講義」があるため、ここでは全く触れていません。
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    | なんか、板書で凄い数の航空機が出てくるんだが……
    | これ、全部覚えろっていうのか?
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         | あくまで参考程度で、板書はざっと流し読みする程度で構わない。
         | 細かくは、それぞれの機体別講義でやっていくさ。
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| 人類は、太古の昔から空を飛ぶという夢を抱いてきました。
| しかし、それが現実となったのは20世紀初頭――人類が空を駆けてから、まだ百年ちょっと前。
| 航空兵器というのは、陸上兵器や海上兵器に比べて格段に新しい兵器なんですよ。
| 誰もが知っているあの歴史的偉業から、その第一歩が始まります。
| ライト兄弟が達成した、人類初の動力飛行ですね。
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 ・ライトフライヤー号
  ウィルバー・ライトとオーヴィル・ライトの手により完成した木製羽布張りのプロペラ複葉機。
  1903年12月17日、アメリカにおいて人類初の動力飛行に成功する。

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    | ライト兄弟が自作した飛行機で、人類は初めて空を飛んだんだよな。
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         | 気球はこれ以前にもあり、偵察用に軍用化もされていたが……
         | 動力飛行という点では、これが人類で初めてだな。
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| 動力飛行に成功したライト兄弟は、さっそくこの飛行機をアメリカ軍に売り込みに行きました。
| 「飛行機を使えば、空中から敵陣の様子がバッチリ分かる!」という宣伝文句ですね。
| しかし当時は気球を用いた偵察が主流で、アメリカ軍の中の人は飛行機をオモチャ扱いし一蹴。
| ライト兄弟に門前払いを食らわせてしまいました。
| しかしヨーロッパ諸国の軍隊は、アメリカよりも早く飛行機の有効性を認め始めます。
| こうして1900年代初期、イギリスやフランス、ドイツなどは試験的ながら自軍に導入し始めたんですね。
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    | アメリカ……
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         | まあ、当時のアメリカ軍はまだまだ田舎軍隊といった趣が捨てきれない。
         | 後にアメリカ軍も、ヨーロッパ諸国に追随する形で飛行機の導入に踏み切ったがな。
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| ライト兄弟は極めて優れた技術者でしたが、ビジネス的には失敗したも同然。
| 飛行機と言うジャンルを発展させたのは、フランスが中心でしたね。
| 例えばフランスのルイ・ブレリオは、飛行機を自主開発する傍ら、様々なパフォーマンスを繰り広げます。
| ドーバー海峡の横断に成功したり、曲芸飛行を繰り出したりですね。
| なお、この時期の航空機はというと、プロペラ動力&木・布製の原始的なもの。
| 飛行機というよりむしろ、動力を持ったグライダーという表現の方がしっくり来ます。
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 ・ブレリオ11
  フランスのルイ・ブレリオが開発した、一枚羽根の飛行機。
  ドーバー海峡の横断に成功し、一躍有名となる。
  当時としては最優秀クラスの飛行機で、第一次世界大戦初期は各国で偵察用に使われた。

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    | アメリカが産んだものの、引っ張っていったのはフランスなんだな。
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         | アメリカは飛行機生誕の地だが、第一次大戦が終わるまでは正直ぱっとしない。
         | 新分野を開拓したものの、初期のうちはそれを発展させられなかったんだ。
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| こうしてフランスは航空機大国の道を歩み出し、イギリス、ドイツも負けじと開発を進めます。
| ……と言っても、この時期は民間での開発が中心。
| 民間の技術者達が産み出した最新鋭航空機を、軍は偵察機として導入していたんですよ。
| こうして数年経った頃には、イギリス・フランス・ドイツは、三大飛行機大国となっていました。
| 第一次大戦前に開発されたこれらの機体は、大戦時初期にも偵察任務に投入されていますね。
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 第一次世界大戦前の航空機
 ・アンリ・ファルマンIII:フランスのファルマン兄弟が開発した、非常に優れた機構を持つ複葉機。
              日本人(徳川大尉)が初めて飛行した機体とも言われている。
 ・タウベ:ドイツのエトリッヒが開発した、鳩に似た形状の飛行機。
       設計者が特許を放棄したため、様々な国で生産された。
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    | つまり、専門の軍用機はまだまだなかったんだな。
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         | この時期の軍用機は偵察専門で、当然ながら非武装だった。
         | 飛行機に偵察以外のことをやらせるって発想が、まだなかった時代だな。
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| 航空機が初めて実戦で使用されたのは、1911年の伊土戦争(イタリアVSトルコ)。
| イタリア軍が偵察用として航空機を飛ばしたのが初めてとされています。
| またこの時期は、いかに先進的な国にも空軍などまだ存在していませんでした。
| どこの国でも、陸軍や海軍内に偵察部隊としての航空隊を設置していたんですね。
| 世界で初めて誕生した空軍は、1918年のイギリス空軍――第一次世界大戦末期のことでした。
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 1910年:フランス、ロシアが陸軍内に航空部隊を編成。
 1911年:イギリス、ドイツ、イタリアが陸軍内に航空部隊を編成。
 1912年:アメリカが陸軍内に航空部隊を編成。
 1918年:イギリスのRAF(Royal Air Force)が世界初の独立空軍となる。
 1947年:アメリカ空軍、陸軍航空隊から独立。
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    | アメリカでさえ、完全独立は第二次世界大戦後なんだな。
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         | さらに言えば、この時期は航空機の有用性に対する懐疑的な見解も多かった。
         | イギリス軍の偉い人は「発明家がオモチャを高く売りつけようとしてるだけ」と発言。
         | こういう軍人は、どこの国でもいたものだ。
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| さっきも言った通り、この時期の航空機は木製の布張りという簡単なもの。
| そして航空機エンジンは、レシプロ・エンジンと呼ばれるものを用いていました。
| レシプロ機とは、分かりやすく言えばプロペラ動力機ですね。
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 ・レシプロ機
  プロペラを回転させることで、推進力を得るレシプロ・エンジンを搭載した航空機。
  黎明期〜第二次世界大戦期まで主流。その構造上、最高速度には限界がある。
  第二次世界大戦末期にはジェット機が登場し始め、大戦後にはそれが主流に。
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    | 古き良きプロペラ機か。
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         | そしてこの時期には、アメリカ、イギリス、日本などの海軍が独特の試みを始めた。
         | 艦船に、航空機を搭載してみるという挑戦なんだが……詳しくは、艦載機の講義で。
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| さて、ここで羽の数の話をしておきましょう。
| 黎明期には複葉機(二枚羽)が主流でしたが、その後は単葉機(一枚羽)も見られるように。
| 第一次世界大戦期には、三葉機(三枚羽)なんて亜種も見られるようになります。
| 基本的に羽の面積が増えると、揚力(浮き上がる力)が増大するんですよ。
| しかし羽の面積が増えるに従って空気抵抗も増大し、高速性能は落ちていくというデメリットがあります。
| だから初期の飛行機は揚力を確保するため、複葉機であることの利点は非常に大きかったんですね。
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 単葉機:羽が一枚の航空機。空気抵抗を受けにくいので速度性能に優れる。
 複葉機:羽が二枚の航空機。揚力が高く小回りも利くが、空気抵抗により速度性能は低い。
 三葉機:羽が三枚の航空機で、かなり珍しい。
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    | 第一次世界大戦時は、複葉機がかなり多かったんだよな。
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         | しかし技術が進歩すると、揚力を確保するための大面積の翼が必要なくなっていったんだ。
         | そうなると、高速性能の低下というデメリットのみが目立つようになり――
         | 第一次世界大戦後あたりから単葉機が増え、複葉機は姿を消し始めるんだ。
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| そして運命の1914年、ヨーロッパにおいて第一次世界大戦勃発します!!
| 戦争初年のタンネンベルクの戦いにおいて、ドイツ軍の偵察機タウベがロシア本隊を発見。
| 航空機の活躍のおかげで大勝を飾るという出来事が発生します。
| この頃になると、もはや航空機の有用性を疑う者は存在しませんでした……ほとんどね。
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 ・タンネンベルクの戦い(1914年8月17日〜9月2日)
  ドイツの第8軍とロシアの第1軍と第2軍の戦い。
  ドイツ側の巧みな包囲により、ロシアは大ダメージを受けつつ撤退する。
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    | 航空機の活躍が、戦局に大きな影響を与えた最初の例なんだな。
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         | 第一次大戦中に、航空機開発をリードしたのはドイツ、イギリス、フランス。
         | この三国が、競うように新鋭航空機を投入していくんだよ。
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| 各国は偵察の為に航空機を飛ばし……上空で敵機とすれ違っても、なんと互いに敬礼して別れていました。
| あくまで航空機は偵察が任務、殺し合う為の道具ではないという考え方ですね。
| 空における戦いでは、まだ戦場における騎士道精神が残っていました――初期のうちは。
| しかし、ある操縦士が気付いてしまったのです。
| 目の前の敵偵察機をみすみす帰してしまえば、自軍の被害が増えてしまうという事に……
| その操縦士は、なんだかムカついて昼食の弁当を敵機に投げつけました。
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 ・戦果:なし(当然ながら、敵機撃墜ならず)
 ・損失:昼食の弁当(腹が減って、余計にムカついた)
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    | 食い物粗末にするなよ……
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         | この話、ちょっとソース不明。まあ、参考程度にな。
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| これでは効果が無いという事で、彼は飛行前に小石を機内に載せておきました。
| そして小石を敵機にブチ当てていると、相手は対抗してレンガを投げつけてきます。
| こうして投げるものの破壊力が徐々に増大していき、ついには操縦席から拳銃を撃ち合うように。
| 1915年1月には、連合軍のパイロットが機内に持ち込んだライフルでドイツ偵察機を撃墜。
| これは世界で初めての航空機撃墜事例となり、各国は機体そのものに機関銃の搭載を試みることに。
| こうして、航空機を落とす為の航空機――戦闘機へと発展していきます。
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 ・戦闘機
  敵航空機を撃墜するという能力に特化した航空機で、対空戦闘専門。
  基本的に高速で身軽、対空戦闘に適した能力を備えている。
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    | 大空のロマンも、血で汚れてしまったのか。
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         | こうして偵察専用だった航空機に、相手を落とすために特化したものが現れる……
         | この少し前から軽爆撃任務を行う航空機もいたが、また別の話
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| こういういきさつで、航空機撃墜のための航空機が登場したのはいいんですが……
| 最も各国の頭を悩ませたのが、機関銃の取り付け位置でした。
| 変な位置に付けると狙いが定まらないので、パイロットの視線と一致する箇所への搭載が理想。
| そうなると機首なんですが、ここにはプロペラという邪魔なものがありました。
| 機関銃の取り付け位置は機首が一番適しているのに、回転しているプロペラに当たってしまう――
| この問題に、各国は頭を悩ませます。
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    | 確かに、機首が一番いい場所だよな。
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         | でも、当然ながら自分のプロペラをぶっ飛ばすわけにもいかない。
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| この問題に、解決策が閃いたのはフランスのローラン・ギャロでした。
| 「どうせプロペラに当たるんなら、プロペラが弾丸を弾けるほど頑丈にすればいいんだよ!」
| そういうことで、自分の弾丸がプロペラに当たってしまうことを前提に機体を開発。
| 単にプロペラを丈夫にしただけじゃなく、弾丸を弾くミゾを付けるなど工夫します。
| この新機構が導入されたモラーン・ソルニエ Lは、ドイツの航空機相手に活躍したんですが……
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 ・モラーン・ソルニエ L
  第一次世界大戦初期のフランス戦闘機で、プロペラと同軸に機関銃を搭載している。
  プロペラが銃弾を弾き飛ばすという乱暴な解決策だが、これにより命中率は格段に上昇。
  大戦前半において、かなりの活躍を記録している。

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    | おいおい、そんなんでいいのかよ……
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         | 言うほどムチャだった訳でもない。これはこれで、そこそこ画期的な解決策だった。
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| しかし1915年4月18日、一機のモラーン・ソルニエ Lがドイツ領内に不時着してしまいます。
| これを捕獲したドイツは、このフランス機がどうやって機関銃を搭載しているかを暴きました。
| このなんともやっつけ的な解決策を見て、ドイツ人技師アントニー・フォッカーは閃きます。
| 「回転するプロペラの羽が銃口の前に来ている時だけ、弾丸が発射されない装置を作ればよい!」
| こうして完成した画期的なシステムが、「プロペラ同調機構」でした。
| さっそくこの機構は実機に搭載され、完成したフォッカーE3は連合軍機相手に猛威を振るいます。
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 ・フォッカーE3
  世界で初めてプロペラ同調機構を搭載したドイツ単葉戦闘機。
  瞬く間に連合軍の航空機を狩り落とし、その余りの強力さに「フォッカーの懲罰」とあだ名される。
  一時期は無敵を誇ったが、その凋落も早かった。

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    | おお! さっきのと違って、なんか凄い発明!!
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         | このプロペラ同調機構ってのは、プロペラが銃口の前を塞いでいるときは射撃を止める装置。
         | けっこう単純なメカニズムなんだが、非常に画期的だった。
         | ……これ、実はフォッカー自身の発明じゃないんだが……詳しくは別の話。
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| この頃から、戦闘機同士の空戦が頻繁に行われるようになりました。
| フォッカーE3に乗ったマックス・インメルマンとかオズワルト・ベルケといった撃墜王も登場。
| こうしてフォッカーE3はまるで悪魔のように扱われ、連合軍は恐怖に陥ってしまいます。
| BE2cやモラーン・ソルニエ Lなど連合軍航空機は、「フォッカーのまぐさ」と呼ばれることに。
| ドイツの戦闘機にはとても敵わない――そんな絶望感が、連合軍側の航空部隊を支配していました。
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    | まぐさ?
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         | 馬の食べる、エサ用の草。
         | フォッカーに食われ放題だったという事だ。
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| しかし1916年4月の雲の多い日、とあるマヌケな事件がきっかけに状況が変化します。
| ドイツのフォッカーE3の操縦士が、雲にまぎれて迷子になってしまいました。
| 何とか飛行場を見つけたので着陸してみれば、そこはなんと連合軍の飛行場だったんです。
| こうしてドイツ戦闘機の秘中の秘であったプロペラ同調機構の秘密が発覚。
| さらにフォッカーE3自体の性能は、連合軍機と互角かそれより下である事が分かりました。
| あれだけ恐れた「フォッカーの懲罰」の正体は、実はそう大した物じゃなかった――連合の戦意は高揚します。
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 ・FE2:イギリスが1915年に開発した副座戦闘機。空戦だけではなく、偵察や爆撃などの任務もこなした優良機。
 ・DH2:フォッカーE3に対抗して造られたイギリス戦闘機。ドイツ戦闘機から制空権を奪い返す事に成功した。
 ・ニューポール11:連合軍側で初めてプロペラ同調機構を備えた、フランスの小型複葉戦闘機。
            小型軽量のため非常に格闘戦に優れ、エースを次々と生み出した。
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    | イギリスやフランスも、対抗できるほどの戦闘機を持っていたんだな。
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         | フォッカーE3と同世代の連合軍戦闘機は、十分に性能で張り合えるものだった。
         | しかしこの一件までは、過剰にビビりすぎてまともに戦わなかったってのが大きい。
         | そして、「フォッカーの懲罰」終焉を決定付けたのは、フランスのニューポール11。
         | こいつはフォッカーE3よりも新しいだけあり、非常に強力だったんだよ。
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| この連合軍の逆襲によって、ドイツ軍のエースは次々と地に落ちました。
| フォン・ゲルストフ男爵、インメルマン――その名が響き渡っていたドイツ軍のエースが散っていきます。
| こうして航空戦の優勢は完全に逆転し、ドイツの劣勢は確かなものとなった、そう思われていました。
| しかしドイツは最新鋭戦闘機アルバトロスD3を投入、またしても連合軍を圧倒。
| 1917年4月、アラス上空にて行われた大規模な航空戦において、連合軍は致命的な敗北を経験します。
| この1ヶ月で連合軍の戦闘機40%が落とされ、「血まみれの4月」と呼ばれる事態になったんですよ。
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 ・アルバトロスD3
  この時期に活躍した非常に強力なドイツの戦闘機で、「鉄十字の鮫」と呼ばれて恐れられた。
  撃墜王リヒトフォーヘンの乗機としても有名で、この機体で非常に多くのスコアを挙げている。
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    | 今度は、ドイツ側の猛反撃が始まったのか。まさにシーソーゲームだな。
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         | それでも、ドイツに余力はほとんど残されていなかった。
         | 物量は圧倒的に連合側に有利――第二次大戦でも繰り返されるパターンなんだけど。
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| この頃の空戦は、ドッグファイトという戦闘方式が全てでした。
| 戦闘機同士の戦いにおいては、敵の背後を取った方が圧倒的に有利――というか、ほぼ王手。
| それゆえに必死で互いのケツを追い回すという、犬のケンカみたいな戦闘スタイルとなったんです。
| そういうわけで、戦闘機にはドッグファイトで有利となる能力が求められました。
| 何においても、まず小回りの良さ。スピードもあるに越したことはないですが、小回りが利かなくなるなら論外。
| こういうわけで戦闘機は軽快なものが良いとされ、格闘戦能力に特化していったんですよ。
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 ・基本的な相関関係
  小回りが利く機体.  → 羽を大きくする必要があるので、空気抵抗の問題で高スピードが出にくい。
  スピードの出る機体 → 空気抵抗を軽減するために羽が小さく、小回りが利かなくなる。
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    | なるほど。スピードと小回りの良さは相反する属性であり、両立が難しいんだな。
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         | この戦闘機スタイルは、第一次世界大戦全期において世界に通じた考え方。
         | しかし第一次世界大戦が終わり、エンジンの技術が飛躍的に発展すると――
         | 戦闘機はひたすら軽快さを求めるもの、という考え方にも変化が出てくるんだ。
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| そしていよいよ戦争末期の1918年、この前後の各国戦闘機を見ていきましょう。
| もはや第一次世界大戦も終了間際であり、活躍したのは大戦中最も優れた高性能戦闘機ばかり。
| いずれも、各国を代表するほどの優良戦闘機ですね。
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 イギリスの戦闘機(第一次世界大戦末期)
 ・ソッピーズ・キャメル:脅威の運動性能を誇り、格闘戦に強い複葉戦闘機。
               機体の安定性に欠けるが、実力者が扱えば無類の強さを発揮した。
 ・SE5a:頑丈で速度性能に優れた重戦闘機だが、その分小回りが利かず格闘戦には向かない。
      飛行が安定している為に操縦性が非常に良く、エースにも好まれた。

 フランスの戦闘機(第一次世界大戦末期)
 ・ニューポール28:珍しい一半葉方式を採用した軽戦闘機で、ニューポールシリーズの最終型。
            非常に軽快で格闘戦に優れているが、スパッド13の影に隠れてしまう。
 ・スパッド13:フランスの傑作重戦闘機で、一撃離脱に適している。

 ドイツの戦闘機(第一次世界大戦末期)
 ・フォッカーDr.1:珍しい三葉機で、脅威の運動性と上昇力を誇る。
           リヒトフォーヘンの愛機であり、最後の乗機としても有名だが、癖が強く脆い一面も。
 ・フォッカーD7:ドイツが第一次世界大戦中に生産した最良の戦闘機。
          ドイツで最も恐ろしい戦闘機として、連合国のパイロットを苦しめた。
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    | 第一次世界大戦の、最末期の傑作連中ってわけか。
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         | まさに、この時代を代表する戦闘機の面々だ。
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| そして1918年にはドイツが降伏、第一次世界大戦は終わります。
| 時代は後に戦間期と呼ばれる時期に突入し、当然ながら航空技術も発展していきました。
| ここまでの航空機は、基本的には木と布で出来ていましたが――
| この時期になると、いよいよ全金属製の航空機が出現します。
| 軽量な合金ジェラルミンが出現し、航空機の材料として使われるようになったんですね。
| そうした変化が見られ始めた、大変に有意義な1920年代でした。
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    | この頃には、複葉機を差し置いて単葉機が主流となりつつあったんだよな。
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         | とはいえ、複葉機がただちに絶滅したわけじゃなかったんだけどな。
         | 小回りが抜群に利くから、その軽快さを愛した国も多かった。
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| そして1930年代に入ると、エンジン技術の向上により、戦闘機の新たなスタイルが模索され始めます。
| 今までは軽快さを活かしたドックファイトが重視されていたんですが、一撃離脱戦法というのが一部で流行。
| これは敵に高速で近付き、弾丸を叩き込んで奇襲。それからすぐに逃げるというもの。
| この一撃離脱戦法に必要な能力は、何よりもまず高速性能。武装も強力な方が良いです。
| 逆に、従来は戦闘機に必須とされた小回りの良さは不要――そんな、新しい戦闘スタイルが出始めたんですよ。
| こういう一撃離脱戦法に適した高スピード・重武装の戦闘機を、重戦闘機と呼んでいますね。
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    | すると、今までの格闘戦重視型の戦闘機は軽戦闘機ってことになるのか。
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         | もちろん、世界の戦闘機が一斉に重戦闘機に切り替わったわけじゃない。
         | 日本やイタリア、フランスは格闘戦能力に優れた軽戦闘機を重視していた。
         | そもそも優れたエンジン技術がないと、高速性能に秀でた重戦闘機は造れないしな。
         | それに対し、ドイツやアメリカはより優れた重戦闘機を追求していった。
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| 話は変わって1933年、とあるソ連戦闘機が初めて「引き込み脚」という機構を実現させました。
| これは離陸した後に、滑走時の車輪が折り畳まれるという仕組み。
| それにより飛行時の空気抵抗が軽減するという、極めて画期的かつ近代的な機構です。
| そんな「引き込み脚」を初めて実用化させたのが、I-16というソ連の最新鋭戦闘機。
| このI-16は、同時代の戦闘機の中でもトップクラスの性能を誇る優良機でした。
| 引き込み脚は後に、近代的な航空機には必須の機構となっていくんですよ。
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 ・I-16
  ソ連の開発した、完成時は世界最優良クラスの単葉戦闘機。
  機体は木製であるものの、引き込み脚という機構を世界で初めて採用した。

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    | なんでだろう。すごく、やられメカの香りがする……
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         | 登場時は、まぎれもない優良機だった。
         | このI-16の悲劇は、自分より新鋭の相手と戦う機会が非常に多かったことだ。
         | 挙げ句の果てに零戦とまで戦わされたのだから、やってられない。
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| さて、1930年代後半には世界情勢の雲行きが悪くなり……1936年にはスペイン内戦が勃発します。
| スペイン人が反乱軍と共和国軍に分かれて戦ったんですが、ドイツとソ連がそれぞれに肩入れしたんですよ。
| 自国の最新兵器を実験的に提供したり、義勇軍の名目で自国軍隊を派遣したり……
| スペインの空も大地も、まるでドイツとソ連の兵器実験場の様相をなしていたんですね。
| そんな中でソ連は上述の戦闘機I-16を投入、ドイツが投入していた旧式戦闘機He51を圧倒します。
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 ・スペイン内戦(1936年7月〜1939年3月)
  スペイン内部で行われた、共和国軍と反乱軍の内戦。
  ソ連が共和国軍を支援し、ドイツ・イタリアは反乱軍を支援。
  結果的に、反乱軍側が勝利を収める。
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    | まるで、第二次大戦の前哨戦だな。
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         | ドイツが支援した反乱軍が勝利し、スペインは反乱軍のボスであるフランコの独裁政権が樹立。
         | このフランコ政権は中立を唱えながらも、第二次大戦中は親ドイツ的な行動を取った。
         | それが原因で、戦後の国際社会から孤立してしまうんだ。
         | 逆に言うと、ドイツから微妙に距離を置いたおかげで戦後まで体制が続くんだが。
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| I-16の猛威を前に、ドイツは切り札であった最新鋭戦闘機メッサーシュミットBf109を投入します。
| これは完成したばかりの重戦闘機であり、第二次世界大戦時のドイツを代表する機体。
| このBf109は改良が繰り返され、第二次大戦全期を主力機として戦い通すことになるんですよ。
| その前哨戦にあたるスペイン内戦でも、ソ連のI-16を相手に圧倒的な性能を見せ付けました。
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 ・メッサーシュミットBf109
  ドイツの主力戦闘機で、第二次世界大戦全期を通じて幾度もの改良が施された。
  高速性能を生かした一撃離脱戦法が得意だが、後には航続距離不足に悩まされる事となる。
  他にも幾多の難点はあるものの、間違い無くドイツ空軍の主役。

  写真
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    | 幾多の難点って、例えば……?
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         | 一番ひどいのが、着陸性能の悪さ。着陸時にろくでもねー主脚がポキンと折れて、クラッシュ。
         | この種の事故で、時期によっては戦闘消耗以上の機数が散ってるんだ。
         | 設計者は、「この程度の事ができんパイロットはどうせ長生きできん」と逆ギレする始末……
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| こうして、スペイン内戦は反乱軍側の勝利で終結。その直後に第二次大戦が勃発します。
| ドイツは電撃戦を駆使してポーランド・フランス・その他の国を次々に撃破するということになるんですが……
| ここでは、ドイツと激突したフランス軍の主要な戦闘機を紹介しましょう。
| フランスは第一次大戦後に航空機産業を国有化しようとしてゴタゴタ、航空行政に失敗。
| 満足な航空機が揃っていない状況にあり、もはや航空大国の面影はありませんでした。
| もっとも性能が高かったのが、アメリカから購入したホーク(P-36)という有様です。
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 第二次世界大戦時のフランス戦闘機
 ・MS406:開戦時におけるフランスの主力戦闘機だが、既に時代遅れの性能だった。
 ・D520:MS406の後継機で、Bf109となんとか互角程度に戦えた優良戦闘機。
      しかし数が少なく、戦局に影響を及ぼす事は出来なかった。
 ・ホーク75:アメリカから購入した機体だが、その数は少ない。
        それでもフランス製の戦闘機よりも勇戦し、Bf109とも善戦が可能だった。
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    | 結局、精強なドイツ空軍の前には太刀打ちできなかったんだな。
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         | MS406からD520への転換が進んでいなかったのが、あまりにも痛かった。
         | D520やホークは十分に使い物になる性能だが、数が足りなかったんだよ。
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| こうして緒戦における電撃戦でポーランドもフランスもとっととイタリア……じゃなくリタイア。
| ヨーロッパ全域をその手中に収めたドイツは、海峡を隔ててイギリスと向かい合うという構図になります。
| イギリスに飛来するドイツ空軍、死力を尽くして迎え撃つイギリス空軍――
| こうして、3ヶ月に渡るドイツVSイギリスの大航空戦がスタートする事となりました。
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 ・バトル・オブ・ブリテン(1940年7月10日〜10月31日)
  ヨーロッパを制圧したドイツ軍の航空機が、連日に渡ってイギリス本土に来襲。
  それに対し、イギリスは徹底抗戦を行う。
  結果的に、イギリス空軍の凄まじい抵抗の前にヒトラーは作戦の不特定期間延期を決定。
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    | いよいよ、ドイツの魔手は島国イギリスにも伸びたのか。
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         | ドイツが戦闘機約1000機、爆撃機約1500機を投入したのに対し、イギリスの戦闘機は700機。
         | 数の上では、明らかにイギリス側が不利だった。
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| この前後の時期、エンジンを2つ搭載した「双発機」と呼ばれるタイプの戦闘機というのが期待視されていました。
| 1930年代半ばから、この種の重戦闘機が各国で流行り始めたんですよ。
| 従来の戦闘機はエンジンが一つでしたが、それをもう一つ増やしてみると凄いんじゃないか……ってね。
| 航空大国ドイツも双発機の開発に取り組み、メッサーシュミットBf110という双発戦闘機を完成させます。
| これはフランス戦でもそれなりの成績を残しましたが、Bf110が凄いのか相手が弱すぎたのか判断が難しいところ。
| そしてバトル・オブ・ブリテンにも投入された結果――単に、フランス機が弱かっただけということが判明します。
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 ・エンジンの数が増えるにつれて……
  長所:機体が大型化→搭載兵器の重化にも対応。防弾装備を増やせる事により、防御力もアップ。
        出力がアップ → 航続力や速度の増加。
  短所:機体が大型化→鈍重になり、小回りが利かなくなる。
        開発に高い技術力が必要。
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    | つまり、Bf110は失敗作だったってことか……?
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         | 板書を見て見当が付くだろうが、爆撃機のエンジンを増やすのは非常に有効。
         | しかし戦闘機を双発化するというのは、デメリットの方が大きくて……
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| そういうわけで、結局のところBf110は失敗作でした。
| メリットよりもデメリットが目立ち、予想していた戦績を上げることはできなかったんです。
| 思いっきり肩すかしの結果になり、Bf109に護衛してもらうということさえあったんですよ。
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 バトル・オブ・ブリテン期のドイツ戦闘機
 ・Bf109:ドイツ空軍を代表する機体。一撃離脱戦法が得意で、戦争全期に渡って活躍。
 ・Bf110:双発戦闘機として活躍を期待されたが……バトル・オブ・ブリテンで散々な目に合い、
      「戦闘機の護衛が必要な戦闘機」と揶揄される。以後、飛べるのは夜だけに。
 ・FW190:Bf109をサポートするという名目の戦闘機だが、Bf109より優れた点も多かった。
       総合的に見てBf109よりも優れているという声も大きく、ドイツ降伏まで戦い続ける。
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    | 「戦闘機の護衛が必要な戦闘機」って、悲しいな……
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         | そして、海峡を渡ってイギリスに飛来したドイツ爆撃機もふるわなかった。
         | もとより防御力と航続能力に問題があり、敵地に着いた頃にはヘトヘトだったんだよ。
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| 一方、対抗するイギリス空軍は……祖国の危機に登場したのは、最新鋭戦闘機であるスピットファイア。
| これはイギリス空軍を代表する機体でもあり、ドイツのBf109に対する宿命のライバルでもありますね。
| ドイツはBf109を、イギリスはスピットファイアを、改良を重ねながら大戦全期に渡って使い続けたんです。
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 ・スーパーマリン スピットファイア
  イギリスの開発した最新鋭戦闘機であり、バトル・オブ・ブリテンの切り札。
  連日に渡ってBf109との戦いを展開し、最後にはドイツ空軍を追い払う事に成功する。
  以後も改良を重ね、大戦全期に渡って用いられた。
  また、空母での運用を想定した艦上機型の「シー・ファイア」も存在する。

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    | 宿命のライバルとか、超萌ゑる。
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         | スピットファイアについたアダ名は、「救国の戦闘機」。
         | 阪神で言えばバースのようなものだな。
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| この最新鋭戦闘機であるスピットファイアと、旧式のハリケーンがバトル・オブ・ブリテンを戦い抜きました。
| 他のイギリス戦闘機は、デファイアントとかもありますが……まあ、アレは存在自体がギャグか。
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 バトル・オブ・ブリテン期のイギリス戦闘機
 ・スピットファイア:大戦全期に渡る主力戦闘機。Bf109と互角の戦いを見せた。
 ・ハリケーン:旧式の設計だが、堅実さがウリ。生産性が極めて高く、スピットファイアを補佐して頑張った。
 ・ブレニム:爆撃機として開発されたが、戦闘機に転用。
        結果としては、爆撃機としても戦闘機としても中途半端になるというイギリスらしい機体。
 ・デファイアント:英国流のジョーク。ドイツ人は堅物なのでウケず、容赦なく叩き落された。
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    | デファイアントって何? ひどい扱いされてるところを見たら、どうせロクでもない戦闘機なんだろうな……
    | うわッ!! 後ろからフィッシュ&チップス飛んできた!!
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         | デファイアントをバカにするなー!!
         | デファイアント悪くない! アレをマジで投入したイギリス空軍が悪い!!
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| Bf109対スピットファイアという、世界最新鋭戦闘機が激突するバトル・オブ・ブリテン……
| そんな白熱するロンドン上空に、なんとイタリア空軍が助っ人として登場。
| 「お前らだけに任せておけねぇ。助けに来たぜ、ドイツ人!!」ってとこですね。
| その時のイタリア戦闘機は、時代遅れってより時代錯誤な 複 葉 機 。
| イギリス戦闘機に瞬殺され、たちまち舞台から消えていきます。
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 ・CR42「ファルコ」
  第二次大戦におけるイタリアの主力戦闘機で、旋回能力を重視した複葉機。
  ドイツの助っ人としてバトル・オブ・ブリテンにも登場したが、何も出来ずに瞬殺される。
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   |   つ ∇.  ガツガツ(゚Д゚,,)      (゚Д゚,,)
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    | さすがイタリア人。緊迫したロンドン上空で、体を張ったギャグを見せるとは侮れんな。
    | ……ってか、これ油っこい。
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         | しかも連中、ドイツの要請を受けたとかじゃなくて、呼ばれてもないのに勝手に来たんだよ。
         | ロンドン市民は、唐突に現れたちまち撃墜された複葉機軍団の一件を珍事扱いしたようだ。
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| バトル・オブ・ブリテンの話でしたが、ここでちょっと脇道に逸れてイタリアの戦闘機を紹介しましょう。
| 一応イタリアを擁護しておくと、イタリア機の見た目は非常に優美です。
| ただ鑑賞する分には文句ないですが、あまり戦争向きじゃありませんね。
| 民間のレース機などは、非常に優れたものを造り出しているというのに……
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 イタリアの戦闘機
 ・CR42「ファルコ」:第二次大戦におけるイタリアの主力戦闘機。複葉機は美しく、目にする者の心を癒す。
 ・G50「フレッチア」:主翼のラインが美しい戦闘機。操作性に難があるが、鑑賞する分には問題ない。
 ・MC202「フォルゴーレ」:イタリア戦闘機に総じて言えるが、胴体のラインが非常に優美でたまらない。
 ・Re2000「ファルコ」:イタリア機独特の美しさは消え、余り鑑賞的価値は無い。
              輸出機としては好評だったが、やはり美しくない為かイタリア軍からスルーされている。
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    | さすが、芸術家の国だな。
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         | まあ、言うほど性能も悪くなかったってのが実際のとこなんだが……
         | つーか、日本だってイタリアを笑える航空事情じゃないし。
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| さて、バトル・オブ・ブリテンの話に戻りましょう。
| 様々な要因が絡み合い、ドイツ軍が挑んだイギリス本土航空戦は失敗に終わります。
| そのイギリスが勝利を収めた理由は、以下のものでしょうか。
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 イギリスが勝った要因
 ・防空レーダーを実用化し、効率的にドイツ機を迎撃。
 ・チャーチルの演説により、全国民の士気高揚。
 ・ドイツ戦闘機の航続距離不足により、爆撃機の護衛が徹底できなかった。
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    | ドイツ戦闘機って、航続距離が不足してたんだな。
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         | そもそも、ドイツ空軍の戦闘機はあまり遠くまで行けるもんじゃなかった。
         | 海を越えて侵攻するには、航続距離がかなりキツかったんだ。
         | イギリス本土にちょこっと顔を出し、燃料不足でとっとと帰るという有様……
         | この辺の航続距離不足はイギリス機も同じだが、迎撃側なんで大したデメリットにはならなかった。
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| こうしてイギリスの頑強な抵抗の前に、ヒトラーは英国上陸作戦を延期。
| イギリスをほっぽって東のソ連に目を向け、独ソ戦が始まります。
| 初期のうちは、東部戦線(対ソ連戦)でもドイツ側が優勢だったんですが……
| 1943年になると、次第にソ連空軍が勢いを盛り返し、ドイツ空軍が劣勢になっていきます。
| その頃にはソ連も優秀な航空機を多数開発。例えばYak-9は、戦後も幾つかの国で用いられた優良機ですね。
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 ソ連の戦闘機
 ・Yak-1:大量生産され、ソ連の反撃に貢献した独ソ戦初期の主力戦闘機。
 ・LaGG-3:性能は低いものの頑丈な木製戦闘機。独ソ戦初期において奮闘する。
 ・MiG-3:高速性能と高々度性能が高く、迎撃任務に向いた戦闘機。ただし扱いは難しく、事故も相次いだ。
 ・La-5:LaGG-3の発展型で、木製ながら非常に良好な性能を持つ。
      スターリングラード戦など、独ソ戦中期における逆転劇の立役者となった。
 ・Yak-9:Yak-1の発展型で、独ソ戦後期の主力戦闘機。低高度ではドイツ戦闘機と互角以上に戦えた。
 ・La-7:La-5の後継であり、ソ連最優秀機の一つとも言われる傑作戦闘機。
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    | ここらへんの機体、全然聞いたことないや。
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         | ソ連航空機(に限らず第二次大戦時のソ連軍)、余りに過小評価され過ぎな傾向があるな。
         | 連中の最大の武器は物量ではあるが、それしか能が無かった訳では決して無いぞ。
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| さらに1944年には、フランスのノルマンディにアメリカ・イギリス連合軍が上陸。
| ドイツは、西の米英軍と東のソ連軍から挟まれるという状況になってしまいます。
| では、欧州戦に参加したアメリカ軍の戦闘機を見てみましょうか。
| P-47やP-51などは、大戦期を代表する優良なアメリカ戦闘機です。
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 アメリカ陸軍の戦闘機
 ・P-36「ホーク」:アメリカ初の近代型戦闘機だが、第二次大戦時には既に旧式化。
           フランスに少数が買い取られ(ホーク75)、それなりの活躍を見せる。
 ・P-38「ライトニング」:特異な外見で「双胴の悪魔」と呼ばれた重戦闘機で、一撃離脱戦法が非常に得意。
               太平洋戦争においても日本軍に対峙し、強敵として恐れられた。
 ・P-39「エアラコブラ」:19個もの致命的欠陥を抱えた戦闘機だが、ピンチ時のソ連に供給されありがたがられる。
               攻撃力や防御力は高い為、ロシア人は他の欠陥をあまり気にしなかったようだ……
 ・P-40「ウォーホーク」:P-36の改良型で、強靭で生産性に優れる。地味だが優秀な戦闘機で、他国にもレンタルされた。
 ・P-47「サンダーボルト」:脅威の重武装とタフさが特徴の、まさにアメリカンな重戦闘機。
                アメリカのパイロットにはとにかく受けが良かったようだ。
 ・P-51「マスタング」:第二次大戦中最優秀戦闘機と評価される、非常に優れたアメリカ戦闘機。
              あらゆる性能が高く、極めてバランスの取れた機体である。
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    | こんなのが大挙して押し寄せてきたら、ドイツもいよいよヤバいか……
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         | P-38やP-39などは、イギリスやソ連にレンタルされて早くから欧州戦線に姿を見せていた。
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| この頃になると戦闘機の出力は大幅にアップして、かなりの余裕が出てきました。
| そこで、アメリカ軍はP-38やP-47、P-51などの戦闘機に爆弾をブラ下げてみたんですよね。
| 普段は軽爆撃機として活躍し、敵戦闘機に遭遇した場合は重い爆弾を捨てて対空戦闘――
| こうした「戦闘機+爆撃機」の運用が想定された航空機を「戦闘爆撃機」と言います。
| 軍用機というのは、偵察機オンリーの時代からヒマさえあれば爆弾を落としたくなるものなんですよね。
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 ・戦闘爆撃機
  爆弾の運用を可能にした戦闘機。
  主にアメリカやイギリスが使用し、ドイツからは「ヤーボ」と呼ばれて恐れられた。
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    | 新機種……って言うか、余裕が出てきた戦闘機の別任務追加バージョンか。
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         | 戦闘機に爆弾をブラ下げるってのは、この時代が初めてじゃなく前例もある。
         | だが、本格的に戦闘爆撃機が活躍し始めたのはこの時期だな。
         | また、別に英米の専売特許ってわけじゃなくドイツも戦闘爆撃機を運用してる。
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| そして大戦後半、イギリス機にも新たなメンツが。特に目を引くのは木製航空機のモスキートですね。
| 「木製…? 第一次大戦じゃあるまいし……」と採用を渋るイギリス空軍の中の人を尻目に、
| 下手な金属性航空機より強度が高く、かつ修理が楽。速度性能も高く、様々な任務に転用されました。
| 「永遠の万能機」と呼ばれ、イギリス優良兵器の一つとされています。
| またタイフーンなどは戦闘機としてではなく、むしろ軽爆撃機として活躍。
| ドイツ戦車に爆弾の雨を降らせ、散々な目に遭わせた恐ろしい機体です。
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 戦争後期のイギリス戦闘機
 ・モスキート:木製の双発戦闘爆撃機で、夜間戦闘や爆撃、偵察も可能の万能機。
 ・タイフーン:イギリスの導入した戦闘爆撃機で、8発の地上攻撃用ロケットはドイツ軍兵士を恐怖に陥れた。
         パンターやティーガーなどのドイツ戦車を次々と葬り、「アニマルキラー」と呼ばれる。
 ・テンペスト:タイフーンの発展型で、イギリス最速戦闘機の誉れも高い。
         後期のドイツが繰り出したジェット戦闘機Me262や飛行爆弾V-1の撃墜に活躍した。
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    | ここら辺は、イギリス機の中でもまともな連中か。
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         | かなり素晴らしいものと、言いようもない不思議なものを同時に生み出すのが英国紳士クオリティ。
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| さて……第二次世界大戦末期には、プロペラ動力に代わるジェットという新技術が登場していました。
| プロペラ機の速度性能というのは、物理的な問題で時速800km程度が限界――
| つまり性能の頭打ちは確実で、新技術は必要であることは明らかだったんです。
| 最初に試作型を成功させたのはイタリアで、実用機を完成させたのはドイツ。
| ただしこの時期のジェットエンジンは問題が多く、レシプロ機に対して圧倒的優位って訳でもありません。
| ……が、相応の性能を見せ付けたことには間違いありませんね。
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 ドイツのジェット戦闘機
 ・Me262:世界で初めての実用ジェット戦闘機。ドイツ本土防衛に大活躍したが、数が足りなかった。
       技術的に不完全な点が多く、無理に出してきた感も否めない。

 イギリスのジェット戦闘機
 ・ミーティア:1944年に実戦配備され、本国防衛に活躍したイギリス初の実用ジェット戦闘機。
         性能は優れたものではなく、問題はまだまだ多い。
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    | 別に、ジェット技術はドイツの専売特許じゃなかった訳か。
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         | 苦境に立たされたドイツが、技術的に未完成ながら無理に投入したとも言える。
         | それでも、他国に比べて進んでいたのもまた事実だがな。
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| さて……ここまでが、欧州戦線における戦闘機事情です。
| では次に少しだけ時間を遡り、太平洋戦争の方を見ていきましょう。
| 日中戦争で活躍した陸軍主力戦闘機が、この九七式戦闘機です。
| 軽量、軽武装、そして卓越した運動性を誇る軽戦闘機であり、まさに近接格闘戦のエキスパート。
| この飛行特性が日本人パイロットの性に合い、以後は軽戦闘機がもてはやされるようになります。
| この戦闘機によって、軽戦闘機絶対思想が陸軍に根付いてしまったとも言えるでしょう。
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 ・九七式戦闘機
  非常に軽量で、驚異の運動性を備えた軽戦闘機。その分、武装は弱く防弾装備も無い。
  日中戦争から太平洋戦争初期まで活躍、その運動性を敵機に見せつけた。
  海軍の九六式艦上戦闘機を参考にしながら開発されたので、その性質は非常に九六式艦戦に似る。

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    | ヨーロッパやアメリカでは、重戦闘機方面に進化していくのにな。
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         | 日本の航空技術がヘボすぎて、強力なエンジンが開発できなかったって面もあるんだよ。
         | だから、スピード型じゃなくて小回りの利く格闘戦型に進化するしかなかったんだ。
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| そんな軽戦闘機絶対思想のもとに、一式戦闘機「隼」が開発されました。
| これ自体は悪い戦闘機ではないどころか、登場当初はかなり優良な戦闘機とも言えます。
| こんな風に軽快な戦闘機が非常に有り難がれ、鈍重な重戦闘機は見向きもされなくなりました。
| そんな状況下でも重戦闘機が完成しているんですが、出来た当初は非常に嫌われています。
| が……格闘戦に優れた軽戦闘機というコンセプト自体が時代に合わなくなってきました。
| 米国や欧州では、俊敏さは欠けるものの高速性能も防御性能も高い重戦闘機が一般的になっていたんです。
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 日本陸軍の戦闘機
 ・一式戦闘機「隼」:九七式戦闘機と同じ思想で開発された陸軍の初期主力戦闘機。
             軽量さを生かして米英軍の航空機を叩きのめすが、戦争末期になると劣勢に。
 ・二式単座戦闘機「鍾馗」:「軽戦絶対思想」全盛の中で登場した重戦闘機。
                 上層部でも現場でも非常にウケが悪かったが、本土防空の際に見直される。
 ・二式複座戦闘機「屠龍」:当時、世界で流行していた双発(エンジン2つ)の重戦闘機。
                 高速だが鈍重で、やはり現場で非常に嫌われた。本土防空の際に見直される。
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    | 日本製重戦闘機は、本土防空の頃になると見直されてるんだな。
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         | 日本陸軍の上層部や現場のパイロットは、俊敏さに欠ける重戦闘機にどうしても馴染めなかった。
         | エンジン技術に問題があって、満足な性能の重戦闘機をなかなか造れなかったって背景もあったがな。
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| こうした時代の流れには抗えず、陸軍は軽戦闘機と重戦闘機を統合した戦闘機開発に取り組みます。
| それからは、ひたすらエンジンと戦い続けたと言えるでしょう。
| 結局のところ性能自体は優れていても、信頼性の持てるエンジンは作れませんでした。
| そうこうしているうちに、日本側の劣勢はもはや決定的になっていったんですよ。
| 戦う相手はP-51やB-29とインフレ化し、ひたすらに苦戦を強いられるようになりました。
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 日本陸軍の戦闘機
 ・三式戦闘機「飛燕」:重戦闘機と軽戦闘機を統合した高性能機だったが、液冷エンジンに問題が多発。
              飛びさえすれば強力だが、そもそも空を飛んでくれない問題機。
 ・四式戦闘機「疾風」:「大東亜決戦機」と呼ばれ、強力な米軍機と互角に戦った陸軍の切り札。
              日本軍機で比類なき性能を誇るが、整備性がとにかく悪く故障も頻発。
 ・五式戦闘機:飛燕のエンジンを空冷式にしてみたところ、思いがけない性能を発揮したので制式採用。
          最高速度こそ飛燕に劣るが、整備製も操作性も良く故障も少ない。
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    | なんか……性能は高いが故障は頻発って、日本軍の後期軍用機のお家芸だな。
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         | 無理に無理を重ねた、って表現がぴったりだ。
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| 一方の日本海軍はというと、「局地戦闘機」なる陸上基地でしか扱えない航空機を所持していました。
| なぜ海軍なのに、空母で扱えない戦闘機など持っていたか――
| その答えは、日本海軍は数多くの諸島に航空基地を抱えていることにあります。
| この基地の防空用に、専用の迎撃機を開発したんですよ。
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 ・局地戦闘機
  日本海軍における防空用の戦闘機で、いわゆる迎撃機。
  基地を攻撃してくる敵爆撃機を叩き落すのが基本任務。
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    | 零戦とか、空母に載せてる戦闘機を転用したんじゃダメなの?
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         | それらの軽戦闘機は、敵戦闘機との格闘戦に特化している。
         | 重厚な敵爆撃機をブチ倒すには、少々不向きだったんだ。
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| 何度も言ったように、求められる任務が違えば、必要とされる能力も異なります。
| 局地戦闘機に必要とされたのは、強力な武装と加速性能――重戦闘機に似ていますね。
| しかし開発は遅れに遅れ、雷電の完成時には守るべき航空基地は激減。
| 結局、「日本本土」という巨大な基地を守る為に奮闘する事になります。
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 日本海軍の局地戦闘機
 ・雷電:でっぷりしたボディが特徴的な局地戦闘機。設計に問題があり、事故損失が非常に多い。
      本土に押し寄せるアメリカの重爆撃機を撃墜するため、駆けずり回る。
 ・紫電:水上戦闘機「強風」を陸上飛行場でも扱えるように改良した局地戦闘機。
      性能はそこそこ優れるが、幾多の欠陥を抱える問題機である。
 ・紫電改紫電を改良した機体で、戦争末期の本土防空に投入される。
       局地戦闘機としての性能は高いとは言えず、むしろ強力な格闘戦機として活躍した。
 ・震電:対B-29の切り札であった局地戦闘機だが、完成前に終戦。
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    | 守勢一方に立たされるってことは、もう敗北一直線ってことだよな。
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         | そういうことだ。
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| こうして1945年に日本は降伏、第二次世界大戦は終結しました。
| 戦勝国のアメリカとソ連は、それぞれドイツの優秀な技師・科学者を自国に招待(もしくは拉致)。
| 先を争うように、ドイツの技術吸収を始めます。
| 次世代の軍用機に必須と思われる技術――ジェット技術も、両国はドイツに色濃く影響を受けました。
| そうした中でアメリカ(西側)とソ連(東側)の対立も濃厚になり始め……
| 1950年6月25日、とうとう北朝鮮軍が38度線を越境、朝鮮戦争が勃発します。
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 ・朝鮮戦争
  1950年から始まった朝鮮半島を舞台にした戦争で、1953年に停戦が成立。
  米英を初めとした17カ国が支援する韓国側と、ソ連や中国が支援する北朝鮮側が激突した。
  実質的に西側と東側の代理戦争となり、冷戦の流れを決定付けることになる。
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    | これは韓国と北朝鮮の戦争に見せかけて、米ソの代理戦争だったんだよな。
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         | この戦争から3年前の1947年、アメリカの実験機X-1が音速を突破している。
         | また朝鮮戦争において、軍用ヘリが初の本格デビュー。
         | 輸送や救助に活躍したことも覚えておいてくれ。
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| この戦争において、世界の航空界の度肝を抜く出来事が起こりました。
| 突如、ソ連の最新ジェット戦闘機MiG-15が朝鮮の空に姿を現したのです。
| MiG-15は、連合国のレシプロ戦闘機や初歩的なジェット機をサクッと駆逐してしまいました。
| この最新鋭ジェット戦闘機の前では、日本を屈服させたB-29すら無力。
| 「ミグ」という名前がソ連航空機の代名詞になるほど、MiG-15は西側に鮮烈なイメージを与えたんです。
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 ・MiG-15「ファゴット」
  ドイツの技術を吸収したソ連が開発したジェット戦闘機。
  朝鮮戦争に投入され、圧倒的な性能を見せ付けた。

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    | 本格的にジェット時代が到来したわけか……
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         | なおソ連は北朝鮮にこの機を渡しただけでなく、ソ連軍人をも派遣していたことが判明している。
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| MiG-15の猛威に対し、アメリカも切り札を出さざるをえませんでした。
| それが、アメリカの最新鋭ジェット戦闘機であるF-86「セイバー」。
| 朝鮮半島を舞台に、MiG-15 VS F-86の死闘が展開されることになります。
| その性能は一長一短なんですが、パイロットの技量なども合わせるとアメリカが有利でした。
| これらMiG-15やF-86など初期のジェット戦闘機を、第一世代ジェット戦闘機と呼びます。
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 ・F-86「セイバー」
 アメリカの開発したジェット戦闘機で、朝鮮戦争に投入された。
 「ミグ回廊」と呼ばれた国境近くの戦闘空域で、毎日のようにMiG-15と激突する。

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    | さくっと新鋭機を出してくるアメリカも、なかなかとんでもないな。
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         | このF-86にもドイツの技術は色濃く、MiG-15とF-86は外見が似ている。
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| 結局のところ朝鮮戦争はうやむやのままに一時休憩、そのまま現在まで後を引いています。
| こうして航空機はジェット全盛となり、米ソを始め各国でジェット戦闘機の開発が始まりました――
| というところで、戦闘機の講義はいったん終了したいと思います。
| これ以降の戦闘機開発は、爆撃機の進化や核戦略と切っても切れない関係。
| それらの流れと切り離しては講義できないため、「戦後の軍用機」というテーマで後に回します。
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    | なんと、ここでいったん休憩か。
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         | 次の基礎講義は、爆撃機について。
         | 第一次世界大戦期に戻り、どのようにして爆撃機が生まれたかを見ていくぞ。
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軍用機基礎講義2「爆撃機」


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