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| さて、今回は日本海軍の代表的艦爆である九九式艦上爆撃機について講義しましょう。
| この九九艦爆零戦九七艦攻とトリオを組み、太平洋戦争における初期の快進撃に貢献したんです。
| しかし徐々に旧式化はあらわとなっていき、ついには落とされるだけの存在となってしまう――
| 今まで何度も見てきた事情が、ここでも繰り返されてしまうわけですね。
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    | 日本海軍の黄金パターンだな。
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         | イヤな黄金だな……
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| 1936年には、日本海軍において次期艦上爆撃機の検討が始まったのですが――
| 仮想敵国のアメリカでは、単葉・全金属製の艦上爆撃機を開発中という情報が伝わってきました。
| そこで日本も追随し、次期艦上爆撃機は単葉・全金属製と定めます。
| そして三菱、中島、愛知の三社に十一試艦上爆撃機の競作指示を出したのですが――
| 三菱は零戦を初めとした様々な試作機の開発に忙しく、この計画は辞退することにしました。
| 結果的に老舗航空機メーカーの中島と、これまで艦爆を独占してきた愛知の一騎打ちとなります。
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    | なんと。
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         | 実際のところ、海軍の要求に単葉は含まれていないんだが……
         | その要求性能は、複葉機ではほぼ達成が不可能だったんだ。
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| 愛知航空機はドイツのハインケル社と技術提携しており、そのワザを十一試艦爆の開発にも活かします。
| ハインケル色の濃い機体設計に、脚部はあえて固定式。
| そうして1937年12月に完成した試作機でしたが、性能は優れていたものの安定性に問題がありました。
| そこでエンジンを当初の『光』から三菱製の『金星』四〇型に換装。
| 他にも様々な改修を行い、ようやく1939年に試作機が完成したんです。
| これに対して中島が完成させた試作機は、愛知機に比べて性能が劣るものでした。
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 ・中島 十一試艦上爆撃機
  十一試艦上爆撃機計画に際し、中島が完成させた試作機。
  その性能は愛知機に及ばず、不採用となる。
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    | 艦上爆撃機開発は、結果的に愛知航空機が独占したんだな。
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         | まあ、そういうわけだ。
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| こうして艦上爆撃機競作の軍配は、愛知機の方に上がりました。
| 1939年12月、愛知機は九九式艦上爆撃機として採用されたんです。
| 1号機の完成から制式採用まで、かなり改良に追われましたが――なんとか、上手く仕上がったんですね。
| はっきり言いまして、同時期のアメリカ艦上爆撃機であるSBD「ドーントレス」に性能は及びませんでしたが……
| それでも、日本海軍が初めて手にした近代型艦上爆撃機であることに違いはありません。
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 ・九九式艦上爆撃機(D3A)
  単葉・全金属を採用した、日本海軍で初めての近代型艦上爆撃機。
  太平洋戦争の序盤において大活躍し、「最も多く連合国軍艦船を沈めた航空機」とも言われる。
  しかし戦争中期には旧式化し、被害は増すばかりとなった。

 
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    | アメリカ機に負けてたの?
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         | 速度では20km/hも差をつけられ、航続距離でもドーントレスの方が上。
         | 爆弾の搭載量でも負け、さらに向こうは防弾装備まで付いてくる。
         | 残念ながら、アメリカ側の急降下爆撃機の方が優れていたことは事実。
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| 翌年の1940年には大陸の航空基地に配備され、九九艦爆は日中戦争に投入されます。
| そこで爆撃任務を担い、その長距離性能を活かして大いに活躍。
| 同時に空母にも配備が始まり、太平洋戦争が開始される頃には主力空母に行き渡っていました。
| こうして真珠湾攻撃にも、零戦九七艦攻とトリオを組んだ九九艦爆が赴くことになります。
| 結果的にハワイに敵空母はおらず、効果は薄いと分かっていながら敵戦艦に急降下爆撃を実施しました。
| こうして九七艦攻との共同により、戦史に残るほどの戦果を叩き出したんです。
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 九九式艦上爆撃機(一一型)
 ・全長:10.20m  ・全幅:14.40m  ・全高:3.08m  ・全備自重:3,650kg
 ・最大速度:381km/h  ・航続距離:1,472km  ・乗員:2名
 ・エンジン:三菱『金星』四四型 空冷星型14気筒(1,070hp)×1
 ・武装:7.7mm機銃×3、250kg爆弾×1、60kg爆弾×2
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    | 空母以外に対しても、爆撃はそれなりに通じたんだな。
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         | しかも艦攻隊が先に攻撃を仕掛けるというミスが起きてしまった。
         | 煙が立ち上って視界が悪い中、艦爆隊は急降下爆撃を行ったんだが――
         | それでも、脅威の命中率を記録したんだ。
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| 後のインド洋における一連の海戦でも、九九艦爆は大活躍。
| イギリス艦船に対し、80%を超えるという驚きの命中率を見せ付けます。
| これにより、九九艦爆は「最も多く連合国軍艦船を沈めた航空機」という異名を受けることに。
| 同世代のアメリカ艦上爆撃機SBD「ドーントレス」と比べると、その性能は劣っていましたが……
| 当時の艦爆パイロットは極めて技量が高く、総合的な戦闘能力は非常に優れていたんです。
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    | なんと。
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         | セイロン沖海戦などでは、攻撃開始から13分でイギリス重巡2隻を撃沈という神業。
         | アメリカ艦爆より優れた機体でもなかった以上、ひとえにパイロット達の技量だろう。
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| しかしミッドウェイ海戦あたりで風向きは変わり、一連のソロモン戦では大苦戦を強いられました。
| アメリカの反撃も徐々に熾烈になり、日本側艦上機の防弾性不備が重く響いてくることになったんです。
| それは九九艦爆としても例外ではなく、その被撃墜数は雪だるま式に増えていきました。
| 艦爆乗組員は「九九式棺桶」と自嘲し、その沈んだ顔は後の特攻隊員よりも悲痛に見えたとか。
| それでもマリアナ沖海戦あたりまで、前線で使われざるをえない状況にあったんですね。
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    | 例によって、後継機が出なかったのか?
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         | まさにその通り。1942年あたりには、後継機である彗星と交代する予定だったんだが……
         | 艦上爆撃機「彗星」の生産や配備は遅々として進まず、九九艦爆がいつまでも前線に。
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| 後継機の彗星登場が遅れるという状況の1942年末、仕方ないので九九艦爆の改良型が登場します。
| 『金星』四四型を、1300馬力級の『金星』五四型に換装した九九艦爆二二型としたんですが――
| この改良型とて、落とされるだけの存在であることにほとんど変わりはありませんでした。
| 1943年末にはようやく彗星が前線に姿を現わし始め、九九艦爆と交代していったと言いたいんですが……
| 実際のところ交代するまでもなく九九艦爆は失われており、その穴に彗星が補充されるという感じだったようですね。
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 ・一一型:初期生産型で、エンジンは『金星』四四型。
 ・一二型:一一型のエンジンを『金星』五四型に換装してみた試作機。
 ・二二型:一二型をベースに、機体各部を改良したタイプ。後期生産型。
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    | そこまで悲惨な情勢だったのか。
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         | 零戦でさえ圧倒的不利な状況では、固定脚の九九艦爆などマトに過ぎない。
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| そしてフィリピン戦以降は、零戦や後継の彗星と並んで特攻機の筆頭とされます。
| 緒戦の快勝に貢献した艦上爆撃機の、あまりに悲惨な末路ですね。
| 九九艦爆の総生産数は1515機、決して多くはありません。
| また終戦までの艦爆パイロットの生還率はわずか5%、つまり95%は戦死してしまったという計算。
| この悲惨な数字に、緒戦の華々しさなど微塵もありませんね。
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    | 艦爆に乗った者のうち、20人中19人は生きて戻れなかったってことか……
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         | 悲しい話だ。
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| そういうわけで、これにて九九艦爆の講義を終わりましょう。
| 結局のところ零戦九七艦攻もそうなんですが、文句なく活躍できたのは1942年の初期まで。
| 開戦から、わずか半年の期間に過ぎない――そんな、悲しい事実があるんです。
| 結局のところ後継機の登場は遅れ、また頼れる機体でもなかったんですよ。
| 先を見据えた開発計画が実行できなかったこと、なにより国力の不足――
| 結果的に長期戦になれば、国力勝負になる――ただ、それだけの話に集約されるのかもしれません。
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    | 身もフタもない結論だな。
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         | 軍事ってのは、身もフタもない分野じゃないか。
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