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| さて、今回は日本初の航空母艦「鳳翔」について講義しましょう。
| 「鳳翔」は、「世界で初めて最初から空母として建造され、最初に完成した航空母艦」です。
| 工事が始まったのはイギリスの「ハーミズ」の方が早かったんですが、完成は「鳳翔」の方が先だったんです。
| これは「鳳翔」が突貫工事だったからではなく、「ハーミズ」の工事が長引いた事が原因ですね。
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| さて…… 第一次世界大戦も終わり、日本海軍は航空機運用艦の重要性を認識します。
| その頃のイギリス海軍は、陸上機をも離発着できる「アーガス」や「フューリアス」を運用していました。
| これを見た日本海軍、ぜひわが国も!と思い立ちます。
| そこでイギリスから「アーガス」のデータを貰い、陸上機の離発着が可能な母艦の建造を開始。
| 当初は水上機と陸上機の両方を扱う予定でしたが、陸上機のみの運用に絞っていく事になります。
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| 水上機母艦は、「若宮」があったんだな。
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| この「若宮」の活躍で、日本海軍は航空機運用艦の有用性を認識したんだ。
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| そして1922年、航空母艦「鳳翔」が完成します。
| これは実験艦的な色合いが極めて強い軽空母で、搭載機数も満足できるものではありません。
| さらに「アーガス」のデータを借りたという事で、イギリス海軍が一歩一歩進んだステップをショートカット。
| 造ったのは良いものの、どう運用すればいいのか良く分からないという微妙な事態となりました。
| とにかく日本海軍は、この「鳳翔」を運用する事によって航空母艦の基礎を固めていきます。
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・航空母艦「鳳翔」
日本で初の航空母艦(事実上)であり、小型の航空母艦。
完成したのはいいものの運用に試行錯誤し、何度か改装が施されている。
最初期の空母であるため性能は低く、太平洋戦争においては訓練空母として運用。
そのおかげで全く損害はなく終戦、以後は復員船として使われ、1947年に解体されている。
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| 航空母艦(事実上)ってどういうこと……?
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| 用語だけを厳密に扱えば、日本初の航空母艦は水上機母艦「若宮」なんだ。
| この頃は、航空母艦と水上機母艦を分類してなかったからな。
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| 「鳳翔」はアイランド(島型艦橋)を採用していましたが、着艦時に邪魔になる事が発覚。
| アイランド撤去の上で煙突を倒し、甲板の上をまったいらにするという改装が後に施されています。
| とにかく試行錯誤、ほとんど実験艦と呼んでも過言ではない状況でした。
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航空母艦「鳳翔」
・全長:168.25m ・全幅:17.98m ・吃水:6.17m ・基準排水量:7,470t ・乗員:550名
・最大出力:30,000hp ・最大速度:25.0kt ・航続距離:10,000浬/14kt
・武装:50口径14cm単装砲4基、40口径8cm高角砲2基、航空機21機
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| 大変だったんだな……
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| まあ、こういう苦労を乗り越えて技術ってのは成熟していくもんだ。
| この「鳳翔」で得た最大の教訓は、「1万トン級じゃ小さい、2万トンは必要!」だな。
| とにかく、「鳳翔」は小さ過ぎたんだよ。
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| つーかそもそも、この「鳳翔」に誰も着艦できないという有様。
| 艦上機を作っていた三菱は、なんと「鳳翔に着艦できた方には賞金をプレゼント!」と発表します。
| そして1923年に「鳳翔」への着艦に初めて成功し、賞金を獲得したのは、なんとイギリス人のジョルダンでした。
| 翌月には日本人で初めて、吉良俊一大尉が「鳳翔」への着艦に成功。海軍大臣から表彰されています。
| 試行錯誤なんてレベルじゃないのは分かってもらえたでしょうか。
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・航空母艦「鳳翔」(艦橋撤去前)
・航空母艦「鳳翔」(艦橋撤去後)
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| やっぱ、艦橋があると着艦に邪魔なのか?
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| 艦橋撤去前の写真だけじゃ、パイロットじゃない俺らには分かりにくいが……
| とにかく邪魔な位置だったらしいな。
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| そして「鳳翔」で得られたデータを元に、「赤城」や「加賀」などの本格大型空母が次々と誕生。
| 「鳳翔」が完成して約20年後に日米開戦、その頃の航空機はもはや「鳳翔」への搭載が不可でした。
| 「鳳翔」の艦型は小さ過ぎ、大型化する航空機の運用は不可能だったんです。
| 航空機に合わせてムリヤリ甲板やエレベーターを大型化させるも、艦のバランスが崩壊。
| 波の荒い外洋では運用不可に。こうして「鳳翔」は瀬戸内海において訓練空母となります。
| 後の激戦に身を投じていくパイロットは、この「鳳翔」でヒヨコを卒業していったんですよ。
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| ほほう。
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| 1930年代の上海事変とか日中戦争、ミッドウェイ海戦には顔を見せたんだけどな……
| 残念ながら、ほとんど戦局に貢献していない。
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| そして1945年、終戦。ひたすら訓練空母として運用されていた「鳳翔」は、いっさい損傷がありませんでした。
| 終戦後の「鳳翔」は復員船として活躍、アジア各地に散った兵や民間人を本土へ輸送します。
| 九往復に渡る復員任務を終えた1947年、「鳳翔」は解体処分。25年の生涯を終えました。
| 実験艦、訓練艦、復員船―― いっさい戦力とならなかった空母でしたが、その貢献度は多大と言えますね。
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| 日本海軍の終焉を最後まで見守った、最初の空母か……
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| 後輩の空母達が生まれ、そして沈んでいく様を見守り続けていたんだな。
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