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| さて、今回は水上戦闘機の話をしましょう。
| いろいろとお寒い日本軍の航空事情の中にあって、水上機は世界水準と比べても輝いている分野でした。
| 特に水上戦闘機に関しては、日本がまさにトップクラスだったとも言えるでしょう!!
| そんな二式水上戦闘機と、その後継である強風について講義します。
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    | 本当か! もう夢轍は聴かなくていいんだな!?
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         | 水上戦闘機を実用化したのは、世界でも日本軍だけなんだ。
         | 他国は、そんなイロモノに本気で取り組んだりしなかった……ゲフッ、ゲフッ!!
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| さて、水上機とは車輪の代わりにフロートを搭載し、海面に浮くことのできる航空機のことです。
| 水面をヨットのように滑走して発進できるので、専用の滑走路は不要なのがメリット。
| しかしフロートは物凄く重くてジャマ、これを付けていることによって機体性能は大幅に低下するほど。
| それゆえに水上機は、主として海上偵察機として用いられてきました。
| なぜ日本海軍は、そんな水上機を戦闘機として使おうとしたのか……それは、水上偵察機の活躍にあります。
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 ・水上機
  1910年、フランスのアンリ・ファーブルによって開発された新型航空機。
  車輪の代わりにフロートを搭載し、水上からの発進や着水が可能。
  当然ながら、陸上滑走路での運用は不可能である。
  またフロートは重いため、通常の航空機と比べて速度等の性能は格段に落ちる。
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    | で、次は水上偵察機の解説に遡っていくわけだな。
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         | そんな風に解説は遡り、その発端を追い……気付けばカンブリア紀の講義をしているわけだ。
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| あんまり遡っても限りがないので、詳しくは後の講義に任せましょう。
| とにかく日中戦争において、日本の水上偵察機は大いに活躍していました。
| 中には、九五式水上偵察機が空戦によって敵機を撃墜してしまったというケースまであったんですよ。
| これらの活躍の前に、日本海軍は「これは使える!」と思い立ちました。
| 水上機に空戦をやらせてみるという構想を、本格的に膨らませ始めたんですよ。
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    | 偵察用途の機体でさえ、それだけの空戦能力があるんだったら……
    | 最初から戦闘機として開発したら、かなり使える機体になるんじゃないか?
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         | そう思って、日本海軍も構想を進めたんだ。
         | ただし日中戦争の時の相手は、装備も良くない中国空軍だったことを忘れてはならない。
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| こうして開発が決定したのが、水上戦闘機という新機種でした。
| 日本海軍の勢力範囲内には、飛行場も造れないような小島や離島がいっぱいあったんです。
| 水上機は海面から離発着ができるので、飛行場などないところでも使用可能。
| そういう小島の防衛に、水上戦闘機は役立つのではないか――そんな目論見ですね。
| こうして1940年、日本海軍は、水上機ならオマカセの川西航空機に十五試水上戦闘機の開発を指示。
| その完成までは間があるため、既存の戦闘機を改造して場繋ぎにしようということになりました。
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    | 滑走路がいらない水上機は、色々と役立つもんな。
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         | 離島を占領して、飛行場を作るまでに間が空く場合など、使える局面は多いはず――
         | 計画時に海軍はそう認識しており、そして太平洋戦争序盤にはその通りになる。
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| 川西に命じた本格的な水上戦闘機、十五試水戦(後の強風)の解説は後に回しましょう。
| その完成までの繋ぎとして、海軍は中島に既存戦闘機の手っ取り早い水上機化を指示します。
| そこで目が付けられたのは、その性能も名高かった零式艦上戦闘機でした。
| この零戦一一型をベースに、フロートを付けたりなどの改修を行って水上戦闘機に改造したんです。
| こうして1941年12月8日――真珠湾攻撃と同じ日に初飛行をしたのが、二式水上戦闘機でした。
| 本格水上戦闘機登場までの繋ぎとして造られた二式水戦でしたが、その性能はかなりのものだったんです。
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 ・二式水上戦闘機(A6M2-N)
  零式艦上戦闘機にフロート(浮き)を付け、その他の改修を施した水上戦闘機。
  零戦の優れた性能を受け継ぎ、世界的に見ても最高傑作の水上機と言える。
  大戦序盤には活躍したが、中盤になると水上機としてのハンデは覆せず劣勢に。
  最終的には南方での基地自体を喪失し、本土に戻されてしまう。

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    | なんと! 意外なところから傑作機が登場したわけか。
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         | そして本命の十五試水戦(強風)の方は、なかなか開発が進まなくてなぁ……
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| その運動性能は零戦のものを受け継ぎ、強力な武装も零戦と同一。
| 水上機としては、極めて空戦能力の高い機体として完成したんです。
| 1942年4月から1943年3月まで総計327機が生産され、水上機としては極めて多いですね。
| これは水上戦闘機の世界最多生産記録であり、現在もその記録は破られていません。
| 他国も水上戦闘機を開発しようとしたことはあったんですが、どれも試作で終わりました。
| そもそも水上戦闘機を実用化した国は、世界でも日本だけだったんですよ。
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 二式水上戦闘機(A6M2-N)
 ・全長:10.24m  ・全幅:12.50m  ・全高:4.305m  ・全備重量:2,460kg
 ・最大速度:437km/h  ・航続距離:1,150km  ・乗員:1名
 ・エンジン:中島『栄』一二型 空冷星型14気筒(940hp)×1
 ・武装:九九式一号20mm機銃×2、九七式7.7mm機銃×2
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    | その最多生産記録って、威張れるもんなのか……?
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         | いくら運動性が高いといっても結局は水上機だから、フロートというハンデを抱えている。
         | ゆえにアメリカ戦闘機と戦うのは苦しいが、それでも撃墜記録が多々あるのも事実。
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| そんな二式水戦の生産は1942年4月に始まり、さっそく部隊が編制されることになります。
| 最初期に完成した二式水戦12機で部隊が編制され、先陣を切って前線のラバウル基地へ。
| そこからすぐに二式水戦部隊は、獲得したばかりで飛行場のないツラギ島へと本拠を移動。
| ガダルカナル島で建設中の飛行場を守るため、防空任務に就いたんです。
| その期間に、B-17爆撃機3機を撃墜するという活躍を示したんですよ。
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    | まだ、ガダルカナルが日本の勢力下にあった頃の話か……
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         | しかし1942年8月7日、アメリカが大軍をなしてガダルカナル島に上陸。
         | 現地の日本部隊を撃退し、制圧してしまう。そこから、泥沼の攻防戦が始まるわけだ。
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| 米軍がガダルカナル島に押し寄せた際には、二式水戦部隊も必死の勇戦を見せます。
| しかし圧倒的な数のアメリカ空母機の前に、全機が撃墜されてしまいました。
| それからもアッツ島やキスカ島、それに南方諸島――日本勢力下全域に二式水戦は送られています。
| 「迎撃機もいないような辺鄙な島を襲ったら、零戦モドキに追い回された!」という敵の証言もあるほど。
| ショートランド島やアル諸島に送られた二式水戦は、激戦区域ということで連日の迎撃戦を経験。
| F4Fやイギリス戦闘機のボーファイターを相手に、多数の撃墜と被撃墜を記録しています。
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    | まさに、身を削る攻防だったんだな。
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         | 何度も言うが、フロートを背負っての戦いはハンデが大きすぎた。
         | それでも、相応の敵を撃墜したのが凄いところだが。
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| またキスカ島などでは、空戦で失ったものよりも悪天候などで失った二式水戦の方が多いとか。
| アメリカ機と戦ったというよりも、自然と戦っていたみたいな感じですね。
| さらにアメリカ機の性能がアップしてくると、ますます二式水戦の戦いは苦しくなっていきます。
| 1943年あたりからは戦闘機として用いることも難しく、ほとんど偵察任務に就いていました。
| そして1943年3月に生産は終了され、この年の末にもなると前線の二式水戦は本土へと身を退き始めます。
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 キスカ島で自然と戦う二式水戦(結局は敗北し、使用不能に)
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    | まあ、零戦さえ劣勢になり始めた時期だからなぁ。
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         | アメリカ機との性能差が顕著になってきたのに加え、戦況そのものが不利になってきた。
         | 守るべき島も失われていき、水上戦闘機の必要性自体が低下してきたんだ。
         | 生産中止は、まあ当然の成り行きだろうな。
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| こうして日本本土に戻って、やることもないので迎撃の任務に就いた二式水戦でしたが……
| B-29の高々度爆撃機の前に、ゲタ履き(水上機)ではどうしようもありませんでした。
| ほとんど何も出来ないままに終戦を迎え、残存した二式水戦は廃棄されてしまったんです。
| なんとも地味な最期ですが、その性質上派手な活躍の機会はない機体。
| 飛行場もないような島で、迎撃に専念することを宿命付けられた機体が二式水上戦闘機なんですよ。
| その地味さに深い感動を覚える愛好家も多い機体ですが、現存機は一機も残っておりません。
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    | その生き方にはどこか萌えるな。
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         | なお当時の米軍は、零戦の水上機型ということで「零式一号水上戦闘機」と呼んでいた。
         | それが元になって、全く別の機体である零式水上偵察機と混同した資料がちょくちょくある。
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| さて、川西の製作していた十五試水戦(強風)ですが――こちらは、とにかく開発に手間取っていました。
| そもそも海軍が提示した要求水準が非常に高く、とにかく実用化に一苦労。
| フロートをぶら下げた水上機なのに、
零戦と同格の運動性を実現しなければならなかったんです。
| その為に、強風は幾つもの新機軸を取り入れています。空戦フラップに層流翼など――
| これら様々な新機軸を引っさげ、強風の採用が決定したのは1943年12月。
| その頃には守るべき島などほとんどなく、生まれた頃から戦いの場を喪失していたんです。
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 ・水上戦闘機「強風」(N1K1)
  1943年12月に採用されたが、その頃にはすでに活躍の場が失われていた水上戦闘機。
  性能も二式水上戦闘機と比べてさほど高くなく、その活躍はほとんどなかった。
  この機体を改良して局地戦闘機「紫電」/「紫電改」が生まれており、むしろその前身として名を残す。

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    | やっと完成した頃には、水上戦闘機どころじゃなかったんだな。
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         | そんな強風の性能だが、先発の二式水戦と比べても微妙だった。
         | 運動性は二式水戦が上回り、速度も少しばかり上回っている程度。
         | 整備性など実用面でも問題が多く、お世辞にも良い戦闘機とは言えなかったんだ。
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| こうして100機ほど生産された強風でしたが、インドネシアのアンボン島やマレーのペナン島に送られた程度。
| 二式水戦さえ前線から引き返していた時期、ほとんど性能も変わらない強風は微妙な存在だったんです。
| アンボンでは第九三四航空隊が、強風を用いてB-24を撃墜したくらい――これが外地での活躍。
| そのまま強風は前線から退き、日本という大事な島を防衛するため、佐世保や大津に配備されます。
| ここら辺の成り行きは、二式水戦とほぼ同じですね。
| 守るべき島を喪失した以上、本土で防空任務を担当させるしかなかったんです。
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 水上戦闘機「強風」(一一型)
 ・全長:10.58m  ・全幅:12.00m  ・全高:4.750m  ・全備重量:3,500kg
 ・最大速度:488.9km/h  ・航続距離:1.060km  ・乗員:1名
 ・エンジン:三菱『火星』一三型 空冷星型14気筒(1,460hp)×1
 ・武装:九九式二号三型20mm機銃×2、九七式三型改二7.7mm機銃×2
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    | 登場のタイミングが、完全にズレちゃったんだな。
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         | 結局のところ、繋ぎとして応急的に造られた二式水上戦闘機の方が活躍。
         | 本命だった強風の方はまるで活躍できないという逆転現象が起きてしまったんだ。
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| 1945年2月16日、強風は本土に飛来したF6Fにダメージを与えて撃破しています。
| この記録が、強風が記録した唯一の対戦闘機における戦果。
| これは特殊な例で、PBY「カタリナ」に挑んで返り討ちに遭うなど、数少ない戦闘でも強風はひたすら劣勢。
| 活躍は皆無同然のまま、終戦を迎えることとなってしまいます。
| とは言え、強風は決して無駄な存在だったというわけではありません。
| この機を陸上機として改良し、紫電、そして紫電改という傑作機が生まれることになるのですから――
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    | 別の傑作機の母体になったから、少しは報われるかな。
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         | ゲタ履きに「零戦並みの運動性能を持たせろ」という無茶な要求を実現するため、
         | 強風には斬新な機構が幾つも取り入れられていた。
         | そう言う意味で、発展の余地はまだまだあったんだ。
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| そういうわけで、繰り返すように水上戦闘機を実用化したのは日本だけです。
| アメリカやイギリスでも構想はあったのですが、試作段階で放棄されてしまいました。
| それは技術の問題ではなく、あまり役には立たないと判断したからに過ぎません。
| アメリカは恐ろしいまでの基地建設能力があるので、飛行場なんぞ一瞬で造ってしまいますから――
| そういうわけで、水上戦闘機は日本海軍でのみ存在価値を発揮する特殊な機体だと言えるでしょう。
| それも活躍したのは序盤の優勢期だけで、それ以降は力を振るうことはできませんでした。
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    | うぬぅ……諸外国は造れなかったのではなく、造らなかったのか。
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         | 二式水戦も活躍したように見えるが、自身の被害もかなり大きかった。
         | 普通の戦闘機とまともに戦えないというのは、当然のように分かっていたことだ。
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| そもそも、日中戦争という限られた条件での戦訓を間違った方向に発展させてしまったとも言えます。
| 水上偵察機の活躍は、中国空軍相手の、特殊な条件だったからこそ得られた戦訓――
| それを一般化してしまったのが、そもそもの大きな過ち。
| 実際のところ、水上戦闘機がアメリカに通用したのは戦争序盤のみ――という結果が、それを証明しています。
| 意外な活躍は残したものの、大きい目で見れば失敗作だった――そう言えるでしょうね。
| そういうわけで、水上戦闘機の講義を終わります。
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    | リソースの振り分け方を誤った……そういうことか。
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         | 水上戦闘機は結局のところ、企画倒れに終わったというのが正解だろうな。
         | 少なくとも、振り分けたコスト以上の効果を取り戻すことはできなかった。
         | 他国は手を付けなかったが、手を付けないなりの理由があったんだよ。
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