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| さて……今回は、多岐にわたる戦闘車両の発展を見て行こうと思うのですよ。
| ぶっちゃけ、かなりかいつまんで解説しますので、不足分もいっぱい出てきます。
| それぞれの細かい解説は、またの機会にしておきましょう。
| 今回は教材も用意しましたしね…… フフフ。
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    | うわぁ、すっげえ嫌な予感……
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         | 今日はギコ教授は休み、後ろギコの講義か。見た目が一緒だから分からんな……
         | そういう俺は、後ろギコ代行。ミギーも休暇中だ。
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| 講義の前に……前ギコ君、これは戦闘車両のどの種類に当たるか分かりますか?
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    | どの種類って、どう見ても戦車じゃないか。
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         | 正解。これは陸上自衛隊の90式戦車だ。
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| では、これは何か分かりますかね?
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    | こりゃ、戦車じゃなくて装甲車だな。
    | 「戦闘車両=戦車」って訳じゃないのは、以前の講義で教わった記憶があるぞ。
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         | 正解。陸上自衛隊の96式装輪装甲車。
         | 正確には「装甲兵員輸送車」だが、大まかには「装甲車」ってくくりで間違ってない。
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| じゃあ、これは?
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    | これも戦車だな。
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         | ハズレ。これは「装甲戦闘車」に区分されてる。
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| 次に、これは?
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    | やけに砲塔がゴツい感じがするが… これも戦車?
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         | ハズレ。これは陸上自衛隊の「自走砲」。正確には「自走榴弾砲」だが。
         | ……さらに正確には「自走りゅう弾砲」だってツッこまないでくれよ?
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| 古い写真ですが、これなんてどうですかね?
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    | え〜と、両方とも戦車…?
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         | ハズレ。上は「対戦車自走砲」で、下は「駆逐戦車」。
         | どっちも第二次大戦時のドイツの陸戦装備だな。
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| ……と、ここまで来て、大半の受講者が前ギコ君と同じ思いを共有しているかと思います。
| 「さっぱり分かるか!! 全部戦車じゃねぇか!!」ってね。
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    | まさにその通りだ。どう見ても戦車にしか見えないぞ?
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         | 逆に言えば、分かる人にとってはこの講義を受ける必要は特に無い訳だ。
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| ここでほとんどの軍ヲタに「戦車」と「自走砲」の違いについて教えてくれと聞くと、
| 旋回式砲塔であるかどうかとか、戦闘室が開放式か密閉式かどうかなどという答えが返ってきます。
| 無論これは完璧な正解ではあるんですが、すでに理解している人にしか通じない解答なんですね。
| 「戦車って何? 自走砲って何?」という人に機構的な差異を解説しても、混乱が増すだけです。
| やはりここは、「どういう運用か」と「何故必要とされたか」という2つの視点で捉えていかなきゃダメなんですよ。
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    | 確かに… 旋回式砲塔とか戦闘室とか言われても、さっぱり分からん。
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         | 「どういう運用か」と「何故必要とされたか」を押さえれば、その機構の意味も見えてくるのさ。
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| では、陸戦兵器の発達を見ていくため、歴史を遡ってみましょう。
| 石器の登場する以前、人類はおそらく素手で殴り合っていました。
| これが武器を手にしたり、石を投げたりと発達していくんですね。
| ここら辺は、記録に残ってる訳ではないですが……
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    | おいおい、そこまで遡るのかよ……
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         | どこまで昔なんだよ。
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| そして紀元前4000年ごろ、西アジアにおける戦争の主役は歩兵と戦車(チャリオット)でした。
| この時代の歩兵というのは、後に古代ギリシアで出現した組織的な兵達ではありません。
| 戦車とは、2〜4頭の馬に車を引かせ、数人の人間が槍や弓で武装して乗るというスタイル。
| なお20世紀に出現する戦車(タンク)とは訳語が同じなだけで、全く別物の存在である事に注意ですね。
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・戦車(チャリオット)
 2〜4頭の馬に車を引かせ、槍や弓で武装した数名の人間が乗り込むという戦闘用の乗り物。
 古代戦の主力であり、ヒッタイトやアッシリア、古代エジプト、古代中国などで使われた。
 国家の戦力とは、すなわち所持している戦車の数を意味するほどの中心的存在となる。
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    | タンクが、チャリオットの発展系ってわけじゃないんだな。
    | たまたまどっちも訳語が「戦車」なだけで、全くの無関係か。
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         | 実はこのチャリオット、パレードカーのような運用が主流だったという説があるんだが……
         | まあ、それについては省略な。
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| なおこの時代、馬に乗って戦う事は非常に難しかったんです。
| 鐙(あぶみ)という馬具が発明されていないので、馬上で体を安定させる事が不可能に近かったんですよ。
| 騎乗という技術を体得した遊牧民族も現れ始めましたが、彼等ですら馬上で白兵戦を行うのはほぼ無理。
| 遊牧民族は戦争の際も騎馬状態で戦いましたが(=騎兵)、そのメインウェポンは弓矢でした。
| そして農耕民族においては、もう騎乗自体が非常に至難の技術だったんです。
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    | 結局のところ、農耕民族においては戦車(チャリオット)主力のままだったんだな。
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         | 当時の農耕民族における馬は、むしろロバに近いものだったしな。
         | しかし遊牧民族は、品種改良を重ねて強力な馬を所持していた。
         | さらにチャリオットは車輪を使っているので、平地以外では戦闘力が極端に低下。
         | 騎兵と比べたとき、その劣位は明らかだった……
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| そして遊牧民族は時に騎馬軍団となり、アジア・ヨーロッパで農耕民族を襲撃するという事例が相次ぎます。
| 約2000年もの間、遊牧民族の強力な騎兵は農耕民族を圧倒し続けました。
| ヒッタイトも古代エジプトも、古代中国も、周辺の騎馬民族に苦しめられ続けたんですよ。
| アッシリア帝国や春秋戦国時代の中国は、騎馬民族にならって騎兵を導入したりもしましたが――
| まだまだ騎兵の技術は未熟で、とても騎馬民族ほどの精強さを発揮できませんでした。
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    | 遊牧民族の騎馬兵、そこまで強力だったのか……
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         | 三国志が好きな人は、匈奴ってのをよく聞くよな。
         | とにかくヨーロッパ・西アジア・中国の連中は、遊牧民族の侵攻に苦しめられたんだ。
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| さて……BC800年頃になると、古代ギリシアは歩兵によるファランクス(密集隊形)を導入します。
| これは高度に組織化された戦闘方式で、戦争における主力はチャリオットから重装歩兵に移行。
| 中国においても、春秋戦国時代において主力がチャリオットから歩兵に移行してますね。
| ヨーロッパにおいてチャリオットがいつ頃に消滅したかは分かりませんが、
| この時代には凋落の兆しを見せていた事は確かです。
| 集団で武装化した歩兵の戦力は極めて高く、その攻撃力や防御力は卓越していました。
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・歩兵(重装歩兵)
 鎧や盾で身を固め、剣や長槍で武装した兵士達の軍団。
 基本的な兵科で、防御力も攻撃力も高く、主に密集隊形で戦う。
 同様の兵科は世界各地に存在していたが、主に古代ギリシアや古代ローマの重装歩兵が有名。
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    | 今までの歩兵とは違うんだな。
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         | 高度に組織化されてた、って点がミソだ。
         | そんな重装歩兵の弱点は、とにかく機動力がないってこと。
         | 重装備な上に密集隊形だから、素早い移動とかには絶望的に向いてなかった。
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| 古代ギリシアは騎兵を導入していましたが、指揮官専用のお飾り的な雰囲気は拭えませんでした。
| 歩兵が重装化して攻撃力も防御力も格段にUPした時代、騎兵の利点はその機動性にあります。
| バリバリ走り回って偵察、隙あらば奇襲――戦場を縦横無尽に走り回るのが彼らの仕事。
| 古代ローマにおいては、逃げる敵を追撃するという任務が騎兵の主でした。
| とは言え、やはり本場の騎馬民族に比べれば騎兵はまだまだ弱小だったんです。
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・軽装騎兵(軽騎兵)
 基本的には、軽装備の騎兵。鎧を着ているのは騎手程度で、馬は装甲化されていない。
 当初の主力は弓矢だったが、鐙(あぶみ)の発明後は刀剣や槍も本格的に使わるようになった。
 軽装騎兵というのは、後に重装騎兵が現れた後に従来の騎兵を区別化する意味での呼び名。
 それ以前の騎兵は、基本的に軽装騎兵のカテゴリーに入る。
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    | つまり古代ギリシアも古代ローマも、騎兵を効果的には使わなかったのか?
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         | 使わなかったって言うか、コスト・技術的な問題で使えなかったんだよ。
         | 当時のヨーロッパの馬は、騎馬民族の馬に比べて小型で非力だったし。
         | 馬や騎手の育成には多大な時間や金が掛かったから、騎馬民族のようにはいかないんだよ。
         | ローマは、ヌミディア騎兵やガリア騎兵みたいな友好国の騎兵部隊の手も借りたがな。
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| そしてBC400年頃、イラン系遊牧民族であるサルマティア人は新たな騎馬術を生み出しました。
| それまでの騎兵は、先も言ったように弓矢が主力。
| しかしサルマティア人は、騎手ばかりか馬にも鎧を着せて装甲化。
| 主武器も槍に持ち替え、凄まじいまでの機動力で近距離戦を展開したんです。
| それは中世の騎士に酷似したスタイル――すなわち、重装騎兵の出現でした。
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・重装騎兵(重騎兵)
 サルマティア人が編み出した、新たな騎兵のスタイル。
 馬にも鎧を着せて装甲化し、槍を持って戦うというもの。
 後世の騎兵に大きな影響を与える。
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    | あれ……? 当時はまだ鐙がないから、馬上で接近戦は不可能じゃなかったっけ?
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         | 槍で敵兵を貫く瞬間、馬から飛び降りるという特異な戦法を用いたんだよ。
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| さらに鐙が発明されると、騎兵は馬上で体を安定させる事が可能に。
| また馬の品種改良も進み、騎馬民族レベルの大きな馬も手に入るようになりました。
| これは騎兵の圧倒的強化を意味し、そして中世には騎兵主力の時代が訪れます。
| 攻撃力、防御力が格段にアップした騎兵は、戦場の花形として君臨する事に。
| しかし騎兵は徐々に重装化していき、機動力は段々と低下していく事になります。
| フランスとかの騎士は、その代表格ですね。
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    | 機動力低下ってのは、弱体化じゃないのか?
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         | 攻撃力と防御力は格段にアップしたから、他国の騎兵や歩兵相手だと優位。
         | しかし――
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| しかし15世紀に入り、百年戦争序盤にはその重装化が仇となりました。
| フランスの騎士達がイングランドの長弓兵にボコられ、大敗を喫してしまったんです。
| この辺から騎兵は凋落を始め、柔軟な働きが可能な歩兵に再びスポットが当たるようになりました。
| 後の騎兵は軽装化し、より機動力を高めるという方向性で発展していく事になります。
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    | 再び、戦争の主力は歩兵に戻ったわけか。
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         | 騎兵も、ただちに滅亡したわけじゃなかったがな。
         | その機動力を生かした奇襲や偵察において、以後も大いに力を振るった。
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| そして、少し時が遡りますが……13世紀頃には、中国から大砲が伝わってきます。
| 正確に言うと伝わってきたのは「火薬技術」で、これがヨーロッパで兵器として発展していく事になるんですよ。
| 14世紀にもなれば、大砲がヨーロッパの戦場でも使われるようになります。
| 同時に、大砲を専門に扱う兵科――「砲兵」も登場しました。
| とは言え、大砲の登場で戦争のスタイルがガラリと変わったとは言い難いですが。
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・砲兵
 大砲を専門に扱う兵科。後方から味方を支援する。
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    | そうなの?
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         | 大砲の命中率は低いし、狙ったところに当てるのはほぼ不可能。
         | よって当初の大砲は、野戦ではなく城攻めとかで使われた。
         | また火薬自体も非常に高価で、大砲の安全性にも問題があった。
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| しかし砲の技術が上がってくると、歩兵・騎兵・砲兵の3段構えというスタイルが一般化していきます。
| まずは砲兵が敵陣に砲弾をブチ込み、その後に歩兵が突撃。
| 騎兵はその機動性の高さを生かして、敵陣の弱い方向から奇襲したりといった感じです。
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 歩兵:戦場の主力、ガチで殴り合う。
 騎兵:機動性を生かして、偵察や奇襲、逃げる敵の追撃などを担当。
 砲兵:後方から敵陣に砲弾を浴びせ、歩兵を支援。
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    | なるほど。
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         | このスタイルが、スタンダードになっていったんだ。
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| そして歩兵武器としてマスケット銃が普及し始めましたが、長弓が絶滅する事はありませんでした。
| 初期のマスケット銃はまだまだ性能が低く、攻撃力も命中率も射程も長弓以下だったんです。
| ただマスケット銃には、素人にもそれなりに簡単に扱えるという利点もありました。
| 正確に言うと、長弓の扱いには多大な訓練が必要だったんですが。
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    | マスケット銃が簡単なんじゃなく、長弓が難しすぎたのか……
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         | これは、マスケット銃登場前の時代のクロスボウと長弓の優劣にもそっくり当て嵌まる。
         | クロスボウは長弓に比べて様々な点で劣ってたんだが、とにかく取り扱いが容易かったんだ。
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| しかしマスケット銃の性能が上がり、さらに戦術の発展や銃剣の登場などで、徐々に歩兵の主武器に。
| 逆に非常にデカい騎兵は、歩兵の持つ銃の良いマトとなってしまいました。
| 1514年に行われたチャルディラーンの戦いにおいても、騎兵は銃を持った歩兵部隊にボコられて惨敗。
| こうして、またも騎兵の価値は下がる事になりました。
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    | なんか騎兵、落ちていくばっかりだな。
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         | 三兵戦術やグスタフ・アドルフ、ナポレオンについては省略。
         | またの機会にさせてもらう。
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| そして時代は進み……19世紀に戦争のバランスを崩す近代兵器が出現しました。それが機関銃です。
| 移動は難しかったため、陣地の要所に設置するという完全な防御兵器でした。
| 弾丸をシャワーのように浴びせかけるこの新兵器は、陣地に近づく敵をあっという間に壊滅させる事が可能。
| 特に騎兵はマトがデカいせいで、機関銃の前にはもうボロボロ。
| 以前から「騎兵はもうダメだ」と言われ続けてきましたが、機関銃の登場は完全に騎兵に止めを刺しました。
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 「これからの戦争で騎兵に出来る事は、歩兵の為に飯を炊く事だけだ」
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    | 歩兵は大丈夫だったのか?
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         | 当然、後で述べるように歩兵にとっても機関銃は脅威だった。
         | しかし騎兵の場合は馬に乗ってるから、とにかくマトがでかいんだよ。
         | クリミア戦争でも機関銃に対して騎馬突撃をかけ、全滅に近い損害を出した。
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| こういう兵器の出現により、避弾の為の障害物構築という手段が戦場に導入されました。
| 穴を掘ったり、壁を構築したり……とにかく機関銃の弾丸から逃れる為の工夫です。
| そして第一次世界大戦で出現した避弾方法の決定版が、「塹壕」なんですよ。
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 ・第一次世界大戦(1914年〜1918年)
   サラエボ事件をきっかけに始まった、ヨーロッパの大国を巻き込む大戦争。
   三国同盟(ドイツ、オーストリア・ハンガリー、イタリア)と三国協商(イギリス、フランス、ロシア)の戦い。
   結果的に、アメリカの支援もあって三国協商側が勝利する。
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    | ざんごう…?
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         | 簡単に言えば、戦場に掘られた弾丸・砲弾よけの穴。
         | それが幾重にも組み合わさり、前線の簡易地下施設と化していたんだ。
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| さて、ここで実習といきましょう。今回の課題は、塹壕にこもる私を倒す事。
| さあ来い、学生どもッ!!
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   |  | っ'''n''''''' ̄    |             | どこだ、ここ!?
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   |  ∪∪   |                        | いきなり実習か……
   ⌒⌒⌒⌒⌒                         \_________________




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   |  | っ'''n''''''' ̄    |     | …ちょろいもんだぜ。
   |  |  |  |⌒⌒⌒..   | そのキレイ(?)な顔をふっ飛ばしてやる!!
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   |         |              | ま、前ギコ――ッ!!
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| そう。結局は、こうなっちゃうんですよ。
| 敵も対抗して塹壕を掘り、ひたすら睨み合いになっちゃいました。
| この「塹壕戦」が、第一次世界大戦における大きな特色なんです。
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                    | 機関銃の猛威によって、情勢は「防御優勢」に傾きすぎたんだよ。
                    | 攻めた方がボロボロにやられる以上、互いに守りを固めるしかなかった。
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| 実際の塹壕はこのAAほど単純ではなく、穴が幾重にも掘り巡らされていました。
| それも、こちらからは接近者を一方的に攻撃できるような工夫をこらしてね。角度とか。
| 少しでも接近すれば、四方から十字砲火を喰らう鉄壁の陣……
| この塹壕を両者が築き、戦場で延々と睨み合うという光景が続きました。
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       |これを打破しようと両軍はちょくちょく突撃を掛けたんだが、塹壕の堅固さに手も足も出なかった。
       |死者の数だけが、無駄に膨れ上がっていったんだ。互いにな。
       |第一次世界大戦は、こんな風にして各所で戦線が膠着する事になる。
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| そんな状況で、戦場を視察していたイギリス陸軍アーネスト中佐の脳裏にとあるアィデアが閃きます。
| 機関銃をものともしない防御力を持った重装甲の大型車両を突っ込ませば、塹壕を破れるんじゃないか…?
| しかし伝統あるイギリス陸軍上層部は、彼の画期的なアィデアを一笑に伏します。
| アーネスト中佐の発案に注目したのは、何と陸戦とは畑違いであるはずのイギリス海軍でした。
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       | 海軍大臣ウィンストン・チャーチルは、アーネスト中佐の発案に大きな興味を示したんだよ。
       | さすがイギリス海軍、目の付け所が違うぜ!! /`ァ /ヽァ /ゝァ / \ァ、ロイヤルネイビー!!!!!
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| そして、イギリス海軍にて陸上軍艦(後の戦車)開発構想が本格的にスタートします。
| 秘匿名称「タンク(水入れ)」と呼称された対塹壕兵器の開発は着々と進んでいき……
| そして1916年、イギリスにおいて史上初の戦車Mk.1が採用されたのですよ!!
| その外見は現在の戦車からはかけ離れていて、形状から「菱形戦車」と呼ばれました!!
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                           | うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
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| 無限軌道(キャタピラ)で塹壕もへっちゃら! 重装甲で敵の銃弾も怖くない!
| 搭載機銃で群れ寄る歩兵も皆殺し!!
| まさに、味方歩兵を支援して敵塹壕を破るイギリスの切り札!!
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                          | 助けて!! ロイヤルネイビー、助けて!!
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| なお当初の菱形戦車は、武装によって2タイプに分かれていました。
| 大砲が主兵装の「雄型」と、機関銃が主兵装の「雌型」です。
| 実習の内容を変更します! 目の前の戦車を破壊してみなさい!! 出来るものならばなァ!!
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iiii==================== ∨============
iiiii
iiiii ・Mk.I 戦車
iiiii  イギリス海軍が開発し、1916年に実践投入された世界で始めての戦車。
iiiii  塹壕を越えるための、移動トーチカとして開発されている。
iiiii  そのために武装は軽微で、歩兵を薙ぎ倒す程度の威力しかない。
;iii:
iiiii  写真 写真 写真
iiiii.
ii;ii:=================================
iiiiii:..             ゴゴゴゴゴゴ…_ __________
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       | 大佐、ブリーフィングと違う!! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
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| 無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!
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| そういうわけで、イギリスは「ソンムの戦い」において戦車を初めて実戦投入します。
| 1916年の9月15日、例によって膠着する戦線。
| そんなドイツ陣地に、32両もの巨大な鉄の塊が突っ込んできました。
| 余りにも理解を超えた事態に、ドイツ兵達は陣を捨てて逃走してしまいます。
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 ・ソンムの戦い(1916年7月1日〜11月19日)
  フランス北部のソンム河畔で行われた、ドイツ軍に対するイギリス・フランス連合軍の大攻勢。
  イギリスによる戦車の投入で一部のドイツ陣地を落とす事には成功したが、対局に影響は無かった。
  結局、ソンムの戦いは膠着したまま終わる。
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    | うわっ、いきなり教室に戻った! ともかく、戦車は初陣で大戦果を挙げたんだな。
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         | ところが、同時に幾多の問題点も明らかになったんだ。
         | 用意された49両のうち、10両は戦闘前に故障。
         | さらにドイツ陣地に突入した32両のうち、18両は機械的トラブルでぶっ壊れてる。
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| さて。前線のドイツ兵の目で見れば、脅威の敵新兵器の出現なんですが……
| それでも、戦局を打開したってほどじゃないんですよ。
| 大きい目で見れば、ドイツ人がびっくりした程度の成果しかなかったわけです。
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    | そんなもんなのか。
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         | 結局のところ、ドイツは「戦車は恐るるに足りず!」って結論を出す。
         | 当時の戦車はスピードも遅く、集中攻撃を受けて共同棺桶と化す事も多かった。
         | 戦車の有効性ってのは、敵味方両方から疑問視される事になったんだ。
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| 最初はパニックに陥っていたドイツ兵も、戦車対策を固めていきます。板書の3つの方法が代表的ですね。
| 1の「手榴弾による肉薄攻撃」ってのは、歩兵が突っ込んで手榴弾を叩き込むって技です。
| 当然ながら、戦車に歩兵が接近しなければならない時点で決死任務。
| 10人が突っ込んで9人が殺られ、残る1人がなんとか戦車を破壊ってのもざら。
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 第一次世界大戦における、ドイツ軍の対戦車戦法
  1.手榴弾による肉薄攻撃
  2.対戦車兵器の開発
  3.野砲の直接射撃
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    | 戦車を1両殺るのに、何人もの歩兵が散るんだな……
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         | 歩兵と戦車のコストから考えれば、得なのか損なのか微妙なとこだがな……
         | ちなみに太平洋戦争における日本兵VSアメリカ戦車で、この方法が多用された。
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| 2に関しては… イギリスの戦車と悪戦苦闘した結果、K弾という小銃弾ならば、戦車の装甲が貫ける事が判明。
| 戦車にK弾をブチ込まれて被害を出したイギリスは、K弾が効かない程の重装甲を備えたMk.IV戦車を開発。
| さらにドイツはMk.IV戦車に対抗して、Mk.IV戦車の装甲をも破れるライフルを開発します。
| こうして、「タンクゲーヴェルM1918」という世界初の対戦車ライフルが登場しました。
| 以後、戦車の発展と共に歩兵携帯用の対戦車兵器も発展していく事になります。
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 第一次世界大戦における、ドイツ軍の対戦車戦法
  1.手榴弾による肉薄攻撃
  2.対戦車兵器の開発
  3.野砲の直接射撃
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    | 早くも、矛と盾の競争が始まったんだな。
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         | この現象を、「兵器のシーソーゲーム」と言う。
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| 3に関しては… 砲兵の扱う野砲を近距離からブチ込めば、戦車を殺れる事が分かったんですよね。
| こうしてドイツでは、一部の砲兵を対戦車部隊として前線歩兵陣地に配備したんですよ。
| 前線の砲兵達は戦車をガンガン狩ったんですが、自分達の被害も増してしまいます。
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 第一次世界大戦における、ドイツ軍の対戦車戦法
  1.手榴弾による肉薄攻撃
  2.対戦車兵器の開発
  3.野砲の直接射撃
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    | 今まで後方からの砲撃支援が主任務だったのに、前線に引っ張り出されたんだからなぁ。
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         | 従来の砲兵の役回りと、ここで新たに出てきた対戦車任務の関わり……
         | この辺を頭に入れとかないと、以後の講義で混乱するぞ。
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| 一応はドイツでも「A7V」という戦車を開発したものの……
| 第一次世界大戦時のドイツは、戦車の運用にあんまり熱意はありませんでした。
| 先程も言ったように、「戦車恐るるに足りず」の風潮があったんですね。
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 ・A7V
  ドイツ初の戦車。実験的な要素も多いだけあって、余りパッとしない。
  イギリスMk-Iの装甲12mmに対し30mmの装甲を誇るが、その分重い。
  その形状から、塹壕を超える能力が致命的に低かった。
  「重装甲車両」というよりも、「移動要塞」といった方がしっくりくる。

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    | 戦車を軽視してたのか……
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         | 軽視っていうより、この当時の戦車は実際にそこまで恐ろしいもんじゃなかった。
         | ドイツは戦車の必要性を感じていなかったし、対戦車戦用の手段も確立されてたんだ。
         | ドイツが見逃していたのは、戦車という微妙な兵器の途方もない発展性だったんだよ。
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| では、第一次世界大戦でイギリスと同盟国だったフランスはどうだったかと言うと……
| おフランスも、独自に戦車を開発していました。
| 決してイギリスの戦車をパクった訳ではなく、たまたま同じ結論に達したって事ですね。
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 ・シュナイダー突撃戦車
  フランス初の戦車。イギリスを真似た訳ではなく、同時期に計画が始まっている。
  性能はイギリスの菱形戦車より良かったものの、機械的トラブルが続発して自爆が相次いだ。

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    | イギリス、ドイツ、フランスと来て… アメリカは?
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         | 戦車開発に関して、アメリカは完全に後手に回っていたんだ。
         | 第一次世界大戦の途中に援軍として駆けつけるんだが、その時は英仏の戦車を借りた。
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| ところで……「戦車と砲兵って役割がカブらないか?」って疑問もあるかもしれませんね。
| 砲兵ってのは、前線じゃなくて後方から敵陣地へ大砲をブチかます役割なんですよ。
| それと違い、この時代の戦車は塹壕を乗り越えて敵陣へ突入。
| さらに搭載している砲や機関銃を乱射し、敵兵や機関銃座を片っ端からふっ飛ばす……
| 結果的に、味方歩兵の突撃を助ける事になります。
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 戦車:塹壕を乗り越え、前線で歩兵を支援。
 砲兵:後方からの砲撃で歩兵を支援。
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    | 要は、前線で歩兵を支援するか、後方で歩兵を支援するかの違いか。
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         | まあ、極論すればそうなるな。
         | 第一次世界大戦時の戦車の仕事は、「塹壕を越える」+「歩兵の支援」。
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| そして1917年11月20日、カンプレーでイギリスは476両もの戦車を投入した奇襲作戦を行います。
| これにより、ドイツの塹壕防御線を破ったんですが… その戦闘において妙な出来事が。
| フレスキエルという村落で、ドイツ軍により30両以上もの戦車が破壊されたんです。
| そして、ドイツ軍のたった1人の下士官が16両もの戦車を破壊したという噂が囁かれ始めました。
| 「フレスキエルの砲手」と呼ばれた、このドイツ軍下士官の正体とは……!?
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 ・フレスキエルの砲手
  フレスキエルという村落での戦いにおいて、戦車の損害が異常に多かった事から囁かれた噂。
  その実は、イギリス側の戦車群と歩兵群が分離した為、戦車群が集中砲火を浴びたに過ぎなかった。
  つまり「フレスキエルの砲手」など存在せず、イギリス側の戦術ミスによる大損害である。
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    | 戦車と歩兵が分離すると、マズいのか…?
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         | 戦車の突破力は凄まじいんだが、狭い機械に篭っている分、周囲への警戒力は劣るんだ。
         | そこは歩兵がカバーして、戦車にダメージを与えられそうな火砲はすかさず潰さなきゃならない。
         | フレスキエルではそれが出来ず、戦車群はドイツ側の集中砲火を浴びたんだ。
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| 戦車には歩兵が随伴しなければいけないって事が、この一件で明らかになったんですが……
| この段階でそれを重視し、ただちに戦術面で活用した者はいませんでした。
| しかし第一次世界大戦後に一部の軍人がこの事例に関心を寄せ、そして電撃戦の礎が生まれるんです。
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    | 電撃戦…?
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         | 第二次世界大戦時に、ドイツ機甲部隊が繰り出した機甲戦術。
         | この講義の中盤で解説するぞ。
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| さて… ここで先程の、ドイツが前線に一部砲兵を投入した話を思い出して下さい。
| フレスキエルで、イギリス側は戦車と歩兵を分離させるというミスを犯してしまいました。
| ドイツ側の砲兵から見れば、敵歩兵に邪魔されずにじっくりと敵戦車に照準を合わせられる事になります。
| 接近戦に弱い砲兵にとって、非常に美味しい状況だったんですよ。
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 第一次世界大戦における、ドイツ軍の対戦車戦法
 1.手榴弾による肉薄攻撃
 2.対戦車兵器の開発
 3.野砲の直接射撃
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    | なるほど… そういう事情で、フレスキエルの砲手という伝説が生まれたんだな。
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         | そういう事。15台以上の戦車を破壊したドイツ下士官なんて存在しなかったんだ。
         | この一件で、ドイツにおける「戦車恐るるに足りず」という風潮は加速する。
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| そして第一次世界大戦が長引く中、イギリスでの戦車運用思想は1歩前進。
| 戦車を軽戦車と重戦車の二種類に分け、それぞれ違う役割を果たせようという考え方が登場します。
| それに従って2種類の戦車が誕生、重戦車のMk.Vと軽戦車(当初の名称は中戦車)のMk.Aでした。
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 ・重戦車:読んで字の如く、重装甲・重武装の戦車。その分、機動性を犠牲にしている。
       従来の戦車のように塹壕を突破し、歩兵を支援する役割が主。
 ・軽戦車:重戦車に比べ、軽装甲・軽武装だが機動性が高い。
       重戦車が敵陣を切り開き、軽戦車が高速を活かして追撃戦を行うという戦術を想定。
       つまり、従来の騎兵に似た使われ方がなされる。
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    | 攻防に優れるがスピードは遅い重戦車と、速度は速いが攻防はやや頼りない軽戦車だな。
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         | 平たく言えば、そういうことだな。
         | 一般に兵器ってのは、平均的な性能を持たせるより目的特化型の方が効果的だ。
         | だが柔軟な対処が出来なくなったりと、それはそれでマズい一面もあるが。
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| 同時期のフランスでは、自動車メーカーであるルノー社が非常に優秀な軽戦車を開発します。
| 「イギリスで流行ってるみたいだけど、軽戦車なんて興味ネーヨ」と言っていたフランス陸軍上層部も、
| その高性能振りを目にした途端メロメロに。
| また、無限軌道に全周旋回式砲塔を搭載… つまり、現在の戦車の形状の基礎となった戦車です。
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 ・ルノーFT17軽戦車
  フランスのルノー社が開発した優良な軽戦車。
  最初は機関銃を搭載していたが、後に砲搭載型がメインとなった。
  この戦車を量産する為、今までのフランス戦車は全て量産が中止されている。
  第1次世界大戦後は15カ国以上の国に輸出され、各国の戦車開発の礎となった。

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    | 今までと違い、戦車っぽい戦車だな。
    | どこの国も、みんなこの形状をマネするようになったのか。
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         | まあ、この戦車が登場した途端にこぞって模倣したって訳じゃないんだがな。
         | 試行錯誤しているうちに、どこの国の戦車もこの形状に落ち着いたといった感じだ。
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| そして1918年の8月8日、アミアン攻勢でドイツは大敗北を喫してしまいます。
| イギリスの戦車が大量に投入され、大活躍したんですよね。
| この時にようやく、ドイツは「戦車はスゲェ!!」と気付きます。
| しかし、この時期になるとドイツの敗北は明白。余りにも遅すぎましたね……
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 ・アミアン攻勢(1918年8月8日)
  アミアンで行われた連合軍VSドイツの戦い。
  勢いに乗った連合軍が投入した戦車の前に、ドイツ軍は大きな被害を出す。
  「ドイツ陸軍暗黒の日」と呼ばれ、ドイツ軍内の戦車軽視思想は消滅した。
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    | せっかくドイツが悟ったのに、無駄になったんだな。
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         | そんな事はない。次の戦争の為に。次の次の戦争の為に…
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| そしてドイツが敗北し、第一次世界大戦が終わります。
| ドイツは連合国にベルサイユ条約を結ばされ、軍組織に多大な制限が掛けられました。
| もう、二度とドイツがヨーロッパの平安を乱さないように…ってね。
| ドイツ封じ込めとかソ連隔離とかによる第一次世界大戦後の欧州国際秩序を、ベルサイユ体制と呼びます。
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 ・ドイツが受けた軍備制限
  毒ガス、空軍、戦車、潜水艦の保有・開発の禁止。
  陸軍の兵力は10万人以下。将校の定員数と服務年限の設定。
  歩兵師団は7個、騎兵師団は3個まで。保有する大砲は77mmと105mmのみで、総数や貯蔵弾数も制限。
  徴兵制の禁止。参謀本部、陸軍大学の廃止。要塞施設の破壊。
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    | 戦車もダメになったのか……
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         | なお以降の講義は、必然的にドイツが主役になってしまう。
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| こうして1919年、幾多の不安要素を抱えつつもヨーロッパに平和が訪れたといってよいでしょう。
| 第二次世界大戦が始まる1939年までの20年間を、以後の講義では「戦間期」と呼称します。
| では、この戦間期の各国の戦車運用を見てみましょう。
| なおこの期間は平和の到来により、各国の軍事予算がのきなみ縮小された事は覚えておいて下さい。
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    | やっぱり、平和な世の中では軍隊なんて邪魔なんだな。
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         | 戦車の運用や種類は、この時期から国によって様々な特色を見せ始める。
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| まずは、戦車発祥の国であるイギリス。
| 軽戦車と重戦車の思想が、「巡航戦車」と「歩兵戦車」に発展していきます。
| そしてこの2種類の戦車を携え、イギリスは第二次世界大戦に突入し……こっぴどい目に合いました。
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 巡航戦車:軽戦車の(思想的)発展系で、下の歩兵戦車より比較的軽装甲。
        軽量であるが故の速度性能を生かして、偵察等の任務を行う。
 歩兵戦車:重戦車の(思想的)発展系。巡航戦車よりも鈍重な分、防御力が高い。
        従来の戦車のように、前線にて歩兵の支援を行う。
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    | 結局は、第一次世界大戦時の軽戦車・重戦車とほとんど変わらないな。
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         | つまり、第一次世界大戦時の思想のままで二次大戦に突入してしまったんだ。
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| 次に、FT-17という近代戦車の基本形を作り上げたフランス。
| 「巡航戦車」や「歩兵戦車」という名前こそありませんが、基本的な運用思想はイギリスといっしょ。
| 軽量で機動性を重視した軽戦車と、重装備・重装甲で歩兵支援を目的とした重戦車ですね。
| フランス戦車の性能は優れていたのですが、運用思想はやはり第一次世界大戦から抜け出なかったんです。
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    | モノは良かったのに、考え方が古かったんだな。
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         | 第一次世界大戦から抜け出せなかったのは、戦車運用だけじゃない。
         | 軍事思想そのものが、フランスでは完全に硬直してたんだ。
         | 第一次世界大戦における「防御優勢」の常識を、ずっと盲信してたんだよ。
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| 結局のところイギリス・フランス、そして世界中ほとんどの国は、第一次大戦時の戦車運用を引きずってました。
| つまり、戦車を歩兵支援用の「前線移動砲台」だと考えていたんです。
| 敵陣へ突撃していく歩兵の群れ。その中に分散して配置され、同じく敵陣へ突っ込んでいく戦車。
| 戦車の砲や機銃が敵兵を吹き飛ばし、敵陣を破壊する……そんな風景が頭にこびりついていたんですよ。
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    | つまり第一次世界大戦時の戦車は、「前線移動砲台」に過ぎなかったと。
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         | その通り。そして、イギリスとフランスはその思想から脱却できなかった。
         | ……ってか、現代の日本でも「戦車=移動砲台」と思ってる人が大部分だろうが。
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| では、アメリカはどうでしょうか。
| 第一次大戦で英仏ほど戦車運用経験がなかったアメリカは、両国のような固定観念にハマりはしませんでした。
| 歩兵支援という任務はおいといて、戦車だけを集めた「戦車部隊」を結成してみたんですよ。
| これはイギリス・フランスよりは正解に近かったんですが、それでもやっぱり間違いでした。
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    | どこが間違ってたんだ?
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         | それは、非常に重要な事なんで後でゆっくりと講義する。
         | まあここまでの講義をしっかり理解している受講者なら、見当は付くだろうが。
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| ちなみに我等が日本はと言うと……戦車の導入自体は、非常に素早いものでした。
| しかし戦車運用思想においては「戦車=歩兵支援=移動砲台」の道をひた走ります。
| さらに戦車の性能においては「海外への輸送」という要因に縛られ、大いに制限されました。
| ここら辺の経緯は、「チハ」の講義でやりましたね。
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    | あの時は、「対戦車戦闘が考慮されてない戦車」ってのが非常に奇異に感じたけど……
    | 戦車ってのは、第一次世界大戦においてはそういうものじゃなかったんだな。
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         | 結局、日本は戦車運用思想でイギリス・フランスと同じミスをやっちまった。
         | 戦車はあくまで歩兵支援の道具だったからこそ、対戦車戦闘は眼中に無かったんだ。
         | その結果、対アメリカ戦で非常に悲惨な事態を引き起こした……
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| そして、残るはドイツとソ連……
| では、軍備に大幅な制限を受けてからのドイツを見てみましょう。
| ドイツは戦車の開発を禁じられていましたが、いつまでもその制限に甘んじるつもりはありませんでした。
| ベルサイユ条約なんぞ、ドイツ人にとっては勝者どもの理不尽な押し付け。
| ドイツは、ベルサイユ体制成立直後から早くも再軍備に向けて極秘裏に動き出します。
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 1919年:ベルサイユ条約締結
 1935年:ヒトラーによるドイツ再軍備宣言
 1939年:第二次世界大戦勃発
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    | つまり、全然ヘコたれてなかったと。
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         | 1935年にアドルフ・ヒトラーがドイツ再軍備宣言をやらかすんだが……
         | ヒトラーが関わる前から、ドイツは再軍備に向けて水面下で動いていたんだよ。
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| そしてドイツは、第一次大戦における敗戦の原因を「戦車」に求めました。
| 「我が軍が負けたのは、我々にまともな戦車が無かったせいだ」ってね。
| 実際の話、戦車の有り無しに関係無くドイツは負けてたんですが……
| とにかくドイツは、次の戦争では戦車という存在が重要なファクターになると確信します。
| 戦車ってのが単なる歩兵支援兵器だった時代に、ドイツはそういう結論に至ったんですよ。
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    | じゃあ、イギリスやフランスは戦車を余り重要な存在とみなしてなかったって事か?
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         | 講義で述べた通り、第一次世界大戦における戦車の活躍はさほど大きいものじゃなかった。
         | 便利な兵器である事は確かだが、陸戦の主役なんてとてもとても……ってとこだな。
         | 皮肉な事に、戦車を実際に運用したイギリス・フランスではなく、
         | 戦車と真っ向から戦ったドイツ側が、その潜在性に気付いたんだ。
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| しかし、ドイツは戦車の開発を禁じられていました。そこで目を付けたのが、国際社会から孤立していたソ連。
| 苦しい立場の者同士が接近し、軍事同盟を極秘裏に結んだんです。
| ドイツはソ連領地内で戦車の開発や生産、訓練を行い……
| ソ連はドイツから優れた軍事技術を学び、卓越した戦闘センスが生み出す戦闘思想を教わる。
| 完全なギブ・アンド・テイクが成り立っていたんですね。
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 ・ラッパロ秘密協定(1922年)
  ドイツとソ連の間で結ばれた秘密協定。
  これによりドイツ士官は旅行者という名目でソ連に入り、ソ連兵士を指導。
  その見返りとして、ドイツ軍はソ連内の演習場や研究施設を使用できた。
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    | ドイツとソ連って、第二次世界大戦で激突したんじゃなかったっけ?
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         | 第二次世界大戦初期までは、紆余曲折ありつつも仲が良かったみたいな感じだ。
         | 政治的な話はともかく、軍部同士の交流となると。
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| そしてドイツに、画期的な理論を携えた1人の軍人が登場します。彼の名は、ハインツ・グデーリアン。
| 彼は、「戦車の集中運用」という戦術・戦略思想を唱えたんですよ。
| 後にグデーリアンは、「ドイツ装甲部隊の父」と呼ばれる事になります。
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    | 「戦車の集中運用」……? アメリカがやった、戦車部隊の創設とどこが違うんだ?
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         | アメリカの「戦車部隊」ってのは、言葉の通り戦車だけの部隊だ。
         | だが、戦車だけを集めるのもまた間違いなんだよ。
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| 戦車ってのは――突破力は凄まじいですが、防御に回ると脆いという一面があるんですよ。
| 当然ながら戦車の装甲は凄まじいものですが、ドイツは対戦車兵器や野砲を駆使して幾多の戦車を狩ってます。
| 戦車群と歩兵群が分離してしまい、大被害を出した「フレスキエルの砲手」の話を思い出して下さい。
| 邪魔をする敵歩兵がいないおかげで、ドイツ砲兵は突っ込んでくる敵戦車を余裕を持って狙い撃ちできました。
| つまり、戦車のみの単独運用は非常に危険なんですよ。
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 第一次世界大戦における、ドイツ軍の対戦車戦法
 1.手榴弾による肉薄攻撃
 2.対戦車兵器の開発
 3.野砲の直接射撃
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    | なるほど。戦車と歩兵が離れるとヤバい事は、実証されてたんだな。
    | 戦車ってのは視界が狭いから、物陰に潜む対戦車兵器とかに弱いんだったっけ。
    | 防御力は高いけど、ザキとかですぐ死ぬ戦士みたいだな。
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         | そういう対戦車兵器は、歩兵にぶっ壊してもらった方が助かるんだ。
         | この歩兵と戦車の協力の重要性は、現代においても全く同じだな。
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| そこでグデーリアンは、「戦車は歩兵を支援する」という常識を逆転させたんですよ。
| 戦車を主力として集中運用し、その凄まじい突破力を生かして敵陣を粉砕。
| そして、その戦車の突撃を支援して対戦車兵器の破壊などを担当するのが歩兵。
| 「歩兵が戦車を支援する」という新しい運用思想――それが、「電撃戦」なんです。
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 ・グデーリアンの電撃戦理論
   戦車:前線移動砲台  → 機動戦・運動戦を行う為の主力
   歩兵:敵陣制圧の主力→ 戦車の支援
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    | 戦車が主兵力で、歩兵がその支援か……第一次大戦型の戦車運用思想と全く逆だな。
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         | 「電撃戦」の重要なところは、「戦車主・歩兵従」での混成部隊の存在。
         | 従来の「歩兵主・戦車従」でもないし、アメリカがやった「戦車単独」でもないんだ。
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| 必然的に、「歩兵」と「戦車」という移動スピードが異なる者同士が混成される訳ですが……
| 当時の戦車でも時速30kmは出るので、歩兵が追いつくのは不可能。
| かといって戦車が歩兵の移動スピードに合わせれば、戦車の最大武器である突破力が死んでしまいます。
| なんとしても歩兵は戦車に追いついて貰わなければ、「電撃戦」自体が机上の空論になってしまいますね。
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    | 戦車って、以外に速いんだな。
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         | 戦車を鈍重だと思ってる者も多いが、現代の戦車だと時速50〜70kmは出るぞ。
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| こうして、戦車の移動速度に追いつける歩兵……「機械化歩兵」が出現します。
| 機械化歩兵というのは「ナチスの科学力は世界一ィィィィ」と叫ぶあの人の同類ではなく、車に乗った歩兵のこと。
| 行軍時は戦車に追随してトラックなどの車で移動。いざ戦闘となると下車し、戦車を支援して戦うんですね。
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    | 機械化歩兵……夢が広がりんぐなネーミングだな。
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         | 結局のところ、機械化歩兵とは戦車に追随できる歩兵なんだ。
         | 自動車化歩兵という類語もあるが、この講義において厳密には区別しない。
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| この機械化歩兵の「車」も当然ながら軍用車であり、軽装甲や軽武装が施されています。
| これを、装甲兵員輸送車と呼びますね。
| これで歩兵は戦場まで向かい、場合によっては乗車したまま戦闘を行いました。
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 ・sd.kfz.251装甲兵員輸送車
  戦車と行動を共にするという意図で開発された装甲兵員輸送車。
  1両につき8人が輸送でき、歩兵の友として大戦全期に渡って大活躍した。
  7.92mm機関銃が2丁(3丁バージョンも存在)取り付けられているので、乗車戦闘も可能。
  ロケット砲搭載型や対戦車砲搭載型、火炎放射型も存在し、歩兵に強力な火力を与えた。

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    | つまりは、戦場から戦場へ移動する為の「足」だな。
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         | 同様の「歩兵の移動手段」は、アメリカやイギリスにもあった。
         | ドイツの機械化歩兵のブッ飛んだところは、乗車したままの戦闘も視野に入れてる点だ。
         | 戦場までのタクシーであり、敵陣を駆ける歩兵兵器でもあったんだよ。
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| また装甲兵員輸送車と似たタイプの車両として、装甲偵察車というのもありました。
| 最初は偵察任務に装甲兵員輸送車を用いていたんですが、徐々に偵察専用車として装甲・武装が強化。
| ここで紹介しているプーマは、大戦後期に登場した装甲偵察車です。
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 ・sd.kfz.234/2重装甲偵察車プーマ
  5cm砲を搭載した装甲偵察車。装甲も厚く、偵察任務に活躍した。
  なお「プーマ」は愛称で、制式名称ではない。

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    | こういうのが、敵陣周辺を偵察に行ったりするんだな。
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         | 普通の偵察任務はもちろん、相手の強さを測るために軽く攻撃を仕掛けたりもした。
         | こういうのを、「威力偵察」と言うんだ。
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| 戦車、機械化歩兵、機械化砲兵(詳しくは後述)などを混成した装甲部隊……
| グデーリアンは、この機械化混成部隊の必要性を訴えたんですよ。
| 歩兵や砲兵などのあらゆる兵科が戦車と同じスピードで移動でき、それらを1つの部隊として運用する事。
| これが「電撃戦」のポイントであり、「戦車の集中運用」っていう意味なんです。
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    | 単に、戦車を集めて部隊を作っただけじゃなかったんだな。
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         | 何度も言うが、戦車を中心とした「兵科混成」という点がポイント。
         | この「電撃戦」が、第二次世界大戦において猛威を振るう事になる。
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| しかし当時のドイツでも、グデーリアンの「電撃戦」理論に反対する者が多い状況でした。
| 普通ならこのまま潰されていたであろうグデーリアンの理論を大いに評価し、彼を後押しした人物……
| それは世界で最も有名な独裁者、アドルフ・ヒトラーでした。
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 「これだ! これこそ私の欲しかったものだ!!」
          ヒトラー、グデーリアンが行った演習を見学して
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    | なんと、あのヒトラーが。
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         | イギリスやフランスにも、「戦車の集中運用」って考えを持った者は少数ながら存在したが……
         | それらの意見は一笑に付され、各国陸軍に反映される事は無かった。
         | グデーリアンも同じ道を歩むところだったが、ヒトラーにその理論の先進性を認められたんだ。
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| ヒトラーがドイツ再軍備宣言を行った翌年に、ソ連との秘密協力関係も解消されます。
| ソ連軍が、ドイツ士官の指導の下で得たものは非常に大きかったんですが……
| ソ連の指導者スターリンが軍部の重要人物の首をトバしまくり、まともな用兵理論を学んだ者が全滅。
| この大粛清によって、ソ連の戦車運用も含めた軍事思想は一気に後退します。
| ソ連軍はこのまま第二次世界大戦に突入し、ドイツ軍と相対する事になるんですね。
| 結局のところ、戦間期の戦車運用思想に関してはドイツだけが何歩も先を行っていました。
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 ・戦間期のソ連陸軍の歩み
  ドイツに匹敵する(上回る?)機甲部隊 → (陸軍幹部粛清) → 戦車は歩兵の支援兵器に
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    | 見事に、第一次世界大戦の思想に逆戻りだな。
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         | 特に、「赤いナポレオン」と呼ばれたトハチェフスキー元帥が処刑されたのは大きかった。
         | 陸戦理論なら世界でもトップクラスの人物だったんだがな。
         | 彼を失ったことにより、ソ連陸軍は何年も立ち遅れたと言っても過言じゃない。
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| ではここで、ドイツを中心とした戦前〜第二次大戦中における陸戦車両の発達を講義するんですが……
| その前に、砲弾の性質について解説しておきましょう。主に陸戦を語る上で重要なのは、板書した2種類。
| この「徹甲弾」と「榴弾」は、同じ砲弾でも性質が全く異なるんですね。
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 ・徹甲弾:装甲を貫く為の砲弾。装甲目標相手には力を発揮するが、歩兵集団などへの効果は低い。
 ・榴弾:着弾地点を中心に爆発が起き、爆風や弾片で周囲を攻撃する砲弾。
      歩兵集団をまとめて吹き飛ばす時に便利だが、装甲目標への効果は低い。
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    | RPGで言うなら、攻撃属性が違うって事か。
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         | 歩兵集団に徹甲弾を撃ち込んでも、大きな効果は期待できない。
         | まあ装甲を貫く為の砲弾なんだから、直撃を食らった奴はグチャグチャになるだろうが。
         | そして、戦車とかに榴弾を撃ち込んでも、装甲を貫通できない可能性が高い。
         | だから戦車を狙う砲には徹甲弾を使い、歩兵支援の為の砲には榴弾を使うってのが適材適所。
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| また、兵科についてももう一度確認しておきます。どこの国の軍でも、兵科によって派閥ができるもの。
| まるで大学のクラブ活動のように予算を取り合ったり、備品を我が物だと主張したり……
| そこら辺のいがみあいがきっかけで、軍事的に不合理な事がまかり通る事もザラ。
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 装甲科:戦車を運用し、敵に機動戦を仕掛ける陸戦の主役。
 歩兵科:戦車をサポートする柔軟な兵科。
 砲兵科:後方から砲撃支援を行う兵科。
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    | 派閥か……
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         | 板書の説明は、ドイツでの話な。
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| ここで「電撃戦」というソフトは置いといて、「ドイツ戦車」というハードを見ていきましょう。
| 第二次大戦前〜大戦初期、ドイツの戦車技術はイギリスやフランスよりも遥かに立ち遅れていたんです。
| 大戦勃発5年前の1934年から生産が開始されたI号戦車は、非常に頼りないものでした。
| ……と言うか、そもそも訓練用の戦車なんですけど。
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 ・I号戦車
  1934年、訓練用に開発された戦車。
  これまでドイツが開発した戦車は、戦車開発禁止の手前「トラクター」を名乗っていた。
  よって、この戦車が第一次大戦後のドイツ戦車第1号となる。
  主武器は7.92mm機銃が2丁のみで、装甲は悲しいほど薄い。
  翌年にはエンジンが強化されたB型が登場したが、それでもやはり……

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    | なんか、見た目からして弱そうだ……
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         | 同時期の他国戦車と比べても、比較にならないくらいショボい。
         | しかしドイツは、この戦車を第二次世界大戦に投入せざるをえなくなるんだ。
         | あのグデーリアンも、「まさかこの戦車を実戦で使う事になろうとは……」と嘆いたぐらい。
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| さらにドイツは5cm砲や7.5cm砲を搭載した戦車(後のIII号・IV号戦車)の開発を始めるんですが……
| かなりの時間が掛かる事が予想される上、その期間をI号戦車のみで乗り切っていくのは不可能。
| そこで、III号・IV号戦車が登場するまでの場繋ぎになる戦車が急遽開発されます。
| それが、II号戦車。I号戦車より性能は優れてるんですが、しょせん場繋ぎは場繋ぎ……
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 ・II号戦車
  I号戦車とIII・IV号戦車の繋ぎとして、1937年から生産が開始された。
  主武器は20mm機関砲と非常に貧弱で、同時期のイギリス・フランス戦車に比べて見劣りがする。
  また装甲も薄く、「ドイツ戦車は防御力が低い」と言う事実を露呈した。

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    | やっぱり、どこか頼りないなぁ…
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         | 主砲が戦車砲じゃなく機関砲だしな。
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| そして、1937年にはIII号戦車とIV号戦車がほぼ同時期に完成します。
| まずは、主力戦車となるべく開発されたIII号戦車から。
| 必要とされる時期に数が揃わず、数が揃ってきた時期には時代遅れとなっていた悲しい兵器です。
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 ・III号戦車
  主力戦車となるべく計画されたが開発が遅れに遅れ、数が揃わないままに開戦。
  ソ連戦の頃にはようやく主力レベルに数が揃ってきたが、ソ連のT-34に歯が立たなかった。
  だが、北アフリカでのイギリス軍との戦いでは、そこそこ活躍している。
  主砲は5cm砲(当初は3.7cm砲)だが、戦争中盤以降に登場した最終生産型では7.5cm砲を採用した。

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    | ドイツ戦車は物凄いってイメージがあるんだけど、実はショボかったのか?
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         | こういう、他国に追い付け追い越せの期間もあったって事だよ。
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| そして、III号戦車と同時期に完成したIV号戦車。
| III号戦車は対戦車戦闘の主力であり、IV号戦車はIII号戦車では破壊できない目標を撃破する存在。
| つまりIII号戦車のサポートであり、そもそもは対戦車戦闘は考慮されてなかったんですね。
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 ・IV号戦車
  7.5cm砲を搭載し、主力であるIII号戦車のサポートの為に開発された戦車。
  しかしIII号戦車ではソ連戦車に太刀打ちできず、実質上の主力戦車となる。
  大戦全期に渡りドイツ陸軍を支えた戦車で、生産数もドイツ戦車中最も多い。

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    | 写真左・真ん中と右、主砲の長さが違わないか…?
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         | 良いところに気付いたな。
         | もともとIV号戦車は対戦車戦闘が考慮されてなかったから、短砲身の7.5cm砲が採用されてた。
         | でもそれじゃやっていけなくなったんで、対戦車戦闘に優れた長砲身7.5cm砲に強化されてる。
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| こうして、第二次世界大戦が始まる前にI〜IV号戦車が完成したんですが……
| III号・IV号戦車は全く数が揃わず、I号・II号戦車がドイツ装甲部隊の主力となっています。
| 後、他国からゲットした戦車も有効活用したんですが、ここでは触れません。
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 ・開戦時のドイツの所持品
  I号戦車:1400両
  II号戦車:1200両
  III号戦車:100両
  IV号戦車:200両
  チェコからゲットした戦車:250両
  グデーリアンの「電撃戦」構想:Priceless
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    | I号・II号戦車って、イギリスやフランスの戦車より性能が大きく劣ってたんだろ?
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         | ハード面では、ドイツに全く優越性は無かったと言ってよい。
         | それでもポーランドやフランスを圧倒できたのは、ソフト面の優越……「電撃戦」の存在なんだ。
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| 第二次大戦初期の戦い……ポーランド戦やフランス戦などで、ドイツは「電撃戦」を展開しました。
| 歩兵や砲兵が戦車と同じスピードで移動し、まさに電撃のように敵を叩き潰したんです。
| 板書したうち、1と2の項目はすでに解説済みですね。
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 電撃戦の重要ファクター
  1.戦車、歩兵、砲兵の混成部隊
  2.歩兵、砲兵の機械化
  3.作戦重点形成
  4.攻撃速度の維持
  5.空地共同
  6.委任戦術
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    | 歩兵の機械化は聞いたが、砲兵の機械化は解説してもらってないぞ……?
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         | まあ、ちょっと待ってくれ。
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| 3の「作戦重点形成」ってのは、解説が非常に難しいですね。
| 要は敵陣の弱点を見つけ出し、そこを重点的に攻めるって事です。
| さらに戦況に応じて、突破や包囲を巧みに用いたんですよ。
| ちなみに、この「作戦重点形成」の実行には6の「委任戦術」が欠かせません。
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 電撃戦の重要ファクター
  1.戦車、歩兵、砲兵の混成部隊
  2.歩兵、砲兵の機械化
  3.作戦重点形成
  4.攻撃速度の維持
  5.空地共同
  6.委任戦術
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    | なんだ、簡単じゃないか。
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         | 「言うは易し、行なうは難し」の典型なんだけどな。
         | 地面に「ここが弱点です」って書かれてる訳じゃないから、戦況を即座に分析しなきゃならない。
         | 「作戦重点形成」に関しては「浸透戦術」の解説が欠かせないんだが、ここでは割愛させてもらう。
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| 4の「攻撃速度の維持」ってのは、とにかく素早くって事ですね。
| 「電撃戦」は各所で硬直状態に陥っていた第一次世界大戦の戦訓を踏まえているんですよ。
| 同じテツを踏まないように機動戦を重視し、短期決戦に持ち込む……
| その実現の為に「攻撃速度の維持」が重視され、それには2番の手段が必要なんですね。
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 電撃戦の重要ファクター
  1.戦車、歩兵、砲兵の混成部隊
  2.歩兵、砲兵の機械化
  3.作戦重点形成
  4.攻撃速度の維持
  5.空地共同
  6.委任戦術
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    | そして、電撃のように敵を圧倒したんだな。
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         | 相手が対応しきれないほどの速度。
         | 戦場と戦場の間の行軍も無茶苦茶に速く、敵国内を駆け巡ったんだ。
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| 5の「空地共同」ってのは、空軍との密接な連携を重視する事。
| 空からも、ドイツの急降下爆撃機が「電撃戦」を支援したんですよ。
| 敵砲兵を率先的に潰したり、敵の重要施設を破壊したり……
| ドイツ空軍は、とにかく機甲部隊が戦いやすい環境を整えたんですよね。
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 電撃戦の重要ファクター
  1.戦車、歩兵、砲兵の混成部隊
  2.歩兵、砲兵の機械化
  3.作戦重点形成
  4.攻撃速度の維持
  5.空地共同
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    | 空軍も支援してくれたんだな。
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         | そもそもドイツ空軍自体、陸戦支援の為に発展したって一面もある。
         | 「電撃戦」ってのは、陸戦でありながら陸軍と空軍の共同作業なんだよ。
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| 6の「委任戦術」っていうのは…
| 敵の弱点を見抜いたり、攻撃速度を維持したりするには、上からいちいち指示を受けてちゃ間に合わないんです。
| 現場指揮官が即効で戦況を見抜き、ただちに命令を出し、とにかく迅速に行動するのが重要。
| その為に、それぞれの部隊指揮官にかなりの権限を委任したんですよね。
| つまり、その場の指揮官の判断で適切な行動が取れるんです。
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 電撃戦の重要ファクター
  1.戦車、歩兵、砲兵の混成部隊
  2.歩兵、砲兵の機械化
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  5.空地共同
  6.委任戦術
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    | いちいち、上に報告したり指示を仰いだりしなくてもいいんだな。
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         | 当然ながら……現場指揮官に無能な奴が多かったら、「委任戦術」は裏目に出てしまう。
         | その対策として、ドイツでは士官に一段階上の教育を施したんだよ。
         | 少尉なら中尉クラスの教育、中尉なら大尉クラスの教育って具合にな。
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| さらに、ドイツ陸軍は無線通信を重視してたんですよ。
| ドイツ戦車には全てに無線機が取り付けられ、各車が綿密に連絡を取り合っていました。
| だからこそ戦車同士の協力も非常に円滑に行われ、戦場で抜群のチームワークを見せたんですね。
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    | じゃあ……他国の戦車には、無線機が付いてなかったのか?
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         | その通り。フランスでは各戦車同士の連絡に手旗信号を使っていたんだよ。
         | 各戦車や航空機が連携して攻めてくるドイツ軍に対し、フランス軍はてんでバラバラ。
         | 戦車の性能ならフランスが上回っているにもかかわらず、ボロ負けしちまった。
         | ……っても、一般で思われてるよりもドイツ陸軍の損害は大きかったんだが。
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| また連合側の戦車は3〜4人乗り(フランスは3人)がスタンダードなのに対し、ドイツ戦車は5人乗り。
| 車長、砲手、操縦手、装填手、無線手の5人に戦車戦闘が分担されていたんですよ。
| 以外に目立たないところですが、これもドイツ陸軍圧勝の要因の1つですね。
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 ・ドイツ戦車の乗員達
  車長:戦車の行動を指揮する。
  砲手:敵に狙いをつけ、砲を発射する。
  操縦手:戦車の操縦を行う。
  装填手:主砲に砲弾を装填する。かなりの力仕事。
  無線手:無線機のやり取り。
   ※連合国の戦車は、車長が砲手や無線手を兼ねていた。
     というよりも、概念的に「車長」という役割が存在しなかったと言ってよい。
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    | 5人いれば、戦車が強くなるのか?
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         | 3人でやってた仕事を5人で分担出来るんだから、全然違ってくる。
         | 中でも、「車長」という役割が独立したのは大きいな。
         | 他の仕事にわずらわされず、戦車の指揮のみに専念できるんだ。
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| さらにドイツ軍は、指揮戦車というものを用意していました。
| これは指揮官用の戦車で、砲塔にツノが付いたり派手な色でカラーリングされていた――
| ――という訳ではなく、他の戦車よりも強力な無線機が搭載されていました。
| しかし強力な無線機はその分デカく、これらにスペースを圧迫されて武装は少なめ。
| 前線で戦場を眺め、「○○部隊、突っ込め!」とか「××部隊、待機!」とか命令を出しまくる戦車でした。
| こういうところを重視したおかげで、ドイツは自国よりも強力な戦車を持つフランスに勝てたんです。
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 ・指揮戦車
  指揮官用の戦車で無線機能が強化されているが、武装は控えめ。
  I号戦車やIII号戦車がI号指揮戦車やIII号指揮戦車に改造された。
  III号指揮戦車は、砲塔そのものがダミーである。
  ドイツ戦車が大型化するにつれ、特別な改造なく大きな無線機を搭載するのが可能に。
  そうなると、この種の指揮戦車は開発されなくなった。
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    | ダミーの砲塔……? なんでそんなの載っけたんだ?
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         | 他のIII号戦車と区別できなくするため。
         | ダミーでも砲塔っぽいの付けとかないと、偉いヤツが乗ってる戦車だってバレるだろうが。
         | III号戦車の実質の武装は、機関砲のみだった。
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| こうして、ドイツはポーランドやフランスを次々に破り、ヨーロッパのほぼ全域を手に入れるんですが……
| ここで、戦車以外の車両の話をしましょう。この時期、ドイツ砲兵が扱っている大砲はこんな感じでした。
| 破壊力は、当時の一般的な戦車砲よりも強力です。
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・sIG33
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    | まさに、見たまんま大砲だな。
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         | 繰り返すが、砲兵は後方から支援砲撃を実行するのが任務。
         | 第一次大戦中は、前線に引っ張り出されて対戦車戦闘をやった事もあったが。
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| このsIG33、当然ながらメチャクチャ重いです。これまでは馬や車で引きずって運んだんですが……
| 移動する時に便利なように、余ってた戦車の車体に大砲を載せてみたんですよ。
| すると、こうなってしまいました。
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・sIG33+I号戦車の車体
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    | うおお! ドイツ流のやっつけ仕事だな…!
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         | とんでもなく不恰好になったが、これで移動は格段に楽になった。
         | なんせ、今まで苦労して運んでた大砲が自分で走ってくれるんだからな。
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| そう、これが「自走砲」なんです。
| あくまで砲兵に属する支援砲撃兵器ですから、(原則的には)戦車と違って前線に突っ込んでいかない事に注意。
| それでいて戦車と同等の速力を持っているので、行軍時に置いていかれるということもありません。
| この「機械化砲兵」も、「電撃戦」を実行する重要な要素となるんですよ。
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 ・自走砲
  自走する能力を持った大砲。
  榴弾砲(榴弾を撃つ大砲)が自走した場合は「自走榴弾砲」に分類され、
  対戦車砲(徹甲弾を撃つ大砲)が自走した場合は「対戦車自走砲」に分類される。
  元来は、後方からの砲撃支援が任務。目標を面で制圧する事を主眼としていた。
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    | これこそ、まさに移動砲台なんだな。板書の「元来は」ってどういう意味だ?
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         | 徐々に、「後方からの砲撃支援」っていう型通りの使い方のみじゃなくなっていったって事だ。
         | まあ、すぐに分かるさ。
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| 上のI号33型自走砲(sIG33+I号戦車)の写真を見れば分かる通り、どう見ても砲塔は回りません。
| 戦車と違い、自走砲は正面にしか砲弾が撃てないんです。
| その分、砲の威力は戦車より自走砲の方が遥かに強力。
| 見方を変えれば、「砲塔を旋回させる機能」を諦めて砲の破壊力をアップさせたと見る事もできるでしょう。
| これが、「旋回式砲塔=戦車」、「非旋回式砲塔=自走砲」の意味なんです。
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 ・能力比較
  戦車:砲の威力は弱め、砲塔が旋回する。
    →得意:前線で、バリバリの運動戦(敵の背後に回りこんだり)が可能。
      苦手:基本的に万能だが、あんまり後方から射撃しても届かなかったり。

  自走砲:砲の威力が強め、砲塔が旋回しない。
    →得意:後方から、強力な砲弾を敵陣にガンガンブチ込める。
      苦手:砲塔が回らないので前方にしか攻撃できず、防御力も低いので、前線には出れない……
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    | なるほど。運用は全く異なるんだな。
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         | だが実際のところ、自走砲が前線に出なきゃならないことも多かった。
         | 戦車では壊せないような相手を撃破しに向かったり、戦争後半では戦車自体が不足したり……
         | 兵器開発と現場運用のギャップだな。
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| 戦車と自走砲ってのは、出発点は全く異なってるんですよ。
| 互いに進化して酷似した形状になったのは、キャタピラ+砲ってスタイルが陸戦兵器の理想だからなんです。
| これは、現代においても変わってはいませんね。
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・戦車の進化

 
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・自走砲の進化

 
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    | 出発点は異なれど、段々似た形に進化していったってことか。
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         | なお、自走砲の車体部分は古くなった戦車の車体が使われた。
         | 自走砲ってのは、旧式戦車のリサイクル的要素もあるんだ。
         | 「砲塔旋回機構を捨てる代わりに、より強力な砲が積める」って事だな。
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| まあとにかく……ドイツの繰り出す「電撃戦」の前に、陸戦王国フランスは早過ぎるリタイア。
| 以後はドイツVSイギリスの海峡を隔てた航空戦が始まるのですが、これは省略。
| その結果、イギリスへの侵攻を諦めた(正確には延期)ドイツは、ソ連に攻撃を仕掛けます。
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    | なんで、ソ連…?
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         | ここら辺の経緯は、今回の講義の主題から外れるので省略。
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| こうしてソ連に侵攻したドイツ機甲部隊でしたが、そこで凄まじい強敵に出会いました。その名もT-34。
| このソ連が開発した戦車は、強力な攻撃力を誇り、なおかつドイツ戦車の砲弾をものともしませんでした。
| III号戦車ではまともに太刀打ちできず、IV号戦車がかなり接近してようやく破壊できる程です。
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 ・T-34
 大戦間を通じて主力を務めたソ連の傑作戦車であり、「モスクワの守護神」、「鬼戦車」などの異名を取る。
 当初は76.2mm砲を搭載していたが、後に85mm砲を載せたタイプも登場する。
 この戦車と相対したドイツ軍の衝撃は大きく、「T-34ショック」と呼ばれた。
 ちなみに、現代においても発展途上国の紛争で用いられたケースがある。

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    | そんなに凄まじい戦車だったのか。
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         | 戦車は強力でも戦い方がタコだから、なんとかドイツはソ連に対して優勢だったんだ。
         | それでもドイツ陸軍内部では、T-34に勝てる戦車が切望されるようになった。
         | こうしてT-34を研究し尽くした結果完成したのが、後に紹介するV号戦車パンターなんだ。
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| またフランス戦の時期、ドイツにおいて新しいタイプの戦闘車両が登場します。
| グデーリアンによって、戦車は「歩兵支援兵器」から「機動戦の主力」となったのは散々に解説しました。
| これは同時に、従来の「歩兵支援兵器」が消失したと言う事を意味しています。
| そこでドイツは、前線で歩兵を支援する兵器を開発したんですよ。それが、「突撃砲」なんです。
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    | 前線で歩兵を支援する兵器……? それ、第一次世界大戦型の戦車じゃないか?
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         | その通り。歩兵に混じって敵陣に突っ込み、暴れ回る……従来の戦車そのものだ。
         | ドイツ軍では戦車にそんな役割を持たせなかったから、代わりにやるヤツが必要になったんだよ。
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| この「前線歩兵支援」という任務をこなすのに必要なのは、近接用の火砲と重装甲。
| そこでドイツは、III号戦車の車体に7.5cm砲を搭載します。
| なおかつ車高が低くなるように工夫されてるから、見つかり難く、攻撃も当たり難いんですよ。
| こうして、III号突撃砲が完成しました。
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 ・III号突撃砲
  III号戦車の車体に短砲身7.5cm砲を搭載した、自走する歩兵支援砲。
  歩兵支援や対戦車戦闘に活躍し、自身の能力だけでなく「突撃砲」という兵器の便利さそのものを証明した。
  以後は、IV号突撃砲やブルムベアなどに発展していく。

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    | これも、砲塔は回転しないんだな。
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         | 運動戦は行わないから、旋回砲塔は必要ないんだよ。
         | 突撃砲ってのは、「戦う車」じゃなくて「突撃する砲」なんだ。
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| 突撃砲や自走砲は砲塔が回らないので、素早く狙いを付ける事は不可能……というのが原則。
| しかし、ドイツ人は戦闘民族。車体のみの神業的操作で、正確に敵に狙いをつける者もいたんです。
| 戦場において、必ずしも兵器開発意図通りの運用が行われていたとは言えませんでしたね。
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    | とんでもないな、ドイツ人。
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         | あいつら、病的に凝り性だから…
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| そして対ソ連戦では、突撃砲が対戦車戦闘において予想外の活躍を見せます。
| これを喜んだドイツ軍は、突撃砲を対戦車専用に特化させていく事になりました。
| ……まあ、対戦車兵器が足りなかったんで突撃砲を戦車戦に投入せざるをえなくなった、とも言えますが。
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    | 「対戦車自走砲」とカブらないか?
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         | 「突撃砲」が対戦車戦闘を意識し始めると、両者の性質はかなり似通ってしまったんだがな。
         | 対戦車自走砲はぶっちゃけ、二線級になった戦車車体に強力な対戦車砲を載せたリサイクル品。
         | 極論すれば、対戦車自走砲の役割は戦車で十分に代用できるんだよ。
         | ドイツがあれだけ対戦車自走砲にこだわったのは、ひとえに戦車不足から。
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| ゆえに一方のソ連は、この種の戦車代用兵器は特殊な現場改造品を除きほとんど作ってません。
| ソ連はひたすら戦車を大量生産してたから、この種の間に合わせ的な対戦車自走砲は不要だったんですね。
| 同様に、なぜか戦時中のソ連は自走榴弾砲にも手を出していません。
| この理由に関しては、よく分かっていませんが……
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「砲兵装備を自走化する必要をなぜソ連軍が感じなかったかは謎である。
 もし感じていればソ連軍に開発能力がないはずはなく、作る意図がなかったとしか考えられない」
                                             斎木伸生(軍事評論家)
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    | じゃあ、ソ連は全部戦車で代用してたのか……?
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         | 戦車の車体に強力な戦車砲を載せた、ドイツでいう駆逐戦車に相当するものも作ってたぞ。
         | これはドイツがやっていたように、不足する戦車の代替兵器って訳じゃない。
         | 戦車には載らないほどの大口径砲を搭載した、純粋に戦車狩りのための兵器なんだ。
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| ただソ連は、遠距離支援兵器として多連装ロケットランチャーを多用していました。
| これをトラックの荷台に積み、敵に向かってブチ込んだんですね。
| 命中率が非常に低いので特定目標を狙うのは不可能、あくまで面での制圧兵器。
| この種のロケット兵器は、ドイツ兵から「スターリンのオルガン」と呼ばれ恐れられています。
| BM-13カチューシャなどは、その代表的存在ですね。
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 ・BM-13カチューシャ
  132mmのロケット弾16発を一斉に撃ち出す発射機で、トラックの荷台に載せて運用する。
  遠距離からの支援砲撃時に使われ、ドイツ兵の頭上に鉄の雨を降らせた。
  戦争終盤まで大活躍し、戦後も後継兵器が作られ続けている。

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    | こんなのがズラリと並んで、一斉にロケット弾をぶっ放してくるのか。
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         | ドイツには、ロケット兵器としてネーベルヴェルファーやシュトルムティーガーがあるが……
         | ソ連のカチューシャほど派手には運用してないな。
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| ここまでに登場したドイツ戦闘車両をまとめると、こんな感じですね。
| 戦車・突撃砲・自走砲の3つは、役割分担が開発思想ほどはっきりしていませんでした。
| さらに登場時に期待されていた任務と、後に期待された任務が異なる事も多く……
| そこら辺が、熟練した軍ヲタでも混乱する所以ですね。
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 戦車:重装甲と機動性を生かし、縦横無尽の機動戦を展開。
     敵戦車との交戦もお手のもの。ただし砲撃が通じなかったら、どうしようもない。

 突撃砲:歩兵を支援し、重装甲を生かして敵陣へ突撃。砲塔が回らないので、正確な射撃は不可能。
      砲自体は強力なんで、とにかく大雑把に前方へガンガン撃て!

 自走砲:後方から強力な砲で攻撃。防御力が低い&砲塔が回らないので、前線での戦闘は不向き。
      にも関わらず砲の強力さだけを必要とされ、前線に引っ張り出されることも。
      主に「自走榴弾砲」と「対戦車自走砲」の2種類がある。

 指揮戦車:強力な無線機を搭載した、指揮官専用の戦車。

 装甲兵員輸送車:歩兵などを戦場に運んでいき、そして次の戦場に運ぶ為の車。
            最低限の装甲や武装は施されていて、乗車戦闘も可能。

 装甲偵察車:偵察を主任務とした装甲車で、装甲兵員輸送車よりも重装甲・重武装。
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    | 本当にややこしいというか、乱立しすぎと言うか……
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         | 上の3つは、戦場において型通りの運用がされない事も多かった。
         | ドイツが追い詰められていくにつれて、そういう傾向も拍車をかけ……
         | 大戦後半になると、開発側と運用側の思惑が完全に乖離してたな。
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| この当時のソ連の戦車は、旧式のT-26がほとんどでIII号戦車やIV号戦車でも充分に戦えました。
| ソ連最新鋭戦車であるT-34とKV-1は手が付けられないほどの強力でしたが、数が少なかったんですね。
| 強敵が数少なかったのと敵戦術が稚拙だったお陰で、ドイツはソ連の奥深くまで攻め込む事が出来ました。
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 T-26:この当時のソ連の主力戦車だが、既に旧式化。
 T-34:大戦を通じてのソ連の主力戦車だが、この時期に配備されていたのはごく少数。
 KV-1:T-34と同格の主砲と、それ以上の装甲を備えた重戦車。この時期に配備されていたのはごく少数。
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    | それでも、T-34には歯が立たなかったに近いんだよな。
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         | そうなんだ。今は良いが、こんなのが大量生産されたら……
         | ……と、ドイツ軍は戦慄したわけだ。
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| しかし徐々に凄まじくなるソ連軍の反抗を前にして、1941年の冬にドイツの進撃もストップ。
| 1942年の冬頃になると、いよいよドイツ軍が押し戻され始めました。
| 同時期には、ドイツ陸軍の象徴でもあるVI号戦車ティーガーが姿を見せ始めます。
| T-34やKV-1といった、これまで無敵を誇っていたソ連戦車をたやすく葬る怪物の出現に、ソ連は驚愕。
| しかし戦場の一部ではティーガーが鬼神のごとき働きを見せるも、なにぶん数が少なく戦況の打開は不可能。
| 勝ったと思っている奴等を教育してやるぐらいの事しかできませんでした。
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 ・VI号戦車ティーガー
  8.8cm砲という強力な砲を搭載し、凄まじいまでの装甲厚を誇る怪物戦車。
  生産性や整備性、機動性は劣悪だが、それらを犠牲にして余りあるほどの性能を誇る。
  なおこの戦車に対抗するため、ソ連のT-34に85mm砲搭載バージョンが登場した。

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    | VI号戦車…? V号戦車を飛ばさなかったか?
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         | 戦場デビューは、VI号戦車ティーガーの方が早いんだ。ちなみに敵との損失比率は約1:10。
         | つまり、こちらのティーガーが1両ぶっ潰れるまでに、敵戦車を10両ぶっ潰せる計算になる。
         | それでも、数の差は覆らなかったんだけどな……
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| 1943年になると、グデーリアンが装甲部隊に帰ってきます。
| 彼は1942年にヒトラーと意見が対立し、クビになってしまっていたんですね。
| 軍務に復帰したグデーリアンは、まず「突撃砲」に目を付けました。
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    | なんで、一度はクビにされたのに復帰できたんだ?
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         | 戦局が苦しくなってきたから、結局はグデーリアンに頼らざるを得なかったんだよ。
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| 「突撃砲」ってのは、原則的には砲兵科が所持する歩兵支援兵器なんですが……
| 戦場においては、対戦車戦闘に使われる事が非常に多かったんですよ。
| そんな状況を考慮したグデーリアンは、「突撃砲」を装甲科の所有物にした方が良いという結論を出しました。
| しかし、砲兵科がクビを縦に振る訳がありませんね。
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 グデ:突撃砲、装甲科にちょうだい。
 砲兵:「砲」って付いてる以上はワシラのもんじゃハゲ!!
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    | グデーリアンって、ハゲてたのか!?
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         | 薄めではあるが、ちゃんと生えてるぞ。
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| 「じゃあ、『砲』って付かなかったらいいんだろボケ!」とばかりに、グデーリアンは一計を案じました。
| 「駆逐戦車」という装甲科っぽい名前を編み出したんです。
| この「駆逐戦車」とは、砲塔が回転しない代わりに強力な砲を搭載した装甲車両……
| 結局のところ、「突撃砲」そのまんまなんですね。
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 ・駆逐戦車
  砲塔が回らない代わりに戦車よりも強力な砲を持つ車両で、性質としては「戦車」より「自走砲」に近い。
  運動戦は苦しいので、必然的に待ち伏せなどの戦法を多用する事になる。
  コストが戦車よりも安いため、戦車不足に苦しんだ装甲兵に重宝された。
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    | つまりは、いかにも役所的な言葉の言い換え……?
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         | まさにその通り。兵科間の縄張り争いの産物だ。
         | 「駆逐戦車」は、装甲科が所有した「突撃砲」って認識で問題はない。
         | 運用も性質も、非常に似通っているんだ。
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| 駆逐戦車の車体は、やはり既存戦車の車体を利用。
| 旧式化したチェコスロバキア製の38(t)戦車の車体に、7.5cm対戦車砲を載せてみました。
| こうして完成した駆逐戦車ヘッツァーは、非常に使い勝手のよい陸戦兵器でした。
| コストパフォーマンスの面から見ても、かなり優れていたんですね。
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 ・駆逐戦車ヘッツァー
  突撃砲と同じようなコンセプトで開発された陸戦車両。
  末期のドイツにおいて大量生産された優秀な兵器だが、戦局の挽回には至らなかった。
  この車種の登場には、連合軍の爆撃による工場破壊でIII号突撃砲が生産できなくなった事も関連している。

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    | なんか、見た目がカワイイな。
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         | このヘッツァーの成功で、ドイツ軍は駆逐戦車の有用性を確信した。
         | V号戦車の車体を利用したヤクトパンターやVI号戦車の車体を利用したヤクトティーガー……
         | そんな怪物達が次々と生み出される事になるんだよ。
         | 純粋に戦車狩りの任務を期待された他、不足する戦車の代替っていう意味合いもあった。
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| これら突撃砲や駆逐戦車など、ドイツ戦闘車両に刺激を受けたソ連も同種の兵器を開発。
| ただしソ連の駆逐戦車は戦車の代替といった観点は全くなく、純粋な戦車狩り専用でした。
| 主砲旋回こそできないものの、152mm榴弾砲などというバケモノを載せたSU-152が代表格でしょうか。
| 基本的にソ連は、旋回できない大型砲搭載タイプの車両は全て自走砲と呼称。
| この辺、非常にシンプルで分かりやすいです。
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 ・SU-152
  152mm榴弾砲を搭載した、ソ連製の駆逐戦車。
  その凄まじい攻撃力でドイツ戦車を圧倒し、「野獣キラー」の異名を取る。
  クルスク戦で大活躍し、以後もドイツの戦車を狩り続けた。

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    | あれ? 戦車狩りが専門なのに、対戦車砲じゃないの?
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         | この砲で用いたのは徹甲榴弾。VI号戦車ティーガーですら殺れるバケモノだ。
         | ティーガー(虎)、パンター(豹)、フェルディナンド(象)を狩ったので「野獣キラー」。
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| そんな1943年、クルスクにて史上最大規模の戦車戦が行われます。
| 結果的にドイツは後退し、東部戦線におけるソ連軍大反撃の開始となるんですが……
| このクルスク戦でデビューを飾ったのが、T-34を研究して造られたV号戦車パンター。
| しかし初陣では機械的トラブルが頻発し、爆発するはエンジンが火を吹くは……
| 敵に破壊されるより自滅の方が多いという、散々なデビュー戦を迎えます。
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 ・V号戦車パンター
  T-34の撃破を主眼に開発された戦車で、自身の設計にもT-34の影響を受けている。
  重戦車(重武装・重装甲・低機動)の色合いが強いVI号戦車に比べ、攻・防・速がバランス良くまとまっていた。
  初陣においては機械的トラブルで多数がリタイアしたが、解消された後は強力な戦車に。
  VI号戦車ティーガーと並び、ドイツ陸軍2枚看板の1つ。

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    | ここまで来ると、貧弱だった初期のドイツ戦車の面影はカケラもないな。
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         | ティーガーが重戦車の究極系なら、パンターは中戦車の究極系だ。
         | ドイツの一連の戦車の正当な進化系とも言えるな。
         | VI号戦車ティーガーは、一連の流れからちょっと離れた傍系なんだよ。
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| さて、ドイツ・ソ連陸戦車両の発展はこの辺にしておきましょう。
| 戦争末期にも様々な異形が現れるんですが、結局はゲテモノ兵器の域を出ないので。
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    | そんな事言うと、全世界に1億人はいるドイツ陸軍フリークに街灯へ吊るされるぞ。
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         | 首には「私は敗北主義者です」の札をブラ下げてな。
         | ……ってか、ケーニヒス・ティーガーの紹介も無しか。
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| さて、ドイツとソ連以外の国はと言うと……基本的に、ドイツの戦車運用思想をパクりました。
| こうして各国陸軍で、戦車・自走砲・駆逐戦車といった種類が花開きます。
| 各国ともドイツ軍とソ連軍の間で繰り広げられる陸戦を参考にしながら、自国兵器に取り入れていったんですね。
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    | 結局、ドイツの戦車発展を後追いしていったのか。
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         | 露骨にパクったのもあれば、研究の結果同じ結論に達したのもあるけどな。
         | 独ソ戦は、とにかく世界最先端の陸上兵器見本市だった。
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| まず、戦車発祥の国であるイギリスではどうか……?
| 軽戦車と重戦車の思想が、「巡航戦車」と「歩兵戦車」に発展していったのは前述の通り。
| これは明らかに間違った発想で、対戦序盤にドイツによってコテンパンにされてしまいます。
| 巡航戦車は防御力と攻撃力が、歩兵戦車には速度が致命的に欠けていました。
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 巡航戦車:軽戦車の(思想的)発展系で、下の歩兵戦車より比較的軽装甲。
        軽量であるが故の速度性能を生かして、偵察等の任務を行う。
 歩兵戦車:重戦車の(思想的)発展系。巡航戦車よりも鈍重な分、防御力が高い。
        従来の戦車のように、前線にて歩兵の支援を行う。
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    | 機動戦なんて、これっぽっちも考慮されてないよな。
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         | 当時は、ドイツとソ連以外はどこもこんなもんだが……
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| では、巡航戦車から見ていきましょう。
| 「速度はあらゆる武装・装甲に勝る」という理念の下に開発されていった戦車です。
| 速度UPのために火力も装甲も抑え、要は軽戦車と同じようなコンセプト。
| その巡航戦車の代表格がクルセーダーなんですが……
| 一発砲弾を貰っただけで、たちまち戦車兵の共同棺桶(3人用)になってしまう有様。
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 ・巡航戦車Mk.VI クルセーダー
  イギリス巡航戦車の代表格的存在で、スピードと引き換えに火力と装甲を犠牲にしている。
  その快速性は極めて高いが、敵戦車に砲撃が通じず、敵からの攻撃で一発炎上するなど散々。
  故障も多く、完全な失敗作と断じても過言ではない。

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    | こんなのが、巡航戦車の代表格……?
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         | イギリス戦車兵の評判も悪過ぎ、ってかもうクソミソ。
         | 普通に走ってても壊れるし、砲弾当てても敵はノーダメージだし、こちらが食らえば死亡決定だし。
         | どうしろってんだよ、これ。
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| そして、歩兵戦車。
| これは歩兵に混じって敵陣地に突撃し、暴れ回るというコンセプトの戦車です。
| とにかく頑丈で、その分スピードは完全に死んでいますね。また攻撃力も控えめで、その分防御力をアップ。
| さらに、歩兵を支援するのが主任務にもかかわらず、対戦車砲を搭載。
| ドイツの勇将ロンメルは「なぜ歩兵戦車という名なのに、歩兵支援用の兵装を持っていないのか?」と悩みました。
| なんか色々と不合理な戦車ではありますが、その防御力だけは本物でドイツ軍を苦しめています。
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 ・歩兵戦車Mk.II マチルダII
  歩兵戦車のコンセプト通り、装甲は非常に強力だが、その分速度は完全に犠牲になっている。
  また主砲は榴弾砲ではなく対戦車砲で、歩兵の支援や敵陣地の制圧には向いていない。
  しかしドイツのIII号戦車の砲撃すら通じないほどの防御力を持ち、ドイツ軍を大いに苦しめた。
  敵に回すと面倒だが、自分で使っていても面倒が多い不合理な戦車。

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    | なんか……手放しに褒められる戦車じゃない感じだな。
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         | 結局のとこ、巡航戦車と歩兵戦車に二本化するというコンセプトは完全に失敗だった。
         | イギリスはこれを反省し、攻撃・防御・速度の三要素を兼ね備えた中戦車を開発する訳だが……
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| そしてイギリスは、とうとう文句の付け所のない強力な中戦車を生み出しました。
| それが、巡航戦車センチュリオン。
| 巡航戦車という名前でありながら、攻撃・防御・速度を極めて高いバランスでまとめ上げた傑作戦車です。
| ただし、最初の量産車6両が軍に引き渡されたのが1945年5月。
| もうその頃には、ドイツは――
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 ・巡航戦車 センチュリオン
  従来の巡航戦車・歩兵戦車の思想を廃し、攻撃・防御・速度をバランス良くまとめた傑作戦車。
  しかし完成が1945年と極めて遅く、第二次世界大戦に貢献する事はできなかった。
  戦後、イギリスの主力戦車として活躍。各国に輸出され、様々な戦争で活躍している。

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    | 遅すぎた傑作戦車か。
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         | 朝鮮戦争で大活躍し、イスラエル陸軍は何度も改造を施して主力にしている。
         | 第二次大戦時の戦車というより、むしろ戦後第一世代の傑作戦車だな。
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| そんな訳で、大戦全期に渡ってイギリス国産戦車の性能は切ないものでした。
| そこでイギリスはアメリカから戦車をレンタルし、時には自国向けに改造して危機を乗り切ったんです。
| こうしてイギリス・アメリカ両国の主力となったのは、M4シャーマンという傑作戦車。
| ドイツやソ連の怪物戦車と比べれば、性能は劣るんですが……
| 最大の強みは、低コストとアメリカ流の合理主義から来る抜群の量産性なんですよ。
| なんか単純に性能だけ比べられて、不当なまでに低評価を受けている向きがありますが。
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 ・M4シャーマン
  アメリカが開発した、76mm砲を主砲とする中戦車。
  第二次世界大戦におけるアメリカ・イギリス両国の主力戦車となった。
  性能で言えばIV号戦車と同等程度だが、生産性が極めて高く、非常に故障も少ない。
  人間工学を重視し、拡張性も高く強化も容易と目立たない性能を秘めている。

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    | まさに、「偉大なる凡作」の名がぴったりだな。
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         | 「戦争の道具」という観点から見るなら、第二次大戦最優秀戦車と言っても過言じゃないな。
         | 戦争ってのは、兵器の性能比べじゃないんだから。
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| では次に、イギリスとアメリカの戦車以外の車両を見ていきましょう。
| まずは、後方からドガドガと敵陣地に砲弾を叩き込み、砲撃支援を行う自走榴弾砲から。
| イギリスは北アフリカでドイツの自走砲を見て、「いいなぁ、あれ欲しい!」という要望が持ち上がります。
| そこで完成したのは、バレンタイン歩兵戦車の車体に25ポンド砲を固定したビショップ自走榴弾砲でした。
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 ・ビショップ自走榴弾砲
  イギリスの開発した、バレンタイン歩兵戦車の車体に25ポンド榴弾砲を備えた自走榴弾砲。
  ドイツの自走砲を真似て開発されたが、主砲の射界が狭い、戦闘室が狭いなどの欠点があった。
  少数が生産された後、アメリカからM7プリーストのレンタルが決定したので生産中止に。

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    | 主砲の射界が狭いって……自走砲って、砲は全く動かないんじゃなかったか?
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         | 便宜上そう説明してきたが、自走砲の主砲もほんの少しは動くんだよ。
         | 戦車みたいに、360度旋回したりするのは不可能だけどな。
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| アメリカも欧州戦線でドイツの自走砲が活躍しているのを見て、ただちに同種の兵器を生産開始。
| M3中戦車の車体に105mm榴弾砲を備え付け、M7プリースト自走榴弾砲が完成します。
| さらにアメリカの工業技術を生かし、ガンガン生産してイギリスへプレゼントしました。
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 ・M7プリースト自走榴弾砲
  アメリカの開発した、M3中戦車の車体に105mm榴弾砲を備えた自走榴弾砲。
  後にM4シャーマンが完成すると、M7プリーストの車体もM4のものに変更されている。
  特筆する特徴はないが、極めて堅実でバランスの良い良品。

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    | いかにもアメリカらしい、非常に堅実に仕上げられた兵器だな。
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         | 以降もイギリスやアメリカは、互いに協力するように自走榴弾砲を生み出していくんだ。
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| では、今度は米英の自走対戦車砲(≒駆逐戦車)を見てみましょう。
| イギリスのアーチャー対戦車自走砲は、戦場で活躍した数少ないイギリス国産陸上兵器の一つ……
| しかし、これは間に合わせのつもりで戦場に送り出した兵器だったんです。
| 1941年、イギリスは強力なドイツ戦車に対抗するため、17ポンド対戦車砲という強力な対戦車砲を開発。
| しかし問題が……。この17ポンド対戦車砲はかなりデカく、これを砲塔に備えた戦車の開発は難航。
| そこで、既存の戦車車体にこの17ポンド対戦車砲を固定して備え付けよう、という事になります。
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    | 固定するって事は、戦車の砲塔のように旋回したりはしないんだな。
    | それ、自走砲そのものじゃないか。
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         | とにかくイギリスは、この17ポンド対戦車砲を前線に送り出したかったんだよ。
         | それまでのイギリスの対戦車砲じゃ、ドイツ戦車に歯が立たないからな。
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| そしてバレンタイン歩兵戦車の車体に、かなり無理をして17ポンド対戦車砲を搭載させました。
| 時間的余裕の問題でかなりのやっつけ仕事、バレンタインの車体もほとんど改造しない事に。
| 車体に備わっている戦闘室の配置をそのまま残すので、砲はなんと前後逆に設置されました。
| あくまで17ポンド対戦車砲を搭載した戦車が完成するまでの繋ぎ……そのつもりだったんですよ。
| こうして完成したのがアーチャー対戦車自走砲でしたが、これが思いの他に大活躍。
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 ・アーチャー対戦車自走砲
  バレンタイン歩兵戦車の車体に17ポンド対戦車砲を搭載した対戦車自走砲。
  車体を改良する時間的余裕がなかったため、砲を後ろ向きに搭載するという奇異な方法を取っている。
  完全に間に合わせの自走砲だったが、実戦においてはドイツ戦車キラーとして大活躍した。

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    | う、後ろ向き……? 砲が……?
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         | 左の写真だが、右側が前。右の写真だと、乗員はみんな車体の後方を向いている。
         | どう見てもゲテモノ兵器だが、これが意外に活躍したんだ。
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| 一方、アメリカにおける自走対戦車砲(≒駆逐戦車)ですが……
| アメリカはこの種のタンクキラーはそう重視していませんでした。
| ドイツの駆逐戦車は不足する戦車の代替要素が強く、ソ連は強力なドイツ戦車への対抗手段。
| しかしアメリカは戦車の供給は十分、おまけに航空機の支援爆撃を受ける事もできたんです。
| 実戦運用において、そんなに必要性の高い兵器ではなかったんですよ。
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    | ほほう。
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         | とは言え、アメリカも第二次大戦に少数ながら駆逐戦車を投入している。
         | それも、ドイツ・ソ連とは明確に思想が異なるタイプの駆逐戦車をな。
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| そんなアメリカですが、戦前・戦争初期は「戦車は歩兵支援」という思想が主流でした。
| そして対戦車戦闘は、駆逐戦車が担当するというスタイルだったんです。
| このアメリカ製駆逐戦車は、ドイツ・ソ連製とは思想がまるで異なるもの。
| 強力な砲を持ち、さらに砲塔がきっちり旋回しますが、その分防御力がかなり低めなんです。
| スピードも視界もドイツ・ソ連製駆逐戦車より優れてましたが、とにかく軽装甲ってか部分によっては無装甲。
| 典型的な待ち伏せ戦法用の車両であり、機動力を生かして歩兵支援にも駆け回りました。
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 ・M10駆逐戦車
  M4シャーマンの車体に無装甲の砲塔を搭載した駆逐戦車で、1942年から生産開始。
  ドイツやソ連の駆逐戦車よりも高速で砲塔の旋回も可能だが、防御力は非常に低い。
  また攻撃力もM4シャーマン中戦車より少し高い程度で、ドイツ戦車を相手にするには不足気味。
  とは言え機動力の高さは有用で、それなりに活躍したとも言える。
  後継は、M10を改良して強力な主砲を搭載したM36ジャクソン駆逐戦車。

 写真
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    | 役立たずって訳じゃなかったけど、ちょっと危なっかしいタンク・キラーだな。
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         | ってか、無装甲の砲塔は乗員にとって怖過ぎるぞ。
         | M10駆逐戦車はイギリスにもレンタルされたが、不足気味の攻撃力に閉口。
         | イギリス流の改良を加え、「アキリーズ」っていう駆逐戦車を完成させた。
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| 次に、ドイツの突撃砲に代表されるような歩兵支援車両の米英バージョンを見てみましょう。
| そもそも、イギリスにおける突撃砲は歩兵戦車そのものでした。
| 前線における歩兵支援兵器、そのコンセプトは歩兵戦車に完全に一致していましたからね。
| ドイツにおいては、突撃砲は対戦車車両化していったのは前述の通り。
| イギリスの歩兵戦車は、より攻撃・防御・速度をバランスよく備えた中戦車に発展していくことになります。
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 巡航戦車:軽戦車の(思想的)発展系で、下の歩兵戦車より比較的軽装甲。
        軽量であるが故の速度性能を生かして、偵察等の任務を行う。
 歩兵戦車:重戦車の(思想的)発展系。巡航戦車よりも鈍重な分、防御力が高い。
        従来の戦車のように、前線にて歩兵の支援を行う。
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    | ふむう……イギリスの歩兵戦車は、対戦車車両化しなかったのか?
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         | ドイツの突撃砲が対戦車車両化していった背景には、深刻な戦車不足があるんだ。
         | 結局のとこ、戦車の代替戦力だな。
         | イギリスやアメリカは戦車が十分に足りていたから、そっち方面の進化はなかった。
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| 代行ギコ君の言った通り、アメリカも専用の歩兵支援車両を必要とはしていませんでした。
| そんな仕事は、山ほどいるM4シャーマン中戦車がやれば済みますしね。
| ただM4シャーマンを前線へ送り出す以前は、ハーフトラックに火砲を載せたタイプを歩兵支援兵器にしてました。
| それでは流石に火力不足だってんで、M8自走榴弾砲ってのを開発・配備したりもしましたが……
| まあM4シャーマンが大量配備されると、専門の歩兵支援戦車は特に不要に。
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    | 結局、M4シャーマンで代替がきくのか……
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         | ドイツも戦争中期〜後期は、突撃砲に純粋な歩兵支援任務のみを期待してなかったしな。
         | 結局のとこ、戦車の安価な代替に過ぎなかったんだ。
         | 戦車があれば、それに越した事はなかったんだよ。
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| なお第二次大戦時のアメリカ兵器を語る際の注意としては……
| 連中は若干性能を落としてでも、量産しやすい兵器を開発するという事を忘れちゃいけません。
| 装甲厚やら砲威力やらのデータを比べて、「ドイツ戦車はアメリカ戦車より凄いんだど!!」なんてねぇ。
| 常日頃から言ってますが、兵器ってのはポケモンカードじゃありません。
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 各国の戦車生産数
  ・III号戦車(ドイツ):6000両
  ・IV号戦車(ドイツ):8000両
  ・V号戦車(ドイツ):6000両
  ・VI号戦車(ドイツ):2000両
  ・M4シャーマン(アメリカ):5万両
  ・T-34(ソ連):3万5千〜5万5千両(詳細数不明)
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    | 逆に言えば、ドイツは量産性を犠牲にしてでも性能を重視したって事か?
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         | それも良く言われるんだが……もともとドイツの軍事資源は少ないから、数に訴える事は出来ない。
         | なので「量」よりも「質」を重視し、少数精鋭主義に近い状態になったんだ。
         | 別に、好きで少数豪華主義に陥っていた訳じゃない……と思う。
         | でもドイツ人だから、病的な凝り性が高じた結果とも言えん事はないのが恐ろしい。
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| 代行ギコ君の言った通り、ドイツ陸軍は日本海軍と似た状態だったんですよね。
| 「量」では絶対に敵わないことが予測できるので、「質」で対抗する……
| それでも勝てないなら、旧式兵器でも工夫を重ねて用いる……
| 一線では通用しなくなった戦車の車体に、強力な砲を載っけたりね。
| ドイツの陸戦兵器が余りにも分化したのは、そこら辺の工夫と試行錯誤も一因なんですよ。
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 当然ながら、兵器が必要以上に分化するのは非効率的。
 特にドイツのように元々資源が少ない場合は、無駄なリソースの消費となる。
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    | 別に、ドイツ人が異常なまでに凝り性だったからじゃないのか。
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         | いや、それも大きいだろうが……
         | そこら辺も、悲しい事に日本海軍と似通ってるんだよな。
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| それに比べ、資源量でドイツを大きく上回るアメリカやソ連はというと……
| アメリカはM4シャーマン、ソ連はT-34を主力とし、1本に絞って大量生産を実現しています。
| ドイツは「あれがいい」「いや、これがいい」と手を広げていった結果、リソースを無駄に消費した感が有りますね。
| ただでさえ資源が少ないのに、さらに非効率的な事をやって、自分で首を絞めちゃった感じです。
| ……これ、日本海軍にも通じることなんですが。
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    | 大量に資源を持ってるアメリカやソ連は、効率的なやり方を実行したんだな。
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         | それは逆。効率的なやり方を心得てたからこそ、大量の資源を抱える国力を身につけたんだ。
         | 「アメリカは物量を頼みにした戦い方しか出来ない」なんて、負け犬の遠吠えでしかない。
         | なんで、アメリカはそれが可能なだけの物量を抱えているかを見るべきなんだ。
         | そういう戦場以前の段階で、日本やドイツは負けていたんだよ。
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| さて……周知の通りドイツは敗北し、まもなく第二次大戦は終わります。
| 陸戦兵器は余りにも細分化し過ぎ(主にドイツの仕業)、もはや陸軍の中の人ですら訳が分からない状態でした。
| 結局のところ、この辺の戦闘車両を完全にカテゴリー分類するのは不可能なんです。
| この講義では「何のために開発されたか?」を主眼にまとめましたが、他の見方も色々でしょう。
| 作った側の意図と使った側の意図が違うケースは多いですし、同じ兵器でも使われ方が変化していきましたし……
| この辺はややこしいというか、カテゴリー分けが定まっていないんです。
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    | 結局、これは突撃砲でこれは駆逐戦車だとか、きっちり区分される訳じゃないんだな。
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         | 例えば同じ駆逐戦車でも、ドイツとアメリカじゃ機構そのものが違うしな。
         | あくまで、慣習的に区分してるに過ぎない。
         | そもそも海外の資料じゃ、突撃砲と駆逐戦車を区分してないケースだって多いし。
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| また、大戦中にドイツが実証した事なんですが……
| 前線に出る戦闘車両は、敵戦車との戦いが避けて通れないようになりました。
| 「突撃砲」が結局は対戦車自走砲化したように、各車両とも戦車を意識した発展を遂げていきます。
| そしてその到達点は、いずれも似たようなものでしたね。結局は対戦車車両になってしまいました。
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    | 戦車も突撃砲も駆逐戦車も自走砲も、到達点は同じだったのか?
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         | 各種類が発展していったってより……意図的に統廃合を図ったってのが正解だな。
         | 大戦が終わって軍事費が縮小されると、様々な種類を揃える余裕が無くなったんだ。
         | 3種類の車両を10両ずつ持つより、1種類の車両を30両持った方が経済的なのは自明。
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| 自走砲というのは後方からの砲撃支援兵器ですから、全く趣が異なります。
| 問題は、戦車・突撃砲・駆逐戦車、あと重戦車や軽戦車など。
| 非常に微妙ながら、駆逐戦車的な役割を持つ車両は戦後しばらく生存を許されています。
| いらんヤツとか、他のヤツでも出来る事が主任務なヤツはリストラだぜ!!
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 ・各戦闘車両のこれから……
  戦車:こりゃ無くせんな。
  自走砲:これも削れんな。
  突撃砲:前線での歩兵支援も、戦車にやらせるって事で良くない?
  駆逐戦車:戦車よりも強力なタンクキラーは、まだ必要かも。
  重戦車:今の戦車、もはや重戦車みたいなもんだし……
  軽戦車:敵が戦車を持ってないのが前提の兵器だから、戦車全盛の時代には存在が不要。
  装甲兵員輸送車:これは任務が全然違う。必要。
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    | 自走砲の役割も、戦車にやらせる訳にはいかなかったのか?
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         | 自走砲に必要なのは、遥か後方から敵陣を砲撃できるほどの強力な火力。
         | これが出来るだけの大型砲を戦車に載せれば、戦車の機動性が完全に死んでしまうんだ。
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| こうして、細やかな使い分けによって多種類に分かれていた陸戦車両は1つの形に収斂。
| 残ったのは、駆逐戦車・重戦車などがこなしてきた任務をまとめて引き受ける戦車……
| これが現代の戦車である、「主力戦車(MBT)」なんです。
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 ・主力戦車(MBT:Main Battle Tank)
  第二次大戦時の駆逐戦車や重戦車に求められる能力を備えた戦車。
  当然ながら、従来の中戦車の能力は全く損なわれていない。
  いわば第二次大戦の戦訓を踏まえた、陸戦車両の到達点である。
  時代別に第1世代〜第3世代に分けられ、現在の主力戦車は第3世代に属する。
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    | 「中戦車+駆逐戦車(突撃砲)+重戦車=主力戦車」ってとこか。
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         | ややこしいが、「主力戦車」で1つの名詞な。
         | 今まで使ってきた、軍の主力になる戦車って意味での主力戦車とは意味が全く違うぞ。
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| そして、主力戦車は造られた時代によって第1世代〜第3世代に分けられるんですが……
| 戦後すぐ〜50年代に作られた主力戦車を第1世代主力戦車と呼びます。
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 第1世代主力戦車の特徴(必ずしも当てはまるという事はない)
  ・主砲の威力が90mm級
  ・光学式の測距装置(距離を測る装置)装備
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    | ティーガーの主砲が88mmだから……戦後には、すぐにそれを上回る戦車が現れたんだな。
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         | 実際の話、この第○世代ってのはしっかり定義されてるもんじゃないんだ。
         | 慣習的に言われてるものに過ぎないから、ちょうど間に属する戦車が存在したり……
         | 人によって、第2世代に入るとか第3世代に入るとか意見の分かれてる戦車もある。
         | 現在の戦車は、第3世代じゃなく第3.5世代に当たるという見解もあるしな。
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| アメリカの第1世代主力戦車は、M47やM48ですね。
| 朝鮮戦争に間に合わせる為に開発を急いだM47「パットン」には幾つか問題が発生。
| その後、じっくりと時間をかけて開発したのがM48「パットン」です。
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 ・M48「パットン」戦車
  1951年に完成したアメリカの主力戦車で、西側各国にも輸出された。
  いかにもアメリカの戦車らしく、堅実な能力を備えている。

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    | アメリカ印の良品なんだな。
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         | M48は、戦後型のアメリカ戦車第一弾だな。
         | 正確に言うとM47やM46があるんだが、これは第二次大戦型の延長に過ぎない。
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| 戦後の駆逐戦車は非常に微妙なんですが……タンクキラー的な車両は、いちおう存在しています。
| しかし対戦車ミサイルが登場すると、それらの車両も徐々に姿を消していきました。
| ここらへんはドクトリンの問題で、デリケートな話題なんですが……
| スウェーデンあたりで、駆逐戦車は生き残っていると言えん事もないです。
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    | そうなの?
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         | まあ、スウェーデンのStrv.103を何と表現するかは微妙。
         | 形状だけを見て、駆逐戦車とかいうのも乱暴な話し出しな。
         | とはいえ、まるで無関係な運用をする訳でもないし……
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| さて、主力戦車の話に戻りましょう。
| 第一世代主力戦車の登場から時が流れるにつれ、戦車砲の威力は増大していきます。
| 60年代ともなると完全に装甲の発展度を上回り、「矛」の威力が「盾」を遥かに越えてしまいました。
| こんな状況なら、貴方はどんな戦車を開発しますか?
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    | ええい! 当たらなければ、どうという事はない!
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         | 正解。防御力よりもむしろ、速度性能を重視したんだ。
         | 敵の砲弾は防ぐんじゃなくって、かわすもんだってな。
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| 防御力より機動力重視……
| そういう思想が盛んだった60〜70年代に作られた主力戦車が、第2世代主力戦車に分類されます。
| その特徴は、以下のようになりますね。
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 第2世代主力戦車の特徴(必ずしも当てはまるという事はない)
  ・105mm級の主砲を備える
  ・防御力よりも、機動性を重視
  ・暗視装置や射撃統制装置等の導入
  ・NBC防御を視野に入れる
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    | NBC防御…?
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         | 核兵器・生物兵器・化学兵器に対する防御。
         | むろん核兵器の直撃に耐えるとかじゃなくって、汚染地域に行っても中の人は大丈夫って感じだ。
         | 核兵器が実際に使われかねない世情を反映してたんだよ。
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| 第2世代主力戦車の代表格が、アメリカのM60「パットン」戦車やドイツのレオパルド1。
| M60「パットン」とは、「パットン」の名を冠したシリーズの最終形とも言える戦車です。
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 ・M60「パットン」戦車
  1959年にアメリカが採用した主力戦車で、例によって多くの国に輸出されている。
  当時最強クラスの戦車砲と、最先端の照準装置を備えた傑作戦車。
  アメリカでは80年代まで用いられたが、現在でも現役の国は多い。

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    | 50年代に開発された戦車が、現代でも用いられてるって……
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         | 第3世代主力戦車ってのは、非常に高価だから持てる国は限られてくるんだ。
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| ……しかし、後に「防げないのなら避ければいいじゃない」理論は大ゴケしてしまいました。
| イスラエルが、その身で「戦車における機動性は防御力の代わりにはならない」事を実証したんですよ。
| つまり、砲弾を機動性で避けるという考えは間違っていたんです。
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    | ……って事は、やっぱり防御力が重視される事になるんだな。
    | 「矛」の方が優れているバランスを、いかに「盾」でバランスを取るか……
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         | まあ第2世代主力戦車も、決して防御力が軽視されまくってた訳じゃないんだけど。
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| さて、主力戦車の話は置いておいて、機械化歩兵に必須だった装甲兵員輸送車の話をしましょう。
| 第二次大戦時に各国はこの種の「戦場のタクシー」を多用したんですが……
| ドイツだけは、乗車戦闘までを想定していた事は前に講義しましたね?
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 ・第二次大戦中の装甲兵員輸送車(APC:Armoured Personnel Carrier)
   アメリカ・イギリスなど:歩兵における戦場への移動手段。戦闘時は降りて戦う。
   ドイツ:単なる移動手段ではなく、乗車したままの戦闘も可能な歩兵兵器。
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    | ドイツは、装甲兵員輸送車を単なるアシとは思ってなかったんだったな。
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         | 余談だが、APCの訳語としては「装甲人員輸送車」の方が正しいんだ。
         | この講義では、慣習的に用いられている「装甲兵員輸送車」という訳語を使用しているが。
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| 戦後において、ドイツ流の装甲兵員輸送車の思想はスタンダードにはなりませんでした。
| 戦後も各国で新式の装甲兵員輸送車が造られましたが、いずれも乗車戦闘は考慮されてません。
| 最低限、自衛に必要な武装と装甲が用いられているのみです。
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 ・M113装甲兵員輸送車
  朝鮮戦争で用いられたM75、その低コスト版であるM59に続いて登場したアメリカの装甲兵員輸送車。
  非常に優れた車両で、ベトナム戦争でも活躍。世界各国に輸出され、西側の標準APCとなった。
  ちなみに、水に浮く。

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    | 良いものなのか。
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         | 流石に現代ではキツいが、1つの時代を築いた装甲兵員輸送車と言えるだろうな。
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| しかし1967年……ドイツ流の装甲兵員輸送車を踏襲した戦闘車両の存在が公になりました。
| それは、ソ連のBMP-1と呼ばれる重武装の装甲車。
| 歩兵のタクシーでありながら、乗車戦闘をも想定した戦闘車両でした。
| 直接ドイツと戦ったソ連は、この類の車両の有効性に気付いていたのでしょうか。
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 ・BMP-1
  ソ連が1960年代に開発した戦闘車両。
  標準の装甲兵員輸送車よりも遥かに重武装・重装甲で、明らかに歩兵の乗車戦闘を想定していた。
  対戦車ミサイルまで搭載され、敵戦車の闇討ちまで視野に入っている恐るべき車両。
  この戦闘車両の公表によって、西側は「BMPショック」と呼ばれる状態に陥った。
  やっぱり水に浮く。
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    | そんなに凄い戦闘車両だったのか……
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         | まあ、BMP-1自体には沢山の難点があったが。
         | この種の車両が戦後に登場したという意義は大きいな。
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| かなり有効性の高そうな戦闘車両の出現に、西側諸国は大いに動揺します。
| この種の「乗車戦闘を想定した装甲兵員輸送車」は、「歩兵戦闘車」と呼ばれるようになりました。
| 西側各国も、競うように「歩兵戦闘車」の開発に乗り出します。
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 ・歩兵戦闘車(IFV:Infantry Fighting Vehicle)
  歩兵を戦場まで運び、前線では歩兵用兵器ともなる車両。
  ソ連のBMP-1をきっかけに、各国で開発される事になる。
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    | 新しいタイプの戦闘車両か。
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         | 機能的に見れば、武装や装甲を強化した装甲兵員輸送車に過ぎない。
         | 前線での戦闘を想定してるって事で、運用面での意味は全く違うがな。
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| しかし歩兵戦闘車の運用も登場以来移り変わり、現在では乗車戦闘は想定されてません。
| 前線で歩兵を降ろし、歩兵は展開して戦車を支援。
| そして歩兵戦闘車は歩兵支援に回るというスタイルが現代の主流となってますね。
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    | 前線での歩兵支援……なんか、突撃砲を彷彿とさせるな。
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         | 「装甲兵員輸送車+突撃砲」か。確かに、運用的に通じるところがあるな。
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| ここでちょっと話を戻して、80年代……
| アメリカは、さっき解説したM113装甲兵員輸送車の後継となる歩兵戦闘車の開発を始めました。
| その名も、M2ブラッドリー歩兵戦闘車。現代でもバリバリ現役の歩兵戦闘車です。
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 ・M2ブラッドリー歩兵戦闘車
  1979年にアメリカで採用された歩兵戦闘車。
  強力な武装と電子装備を備えた優良車両で、世界最高水準といっても過言ではない。
  当初は防弾性に難があったが、数度に渡る改造で解決を図っている。
  湾岸戦争においては、主力戦車より多く敵車両を狩るという活躍を見せた。

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    | 装甲兵員輸送車の後継に、歩兵戦闘車なのか?
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         | さっきも言ったが、「装甲兵員輸送車+重装備+重装甲=歩兵戦闘車」。
         | ただし前線でも通用する戦闘車両となると、生産にも莫大な費用が掛かる。
         | 装甲兵員輸送車の後継を歩兵戦闘車にやらせようなんてブッ飛んだ考え方は、
         | あのアメリカだから出来た事だ。
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| 同時期の80年代になると、いよいよ第3世代主力戦車が姿を見せ始めます。
| この頃になると「矛」と「盾」のバランスが回復し、対等とはいかないまでも「盾」の能力も上がっていきました。
| 黒板に列挙したのは、現代の最先端戦車である第3世代主力戦車の特徴。
| 古臭い鉄の塊のイメージは消えてなくなり、もはや戦うコンピューターですね。
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 第3世代主力戦車の特徴
 ・120mm級主砲の搭載。
 ・滑腔砲の採用。
 ・複合装甲の搭載。
 ・電子装備がさらに高度化。
  走行しながらの精密射撃や、目標の未来位置予測、照準の自動追尾なども可能に。
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    | 滑腔砲? 複合装甲?
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         | 機構的なことは省略。
         | 要はハイテクの産物で、攻撃・防御力が従来とは比較にならないくらいアップしてると思ってくれ。
         | また第3世代戦車ともなると、最高速度は時速70kmに達するものがほとんどだ。
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| この第3世代主力戦車を国産で開発できる国は、非常に限られています。
| なおイギリスのチャレンジャー2は滑腔砲を採用していませんが、第3世代主力戦車に分類されてますね。
| ここに列挙したのは、各国を代表する最新戦車達でもあります。
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 ・主な第3世代主力戦車
   アメリカ : M1エイブラムズ
   イギリス : チャレンジャー2
   ドイツ : レオパルド2
   フランス : ルクレーク
   ソ連 : T-90
   イスラエル : メルカヴァMk.4
   日本 : 90式戦車
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    | ウホッ! 日本も持ってるんだ!
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         | そして世界の戦車マニア達は、ナンバー・ワンの戦車はこの中のどれか議論してるわけだ。
         | 当然ながら、単体での最強論なんてお遊びに過ぎない事を理解した上でな。
         | そこら辺を踏まえている上での最強論は面白いんだが……
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| どれが最強戦車か、などに大した意味はありませんが……
| M1エイブラムズ、レオパルド2、そして90式戦車がトップ3に入るのは間違いないでしょうね。
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 ・主な第3世代主力戦車
   アメリカ : M1エイブラムズ
   イギリス : チャレンジャー2
   ドイツ : レオパルド2
   フランス : ルクレーク
   ソ連 : T-90
   イスラエル : メルカヴァMk.4
   日本 : 90式戦車
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    | 90式戦車、世界最強戦車トップ3に入るのか!?
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         | 他国の評判を考慮した上でも、まあ間違いないだろう。
         | この90式戦車、国内の一部の人達にボロクソに叩かれてる訳だが。
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| そういう訳で、現代の戦闘車両をまとめるならば以下のようになります。
| 無論、これ以外の戦闘車両も存在しますがね。
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 装甲戦闘車両(AFV)の種類
 ・主力戦車(MBT):万能であり、陸戦の主役。でも高価。
 ・歩兵戦闘車(IFV):歩兵のタクシーであり、前線での歩兵支援兵器。
 ・装甲兵員輸送車(APC):歩兵のタクシー。
 ・自走砲:後方からの砲撃支援兵器。
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    | 装甲兵員輸送車は、歩兵戦闘車で置き換えができるんだな。
    | ……金はバカ食いするだろうが。
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         | 陸上自衛隊に関しては、歩兵戦闘車の配備はお寒い状況だ。
         | まあこれは金銭面じゃなくて、調達のやり方に問題があるんだが。
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| なお、現代でも歩兵の有用性は変わっていませんよ。
| 非常に高い柔軟性、対戦車兵器などを破壊して戦車をサポート、運用コストの安さ……
| 歩兵と戦車はどっちが役に立つか、ではなく、相互補完していくもの。
| また、建物や敵陣地を占拠できるのは歩兵だけですしね。
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    | 歩兵は不滅か。
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         | 先進国の歩兵は、基本的に機械化歩兵だな。
         | みんなAPCやトラックで移動するから。
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| さて、陸戦兵器の歴史講義はこれで終わりです。
| こういう経過があって、現代の陸軍が保有する兵器が存在するんですよ。
| そういう訳で、今回の講義を終わりましょうか。
| なお、自走対空砲については別の講義でやるとしましょう。
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    | 最後は、結論めいたものも無くあっさり終わったな。
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         | ある程度結論が出ている大戦中の話じゃなくて、現在進行形の現代だからな……
         | 当然ながら現代のスタイルがゴールという訳じゃなく、通過点に過ぎないだ。
         | 上でまとめた陸戦車両がどう発展していくかは、誰にも分からないんだよ。
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