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| さて、今回はT-34中戦車について講義しましょう。
| 第二次世界大戦時のソ連を代表する戦車、そして世界中の戦車開発思想に影響を与えまくった存在。
| 快進撃を続けるドイツ軍の前に立ちはだかり、いろいろ教育してやった鬼戦車。
| この戦車が登場した時、火力も装甲も機動性も他国の中戦車を凌駕していました。
| そして第二次世界大戦ばかりか、戦後世界でも長い間戦い続けた驚愕の車両。
| そんなT-34がいかにして開発されたか、そしていかにして戦争を戦い抜いたかを見ていきましょう。
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    | 分かったから落ち着け露助。
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         | うらー。
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| ではここで、
BT-2BT-5からBT-7へ至る快速戦車の系譜を思い出して下さい。
| 出現当初、これらの戦車は高火力と高機動性を両立させた極めて強力な戦車でした。
| しかし1930年代後半にもなると、これらの戦車も旧式化してきます。
| スペイン内戦で多数のソ連戦車が投入されたのですが、装甲の不足が明らかになりました。
| T-26やBTシリーズは、ドイツの持ち込んだ37mm対戦車砲によって大きな犠牲をこうむったんです。
| それを思い知ったソ連は、1937年末にBTシリーズの後継車両の開発をスタートさせました。
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    | なんか……まともに喋ってないか?
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         | なにせ祖国の守護神。言葉一つ違えただけで、アレだからな。
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| このBTシリーズ最新型の試作名称は、A-20と名付けられました。
| 主砲は45mm砲とこの時期のソ連戦車標準。装甲厚は20mmと、今までのBTシリーズよりも少しマシな程度。
| キャタピラor車輪のみの両方で走行可能な機構を有する――これも、BTシリーズ共通の特徴ですね。
| このハイブリッドな機構は、複雑な割には実際に用いられる機会は少なかったことは以前にもお話しました。
| しかしA-20の開発が進む中、驚くべき出来事が発生します。
| この計画の責任者であったA・フィロソフ、および多数の戦車技師が逮捕されてしまったんです。
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    | 逮捕って……なんでまた。
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         | ほら、後ろで見てる人の仕業だろ。
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| 責任者や多くの熟練技師が次々に逮捕されるという事態に及び、A-20の開発現場は大混乱。
| ここで新責任者として抜擢されたのが、ミハイル・コーシュキン――T-34の生みの親となる若き天才です。
| 彼はA-20の開発を引き継ぐと同時に、その開発コンセプトに大きな疑問を呈しました。
| 20mm程度では、まだまだ装甲が弱いのではないか?
| ハイブリッドな走行機構は、車体の構造を複雑化させるだけ。こんな機構は不要ではないか?
| こうして彼は、このA-20計画のコンセプトそのものを見直し始めます。
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    | なんと。
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         | しかし当時のソ連において、いったん決まった計画を見直すってのはリスクが大きくてな――
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| そしてコーシュキンは、とうとうA-20に代わる新プロジェクトを提案しました。
| 装甲を32mmに強化し、ハイブリッドな走行機能は無駄なので撤廃。
| さらに45mm砲では火力不足として、当時としては破格な短砲身76.2mm砲を搭載した試作戦車――
| この計画車両は装甲の厚さに由来して、A-32と呼ばれます。
| こうして1938年5月、軍上層部には従来のA-20に加えてA-32の計画案が届きました。
| どちらを製作するのかで上層部は難航、その決定は1938年8月の軍事評議会に持ち越されることになります。
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    | このA-32が、もしかして後のT-34……?
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         | その通り。
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| 評議会のメンバー達は、「軍が依頼した仕様と違う」という理由でA-32を徹底批判。
| そのあまりにも保守的な姿勢の裏には、この時期に吹き荒れていた粛清の嵐がありました。
| 新しいモノに理解を示すとか、従来の計画を変更するとか、そのような行為は極めて危険。
| 同志スターリンに疑いの目を向けられたら最後、命はありませんからね。
| しかしA-32への批判が殺到する評議会の中で、この革新的な開発案に理解を示す人物がいました。
| それはなんと、同志スターリン――彼は、A-32に興味を持ったのです。
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    | なんと!
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         | びっくりな展開だな。
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| ここでスターリンは、「いっそA-20とA-32の両方を造ってみてはどうかね?」と提案。
| 試験的に両方の車両を組み立て、性能を比較してから結論を出してみるという案を示します。
| 「それは素晴らしい! 流石は同志スターリン!」と、評議会のメンバーもたちまち大賛成。
| こうしてA-20とA-32、同時に開発が進められることになりました。
| そして約1年後の1939年7月、A-20とA-32の試作車両がそれぞれ1両ずつ完成します。
| この2両はクビンカの兵器試験場へ運ばれ、比較試験が繰り返されることに。
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    | 評議会のメンバーもさすがだな。
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         | なお、A-32の装甲厚は32mmでも不足であるとして、45mmにまで強化される。
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| さらに同時期には、対フィンランド戦が勃発しました。
| その戦いの中で、フィンランド軍の対戦車砲にソ連戦車が次々と撃破されるという事態が発生。
| また45mm砲では威力不足という報告も前線から届き、これらの性能の重要性は決定的に。
| こうして評議会はA-32の量産を認め、A-20計画を破棄。同志スターリンもこれを承認します。
| A-32はT-34という制式名称が授けられ、そして1940年初頭から量産がスタートしました。
| つまり……同志スターリンの優れた決定がなければ、T-34は存在しなかったんです!!
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    | さすが同志スターリン!
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         | すごいぞ同志スターリン!
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| そして同年の1940年内に、ハリコフ機関車工場にて115両のT-34が生産されました。
| この期間に完成した初期型を、1940年型と呼称します。
| 短砲身である30.5口径76.2mm砲を搭載しているのは、この1940年型のみ。
| 後の改良型は、長砲身76.2mm砲に換装されてしまうんですね。
| この1940年型は最初期型でありながら、T-34の長所や短所を全て持ち合わせていました。
| つまり、T-34は最初からある意味で完成された車両だったんですよ。
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    | 1940年初頭から量産体勢が整って、1940年末までに115両……?
    | メチャクチャ少なくないか?
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         | クリーク元帥という人物が、T-34が大嫌いだったんだ。
         | 彼は嫌がらせに、変更要求の報告書を乱発。T-34の生産を徹底的に阻害した。
         | 余談だが1940年9月、T-34の生みの親であるコーシュキンが肺炎で死去している。
         | 彼はこの戦車の活躍を見ることもなく、この世を去ってしまったんだ。
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| では、ここでT-34の具体的な特徴を見ていきましょう。
| まず、火力・装甲・機動力のバランスが抜群に良い戦車でした。
| この中の一つや二つが秀でた戦車なら他国にもありますが、三要素がこれだけ高水準なのは類を見ません。
| そんな高機動力は、幅広のキャタピラや大型転輪といった新機軸で達成されていました。
| さらに、傾斜装甲というシステムが防御性能を格段に高めています。
| 砲塔や車体の装甲が斜めになっているので、砲弾が直撃せずに滑ってしまうんですよ。
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      ミ   ★      .゙ミ T-34の長所
      ミ;======゙ミ ・当時としては最高クラスの火力、装甲、機動力
     ,/ ● L_/    'i,. ・傾斜装甲を採用
    /     l ,/  ●   i. ・小型の砲塔と、低いシルエット
  ,-、'i      しii     丿 ・生産性の高さ
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    | なんと、そんな裏技が……
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         | 傾斜装甲は、後にドイツもパクってV号戦車パンターに採用した。
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| また車高が非常に低く、敵の攻撃を食らいにくいです。
| 生産性は極めて高く、とにかく作りが単純――というか、むしろ大雑把。
| それでいて頑丈と、ロシアンマジックが炸裂しています。
| ソ連という国家の国情に、限りなくマッチした合理的な戦車でした。
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      ミ   ★      .゙ミ T-34の長所
      ミ;======゙ミ ・当時としては最高クラスの火力、装甲、機動力
     ,/ ● L_/    'i,. ・傾斜装甲を採用
    /     l ,/  ●   i. ・小型の砲塔と、低いシルエット
  ,-、'i      しii     丿 ・生産性の高さ
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    | ロシアンマジック……?
    \____                           ∧
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         | 旧ソ連製のラジオなどを想像してみるといい。
         | ハンマーで殴っても、二階から投げ落としても壊れないほど頑丈。
         | でも、何もしてなくても一日経ったら壊れてたりする。これぞロシアンマジック。
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 当然ながらT-34は優れた点ばかりではなく、問題点も多い戦車。
| まず、とにかく中が狭く、居住性があまりにも悪すぎます。
| 中の人に厳しいというのはソ連兵器に共通する問題――というか、中の人のことなど考えてないんですね。
| 結果的に砲塔には二人しか入らず、車長が砲手を兼任することに。戦闘効率ガタ落ちです。
| また機器の質が悪く、照準器やペリスコープ、トランスミッションやギアなどに問題が発生。
| これは戦後どころかソ連崩壊後まで続く、あの国の工業の特質ですね。
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      ミ   ★      .゙ミ T-34の短所
      ミ;======゙ミ ・小型砲塔から来る居住性の悪さ
     ,/ ● L_/    'i,. ・機器がとにかく粗悪
    /     l ,/  ●   i.
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    | そんなに、機器がひどいのか?
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         | クラッチブレーキのレバーがめちゃくちゃ重く、時には操縦士一人の腕力では動かなかったほど。
         | 隣の無線手と二人掛かりで動かしたり、レバーをハンマーでぶん殴ったりと散々。
         | これのせいで、T-34の操縦手は2〜3キロ痩せると言われたぐらいだ。
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| そんなT-34、最初期型の1940年型からただちに改良が施されました。
| 翌年の1941年から生産されたタイプ――1941年型には、数々の改修が施されています。
| 主砲は42.5口径の76mm砲に変更され、前面装甲も45mmから60mmに強化。
| またハリコフ機関車工場だけではなく、スターリングラードトラクター工場でも生産を開始。
| この両工場で造られたT-34、微妙に細部が異なるのがロシア風味。
| 1941年型に限らず、T-34は生産工場によって細かな違いがあります。
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      ミ            ゙ミ
      ミ   ★      .゙ミ ・T-34
      ミ;======゙ミ  大戦間を通じて主力を務めた、ソ連を代表する傑作戦車。
     ,/ ● L_/    'i,  「モスクワの守護神」、「鬼戦車」などの異名を取る。
    /     l ,/  ●   i  当初は76.2mm砲を搭載していたが、後に85mm砲を載せたタイプも登場する。
  ,-、'i      しii     丿  この戦車と相対したドイツ軍の衝撃は大きく、「T-34ショック」と呼ばれた。
  ||`:、\     'ii   __,/   現代においても発展途上国の紛争で用いられたケースがある。
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    | このT-34の性能、同時期のドイツ戦車と比べても強力だな。
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         | 造られた工場によって細部が違うのは、ソ連戦車の特徴の一つ。
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| 独ソ戦が勃発した1941年6月、ソ連は1940年型と1941年型合わせて1225両のT-34を所持していました。
| これを大雑把、適当に、場当たり的に、ときに砲弾すら搭載せずに戦線へ投入。
| 砲弾を持たされていないT-34など、敵歩兵を轢き、敵戦車に体当たりするしかなかったっていうんですから……
| さらにソ連戦車兵のほとんどはまともに訓練を受けてないばかりか、T-34を初めて見たのが開戦数日前。
| まともな将軍はほとんど粛清されているので、指揮官もアレな人ばかり。
| こんな状態では、いかに鬼戦車とてまともに戦えるはずがありません。
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      ミ   ★      .゙ミ ・T-34/76(1943年型)
      ミ;======゙ミ ・全長:6.75m  ・全幅:3.00m  ・全高:2.60m  ・重量:30.9t  ・乗員:4名
     ,/ ● L_/    'i, ・最大出力:500hp ・最大速度:55km/h ・行動距離:350km ・装甲厚:15〜70mm
    /     l ,/  ●   i ・エンジン:V-2-34(4ストロークV型12気筒液冷ディーゼル)
    /     l ,/  ●   i ・武装:41.5口径76.2mm戦車砲F-34×1、7.62mm機関銃DT×2
  ,-、'i      しii     丿
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    | つーか、なんで砲弾を載せなかったんだ……?
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         | 載せようにも、なかったんだよ。
         | T-34嫌いのクリーク元帥が生産を阻害したおかげで、76.2mm砲弾は必要量の12%しかなかった。
         | またスペアパーツも徹底的に不足し、故障したT-34を直すだけでも大変だ。
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| それでもT-34の凄まじい装甲と火力を前にしたドイツは、まさに大ショックを受けます。
| ポーランド戦やフランス戦で信じられないほどの大勝利を収めたという自信は、完全に粉砕。
| I号戦車II号戦車ではチリ同然で、主力のはずのIII号戦車ではまるで歯が立たず。
| ごく少数しかないIV号戦車で、なんとかまともに戦えるという有様にジャガイモ野郎ども涙目wwww
| ……とは言え少数なのはT-34も同様の上に、あまりにもソ連軍はボロボロ。
| 戦車というハードでは完全に勝ってましたが、戦術というソフトをもってドイツ軍に圧倒されます。
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      ミ   ★      .゙ミ ・T-34ショック
      ミ;======゙ミ  対ソ戦で遭遇したT-34のあまりの強力さに前線兵士は恐怖、
     ,/ ● L_/    'i,  ドイツ戦車開発陣も愕然とした一件。
    /     l ,/  ●   i  このT-34ショックは、後のドイツの戦車開発に大いに影響を与える。
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    | ドイツ軍って、T-34の存在を事前に知らなかったのか?
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         | 少なくとも、前線の将軍や兵士達はT-34のことを全く知らなかったんだよ。
         | 特にドイツの主装備だった37mm対戦車砲の地位の失墜はあまりに激しかった。
         | 20発叩き込んでも無傷というケースまであり、そこから「ドア・ノッカー」という蔑称を頂いた。
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| 領内深くまでドイツ軍に踏み込まれ、1941年7月からソ連は戦車工場を奥地へと疎開。
| その地で工場をフル稼働させ、T-34の大量生産に励みます。
| その夏〜秋にかけて何千両も生産したT-34を、ソ連はモスクワ防衛戦に大量投入。
| 凄まじい犠牲と引き替えに、なんとかドイツ軍を押し返すことに成功しました。
| なんとか危機を乗り切ったソ連、T-34の生産も軌道に乗り、徹底的な反撃を開始します。
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    | ついに、ソ連の反撃が始まるのか。
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         | 1942年あたりまで、ソ連は何よりもT-34の大量生産を優先していた。
         | だからスターリンはこの時期、T-34の大幅改修を「生産を阻害するもの」として認めなかった。
         | それゆえに欠点はしばらく棚上げにされたものの、凄まじい数の生産を達成できたんだ。
         | ドイツとは、まるで逆の事象だな。
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| そして、この時期に生産されたのは1942年型と呼ばれるタイプです。
| 1941年型との最大の違いは、設計の全般に渡って極端に簡略化が施されているということ。
| それは、1両あたりの生産時間が半分になったと言われているほど徹底したものでした。
| この簡略化による性能の劣化ということもなく、さらに側面装甲を45mmに強化。
| ハッチを増設して従来の問題点を改善、1942年内に12553両もの生産を成し遂げます。
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    | なんてムチャクチャな生産数……
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         | なお1942年型というのは、戦後に西側の研究家が分類した名称。
         | 戦中〜戦後はドイツ軍の使用したT-34AやT-34Bといった表記が使われていた。
         | しかし70年代あたりから、1941年型や1942年型などといった呼称が使われ、現在ではこれが主。
         | 当時のソ連軍では、なんと「T-34」と後で解説する「T-34-85」の2通りしか分類されていない。
         | ある意味潔いというか、ロシア的大雑把さというか……
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| 1943年になると、砲塔の形状が違うT-34が登場しました。
| この新型砲塔搭載型を、1943年型と言いますね。
| 砲塔を大型化し、六角形にしたおかげで、様々な問題が解消。前面装甲も70mmと分厚くなってます。
| 1943年から1944年の間に、このタイプは19435両もの数が生産されました。
| なおこの頃のT-34の多くには、無線機も行き渡っていることも見逃せません。
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    | 逆に言うと、この時期より前には無線機が行き渡ってなかったんだな。
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         | 上でも言ったが、T-34は生産された工場によって色々と差異がある。
         | スターリングラード工場で造られたT-34は、1941年型と1942年型の中間的存在だったり……
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| これらT-34の存在に、ドイツはショックを受けました。
| こちらの攻撃はほとんど通じず、向こうの攻撃は簡単にこちらを葬ってしまう――あまりに劣位でしたからね。
| こうしてドイツは、T-34に打ち勝つ兵器の開発を急ぎます。
| 旧式戦車に強力な対戦車砲を載せ、なかば適当になっていた重戦車(ティーガー)の開発を急がせ……
| またT-34をそのままコピー生産しようという案も出ますが、T-34のエンジンにアルミが使われていたので却下。
| こうしてT-34に打ち勝つ中戦車、後のV号戦車パンターを自力開発しなければいけないハメになりました。
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    | こうして、ドイツの戦車開発事情はすっかり様変わりしてしまうわけか。
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         | 以降は、ドイツとソ連の間でのシーソーゲーム。
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| こうして戦場に姿を見せ始めたドイツの最新戦車に、今度はソ連の方が脅威を抱き始めます。
| 
VI号戦車ティーガーを捕獲した結果、「T-34では到底太刀打ちできない」と結論が出たこともありました。
| IV号戦車も改修を繰り返され、機動力以外ではT-34と肩を並べるほどに強化されています。
| そこで1943年の夏頃には、T-34の火力大幅アップ計画が持ち上がることとなりました。
| 主砲の76.2mm砲を85mm砲に載せ替え、1943年末にはT-34の改良強化版を完成させます。
| この85mm砲搭載型をT-34/85と呼び、従来のT-34T-34/76と呼んで区別されることになりました。
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    | なんと、T-34/85というのはT-34の火力強化版なのか。
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         | これ以前にも、実はT-34に85mm砲を搭載しようという計画があった。
         | その試作車両はT-43と呼ばれるんだが、機動力がガタ落ちしてボツに。
         | 何よりその時期は、まだT-34の強化にさほど真剣じゃなかったんだよ。
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| このT-34/85に搭載された85mm砲には、紆余曲折があったんですよ。
| T-34/85の開発計画が進行していた時、重戦車&自走砲用の85mm砲を二つの設計局が競作していました。
| そしてペトロフ技師はD-5、セルゲイエフ技師はS-53という85mm砲を完成させます。
| 比較試験の結果、重戦車&自走砲用の主砲としてD-5が採用されることとなりました。
| しかしD-5はサイズが大きく、T-34/85の主砲として扱うことは不可能だったんです。
| そこで開発者達は、重戦車&自走砲用85mm砲の選に漏れてしまったS-53の方に目を付けました。
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    | つまり……S-53の方は、T-34/85に搭載可能だったってことだな。
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         | 実際はかなり苦しかったんだが……砲塔ごと設計し直すということで、何とかなった。
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| こうして、T-34/85にはS-53を主砲として搭載しようということになったのですが――
| しかし本格生産の迫った12月末、このS-53に重大な欠陥が見付かってしまいます。
| S-53の生産はただちに中止され、問題の解決に心血を注ぐことに。
| さて、困ったのはT-34/85。生産ラインはすでに整っており、後は生産を待つだけの状態だったんです。
| 主砲を未搭載で生産するわけにもいかず、やむを得ず目を付けたのが85mm砲D-5。
| 重戦車&自走砲用85mm砲としてS-53に勝利するも、サイズが原因でT-34/85には搭載できなかった砲です。
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    | でも……何度も言ってるように、D-5はサイズが過大だったんだろ?
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         | そこで、T-34/85砲塔用に大幅な改造が施されることとなった。
         | このD-5のT-34/85専用改良型が、D-5T。
         | 重戦車や自走砲の主砲として制式採用されているモノなので、信頼性は万全だった。
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| こうして、D-5Tを主砲として生産された初期型のT-34/85を、1943年型と呼称します。
| しかしこれは生産寸前にS-53に問題が発生したための、暫定的な生産型でした。
| このタイプは1944年2月から3月の僅かな期間、800両のみが生産されています。
| そしてS-53の問題が取り除かれ本格量産されるようになると、T-34/85もこの砲を搭載して生産開始。
| ようやく当初の予定通り完成させることができ、これを1944年型と呼びます。
| T-34/85は、この両タイプを合わせて29330両が生産されました。
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      ミ   ★      .゙ミ ・T-34/85(1944年型)
      ミ;======゙ミ ・全長:8.15m  ・全幅:3.00m  ・全高:2.72m  ・重量:32.0t  ・乗員:5名
     ,/ ● L_/    'i, ・最大出力:520hp ・最大速度:55km/h ・行動距離:300km ・装甲厚:15〜90mm
    /     l ,/  ●   i ・エンジン:V-2-34M(4ストロークV型12気筒液冷ディーゼル)
  ,-、'i      しii     丿 ・武装:54.6口径85mm戦車砲ZIS-S-53×1、7.62mm機関銃DTM×2
  ||`:、\     'ii   __,/
  / 'i、 ̄~~     ij  乙__,-、 写真 写真 写真
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    | うわっ、ミギー! お前の顔、キモッ!!
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         | ううっ! 黒板の伸張に起因する空間の歪みに巻き込まれた!
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| 1944年3月からT-34/85は戦場に姿を見せ始め、従来のT-34/76は生産されなくなります。
| T-34/76ではパンターティーガーに太刀打ちできなかったソ連兵も、新戦車の到着に大喜び。
| とは言え……決してこれらのドイツ重戦車と対等の存在ではありませんでしたが、数が違います。
| さらに1944年夏にはソ連戦車に強力な徹甲弾が配備され、火力は格段に向上。
| ソ連とドイツの戦車競争は、質では僅差まで迫り、量では圧倒的に勝るという結果になりました。
| T-34/85の大軍団は、かつて無敵を誇ったドイツ軍を圧倒し、もはや戦況は完全にソ連優位。
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    | ティーガーIIは……?
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         | あれはバケモノだから、さすがにどうにもならない……ほとんどの場合はな。
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| ティーガーIIと正面きって殴り合って、無事でいられる戦車など第二次大戦時には存在しませんが……
| 戦争は天下一武道会ではありませんので、T-34/85ティーガーIIを討ち取った例もあります。
| 1944年8月12日、8両のティーガーIIがオグレドゥ村の道路を走っていました。
| それを発見したオスキン中尉のT-34/85はトウモロコシ畑に身を隠し、油断しているドイツ戦車を奇襲。
| なんと3両のティーガーIIを破壊するという快挙を見せ、彼はソ連の英雄として金星章を獲得しました。
| この際のティーガーIIの残骸はソ連によって回収され、現在もクビンカの博物館に展示されています。
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    | すげぇ、単体で3両も葬ったんだ……
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         | この戦闘でポルシェ博士の息子が戦死したとか、ショックで自動車技師に転向したとか、
         | この一件で超重戦車マウスの開発が始まったとか――ソ連では妙な噂が出回っていた。
         | ポルシェ博士の息子は健在で戦後もポルシェ社に務めていたし、
         | ポルシェ博士は元から自動車技師だし、マウスはもっと以前から計画されていたし……
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| 1943年から44年の期間、ソ連で生産された全戦車のうち80%はT-34でした。
| こうして1945年、ドイツの喉元に刃を突き付けることになったわけですが――
| ちょうどこの時期、このT-34の後継車両が完成していました。それがT-44中戦車
| T-34をベースに車体を新設計した最新型でしたが、初期不調に悩まされました。
| 独ソ戦中に200両程度が完成し、ウクライナに投入されましたが――そのまま終戦。
| このT-44を後継とするわけにもいかず、T-34/85の生産は戦後も着々と続けられていきました。
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      ミ            ゙ミ
      ミ   ★      .゙ミ ・T-44中戦車
      ミ;======゙ミ  T-34/85の後継となるべく開発された中戦車。
     ,/ ● L_/    'i,  しかし初期不良が多く、主砲もT-34/85と同じと問題が山積み。
    /     l ,/  ●   i  戦歴はないも同然だが、戦後のソ連主力戦車開発の基礎となる。
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    | もう、戦争は終わったのに?
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         | 次の戦争のために。次の次の戦争のために。
         | ともかくT-44をベースに徹底的な改良が施され、ようやく優良主力戦車T-54が完成。
         | このT-54が後を継ぎ、ようやく(自国配備用の)T-34/85の生産は終わったんだ。
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| ここで、T-34からの派生車両を紹介しておきます。
| この中で、SU-122やSU-85などの自走砲は別の講義で改めて見ていきますね。
| ここに記載されている以外にも、車体が様々な用途に流用されています。
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      ミ   ★      .゙ミ ・OT-34火炎放射戦車:T-34/76に火炎放射器を搭載した車両
      ミ;======゙ミ ・PT-34地雷除去戦車:地雷除去任務専用に改造されたT-34/76
     ,/ ● L_/    'i, ・SU-122突撃砲:T-34/76に122mm榴弾砲を搭載した自走砲型
    /     l ,/  ●   i ・SU-85駆逐戦車:T-34/76に85mm砲を搭載した駆逐戦車型
    /     l ,/  ●   i ・T-34戦車回収車:T-34/76の車体を流用した戦車回収車
  ,-、'i      しii     丿 .・SU-100駆逐戦車:T-34/85に100mm砲を搭載した駆逐戦車型
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    | 派生車両の存在は、優良戦車には付き物だな。
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         | 諸外国が独自に流用した車両も合わせると、莫大な数になる。
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| さて、戦後のT-34/85ですが――存外、出番はすぐ回ってきました。
| 1950年6月、朝鮮戦争勃発。北朝鮮軍の主力戦車は、ソ連から供出されたT-34/85
| それに対して韓国軍が有するのはアメリカ製軽戦車と旧日本軍の戦車のみ。
| これではT-34/85に抗えるはずもなく、韓国軍は緒戦で大敗を喫してしまいます。
| 朝鮮戦争におけるT-34/85の活躍振りは、独ソ戦に劣らぬほどでした。
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    | なんと、朝鮮戦争でも……
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         | 朝鮮戦争序盤での活躍は、凄まじいものだった。
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| このT-34/85の猛威の前に、相対するアメリカ軍も真っ青。
| その際の装備していたバズーカも効果がないに及んで、本国に対戦車兵器の必要性を訴えます。
| こうして6月に届いたのが、3.5インチの強力なバズーカ砲。
| この強力な対戦車兵器の存在によって、T-34/85相手に楽勝になったとは言えないまでも、
| その無敵さは大いに揺らぎます。
| そしてアメリカの重戦車M26パーシングが投入されるに及んで、米韓軍は優位を取り戻していきました。
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    | さすがに、ずっと無敵とはいかなかったか……
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         | M26パーシングは、元々はパンターやティーガーなどのドイツ重戦車対策として開発された戦車。
         | しかし完成時は、ドイツはもはや降伏間近だった。
         | そして沖縄戦(硫黄島の戦いにも投入されたという説がある)に投入され、そのまま終戦。
         | それが、こんなところで役立つ羽目になったんだ。
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| そして1950年代中盤になると、本国のソ連では後継であるT-54の生産が進みます。
| それによって、T-34/85もさすがに旧式化してきたんですが……ソ連の衛星国はそうではありませんでした。
| またエジプトなど、共産圏を通じてT-34/85を主力戦車として輸入した国も数多かったんです。
| 繰り返される中東戦争では、T-34/85がやや型落ち兵器でありながらも前線で活躍。
| ソ連の影響下にあるアフリカの諸国などでもT-34/85は使われ、内戦などにも登場。
| これらの諸外国でもT-54に更新されつつも、T-34/85はしぶとく使われ続けました。
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    | 本当にしぶといな……
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         | ソ連は1960年代ともなると、輸出用のT-34/85に近代化改修を施して売っていた。
         | エンジンの強化や電子機器の更新などだな。
         | しかし、いくら近代化改修を施されているとは言え旧式は旧式。
         | だが、普通の戦車を買えないほど貧乏な国には、この旧式戦車にも結構な需要があった。
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| ベトナム戦争でも、北ベトナム軍は多くのT-34/85を所持していました。
| さすがに旧式化しているので前線での活躍は皆無でしたが……
| それでもクアンチ攻勢などで姿を現し、米軍の爆撃で破壊されたという記録があります。
| さらに1979年にはベトナムと中国での戦争が勃発、ベトナム軍はT-34/85をも投入。
| 結果的に、1両が中国軍に捕獲されるという結果になります。
| それ以後も90年代のローデシア、同時期のユーゴ紛争などでT-34/85は姿を見せます。
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    | T-34/85は、いつまで使われ続けるんだ……?
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         | 貧乏なアフリカ諸国ではT-34/85の息も長く、80年代の内戦でも当たり前のように登場している。
         | エチオピア、ソマリア、アンゴラ、ナミビア――
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| T-34/85はソ連を勝利に導き、世界中の戦争・紛争・内戦で暴れ回った戦車でした。
| T-34/85を制式採用した国家は、ソ連も含めてなんと39カ国。
| うち27カ国は、1990年代半ばまで使用していることが確認されています。
| 驚くほど息が長く、戦車史上2番目に多く生産された戦車――それが、T-34/85(1番はT-54)。
| モスクワを守り抜き、ドイツ軍を叩きのめし、ベルリンまで攻め入った祖国の守護神。
| そして戦後も戦い続ける――そんな鬼戦車の講義を、これにて終わりましょう。
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    | 凄すぎる戦車だったんだな。
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         | もう、60年以上も使われてるんだからな。
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