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| さて、今回は黎明期〜第二次世界大戦までの水上機や艦上機、艦載機について講義しましょう。
| これらは、海上での使用に特化した軍用機。
| つまり、艦船に搭載できる特別仕様の戦闘機や爆撃機なんです。
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    | 船に飛行機を載せたんだな。
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         | 簡単に言うが、まさに苦難の道だった。
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| 時代は第一次世界大戦前、各国陸軍が航空機を自軍に取り入れ始めた時期。
| 海軍でも、この航空機を活用しようという試みがなされていましたが――
| とりあえず航空機を艦船に乗せ、発着艦ができるようにならなければ意味はありません。
| ところがこれ、実は技術的に物凄く難しいことだったんです。
| 航空機の離陸には当然ながらそれなりの滑走が必要だったんですが、艦上では滑走路を確保できません。
| そしていったん飛び立てたとしても、着艦は恐ろしいぐらいに技術が必要なんですよ。
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    | 着艦って、そんなに難しいの?
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         | 空から見れば、艦船なんて豆粒。
         | そんなところに的確に着艦するなんて、もはや神業だ。
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| それでも、大国の海軍は航空機を艦艇に搭載すべくひたすらに模索しました。
| 戦艦や巡洋艦から偵察機を飛び立たせる事が出来れば、視界が一気に広がりますからね。
| 1910年には、停泊中のアメリカ巡洋艦「バーミンガム」に取り付けられた滑走台からの発艦に成功します。
| しかし流石に着艦は不可能なので、近くの飛行場まで行って着陸していました。
| それでも翌年の1911年には、艦に取り付けられた特別甲板への着艦に成功します。
| さらに翌年の1912年には、イギリスも同様の実験に成功していますが――
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    | でもこれ、停泊中の軍艦に離着艦してるんだよな?
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         | ああ。港に停泊してる艦に離着艦したって、実際のところ実用性はない。
         | 戦争で使おうと思ったら、航行中の艦艇から離着艦できなければ役には立たないからな。
         | 結局のところ、第一次大戦終結までに実現させたのはイギリスと日本のみ。
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| 各国海軍がそんな努力をしている中、アメリカの民間にて新たな種類の航空機が登場します。
| 従来の飛行機は車輪で地面を走った後、そのまま離陸しましたが……
| 新型飛行機は下部にフロートという水に浮く器具を付け、水面をヨットのように滑走しました。
| この新型飛行機を「水上機」と言います。
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 ・水上機
  1910年、フランスのアンリ・ファーブルによって開発された新型航空機。
  車輪の代わりにフロートを搭載し、水上からの発進や着水が可能。
  当然ながら、陸上滑走路での運用は不可能である。
  またフロートは重いため、通常の航空機と比べて速度等の性能は格段に落ちる。

  参考写真(二式水上戦闘機)
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    | おお、バッチリ水上に浮いてるな。
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         | しかし、こんなもんブラ下げてたら飛行性能はガタ落ちという諸刃の剣。
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| この水上機を軍用の域まで高めたのが、アメリカのグレン・カーチス。
| 彼の開発した水上機は、戦艦「ペンシルバニア」までの飛行を達成します。
| アメリカ軍はその有効性を認め、世界で初めて水上機を導入した海軍となりました。
| こうして日本海軍やイギリス海軍も追随し、この新種の航空機を自軍に導入。
| 艦船で航空機を扱うという難問は当座のところクリアされることになります。
| しかし以後しばらく、アメリカではなぜか艦船上の航空機運用は滞っていましたがね。
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    | 当座のところ……って、どういう意味だ?
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         | 水上機ってのは余計なものをブラ下げてる分、通常の航空機より性能が格段に落ちる。
         | 第一次世界大戦末には、イギリスあたりはそれに満足できなくなってきたんだ。
         | そこで水上機を使わず、通常の飛行機の発着艦にこだわるんだが……
         | まあ、それは後の話だな。
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| アメリカやイギリスに追随して水上機を導入した日本海軍、そこで素晴らしい案が閃きました。
| 大型貨物船を改造し、この水上機を専門に取り扱う艦船が作れないだろうか?
| こうした発想を元に、日本やイギリスで水上機母艦というのが完成しました。
| 積み込んでいた水上機を、クレーンで着水させたあとに発進。
| 帰ってきたときは、近くの海面に着水したのをクレーン回収という方式ですね。
| この艦種は第一次世界大戦に投入され、その有効性を証明しています。
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水上機母艦「若宮」
 世界で初めて完成した航空機専門の母艦で、水上機4機が搭載可能。
 第一次世界大戦において青島に侵攻、かなりの活躍を見せる。
 1920年には「航空母艦」に類別されるが、1925年になると運送艦に。1931年に除籍。

水上機母艦「アークロイヤル」
 1914年に完成したイギリス海軍発の水上機母艦で、4機の水上機が運用可能。
 第一次世界大戦においてトルコの巡洋艦を爆撃、航空機運用艦の実力をしらしめる。
 なお水上機の艦上発艦を企てていたが、低速のため失敗している。
 1934年、「アークロイヤル」という同名の空母が登場したために「ペガサス」と改名。
 第二次世界大戦でも船団護衛任務を手掛けた、かなりの長寿艦。
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    | おお、艦船でも航空機が使えるということを実戦で証明したんだな。
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         | それも、オモリをぶら下げてるから性能に問題のある水上機を用いてのことだ。
         | イギリスはそれに不満で、艦上で普通の航空機が使えるよう努力を始める。
         | それが、後の航空母艦の登場に繋がるんだよ。
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| また第一次大戦の初期、イギリスは水上機に魚雷をブラ下げて投下するという荒技を試してみます。
| 水上機母艦「ペン・マイ・クリー」に搭載されたショート184水上偵察機が、ドイツの船舶を魚雷で撃沈!
| 味を占めたイギリスはこの航空機からの魚雷投下にはまり、専用の機体を開発していくことに。
| 日本やアメリカもそれに続き、それぞれ魚雷投下機を研究・開発し始めます。
| この魚雷攻撃専門の新種航空機は「雷撃機」と呼ばれ、第二次世界大戦において大活躍しました。
| 魚雷攻撃はなるべく接近した方がいいので、航空機からそれを行えるというのは大きな意義があるんです。
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 ・雷撃機
  魚雷攻撃任務に特化した航空機。
  第二次大戦において本格的に活躍し、ミサイルの登場後は一気に廃れてしまう。
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    | 海面スレスレを飛んで、魚雷を海面にストンと落とすわけだな。
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         | ただし魚雷ってのはかなり重く、ショート184の時も飛ぶだけで大変だった。
         | だから魚雷攻撃に特化する以上、色々な特殊改造が必要になるんだ。
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| そして、航空機が海上でも活躍を見せ付けた第一次世界大戦が終わります。
| 大戦では水上機母艦も活躍を見せ、この種の艦船+水上機の有効性は明らかだったんですが――
| 水上機はフロートをぶら下げているので、基礎能力が低いのがロイヤルネイビーは引っ掛かります。
| やはり、通常の車輪付きの航空機を艦船で扱いたい――って思いを捨てきれませんでした。
| こうして艦船に工夫を凝らし、イギリスにおいて航空母艦が完成します。
| ここら辺の経緯は、「イギリス水上機母艦」の講義で詳しいですね。
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航空母艦「フューリアス」
 建造がストップしていた大型巡洋艦「フューリアス」を、航空母艦に改造したもの。
 最初は艦前部に発着艦用甲板を設置したのみだったが、着艦試験で事故が続発。
 後部に着艦用甲板を設置したものの、それでも着艦試験は難航。発艦専用の艦として運用されることに。
 1922年には艦橋を丸ごと撤去し、完全な全通型飛行甲板の航空母艦となる。
 第二次世界大戦にも参加した、非常に寿命の長い艦。
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    | この頃は、空母に載せるのは普通の航空機だったのか?
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         | 空母登場当初は、そのつもりだった。
         | しかし航空機技術は目を見張る速度で発展し、大型化、重量化していく。
         | そうなると空母での離発着に問題が出始め、航空機の方もいじらなきゃいけなくなったんだよ。
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| 代行ギコ君の言った通り、時代は航空機の全金属化&大型化まっさかり。
| こうなってくると、一般の航空機をそのまま空母に乗せるのは難しくなってきます。
| そこで空母に乗せる航空機には、専用の改造が必要になってくることに。
| こうして空母離発着用に性能が調整された航空機を、「艦上機」と呼ぶようになります。
| サイズ制限や翼の大きさ、重さなどが制限される結果になってしまったんですね。
| それでも、フロートなんてのをぶら下げてる水上機よりは遙かにマシなんですが。
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 陸上機:陸上飛行場からの離着陸を想定した航空機。言わば、特に制限の無いフツーの飛行機。
 艦上機:航空母艦での運用を想定した航空機。様々な専用の機構が必要なため、制限が多い。
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    | やっぱ艦上機に制限が多いって事は、性能も下がってくるの?
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         | そりゃ、陸上機ほど自由に設計できないってことだからな。
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| さらにもう一つ。戦艦や巡洋艦にも、偵察用の航空機は必要ですね。
| そういう艦には離発着用の滑走路なんてないので、陸上機どころか艦上機も搭載不可能です。
| そこで仕方ないので、性能が落ちるのは覚悟の上で水上機を載せていました。
| こうした艦上機(空母用)ではないフネ用の航空機を、艦載機と一般的に呼称していますね。
| この艦載機のカテゴリーには、時に艦上機も含まれる場合があってややこしいです。
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 陸上機:陸上飛行場からの離着陸を想定した航空機。言わば、特に制限の無いフツーの飛行機。
 艦上機:航空母艦での運用を想定した航空機。様々な専用の機構が必要なため、制限が多い。
 艦載機:戦艦や巡洋艦などに載せられる水上機。
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    | 艦上機は空母専用、艦載機はその他の艦ってことか。
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         | そういうことだな。
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| ではここで、戦間期の日本艦上戦闘機を見ていきましょう。
| ちょうど中国で揉め始めた時期の連中なので、中国戦線に姿を見せていますね。
| 航空機の性能が抜本的に上がっていった時期でもあり、旧式化も早いです。
| なお、ここで紹介したのは全て複葉機であることに注意。
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 日本海軍の初期艦上戦闘機
 ・一〇式艦上戦闘機:日本初の空母「鳳翔」に合わせて開発された、イギリス人設計の艦上戦闘機。
              日本初の艦上戦闘機でもあり、着艦テストなどを繰り返し、艦上戦闘機の基礎を築く。
 ・三式艦上戦闘機一〇式艦戦の後継機で、イギリス艦上戦闘機ガンベットを基にした機体。
             上海事変において、日本海軍の戦闘機で初めて撃墜記録を達成している。
 ・九〇式艦上戦闘機:日本初の純国産艦上戦闘機で、日中戦争初期において主力を務めた。
 ・九五式艦上戦闘機九〇艦戦の後を継ぎ、日中戦争の序盤に投入された艦上戦闘機。
              間もなく九六式艦上戦闘機が完成したため、活躍期間は短かった。
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    | 知らないのばかりだな。
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         | こういう歩みがあったんだな……っていう参考程度で、暗記の必要は全くない。
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| しかし複葉機自体が旧式化していく昨今、いよいよ日本海軍も単葉艦上戦闘機の導入に踏み切ります。
| こうして1930年代半ばに完成した九六式艦上戦闘機は、今までの艦戦を凌駕する大傑作。
| 単葉で全金属製という近代志向、非常に満足な速度性能、それでいて運動性も抜群。
| 艦上戦闘機でありながら、陸上戦闘機と互角以上に戦うことの出来た傑作戦闘機でした。
| この九六艦戦の設計思想が受け継がれ、後の零戦に発展していくことになります。
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 ・九六式艦上戦闘機(A5M)
  日本初の全金属製戦闘機で、艦上戦闘機で初めて単葉を採用した機体。
  当初はエンジン開発に苦労したものの、問題が解決した後は抜群の空戦能力を誇った。
  日中戦争で大活躍した傑作戦闘機で、零戦の前進的存在である。

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    | 零戦の祖先みたいなものだな。
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         | 設計者は、零戦と同じ堀越技師だ。
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| そして1940年、いよいよ零式艦上戦闘機がデビューします。
| これは日本陸軍でも流行した軽戦闘機絶対思想の影響を受けた、究極の格闘戦機。
| 初期の活躍は圧倒的で、アメリカの戦闘機を大いに恐れさせたのですが……
| 中盤には軽戦闘機そのものの限界を見せ始め、その地位は失墜してしまいます。
| そして戦争末期はもうボロボロ、落とされるだけの存在と化してしまいました。
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 ・零式艦上戦闘機(A6M)
  1940年に採用された艦上戦闘機で、旧日本軍を代表する傑作機。
  九六式艦上戦闘機の後継で、脅威の運動性能と強力な20mm機銃を有する。
  太平洋戦争初期の戦闘では連合軍を圧倒するも、中盤にはその弱点を露呈。
  戦争後半には旧式化が明らかなものとなり、特攻の道を辿っていった。

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    | 序盤は無敵機、後半はカモ――これだけ凋落の激しい戦闘機もそうはないな。
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         | 零戦の悲劇は、後継機の開発に手間取り続けてしまったこと。
         | 明らかに力不足と分かっていながら、前線に投入しなければならない――
         | そこに問題があったんだ。
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| 次に、日本海軍の艦上爆撃機を見てみましょう。
| 日本海軍では急降下爆撃が出来る機を「爆撃機」、急降下爆撃が出来ない機を「攻撃機」としていました。
| 急降下爆撃ってのは以前にちょっと触れましたが、危険と引き換えに命中率を上げる爆撃方法です。
| 爆弾を艦船に叩き込んでも、正直なところダメージは少ないんですが……空母だけは例外。
| 艦上の滑走路が破壊されてしまうと、航空機の離発着が不可能になり、無力化しますからね。
| 艦上爆撃機ってのは、敵空母への攻撃が第一任務であったという色彩が強いです。
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 日本海軍の艦上爆撃機
 ・九四式艦上爆撃機:急降下爆撃が可能な艦上機として採用された、最初の複葉艦上爆撃機。
              初期の中国戦線で活躍し、急降下爆撃の破壊力を印象づける。
 ・九六式艦上爆撃機九四艦爆の改良型だが、性能強化が激しかったので別物として扱われる。
              初期の中国戦線で活躍したが、次第に旧式化して前線を退いた。
 ・九九式艦上爆撃機:単葉を採用した近代機で、連合軍艦船を最も多く沈めた艦上爆撃機。
               初期は大活躍したが、旧式化も著しく「九九式棺桶」という有難くないアダ名を頂いた。
 ・彗星九九艦爆の後継。機体性能こそ優秀だったが、故障が多発し生産性も悪い問題機。
      何より、当時の日本にはこの機体を運用できる空母自体がほとんど残っていなかった。
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    | なんか、時が経つにつれてボロボロだな。
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         | なお急降下爆撃が可能なのが「爆撃機」、可能でないのが「攻撃機」っていう区分は、
         | 日本海軍独自のもので、決して世界に通じる概念ではない。
         | 一般的な「爆撃機」や「攻撃機」の区別と混同しないように。
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| 次に、日本海軍の艦上攻撃機。
| 機体が大きく、小回りに欠けるため急降下爆撃なんて荒技は不可能。
| しかし魚雷という便利な兵器を扱うことができ、また水平爆撃を行うことも可能です。
| この艦上戦闘機、艦上爆撃機、艦上攻撃機の三トリオが空母で肩を並べるというのが日本海軍の基本スタイル。
| 戦争後半には、艦上爆撃機と艦上攻撃機を統合しようという動きもありましたが――
| それが完全に実現する前に、戦争は終わってしまいました。
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 日本海軍の艦上攻撃機
 ・一三式艦上攻撃機:事実上、日本で初めての艦上攻撃機。
              後継機に駄作が続いたため、いつまでも引退できないという事態が続く。
 ・八九式艦上攻撃機一三式艦攻の後継だが、非常に故障の多かった問題機。
 ・九二式艦上攻撃機八九式艦攻の後継だが、性能には不満が多かった。
 ・九六式艦上攻撃機:堅実な艦上攻撃機だが、複葉そのものの旧式化が激しかった。
 ・九七式艦上攻撃機:単葉を採用した艦上攻撃機で、非常に近代的な傑作機。
               九九式艦爆とコンビを組み、初期は大活躍した。やはり中期以降はヤムチャ化。
 ・天山九七艦攻の後継。機体性能も優秀で、稼働率も同時期の航空機と比較して優れている。
      しかしパイロットの技量が低下しきった頃の登場なので、活躍は少ない。
 ・流星:艦上爆撃機と艦上攻撃機を統合しようとした万能攻撃機。
      しかし戦争末期の登場であり、なおかつ信頼性は低く、活躍の場はなかった。
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    | 見てて切なくなるな。
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         | ぜんぶ貧乏がいけないんじゃあ。
         | なお艦上偵察機「彩雲」については、また別の機会に。
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| では艦上機はここまでにして、戦艦や巡洋艦に搭載された偵察用の艦載機を見ていきましょう。
| 主戦場が太平洋の為、日本海軍は水上偵察機の開発に物凄く力を入れています。
| かなり切ない日本軍の航空機事情ですが、水上機の技術は世界でもトップレベルだったと言えますね。
| 一部の水上偵察機は爆撃すら可能な性能を持ち、水上機とは思えないほどの暴れっぷりを見せています。
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 日本海軍の水上偵察機
 ・九四式水上偵察機:1930年代最高傑作とも言える複葉偵察機で、世界的に見ても極めて優秀。
 ・九五式水上偵察機:日中戦争や太平洋戦争初期に活躍した複葉の水上偵察機。
              爆撃任務を行い、敵戦闘機を撃墜したこともあるという並外れた戦績を誇る。
 ・零式水上観察機:軽快で格闘能力も高く、爆撃能力まで持っている水上複葉機。
             空戦能力にも優れ、防空任務にまで活躍、敵機の撃墜記録も多い。
 ・零式水上偵察機:太平洋戦争全期にかけて活躍した、堅実で実用性の高い名偵察機。
 ・瑞雲:偵察だけでなく急降下爆撃も可能な水上機で、航空戦艦「伊勢」型などに搭載する予定だった。
      しかし開発が非常に遅れ、完成後も絶望的戦局で活躍は出来ずに終わる。
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    | メチャクチャ過ぎるだろ、日本の水上偵察機……
    | 戦闘機を撃墜って、いったいどうなってるんだ?
    | 偵察機が急降下爆撃って、何の冗談なんだ?
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         | トップレベルっていうか、この種の機体を熱心に開発してたのは日本海軍だけだったって気も……
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| 九五式水上偵察機が敵戦闘機を撃墜したという事例に、日本海軍はビビッと来ます。
| そして開発が始まったのは、フロート付きの戦闘機――すなわち水上戦闘機。
| 例えば離島を占領して、飛行場を作るまでに間が空く場合……もしくは、そもそも飛行場が作れない場合。
| 水上機は海面にプカプカと浮かせておく事が出来ますので、そういう場合に便利だったんですね。
| しかし戦局が劣勢になるにつれて、占領地そのものを失っていき……
| 本格的にモノになる水上戦闘機が完成した頃には、その存在意義はすでに消失していました。
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 日本海軍の水上戦闘機
 ・二式水上戦闘機零戦にフロート(浮き)を付けてみた機体。世界的に見ても、最高傑作の水上機と言える。
 ・強風:性能が極めて微妙な上、完成時は既に日本の水上基地など存在しなかった悲しい水上戦闘機。
      この機体を陸上用に改良し、局地戦闘機「紫電」が生まれる。
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    | すげぇ! 世界最高水準のものを完成させたのか……!
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         | 水上戦闘機開発にマジで取り組んでたのは、日本海軍だけだったとも言えるが……
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| そして、日本だけが実現していた技術……これらは、潜水艦に搭載する事を目的とした水上偵察機です。
| その中には、なんと偵察能力だけでなく爆撃機能を持ったのまでありました。
| 晴嵐は水上偵察機のカテゴリーには入ってませんが、潜水艦での運用という点を重視しここに並べておきます。
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 日本海軍の(潜水艦搭載型)水上偵察機
 ・九六式小型水上偵察機:潜水艦内に収納するため、12パーツに分解できる小型偵察機。
 ・零式小型水上偵察機:九六式小型水上偵察機の後継で、偵察のみならず爆撃能力を持つ。
                米本土奇襲攻撃を成し遂げた、世界唯一の軍用機として一部で有名。
 ・晴嵐:潜水空母「伊-400」に搭載するべく開発された水上攻撃機。折りたたみ機能を持ち、非常にコンパクト。
      「伊-400」のウルシー奇襲は終戦により中止された為、実戦を経験しなかった。
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    | すげぇ! こんな技術を持ってたのは日本だけなのか!!
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         | ってか、潜水艦搭載型航空機なんて、マジで実用化を目論んだのが日本だけだったって気も……
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| ではここで日本から離れ、戦争相手のアメリカに目を向けてみましょう。
| アメリカ海軍の艦上戦闘機は日本に比べ、派手な所こそ無いものの非常に堅実です。
| F4Uなどの例外はあるものの、結局のところ奇策に頼る必要が無かったって事ですね。
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 アメリカ海軍の艦上戦闘機
 ・F2A「バッファロー」:開戦時のアメリカ主力戦闘機だが、零戦にいいようにやられ太平洋から姿を消す。
              対ソ戦時のフィンランドにも供与され、こちらでは「救国の戦闘機」に。
 ・F4F「ワイルドキャット」:大戦初期のアメリカ海軍主力戦闘機だが、零戦の良いカモに。
                一撃離脱の対零戦戦術登場以後は、零戦と互角以上に戦えるようになる。
 ・F6F「ヘルキャット」:驚くほど堅実な設計の戦闘機で、F4Fの後継。制空権を零戦から奪い返していった。
 ・F4U「コルセア」:特徴的な主翼を持ち、F6Fに比べて冒険的な設計。
            F6FとF4Uは同時期の完成で、堅実なF6Fと冒険のF4Uというコンセプトで開発された。
 ・F8F「ベアキャット」:日本が投入してくるであろう零戦の後継機(烈風)に対抗して開発された格闘戦機キラー。
              しかし烈風は完成せず、F8Fもお役御免に。
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    | 地味な優良機か……
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         | 強いて言うなら、防弾性能が日本よりも圧倒的に高かった。
         | 少々被弾しても平気で戦い続けるアメリカ戦闘機は、日本側パイロットにとって脅威だったようだ。
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| 次に、アメリカ海軍の爆撃機と攻撃機。
| とにかく頑丈っていう性質は、これらの機体も例外じゃありません。
| 決してアメリカとて万能じゃなく、変な機体もいっぱいありますがね。
| それでもアメリカの技術力がふんだんに注がれ、その性能は高いです。
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 アメリカ海軍の艦上爆撃機
 ・SB2U「ビンディケーター」:1937年に配備が始まった、非常に近代的な急降下爆撃機。
 ・SBD「ドーントレス」:頑丈で扱いやすい急降下爆撃機で、最も多く日本の艦艇を葬った機体。
              ミッドウェイ海戦においては、日本空母4隻を沈めるという活躍を見せる。
 ・SB2C「ヘルダイバー」:ドーントレスの後継機として登場したが、幾多の欠陥がありパイロットに嫌われた。

 アメリカ海軍の艦上雷撃機
 ・TBD「デバステーター」:開戦時から既に旧式化していた艦上攻撃機。
                対日戦に投入されるもほとんど活躍できず、前線から引き上げられる。
 ・TBF「アベンジャー」:デバステーターの後継で、「大和」「武蔵」をはじめ、多くの日本軍艦を沈めた優良機。
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    | こいつらが、日本の艦船を散々に殺ったんだな……
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         | 数発被弾したくらいじゃビクともしない、頑丈な連中だ。
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| そして次に、アメリカの水上偵察機を列記しておきましょう。
| これらの機体がぱっとしないのは、アメリカやイギリスは水上偵察機を重視していなかったからです。
| この種の機体はかなり危なっかしく、帰還率もかなり低いんですね。
| 天候の変化にも弱く、海面が荒れていたら着水することができずにアウツ。とにかく脆いです。
| なので人員の損耗を抑えるため、海上の偵察は主に飛行艇を用いていました。
| 日米の考え方の違いは、こんなところにも出ていたりするんですね。
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 アメリカの水上偵察機
 ・SO3C「シーガル」:「世紀の駄作」「最も醜悪な飛行機」などと呼ばれた索敵機。
             太平洋戦争に参加することなく、前線から引き払われていった。
 ・OS2U「キングフィッシャー」:性能は高くないものの、堅実で使い勝手が良かった水上機。
                   太平洋戦争全般において、偵察や哨戒、救難に活躍する。
 ・SC「シーホーク」:なかなかの高性能機だが、登場が遅く活躍できなかった。
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    | 聞いた事ないのばっかりだな。
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         | 水上偵察機なんてのは、本来地味な任務の目立たない機体。
         | やけに注目を浴びる日本の水上偵察機が特別なんだよ。
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| 次に、イギリス海軍の航空機を見ていきましょう。
| イギリス空母の特徴として、戦闘機をあまり多く載せなかったことがあげられます。
| 1939年の時点で、全空母搭載機数約200機中、たった15機程度なんですね。
| イギリス海軍の艦上戦闘機は余り触れられない分野だけに、じっくり講義したいとこです。
| なんかもう、魑魅魍魎の世界ですしね……
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 イギリス海軍の艦上戦闘機
 ・フルマー:爆撃機バトルの戦闘機型で、性能が良いとは口が裂けても言えない。
        数の上では主力だったが、後継機が登場すると早々に退役。
 ・ファイアフライ:フルマーの後継として開発された艦上戦闘機。特別な問題もなく数多く生産されている。
 ・ロック:艦上爆撃機スクアの戦闘機型で、前方への武装を持たずコクピット後方に機銃搭載している。
      RAFきっての駄作機デファイアントの艦載機バージョンとも言え、完全に失敗作。
 ・シーファイア:戦闘機スピットファイアの艦載機バージョン。
 ・シータイフーン:戦闘機タイフーンの艦載機バージョン。
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         | ロイヤルネイビーを愚弄するな!!
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     | 俺、何も言ってねぇ!!
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| で、イギリス海軍の艦上雷撃機……斜め上の意味で伝説と化したソードフィッシュの存在は欠かせませんね。
| 40年代に入っても複葉機を使い続ける英国紳士の執念は理解できませんが、操縦席が吹きさらしってのも……
| これが実際に活躍できた欧州戦線は、もはや不気味の一言。
| ドイツ戦艦「ビスマルク」への致命傷、タラント夜襲、他にも武勇伝は盛り沢山。
| まさにロイヤルネイビーの不可解さを体現したような――アオッ!!
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 イギリス海軍の艦上爆撃機
 ・スキュア:本来は急降下爆撃機だが、なぜか戦闘機としても用いられた数奇な機体。

 イギリス海軍の艦上雷撃機
 ・ソードフィッシュ:イギリス3大珍兵器の1つであるが、駄作兵器と言い切れない辺りにイギリスの底知れなさが。
            恐ろしい事に、ロケット弾を装備したタイプまで存在する。無駄に最強な複葉機。
 ・アルバコア:ソードフィッシュの後継機として登場したが、またも複葉機。かつデファイアントと並ぶ駄作機。
         これを与えられたパイロット達が歌ったという「ソードフィッシュ戻ってきて」の歌が微妙に有名。
         結局、ソードフィッシュより先に退役してしまう。これもイギリスの業か。
 ・バラクーダ:アルバコアの後継だが、様々な問題がありパイロットに嫌われた。
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    | ああっ! 後ろギコ!!
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         | シャァァァァァァァァァァァッ!!!!!
         | ソードフィッシュは天候に強いし、操作性も素晴らしいのだよ!!
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| アメリカと同じく、イギリスも長距離水上偵察には飛行艇を用いていました。
| これらの水上機は、基本的に哨戒や救難任務に用いられていますね。
| ここで見てきたように、イギリスの艦上機・艦載機は特にぶっ飛んだモノが多いです。
| 機会があったら、代行ギコ君にイギリス機の講義でもやってもらいましょうかね……
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 イギリス海軍の水上偵察機
 ・ウォーラス:民間機を改造した地味な水上偵察機で、第二次世界大戦全般において活躍。
         厳密に言えば飛行艇なのだが、護衛空母などにも搭載されている。
 ・シーオッター:ウォーラスの後継で、やはり飛行艇形式を採用している。
 ・シーフォックス:イギリス巡洋艦に搭載された水上偵察機で、大戦前半に活躍。

 ドイツ海軍の水上偵察機
 ・Ar196A:ドイツ艦隊の目として活躍した、優秀な水上偵察機。
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    | この英国狂が講義か……
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         | フィッシュ&チップス、ウマー!!!! 蛇の目!!! 蛇の目!!! ハァーッ!!! ハァーッ!!!
         | /`ァ /ヽァ /ゝァ / \ァ、ロ、ロイヤルネイビー!!!!!
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| そういうわけで、第二次世界大戦終了までの艦載機はこんなものでしょうか。
| 以後はジェット化の波が、いよいよ艦上にまで押し寄せてくることになるんですが……
| それに従って機体の大型は免れず、艦上での航空機の扱いは難しくなっていきます。
| 次回は、一連の航空機基礎講義のシメとなる「戦後の軍用機」
| 第二次世界大戦の終了直後から、現代までの航空機事情を見ていきましょう。
| つーか、こんな油っこいモンをよく平気で食えますね……
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   |   つ(俎)  ガツガツ(゚Д゚,,) ガツガツ(゚∀゚,,)
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    | 全く同感だ。
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         | ハァーッ!!! ハァーッ!!! ロ、ロイヤルネイビー!!!!!
         | デファイアントー!!!!! ヴィクトリアー!!!! パンジャンドラムー!!!!
         | ユ、ユ、ユ、ユニオンジャックー!!!!! /`ァ /ヽァ /ゝァ / \ァ、女王陛下ニ敬礼ー!!!!!
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軍用機基礎講義4「戦後の軍用機」


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