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| さて、今回は未完成に終わった大型陸上攻撃機について講義しましょう。
| これらは一式陸上攻撃機の発展型であり、四つものエンジンを搭載した大型機。
| 海外で言うところの四発爆撃機なんですが、結局のところ戦力化できたものはありませんでした。
| 技術力の問題で失敗作に終わったり、量産が間に合わなかったり――
| そんな、幻に終わった巨大機について見ていきましょうか。
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    | また、夢轍な講義か……
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         | 悲しい話だ。
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| 九六式陸上攻撃機の開発に大成功し、さらに後継の一式陸上攻撃機を開発中の海軍でしたが――
| これら中型の陸上機は「中攻」と呼ばれ、さらに大型の機体が検討され始めました。
| エンジンが二つの中攻よりも、さらに大型――エンジンが四つの陸上機、「大攻」なるものです。
| そして1938年、海軍は中島に対し四発陸上攻撃機の開発を指示しました。
| これが十三試陸上攻撃機なんですが、当時の日本に大型機の開発ノウハウは存在しませんでした。
| そういうわけで、アメリカから大型機を輸入して参考にしようということになったんですが……大きな問題が。
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    | 1938年ったら……日本とアメリカの関係は、冷えきってるじゃないか。
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         | 当然ながら、アメリカが快く輸出してくれるはずがないな。
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| そこで日本海軍は「大日本航空」という民間社名の名義で、アメリカからDC-4E旅客機を購入します。
| しかしアメリカは日本の偽装を読んでおり、この時に売りつけたDC-4Eとはアメリカで駄作認定された機体。
| すっかり騙されてしまった日本は、そのような駄作を参考として大型陸上攻撃機を開発することになるんです。
| この機をベースに、軍用機として再設計していくんですが――結局、コンパクトにまとめられず重量過大。
| 1941年2月に完成した試作一号機は、技術不足を散々にさらけ出したシロモノでした。
| 性能は悪い上に故障が多い失敗作――十三試陸上攻撃機「深山」は、不採用として終わってしまいます。
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 ・十三試陸上攻撃機「深山」(G5N)
  1941年に完成した、日本海軍の四発陸上攻撃機。
  しかし技術不足がたたり、採用はされなかった。

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    | 技術不足の上に、参考にした機体が駄作だったんじゃ……失敗作にもなるわな。
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         | なおアメリカにDC-4という傑作輸送機があるが、この時のDC-4Eとは全くの別物だ。
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| こうして不合格を食らった深山でしたが、この時点で6機の試作機が完成していました。
| エンジンとして『火星』を搭載した深山2機に、『護』一一型を搭載した深山改2機です。
| この6機は輸送機としてリサイクルすることになり、南方への物資輸送として用いられました。
| その巨体にはドでかい魚雷2本を収容することができ、意外にも現場では重宝されたようですね。
| また深山には陸軍も目を付け、キ85という計画名で陸軍型の開発が始まったんですが……
| 制作側が見放した機体が成功するはずもなく、そのまま計画倒れに終わっています。
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    | 輸送機としては評判が良かったのか……なかなか数奇な運命の機体だな。
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         | そして深山開発の経験は、次の連山開発にも受け継がれるんだ。
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| しかし海軍は四発陸上攻撃機を諦めたわけではなく、1943年にその計画が再浮上します。
| この頃は漸減作戦など消え失せていましたが、味方航空基地から敵航空基地を攻撃するという運用を想定。
| そのために必要とされた性能は時速600キロ以上の速度と11,000kmの航続距離と、極めて過酷なもの。
| そんな無理難題を提示された中島ですが、頑張って十八試陸上攻撃機を開発します。
| 今回は深山開発の経験があった上に、アメリカから鹵獲した傑作重爆撃機B-17がありました。
| このB-17を参考にしたおかげというわけでもないでしょうが、開発は驚くほど順調に進んだんですよ。
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    | なんと、敵爆撃機B-17を参考にしたのか。
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         | そのせいで、完成品である連山の機銃配置はB-17と同一。
         | B-17の構造を、かなり濃く反映しているとも言えるな。
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| 1944年9月には、開発開始からわずか1年で十八試陸上攻撃機「連山」の試作一号機が完成。
| 海軍は1945年1月に審査を行い、生産を命令していたのですが――もはや、それどころではない末期的戦況。
| 敵航空基地を叩きに行くどころか、本土にまで敵爆撃機が押し寄せてくるという有様の昨今です。
| 米軍による爆撃の嵐の中で生産は全く進まず、まともに完成させた試作機は4機のみ。
| もはや四発大型機どころではなく、海軍は計画の中止を決定してしまいました。
| こうして連山は、試作機は完成しておきながらまともに生産されなかった幻の機体となったんですよ。
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 ・十八試陸上攻撃機「連山」(G8N)
  戦争末期に完成した、日本海軍の四発陸上攻撃機。
  末期的な戦況の下では生産できる余力などなく、試作機4機の完成のみで終戦を迎えてしまう。

 
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    | 敵基地を襲ってる状況じゃないんだもんなぁ……
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         | 結局のところ、タイムオーバーだ。
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| そうして完成した4機の連山ですが、爆撃により3機が破壊され、戦後まで生き残ったのは1機。
| 唯一の生き残りはアメリカが持ち帰った後、飛行試験を行ったのですが――
| あまりに機械的信頼性に問題があり、飛ばすだけでも一苦労の問題機であることが判明。
| B-29などと比べると、性能や装備など全ての面において三流機なのが明白でした。
| 結局のところ、日米の技術格差はどうしようもないところまで来ていたというのを再認識させた機体なんです。
| アメリカ送りとなった連山ですが、飛行試験の後にスクラップ。現存機はありません。
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    | 悲しい話だな。
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         | まあ、比べる相手がB-29だから……
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| 結局のところ、日本海軍において四発爆撃機(攻撃機)はモノになりませんでした。
| これは陸軍も同様であり、やはりアメリカやイギリスなどと比べて航空技術は遅れた水準にあったんです。
| もし完成していたところで、あの窮乏ではまともに生産も運用もできたはずもなし……
| 悲しい話だ。
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         | 全部、貧乏がいけないんじゃぁ!
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