過去講義からの抜粋、補強予定です。



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| 1872年11月5日、マリー・セレスト号という11人が乗ったアメリカ船がイタリアに向けて出港。
| しかし12月5日、このマリー・セレスト号が大西洋を漂流しているのがイギリス船に発見されます。
| 不審に思ったイギリス船員は、マリー・セレスト号に乗り込んだところ…
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    | この話、知ってるぜ! 乗組員の姿はどこにもなかったんだろ!?
    | 死体も何も無く、食料とかもそのままに忽然と人影だけが消えてたとか…
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         | 航海日誌は「12月4日、我が妻マリーは…」ってとこで終わってたとか…
         | テーブルの上には食べかけの朝食や暖かいコーヒーが残ってたとか…
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| そういう事ですね。しかしこの事件は、いろいろウラがあるんです。
| 船から人影だけが綺麗さっぱりなくなっているというのが、この話のキモですが…
| 他にも、なくなっていたものがあります。それは、なんと「救命ボート」。
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    | えっ!? 救命ボートもなくなってたの…?
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         | 救命ボートがなくなってるってことは… 話が違ってこないか?
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| そして、船には他に不審なものなど一切ありませんでした。
| こうしてこの事件は、何らかのトラブルで、乗組員が救命ボートで脱出したのだろうという結論に落ち着きます。
| そして残ったのは、無人の船のみ… こういうのは、海難事故でも良くあるケースです。
| 船を脱出した乗組員達は、そのまま陸に辿り着けずに帰らぬ人となったのでしょう…
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 「テーブルの上には、食事なんてなかった」
        オリバー・デヴォー(マリー・セレスト号を発見、調査したイギリス船員)
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    | 不審なものが一切なかった…?
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         | 食べかけの朝食も、カップに入ったコーヒーも、最初からなかったって言うのか?
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| こうしてこの痛ましい海難事件は、人々の記憶から消え去っていくのですが…
| この事件をモチーフに、『J・ハバクック・ジェフソンの証言』という短編小説を書いた者が現れます。
| 彼の名は、アーサー・コナン・ドイル。あのホームズシリーズの生みの親でもあります。
| 超常現象に詳しい人は、「またこいつか!」と思ったでしょうが… やはり、彼が絡んでいたんですよ。
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    | コナン・ドイル…
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         | なんか、いろいろ前科があるみたいな言い方だな。
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| そしてマリー・セレスト号を「モデル」にした彼の小説によって、マリー・セレスト号ブームが到来。
| ここへ来て、フィクションである小説の内容までが事実と混じり、さらに尾鰭がついてゴチャゴチャに。
| 救命ボートがなくなっていたという事実は消え、テーブルの上に朝食が追加され…
| 「12月4日、我が妻マリーは…」で終わってる航海日誌も大ウソ。
| そもそも船長の妻の名はセーラですし… 我が妻マリーって誰やねん!!
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    | この話、ずっと信じてたのに…
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         | 謎の部分は、みんな後から追加された脚色だったのか…
         | 人間不信になっちゃいそうだ…
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| 乗組員が救命ボートに乗って船を離れた原因は、いろいろ説がありますが…
| 超自然的な要素は全くないので、ここでは省略します。
| ちなみに、この事件をもっとも正確に伝えている書籍は『The Story Of "The Mary Celeste"』。
| 発見者の証言や裁判記録、保険会社の資料をまとめた書物です。
| そういう訳で、「マリー・セレスト号事件」ってのは誤解と脚色の上に成り立ってた事件なんですよね。
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  実際のマリー・セレスト号事件(単なる海難事件)
           ↓(想像力を働かせ、フィクションに)
  『J・ハバクック・ジェフソンの証言』
           ↓(伝言ゲームやってるうちに、脚色がどんどん追加)
     当時に出版された怪奇本
           ↓(伝言ゲーム継続中。この辺で、日本にも輸入)
   ちょっと昔に出版された怪奇本
           ↓(まだまだ伝言ゲーム続行中)
   現代のオカルト本・オカルトサイト
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    | 『The Story Of "The Mary Celeste"』が、いわば一次資料なわけか。
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         | 正確な事実が知りたければ、伝言ゲームの元を辿るのが重要なんだな。
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