/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| うらー! 今回は、第二次大戦時のソ連軽戦車について講義するのら!
| 以前にやった、「戦前のソ連戦車」講義の続きになるらね。
| 講師はわたくし、全国の女子高生に「可愛い」「愛嬌がある」と大人気のCCCP教授。
| なお、「CCCP」は「エスエスエスエル」と読むのら。
| 最初の「エス」を「エ〜ス」と延ばし、真ん中二つの「エス」は早口で、最後の「ル」は巻き舌。
| 学生諸君、一緒に言ってみましょう。はい、エ〜セッセッセルゥゥゥゥ!!
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| 黙れ露助。
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| エ〜セッセッセルゥゥゥゥ。
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| まずは、T-37/T-38系統の水陸両用戦車。これは、偵察戦車として運用されていた系統れすね。
| ソ連の大地は沼や湿地が非常に多く、これらの戦車がまともに走れなくなるという事態が続発。
| こりゃいかんということで、開発が検討され始めたのが水陸両用戦車――覚えてますか?
| 前の講義で、しっかり説明しましたらんす。
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| 浅い川や沼地を越えていけるんだな。
\____ ∧
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| 水上走行機能のみに限らないが、付加機能を取り付けると重量がアップする。
| そうすると、火力や装甲を減らして、バランスを取らなければならなくなる。
| だから水陸両用戦車は、低火力で軽装甲――これ、重要な。
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| そんなT-37/T-38も旧式化は明らかになってきたため、後継となる偵察戦車の開発がスタートしました。
| こうして1939年に完成したのが、T-40水陸両用戦車なんですが――正直、ショボいれす。
| 溶接構造の車体に、T-38よりも強力な12.7mm重機関銃を搭載したものの、それでもかなりの低火力。
| 防御力も貧弱で、この車両の性能はソ連を満足させるようなものではありませんれした。
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ミ ★ .゙ミ ・T-40水陸両用戦車
ミ;======゙ミ T-38の後継として開発された水陸両用戦車。
,/ ● L_/ 'i, しかし主武装は12.7mm重機関銃と貧弱で、装甲も薄い。
/ l ,/ ● i 1940年から1941年までに181両が生産され、以後の量産は停止している。
,-、'i しii 丿 水陸両用戦車の車両の限界を、ソ連軍に悟らせる結果となった。
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| ありゃ、駄目だったのか……
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| 余計な機能を付ければ、他の性能にしわ寄せがいくのは戦車に限らない兵器開発の常識。
| T-40も水上走行機能を持たせることによって、武装・装甲ともに制限を受けることになった。
| このT-40の失敗から、水陸両用戦車というものの存在自体に疑問を持たれていくんだ。
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そこで武装の貧弱なT-40の主兵装を強化し、パワーアップさせるという計画が持ち上がったのら。
| こうしてT-40の12.7mm重機関銃を20mm機関砲に換装したのが、T-30軽戦車。
| しかし、それだけで改造はいっぱいいっぱい。重さが増して、水上走行機能は維持できなくなってしまいました。
| ドイツ軍がモスクワに迫っている時期に、わずか41両が完成。
| しかも貧弱さはほとんど変わらないので、ろくに活躍することもれきませんでした。
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ミ ★ .゙ミ ・T-30軽戦車
ミ;======゙ミ T-40の主兵装を20mm機関砲に換装したタイプ。
,/ ● L_/ 'i, その代償として、水上走行機能を失っている。
/ l ,/ ● i ほんのわずかな数のみ生産され、モスクワ防衛戦に投入された。
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| モスクワ防衛戦って……軽戦車だろ?
\____ ∧
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| 軽戦車がどうだとか、本来の任務は偵察だとか、もう関係ない。
| 首都陥落の危機、できあがったモノをとにかく前線に送るのみ。
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| いかにソ連の大地は水陸両用戦車が適しているとは言え、出来たものが貧弱なら意味はありません。
| そういうわけでソ連は、偵察戦車に水上走行機能を持たせるという方針を諦めざるをえませんれした。
| そういう事情の元で完成した新型偵察車両が、T-60偵察戦車。
| 水上走行機能を失いはしたものの、T-40に比べて性能は大幅にアップップ。
| 主砲はT-30と同じ20mm機関砲で、最大装甲厚は20mmと軽戦車としては破格の防御力。
| 問題は、軽戦車という存在自体がもはや戦場で生きていけない状態になっていることなのら……
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ミ ★ .゙ミ ・T-60偵察戦車
ミ;======゙ミ T-40水陸両用戦車の後継だが、水上走行機能は排除されている。
,/ ● L_/ 'i, 20mm機関砲を主兵装として搭載し、防御力も大幅に上昇。
/ l ,/ ● i 1941年から1942年まで、6292両もの数が生産される。
,-、'i しii 丿 大きな損害を出しながらも、独ソ戦序盤〜中盤を戦わざるを得なかった。
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| かなり優れた軽戦車のようだな。
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| あくまで、軽戦車としてはな。
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| しかしモスクワにドイツ軍が突っ込んでくるに及んでは、そんなことも言ってられなくなりました。
| T-34の生産も間に合わないので、とにかくT-60を大量生産して対処。
| 本来は偵察戦車なわけですが、そんなの関係なくドイツ軍に次々と突進。
| ソ連は最もヤヴァかった時期を、T-60の大量投入で何とか乗り切ったんれす。
| いかに貧弱でも、大ピンチを耐え抜いた力の一つではあったんですよ。
| 「二人兄弟の墓」と呼ばれ、(乗る側の)戦車兵には忌み嫌われていましたが。
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ミ ★ .゙ミ T-60偵察戦車
ミ;======゙ミ ・全長:4.10m ・全幅:2.392m ・全高:1.75m ・重量:5.8t ・乗員:2名
,/ ● L_/ 'i, ・最大出力:70hp ・最大速度:46km/h ・行動距離:450km ・装甲厚:10〜35mm
/ l ,/ ● i ・エンジン:GAZ-202(直列6気筒液冷ガソリン)
/ l ,/ ● i ・武装:82.4口径20mm機関砲TNSh×1、7.62mm機関銃DT×1
/ l ,/ ● i
,-、'i. ii 丿 写真
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| そりゃ、ドイツ戦車にこんなんで太刀打ちしたくないわな。
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| さらに、機動力でT-34に劣っててな。
| 簡単に生産できる事以外、その存在価値は微妙だった。
| ギリギリの極限状態ならまだしも、それ以外の状況で頼れる車両ではない。
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| このT-60偵察戦車に改良を施し、さらに武装と装甲が強化されたのがT-70偵察戦車。
| 45mm戦車砲と、偵察戦車にしては破格に強力な主砲を誇ったんですが……
| この頃になると、もはや軽戦車という存在そのものが時代遅れになりつつありました。
| あまりにインフレ化した戦場で、軽戦車はついていけなくなっていたんれす。
| さらにソ連は米英などの連合軍からレンドリース(兵器のレンタル)を受けていました。
| 偵察戦車として使える戦車も大量にゲットしたため、独自に開発しなくても良くなったんです。
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ミ ★ .゙ミ ・T-70偵察戦車
ミ;======゙ミ T-60の発展型で、45mm戦車砲を搭載した偵察戦車。
,/ ● L_/ 'i, 1942年から1943年まで、8226両が完成した。
/ l ,/ ● i スターリングラード戦やクルスク戦で、T-34の影に隠れながらも敢闘。
,-、'i しii 丿 兵力の穴埋め的存在であったものの、それなりに戦い抜いた。
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| 優秀だけど、どこか切ない軽戦車だな……
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| 当のソ連軍が、後に「1943年までこの種の戦車を量産したことは失敗だった」とコメント。
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| それでも1943年秋には、T-70の発展型であるT-80偵察戦車が完成。
| 45mm戦車砲を搭載し、初期型のT-34と同等の装甲を持っていた優秀軽戦車なんですが……
| もはや、軽戦車というカテゴリー自体が完全に時代遅れ。
| 偵察任務はレンドリース車両や装甲車が担当し、この種の戦車は開発されなくなりました。
| T-80は、ソ連最後の軽戦車と言ってもいい存在れすね。
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ミ ★ .゙ミ ・T-80偵察戦車
ミ;======゙ミ T-70の発展型で、45mm戦車砲を搭載した偵察戦車。
,/ ● L_/ 'i, 1943年中に120両が生産されるが、もはや出番はなかった。
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| 切ない……
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| このT-80を最後に、ソ連の軽戦車開発・生産は打ち切られることとなる。
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| さて、ここで偵察戦車から離れて、1930年代には事実上の主力戦車と化していたT-26軽戦車を見てみましょう。
| この車両も1940年代に入ると旧式化が目立ってきたため、後継車両が開発されることになります。
| そして完成したのが、T-50軽戦車。45mm戦車砲を搭載し、防御と機動力のバランスも取れた傑作戦車です。
| このT-50は軽戦車としては極めて優れていたんですが、機構が複雑でコストは高騰。
| 何より軽戦車として傑作だったとはいえ、戦場ではもはや軽戦車自体が求められてはいませんでした。
| そういうわけでT-50は少量が生産されただけで、打ち切りとなります。
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ミ ★ .゙ミ ・T-50軽戦車
ミ;======゙ミ T-26の後継で、非常に優れた性能を持つ軽戦車。
,/ ● L_/ 'i, 1941年から1942年まで63両が量産されるものの、生産中止に。
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| 軽戦車は、みんなボツられていったんだな……
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| 偵察戦車としては、アメリカやイギリスから譲ってもらった車両があったしな。
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| さて、ソ連に存在したもう一つの軽戦車の系譜。BT快速戦車シリーズはどうなったかというと――
| 実戦に投入してみると、機動性は素晴らしいものの防御力に難があることが分かってきたのら。
| それでもBTシリーズ後継の開発は進められたんですが、かなりの紆余曲折を辿ります。
| そして最終的に完成したのは、なんと鬼戦車T-34――この辺のいきさつは、またT-34の講義で。
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| なんと。BTシリーズの系譜からT-34が誕生したのか。
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| あくまで、BTシリーズが誕生のきっかけになっただけだがな。
| 同じ系譜とか、発展系などとは間違っても言えない。
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| そういうわけで、ソ連軽戦車の流れは全て途絶えてしまったといっても過言ではありません。
| この主の軽量戦車は、戦後も顧みられることはありませんれした。
| T-80を最後に、軽戦車という存在はソ連軍から姿を消してしまったのです。
| そこには、極端にインフレ化した戦場についていけなかったという悲哀がありますね。
| 近代の戦車戦において、軽装甲で低火力の軽戦車はもはや生き残れないんれすよ。
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| 切ない話だな。
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| 軽戦車というのは、熾烈な戦車戦が存在しなかった時期の産物とも言えるだろう。
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