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| さて、ここでは「雲龍」型の講義を行いましょう。
| 正規空母にもかかわらずほとんどスポットが当たらない地味な空母、それが「雲龍」型です。
| いつの間にか完成し、いつの間にか沈んでいた―― そんな、実に可愛そうな空母達を解説しましょう。
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    | 「雲龍」型空母?
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         | 知名度もイマイチ。
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| 時は1941年、日米開戦が決定するのと同時に中型空母「雲龍」の建造も決定します。
| このプロセスには不明な点も多いのですが、戦争が始まる以上はあまり資材や時間が割けないのは自明。
| そこで簡易に建造できそうな中型空母に的を絞ったのではないでしょうか。
| そういう訳で、「雲龍」はスタンダードな中型空母「飛龍」をモデルとして建造する事になります。
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    | いわば、改「飛龍」型だな。
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| そして1942年6月、日本海軍はミッドウェイ海戦において主力空母4隻を喪失。
| そんな事情で、「雲龍」型は合計16隻を建造することが決定されます。
| しかし実際に工事が着手されたのは6隻、完成したのはたった3隻だけでした。
| ……と言っても、戦争末期のボロボロな状態で中型空母を3隻も完成させたという事実にビックリ。
| そういう訳で、1944年8月に1番艦の「雲龍」と2番艦の「天城」が、10月に3番艦の「葛城」が完成します。
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 ・「雲龍」型航空母艦
  1944年に完成した中型空母で、「飛龍」の簡易生産型。
  完成した頃には航空機もパイロットもなく、活躍できる戦局は皆無だった。
  1番艦の「雲龍」は輸送任務中に敵潜水艦の攻撃を受けて沈没。
  2番艦の「天城」と3番艦の「葛城」は停泊中に爆撃を受け損傷。
  損害の軽かった「葛城」は戦後に修理され、復員船として活躍する。
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    | なんか、不遇そうだな……
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         | もう、生まれた時期が時期だからな。
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| 基本的には、その性能は「飛龍」に準じます。
| ただし極めて不評だった左艦橋は改められ、右側に配置。
| 「大鳳」沈没の教訓も踏まえ、ガソリンタンク防御も実施されてるんですが……
| もう、1944年末期に登場されたところでどうにもこうにも。
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 「雲龍」型航空母艦(データは「雲龍」のもの)
  ・全長:227.35m  ・全幅:22.0m  ・吃水:7.76m  ・基準排水量:17,150t  ・乗員:1,000名
  ・最大出力:152,000hp  ・最大速度:34.0kt  ・航続距離:8,000浬/18kt  ・搭載機:57機+補用8機
  ・武装:40口径12.7cm連装高角砲6基、25mm3連装機銃13基、25mm単装機銃30基、
       12cm28連装対空噴進砲6基

 写真1 写真2
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    | まさに手遅れだな。
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         | なお4番艦は「笠置」、5番艦は「阿蘇」、6番艦は「生駒」。
         | いずれも未完成のまま工事が中止されている。
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| 完成した「雲龍」型空母3隻は第1航空戦隊に編入されましたが、その後の「雲龍」は輸送任務を担当。
| そして1944年12月19日、台湾方面に「桜花」を運んでいた「雲龍」をアメリカ潜水艦が襲います。
| 潜水艦「レッドフィッシュ」は「雲龍」に魚雷を浴びせ、そのまま「雲龍」は爆沈。
| 有用な対潜装備もなく、哨戒機すら上げてない(上げられない)状況では当然の結果とも言えます。
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    | たった4ヶ月の生涯じゃないか。
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         | 悲しい話だ。
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| 「天城」「葛城」は出撃の機会もないまま、呉の港で飼い殺し状態。
| そんな1945年7月、米軍の空襲によって「天城」「葛城」は被弾。
| 「葛城」は軽症で済みますが、「天城」は大破着底した上で横転してしまいます。
| そのまま終戦、軽症だった「葛城」は修理が施され、復員船としての任務に就きました。
| そして復員船の仕事を終え、1946年11月から「葛城」は解体工事が施されています。
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  ・横転した「天城」
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    | 確か、「鳳翔」も戦後は復員船として使われたよな。
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| 以上、極めてインパクトに欠ける「雲龍」型空母の講義でした。
| なんかもう、なんとコメントを言ってよいやら……
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    | なんか、とことん記憶に残らないよな。
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         | 時々でいいから、思い出してやってくれ。
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