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| さて…… 今回は、いよいよ「大和」型戦艦の講義をしましょうか。
| 軍事に全く興味はない人でも、戦艦「大和」の名前は知っているはず。
| まさに、現代の日本人にとって旧海軍の象徴と言えますね。
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「金剛」型：「金剛」（1913年8月16日完成）、「比叡」（1914年8月4日完成）
「榛名」（1915年4月19日完成）、「霧島」（1915年4月19日完成）
「扶桑」型：「扶桑」（1915年11月8日完成）、「山城」（1917年3月31日完成）
「伊勢」型：「伊勢」（1917年12月15日完成）、「日向」（1918年4月30日完成）
「長門」型：「長門」（1920年11月15日完成）、「陸奥」（1921年10月24日完成）
「大和」型：「大和」（1941年12月16日完成）、「武蔵」（1942年8月5日完成）
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｜ 日本軍艦で、最も売れてるプラモは「大和」らしいな。
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| 世界各国でも、熱狂的なファン層がいる戦艦だ。
| ドイツとかでは「長門」の方が人気あるって聞くけどな……
| とあるドイツ人が言うには、「長門」は美しいが「大和」は醜悪だとか。
| まあ、ドイツ人の感覚からすれば分からんでもない。
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| 上の板書を見れば分かるとおり、「大和」型戦艦と他の10隻の戦艦の完成時期には大きなブランクがあります。
| 1922年、高騰する軍事費を抑えるため（＋様々な思惑）に大国が海軍軍縮条約を結んだんですね。
| それにより、新戦艦が現れない時期が十数年続き…… そして1934年、ワシントン条約は失効。
| 各国は、一斉に新戦艦の建造に乗り出しました。無論、日本もその例外ではありません。
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・ワシントン条約（1921年11月11日〜1922年2月6日）
アメリカのワシントンで行われた海軍軍縮条約。
この条約の存在が与えた影響は非常に大きい。
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｜ 大艦巨砲主義が……
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| 別に日本海軍だけが大艦巨砲主義に狂ってた訳じゃなく、一応は戦略あっての事だった。
| 戦艦が主力で空母が補助ってのは、まだ世界の常識だったしな。
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| この時期の日本海軍の対米戦略は、いわゆる漸減作戦というもの。
| 量で明らかに劣るアメリカ海軍を打ち破る為の切り札、艦隊決戦の亜種ですね。
| その漸減作戦の3の部分を実行すべく、強力な戦艦の開発に取り掛かります。
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１．アメリカ艦隊が攻めてきた！ いよいよ決戦だ！！
２．潜水艦や航空機などの補助的手段で、アメリカの艦を減らせるだけ減らす（漸減）。
３．敵艦隊が弱ってきたところに、日本の主力部隊（戦艦）が突撃！
日本の戦艦は少数だが非常に強力なので、２の時点で弱っているアメリカ艦隊を一網打尽！
４．大日本帝国万歳！！
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｜ こんなに上手くいくもんなの？
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| 漸減作戦に関しちゃ、また別の講義で。
| 既存の戦艦に他国以上の改修を施したのも、この作戦の存在が大きいな。
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| この艦は、4隻造られるはずだったんですが…… うち2隻の完成を目前にして、対米開戦。
| 完成寸前である2隻の工事は続行し、あとの2隻はとりあえず工事中止にする事となります。
| そして、開戦から8日後――12月16日に完成した戦艦を「大和」。
| 翌年の8月5日に完成した戦艦を「武蔵」と名付けました。
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「大和」型、残りの2隻は？
・3番艦「信濃」：ミッドウェイ海戦による空母不足で、航空母艦に改造。
・4番艦名称未定（「尾張」説と「紀伊」説あり）：そのまま解体。
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｜ 後出しジャンケンの発想だけど… 真珠湾攻撃で空母の有効性が実証された時点で、
｜ 「大和」と「武蔵」を空母として改造できなかったのか？
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| 2隻とも完成直前だったから、この段階で空母に改造するより新空母をゼロから造った方が早い。
| むしろ、3番艦と4番艦をとっとと工事中止にした判断力は褒められるべきとこだ。
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| まあ、「大和」型建造を叩く人は現代でも多いですが……
| どうも、「日本海軍は大艦巨砲主義に狂って世の中の流れが分からなかった」とか、
| 「航空機全盛の時代に戦艦造るなんて……」とか、どうも事実錯誤の上に批判してる人もちらほら。
| 「大和」型は戦艦全盛期に建造が開始され、「大和」完成とほぼ同時期に戦艦の時代が終わったんです。
| そして「漸減作戦」が生きてる限りは、「大和」型の建造は必然。
| 「漸減作戦」自体を問題にするならともかく、結果論だけで「大和」を批判するのは感心できませんね。
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｜ 何かを批判するには、対象への正しい理解が必要。
｜ 「大和」型への批判に関しては、その前提が間違っちゃってる事が多いんだな。
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| 当時から「大和」建造に批判的だったのは、山本五十六とか、源田実とか……
| この2人は航空主兵論が高じて、アンチ戦艦の域まで足を踏み入れてるけど。
| でも山本五十六は、完成した「大和」を見て大はしゃぎしてたりするけどな。
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| こうして完成した「大和」型戦艦は最強の戦艦であり、そして最強の戦艦でしかありません。
| 戦艦主砲としては最大の46cm3連装砲3基を備え、化け物じみた防御力とそれなりの速力。
| 世界のどこにも、ガチで戦って「大和」を上回る戦艦は存在しません。
| それ程の性能を誇った化け物で……そして、それだけでしかなかった悲し過ぎる戦艦です。
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・「大和」型戦艦
日本海軍が完成させた最後の戦艦で、排水量も世界最大。
46cm3連装砲3基という比類ない攻撃力を備え、同等の砲撃に耐え切れるほどの防御力を備えている。
速力が非常に中途半端で、これも活躍できなかった一因ではあった。
1番艦は「大和」、2番艦は「武蔵」。
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｜ 悲しい話だな。
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| ああ、悲しい話だ。
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| この「大和」型はとにかく馬鹿デカいというイメージがありますが……
| その絶大な性能を考えると、むしろコンパクトにまとまってる方なんですよ。
| その秘訣は、ヴァイタルパート（主要防御区画：やられるとマズい場所）をなるべく一箇所に寄せたこと。
| 守るべき場所を縮めた上で、重点的に装甲防御を施したんです。
| これは集中防御方式と呼ばれており、「大和」型の場合は46cm砲の攻撃に耐える事が可能でした。
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「大和」型戦艦
・全長：263.0m ・全幅：38.9m ・吃水：10.40m ・基準排水量：64,000ｔ ・乗員：2,500名
・最大出力：150,000hp ・最大速度：27.0kt ・航続距離：7,200浬/16kt
・武装：45口径46cm3連装砲3基、60口径15.5cm3連装砲4基、40口径12.7cm連装高角砲6基、
25mm3連装機銃8基、水上偵察機7機
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｜ 小さいの？ アレで！？
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| ヘタな技術で「大和」型と同等の性能を実現しようとしたら、もっとデカくなっちまう。
| むしろ「大和」型は、芸術的なまでにコンパクトなんだよ。
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| この集中防御方式の欠点は、非防御区画も存在してしまうこと。
| ここをやられても致命的なダメージにはならないのですが、そこからの浸水でジワジワ沈んでいくという事も……
| 通常の防御方式と集中防御方式は、一長一短があってどちらが優れているかは断言できませんね。
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・「大和」建造中
・「大和」公試中
・「大和」公試中
・「大和」 in シブヤン
・「武蔵」
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｜ 胴体や頭部は徹底的に鎧でガードしても、腕や足の傷から失血死するかも……ってことか。
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| 水中防御に関しても、一長一短だな。
| 魚雷からの防御に関しては、それなりの問題があったのもまた事実。
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| 副砲部分から真下の火薬庫に至るまでの、薄い装甲が弱点として妙に有名ですが……
| あんな所、どんな戦艦だって食らったらアウトですし、そもそも食らい易いような場所でもないはず。
| 他の装甲防御が凄まじい分、あそこが凄まじい弱点に見えてしまうんですね。
| あれで弱点って言ったら、世界各国の戦艦は弱点だけで出来ているようなもの。
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｜ 普段100点取ってるヤツが、80点取ったみたいなもんか。
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| 余談だが、「大和」型の副砲は「最上」型軽巡時代の主砲をリサイクルしたものだ。
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| そして「大和」型の主砲は、九四式四〇センチ砲塔。これは戦艦主砲としては世界最大の46cm砲です。
| 最大で42km先まで届き、計算上はあらゆる戦艦を10発程度で戦闘不能に追い込む破壊力。
| まあ実際の話、42km先に届くってだけで当たりはしませんけど。
| 日本海軍が想定していた砲戦距離は20kmであり、その距離から敵をシバくための戦艦です。
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｜ 46cm砲なのに、九四式四〇センチ砲……？
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| 機密保持のためだ。
| 現に米軍も、しばらくの間は「大和」に46cm砲が搭載されている事など知らなかった。
| なおセンチって単位は、当時の海軍では『糎（サンチ）』と呼ばれていたぞ。
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| この「大和」型戦艦は極秘とされ、建造開始時から機密保持を徹底。
| そのお陰で、存在そのものは流石に内外にバレてるものの、その性能は終戦まで知られてませんでした。
| 「大和」の主砲は乗組員にまで40cmと説明されていて、「それにしちゃデカくない？」と思われてたとか。
| さらに国会への予算請求名目は35,000トン級戦艦4隻、不足分は駆逐艦3隻＋潜水艦1隻で架空要求。
| 国会をダマして、建造費ふんだくったんですよね。
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｜ そこまで隠したかったのか……
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| でも、当時のジェーン海軍年鑑（各国軍艦の解説書）に存在がスッパ抜かれてなぁ……
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| この「大和」型戦艦の完成で、日本はアメリカを5年リードできると考えていました。
| アメリカの戦艦は、横幅33mのパナマ運河が通れなければならないという制限があるんです。
| つまり横幅33mを超える戦艦はパナマ運河が通れないので、太平洋と大西洋を行き来できない……
| 艦のサイズを横幅33mに制限すると、搭載する主砲や装甲の厚さも制限を受けるんです。
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｜ アメリカ戦艦は、そんな制限を受けていたのか…
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| だが、アメリカも最後には横幅37mもある「モンタナ」級っていう戦艦を造ろうとした。
| 日本の弱体化によって、結局は建造中止になったがな。
| これも運河の通行を諦めた訳じゃなく、パナマ運河を拡張する予定だったそうだ。
| ……こんなムチャクチャなこと考える相手にどうやって勝てと？
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| さて、戦歴ですが…… 真珠湾攻撃の時はまだ完成していないので、当然ながら参加していません。
| そして完成直後、「大和」は当然のごとく連合艦隊旗艦となります。
| しかし、そんな「大和」と「武蔵」を待ち受けていたのは、活躍のない停泊の日々。
| 戦場に出ても前線には出れず…… いかに戦艦の地位が失墜したとはいえ、使い道はあったはず。
| 燃料不足や速度の中途半端さもありますが、一番の問題は日本海軍の出し惜しみ体質ですね。
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「大和」と「武蔵」は冷暖房完備で料理も豪華、居住性が極めて良かった。
停泊地から動かず戦局に貢献しない事から、「大和ホテル」、「武蔵旅館」と呼ばれ嘲笑される。
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｜ 延々とホテル化か……
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| なにせ、「大和」型は切り札だからな。
| チャチな海戦で出撃させて沈みでもしたら、シャレじゃ済まない。
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| ミッドウェー海戦で「大和」は後方にいたものの、空母機動部隊壊滅の報を受けて撤退。
| そして1943年2月12日には、「大和」は連合艦隊旗艦の任を「武蔵」に譲ります。
| 後に完成していた「武蔵」の方が、旗艦としての設備が充実していたんですね。
| 1943年12月25日、日本海軍の基地であったトラック島の近くで「大和」は敵潜水艦に襲われます。
| 潜水艦「スケート」の魚雷1発が右舷に命中し、「大和」は浸水を起こしてしまいました。
| 水中防御が存外にモロいという欠点があらわになったんですよ。
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｜ なんと。
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| いちおうの対策工事は行われたが、そもそもは設計上の問題。
| 根本的な問題解消は不可能だった。
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| マリアナ沖海戦では「大和」、「武蔵」ともに空母護衛の役割で参加しましたが、結果は散々な敗北でした。
| 両艦ともに活躍はなく、「大和」は味方機を敵と誤認するというミスを犯したくらいで終わります。
| いよいよ迫り来る敗北の足音…… そんな情勢の中で、とうとうアメリカの上陸部隊がフィリピンに到来。
| これを対し、日本海軍は残る力を全部ぶつけてでも上陸を阻止する事に。
| ここで発動した「捷一号作戦」とは、連合艦隊をすり潰す覚悟で練られた上陸阻止作戦。
| 「大和」と「武蔵」は、殴り込み部隊のメインとして栗田部隊にいました。
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「捷一号作戦」
１．小澤機動部隊が囮になり、敵空母部隊を輸送船団から引き離して北へ引き寄せる。
２．敵空母部隊がいなくなったレイテ湾に、栗田艦隊が突入。敵護衛艦隊と殴り合う。
３．栗田艦隊と敵護衛艦隊が争っている隙に、西村艦隊と志摩艦隊が輸送船団を撃滅。
栗田艦隊（栗田健男中将）
戦艦「大和」、「武蔵」、「長門」、「金剛」、「榛名」
重巡洋艦「愛宕」、「高雄」、「摩耶」、「鳥海」、「妙高」、「羽黒」、「熊野」、「鈴谷」、「利根」、「筑摩」
軽巡洋艦「矢矧」、「能代」
駆逐艦「早霜」、「秋霜」、「長波」、「朝霜」、「岸波」、「沖波」、「島風」、「浜波」、「藤波」、「浦風」、「磯風」、
「浜風」、「雪風」、「清霜」、「野分」
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｜ 戦艦オールスターズのレイテ湾殴り込みだな！！
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| ガタイばっかり良くて使い道の無い連中をまとめてブチ込んだだけとも言うが……
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| しかしレイテ湾に向かう途中の10月23日、栗田艦隊は、アメリカ潜水艦2隻の襲撃を受けました。
| たちまち重巡洋艦2隻が沈められ、1隻が戦闘不能という有様。
| さらにアメリカ潜水艦は栗田艦隊の位置をアメリカ空母部隊に通報し、凄まじい数の航空機が到来。
| まずは「大和」が主砲から対空用の三式弾を発砲。「武蔵」や他の戦艦もそれに続きます。
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・レイテ湾に向かう栗田艦隊
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｜ 見付かるの早過ぎだよな……
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| 悲しい話だ。
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| 「大和」、「武蔵」を狙った爆弾…… 「大和」は回避に成功しましたが、「武蔵」は避けられませんでした。
| 被害は軽微であるものの、そんな「武蔵」に雷撃機3機が突っ込んできます。
| 3発の魚雷のうち1発が命中、「武蔵」の主砲は故障して旋回不能となってしまいました。
| この一連の攻撃は15分で終わりましたが…… 1時間半後、第二次攻撃隊が飛来してきます。
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｜ また来やがった……
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| この第二次攻撃隊に対して「武蔵」は主砲を発射したんだが……
| その際の衝撃波で、自艦の機銃手の多くが吹っ飛んでしまうという事故が起きたんだ。
| 主砲発射の事前ブザーが鳴らなかったんだよ。
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| 「大和」はなんとか攻撃を避けるものの、「武蔵」は猛烈な攻撃を受けました。
| 命中した爆弾2発のうち1発が中央部に当たり、機関に損傷が出ます。
| 当然ながら速力が落ち、艦隊から落伍していくことに……
| そして乗員がおにぎりを食べた後の13時30分、第三次攻撃隊が襲来します。
| 敵攻撃機は落伍しかけていた「武蔵」に攻撃を集中、爆弾4発と魚雷5本を食らってしまいました。
| なおこの時、「大和」も1発の爆弾を受けましたが大きい被害ではありません。
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｜ なんで、「武蔵」ばっかり…
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| 戦艦「武蔵」は、栗田艦隊への攻撃を全てその身で受けるつもりでいたって説があるな。
| 出撃前に船体を白に近いグレーに塗り替え、上空からでも凄く目立ったとか……
| この出撃前の塗り替えは、「まるで死に装束のようだ」と言われている。
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| 当然ながら「武蔵」はボロボロ、艦隊に付いていく事すらできません。
| 栗田中将が「武蔵」を護衛艦と共に台湾方面へ逃がそうかと考えていたその頃……
| 第四次攻撃隊が、少数ながら襲来してきました。
| このグループは「武蔵」を無視し、「大和」と「長門」に攻撃を開始。
| こうして「大和」は1発の爆弾を受けてしまいましたが、これも損傷は軽微でした。
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・攻撃を受ける「武蔵」
・攻撃を受ける「武蔵」
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｜ 「大和」は、数発しか食らってないんだよな。
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| でも、「武蔵」はもう……
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| そして14時59分…… これまでで最大規模の第五次攻撃隊が栗田艦隊を襲いました。
| 「武蔵」はその崩れかけた身を盾とし、この際の攻撃の大半を受けたようなもの。
| 命中魚雷も命中爆弾も10発以上、当然ながらコントロールもきかなくなって漂流状態に。
| アメリカの攻撃は収まり、栗田艦隊は余りの被害に愕然としながらいったんは撤退します。
| こうして、シブヤン海海戦は終わりを告げました。
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｜ ああ、「武蔵」……
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| 「武蔵」の甲板にはバラバラになった乗員の遺体が散らばり……
| 床は血でぬめって滑る、まさに地獄絵図だな。
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| そして航行不能に陥った「武蔵」は、シブヤン海で漂流状態に。
| 17時15分に退艦命令。艦長の猪口敏平大佐は、艦橋休憩室に閉じこもって鍵を掛けてしまいます。
| 艦は一気に傾き、そして何度も巻き起こる大爆発。
| こうして19時35分、戦艦「武蔵」は暗い海中に姿を消してしまいました。
| 当初の覚悟通り、艦隊に向けられた攻撃のほとんどをその身で受け……
| その結果力尽きるという、何とも武人らしい最期でした。
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・沈む寸前の「武蔵」
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｜ まさに、戦艦にしか出来ない役割だったな。
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| 「武蔵」の沈没地点海中に、現在その姿は無い。
| どうも海流に乗って、どこかに流されちまったみたいなんだ。
| こうして、「武蔵」は現在でも行方不明なんだよ。
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| なお、「武蔵」からの生還者約1300人は……
| そのほとんどが陸地の最前線に投入され、無駄に戦死しました。
| 艦を失いながらおめおめ戻ってくる敗兵なんぞ、こんな処遇で充分だ、てね♪
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｜ お馴染みの懲罰人事… ヘドが出るぜ。
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| 日本の海軍軍人が艦と運命を共にしたがったのも、こういう体質が多少は影響していた。
| どうせ生きて帰っても、艦には乗せてもらえず最前線に送られるのが関の山…ってな。
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| さて、「武蔵」の犠牲によってシブヤン海海戦を切り抜けた栗田艦隊。
| フィリピンに向かう途中のサマール沖にて、敵護衛空母部隊と突発的に遭遇してしまいました。
| 「全軍突撃セヨ！」の命令とともに、「大和」を初めとした戦艦部隊は一斉に発砲。
| しかし敵空母はスコールに逃げ込み、そして敵駆逐艦「ジョンストン」が反撃してきます。
| 「大和」を初めとした戦艦数隻が「ジョンストン」に攻撃を集中、一瞬で戦闘不能に。
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｜ 美味しい空母狩りだな！
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| 「大和」の生涯で、対艦戦闘はこの時だけだ。
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| そんな中、味方空母の危機を救うべくアメリカ駆逐艦や航空機が栗田艦隊に攻撃を開始。
| 「大和」は「長門」の後に付き従い、アメリカ軽空母を追跡――しようとしたところ、ここで珍事が発生。
| 背後から魚雷を撃たれたんですが、そのうちの右4本・左2本に両脇を挟まれるカタチになったんですよね。
| さらに魚雷と艦のスピードが全く同じでしたから、左右の魚雷とひたすら並走していく事になったんです。
| 左右に曲がれば魚雷と接触するし、スピードも急には落とせないし……
| こうして「大和」と「長門」の二隻は、魚雷と一緒に水平線の彼方まで走っていきました。
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魚雷
→
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長門 大和
→
魚雷
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｜ な、なんてこった……
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| そういう訳で、この2艦は10分の時間をロスしてしまう。
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| 主戦域に戻ってきた「大和」が目にしたのは、敵駆逐艦、航空機、逃げ遅れた空母が織り成す大乱戦。
| そんな状況で、「大和」は護衛空母「カリニン・ベイ」に46cm主砲弾をブチ込んだんですが……
| 主砲の威力が強力過ぎ、敵空母が柔らかすぎたために砲弾が爆発せず貫通してしまうという珍事が発生。
| さらにこの乱戦の中で、「大和」は重巡洋艦「鳥海」を誤射してしまったという疑惑が……
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｜ なんか珍事だらけだな。ってか、「大和」の誤射疑惑！？
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| あくまで疑惑だがな。
| なお「鳥海」は砲弾で大ダメージを受けたところに爆弾を食らい、トドメを刺されている。
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| 余りにも戦域が拡大、おまけに敵の救援部隊が到来する可能性もあるため、戦闘を切り上げ。
| そして体勢を立て直し、なおもレイテ湾に急ぐ栗田艦隊……
| しかし湾内突入を目前にしてクルリと反転、引き返してしまうのは以前の講義の通り。
| こうしてレイテ沖海戦は終わり、栗田艦隊は内地へと航路を取り帰還していきました。
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｜ この帰り道、「金剛」が殺られるんだったな……
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| 泣けてくる話だ。
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| そして戦況は末期的な状態になり、いよいよ米軍は沖縄に襲来。
| ここで海軍は、航空機ばかりでなく軍艦による特攻も行います。それが、「菊水一号作戦」。
| 戦艦「大和」を沖縄に突っ込ませ、そのまま陸地に乗り上げて固定砲台化。
| 全弾を撃ち尽くした後は、「大和」乗員全員が歩兵と化して敵陣へバンザイ突撃を掛けるという作戦……
| ……ってか、こんなのもはや作戦じゃないんですがね。
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｜ ムチャクチャだ……
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| 何より、制海権も制空権もアメリカのものだから、沖縄に辿り着く前に沈められるのは確実。
| そんなの、関係者全員が分かってたんだ。
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| 軍事的には全く意味のない作戦であり、第2艦隊司令長官の伊藤整一中将は大反対します。
| ですが、参謀長の「1億総特攻の魁となってもらいたい」という言葉により承諾。
| そして作戦内容を聞いた「大和」や他の艦の艦長達は、やはり烈火のごとく怒りました。
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「我々は陛下から艦と赤子を預かっている。しかも、これは日本に残された最後の艦隊だ。
そんな意味の無い無駄死にの作戦なんぞ承服できるか！
そんなに死にたければ、まず連合艦隊司令部が日吉台の穴から出て来い！！」
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｜ その怒りはもっともだな。
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| これが、帝国海軍軍人が作戦命令を拒否した唯一の事例と言われている。
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| しかし、伊藤中将は「我々は死に場所を与えられたのだ」と説得します。
| 伊藤中将自身が「大和」特攻に反対でしたが、それをおくびにも出さず部下に納得させるのが彼の仕事。
| こうして、この意味のない作戦が実行に移されます。
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｜ 伊藤中将…… 軍人って、大変なんだな。
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| この時期は、「航空部隊は次々に特攻してるのに、海上部隊は何してるんだ！？」って声が
| 軍部のあちこちから聞こえてたんだよ。
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| もう海軍上層部は、「大和」を沈める事が目的だったんですよ。
| 国の危機に主力艦の「大和」が健在だったら、「海軍は何をしていた！」と言われ責任を問われますからね。
| いわば、役人のアリバイ作り。この辺のところは、某参謀が後に自白してます。
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｜ 腐ってやがる……
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| 早すぎたんだ…… って、何が？
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| そして4月5日、「大和」は山口で燃料を搭載します。
| よく片道燃料と言われますが、現場の判断で往復分の燃料が入れられました。
| 現場主任が「間違えて」燃料を多く入れてしまい、さらに入れすぎた燃料を戻す時間の余裕が無かった……
| そんな理由で無理矢理に通したとか。
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｜ ナイス現場の判断。
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| だがしかし、この一件で烈火のごとく怒った人もいたんだが。
| 詳しくは、大井篤『海上護衛戦』を参照だな。
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| こうして4月6日、戦艦「大和」と9隻の護衛艦は徳島を発ちます。
| そしてただちに、アメリカ潜水艦に発見されてしまいました。
| 4月7日には索敵機にも発見され、その位置が母艦に伝えられてしまいます。
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第一遊撃部隊（伊藤整一中将）
戦艦「大和」
軽巡洋艦「矢矧」
駆逐艦「冬月」、「涼月」、「朝霜」、「初霜」、「霞」、「磯風」、「浜風」、「雪風」
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｜ 1日目…… 余りにも早いな。
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| もはや内部連絡で暗号も用いず、「ヤマト」という艦名も普通に出してたそうだ。
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| 12時40分… 乗員の多くがおにぎりとたくあんを味わっている時、対空警報が鳴り響きました。
| 第一次攻撃隊219機が、さっそく襲撃したんですよ。
| 三式弾を装填した主砲をはじめ、出撃前に増設された高角砲や機銃をブッ放す「大和」。
| しかしハチの大群相手に両腕を振り回すようなもので、魚雷6発、爆弾5発を食らってしまいます。
| うち爆弾1発は、よりにもよって装甲の薄い後部副砲の部分に……
| 火薬庫で火災が発生し、消し止められない事態となります。
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｜ 例の弱点か…… まさに、弁慶の泣き所。
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| 敵の雷撃は「大和」の片側に集中していたが、これはアメリカ側の意図的なもの。
| シブヤン海で「武蔵」は多数の魚雷を両側から受け、バランスが取れてなかなか沈まなかった。
| その戦訓を踏まえ横方向への転覆を狙った、対「大和」戦術だな。
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| そして13時45分、第二次攻撃隊105機が満身創痍の「大和」を襲います。
| もはや何発の爆弾や魚雷を受けたかなんて、敵味方ともまともに把握してません。
| 日本側とアメリカ側で、数字が食い違っていますしね。戦果確認が困難なほど激しい戦いだったんですよ。
| 「大和」の甲板には乗員の死体が散らばり、艦は傾斜していき…… もはや沈没は時間の問題でした。
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｜ アメリカ機、多すぎだよ…
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| 300機近くに襲われ、10発近くの魚雷と爆弾（米軍では30発）を受けた「大和」……
| ここまで食らっても戦い続けるバケモノ振りに、アメリカ側のパイロットは戦慄した。
| 向こうにとっても楽な戦いじゃないし、あっけなく殺られた訳じゃないんだよ。
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| 副長は、艦長の有賀大佐に「復旧の見込み無し、総員退去を命令してはいかがでしょう」と報告。
| この言葉を伝えにきた伝令に対し、有賀大佐は無言で険しい顔を浮かべるのみ。
| しかし見張長は沈黙の意味を読み取り、「艦長了解」と伝えます。
| ですが艦内の通信設備は全滅、総員退去を伝える術すらありませんでした。
| 有賀艦長および伊藤長官は、艦と共に沈む決心をあらわにします。
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「俺は大和と同体だ。同体が離れては困る。
俺は水泳がうまいから、水に浮かんだら泳いでしまう。
このコードで俺を羅針儀に縛り付けてくれ。
俺の最後の望みだ。これは上官の命令だぞ」
「大和」艦長・有賀幸作大佐
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｜ 総員退去…… 「大和」の抵抗は終わったんだな。
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| なお、「大和」が落とした敵戦闘機は10機。撃墜数自体は非常に少ないんだが……
| 「大和」攻撃に参加した航空機のうち、約半分は被弾していたんだ。
| 中には、片翼が丸々ブッ飛ばされた機体も……
| アメリカ機ってのは、もう理不尽に頑丈すぎるんだよ。
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| そして14時23分…… 「大和」は転覆した直後、主砲弾火薬庫にて大爆発。
| こうして戦艦「大和」は、海の中に姿を消していきました。
| 伊藤長官や艦長の有賀大佐は、「大和」と運命を共にします。
| 乗員約3000人中、生存者は269人のみ。実に90%以上が戦死してしまいました。
| 「大和」の船体は、現在も北緯30度43分、東経138度04分の地点……水深345mの海底に今も沈んでいます。
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｜ ああ、「大和」……
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| 余談だが、この戦闘を記録すべくアメリカ側では撮影用のアベンジャーを用意してたんだ。
| でも、よりにもよって落とされてしまった。撃墜機10機のうちに入ってるんだよ。
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| この戦いで、様々なものが終わりました。日本海軍の栄光も、戦艦という存在も……
| 本当はとっくの昔に終わっていて、この海戦で誰の目にも分かる形で示されただけなんですけどね。
| とにかく、帝国海軍の終焉を象徴的に表す出来事でした。
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｜ 帝国海軍の終焉か……
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| 以降の日本海軍には、艦隊作戦行動といえるものなど存在しない。
| 「大和」の終焉と共に、全部終わったんだ。
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| そういう訳で、「大和」型戦艦の講義を終わります。
| 純軍事的な話に限れば、日本海軍の切り札は戦局に貢献したとは言い難い有様。
| 存在は秘されたため、敵に負担を掛ける事もできず……
| そんな悲しい戦艦が、「大和」型戦艦だった訳ですね。
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｜ 心情はどうあれ、そうなっちまうんだな。
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| 「大和」という名前の通り、余りにも日本的な艦だったって訳だ。
| 良かれ悪かれな……
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