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| さて、今回はドイツの自走式対空砲について講義しましょう。
| これは自走式高射砲とも対空戦車とも言われますが、基本的には全て同じものだと思ってもらって結構です。
| 迫り来る飛行機に対して、地上から弾丸を撃ちまくる車両、ってことですね。
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    | ドイツの対空戦車って、やたら格好良い名前だった気が。
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         | ドイツ語って、なんでも格好良く聞こえるんだよ。
         | メーベルヴァーゲンなんて、家具運搬車って意味だぜ。
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| 航空機が本格的に戦場に姿を現したのは、第一次世界大戦の時代でした。
| そしてこの時期には、そんな航空機への対抗手段が早くも現れ始めています。
| 通常の砲よりも高い角度で射撃できる、対空用の高射砲ですね。
| この分野は、飛行機の出番が多くなるのと比例して研究が進んでいきます。
| 第一次世界大戦終了後もドイツは対空砲の開発を続け、88mm高射砲や20mm対空砲を造り上げました。
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    | 優秀な兵器が出現すると、その対抗手段も発展する……当然の話だな。
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         | 紀元前から延々とその競争が続き、軍事の技術は発展してきたんだから。
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| さて、一般的に戦車ってのは頭上からの攻撃には非常に無力です。
| そこで戦車部隊にも、対空砲を持たせた方がいいんじゃないか?ってことになるのは当然の話。
| しかし対空砲に限らず、砲ってのは重くて運ぶのも大変なんですよ。
| そこでドイツは、この対空砲にも車輪を付けて自走できるようにすればいいんじゃないか?という結論に。
| そうすれば、戦場から戦場へと動き回る戦車部隊にもついていくことができますからね。
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    | 確か、電撃戦の思想にも関わってくることだな。
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         | しかし、そう都合良く対空砲に車輪だけを付けたって動くわけがない。
         | 砲ってのは重いんだから、それなりのエンジンや足回りが必要。
         | そこでドイツが取った方法とは、やはり――
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| そこでドイツは、牽引に用いていたハーフトラックSd.Kfz.10の荷台に2cm対空砲を載せてみます。
| これがSd Kfz 10/4なんですが、ポーランド戦で様々な問題点が明らかになりました。
| 元がハーフトラックだけに機動性に問題があり、非装甲なので防御力に大きな問題が。
| そもそも制空権はドイツが完全に握っていたため、ほとんど出番がなかったこと――
| 一番最後はどうにもなりませんが、これらの欠点を改善すべくドイツ軍は動き出します!!
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 ・Sd Kfz 10/4
  ハーフトラックSd.Kfz.10に2cm対空砲を搭載した対空自走砲。
  当然ながら非装甲で脆弱、機動性にも大いに問題があった。
  この車両で得られた教訓により、ドイツは戦車改造型の対空自走砲開発に乗り出す。

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    | そして、徹底的にいじくり倒すわけだな。
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         | まあこの自走対空砲に関しては、そう優先度が高くない感じだったが。
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| とりあえず、余っていたのは
I号戦車
| これに2cm対空砲を搭載し、ごく少数のI号対空戦車を開発してみました。
| さっそく対ソ連戦に投入してみたんですが、性能云々以前にとにかく出番がありません。
| 独ソ戦初期において、頭上から襲ってくる敵などというのは皆無だったんです。
| 仕方がないので敵歩兵を撃って遊んでいると、敵戦車に潰されてしまいました。
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 ・I号対空戦車
  I号戦車の車体に2センチ対空機関砲Flak38を搭載した、対航空機用の自走砲。
  24両が生産されたが、ソ連との激戦の中で全てが破壊される。
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    | 本当にやることがなかったんだな。
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         | こうして、この対空戦車というジャンルそのものがドイツでは廃れていく――
         | 大戦前半、ドイツが有利なうちはな。
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| しかし1943年後半にもなるとドイツは劣勢になっていき、頭上からの攻撃にもさらされることに。
| ここで対空自走砲の必要性が復活するものの、とにかくドイツの戦闘車両は不足気味。
| そういうわけで二戦級となった
38(t)戦車を改造し、対空自走砲に仕上げることになりました。
| こうして1943年10月に製造が許可され、翌年の1月には38(t)対空戦車が完成します。
| 38(t)戦車のボディに2cm対空砲を載せた車両であり、140両が完成。
| これは脆弱な攻撃力と防御力を備えており、あくまで急場しのぎとして開発した対空戦車でした。
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 ・38(t)対空戦車
  38(t)戦車の車体に2cm対空砲を搭載した対空自走砲。
  防御力に大きな問題があり、対空砲の性能も良くない。
  あくまで急場しのぎの車両で、主に西部戦線に送られた。

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    | 撃つ人間、もろムキ出しじゃん……怖っ。
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         | そもそもこの車両は、本命じゃなかったからな。
         | しかし前線では航空機に殺られる戦車兵の悲鳴が響いていたため、とにかく急場しのぎ。
         | 対空砲部分はムキ出しだったので、射手の真上に広がるのは青い空。
         | 防御性能に問題うんぬんなどというレベルじゃない、怖すぎる車両だ。
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| そして、本格的な対空戦車のベースとして選ばれたのは
IV号戦車
| この車体を改造し、3.7cm対空砲を載せるという計画が本格的に動き出しました。
| これまでの対空戦車で用いられてきた2cm対空砲では、威力が不足しすぎていたんですよ。
| そして1943年12月、試作型のお披露目――この試作型には、ボツったはずの2cm対空砲が載っていました。
| 制作側のオチャメかなんなのか分かりませんが、これを見たヒトラーの怒りは大爆発。
| ただちに3.7cm対空砲を載せ替えて量産することに――これが、IV号対空自走砲メーベルヴァーゲンです。
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 ・IV号対空自走砲メーベルヴァーゲン
  IV号戦車の車体に3.7cm対空砲を搭載した対空自走砲。
  防御力に非常に難があったが、事実上の主力対空自走砲として終戦まで活躍する。
  なおメーベルヴァーゲン(家具運搬車)とは、その特異な外見から付けられた渾名。

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    | 防御に難あり? すごく頑丈そうなのにな。
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         | 車体の上の長方形、いちおうは装甲板だけど、戦車砲の前ではベニヤ同然だから。
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| このメーベルヴァーゲン、なんと戦闘時には変形します。どうです、ワクワクしてきたでしょう。
| パタパタパタ……と周囲の装甲が開き、対空砲が露出するという仕組みですね。
| この戦闘モードに移行すると、360度の視界を確保! 防御力は……ほぼ捨て身!!
| つまり射手は丸裸、防御力がどうこうという問題じゃない大胆な車両です。
| それでも対空戦車は貴重なので、1945年3月までに240両が完成。
| このような物騒な車両をメインの対空車両に用いて、ドイツ兵は戦い続けることに。
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 IV号対空自走砲メーベルヴァーゲン
 ・全長:5.92m  ・全幅:2.95m  ・全高:2.73m  ・重量:24.0t  ・乗員:6名
 ・最大出力:300hp  ・最大速度:38km/h  ・行動距離:200km  ・装甲厚:10〜80mm
 ・エンジン:マイバッハHL120TRM(4ストロークV型12気筒液冷ガソリン)
 ・武装:60口径3.7cm対空機関砲FlaK43×1

 バトルモード、オープン!!
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    | おいおい、オープン!!じゃねぇよ。中の人死ぬだろ……
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         | メーベルヴァーゲンは、明らかにヤバい車両であることをドイツ側も了承していた。
         | これもあくまで急場しのぎで、もっと優れた対空戦車を開発するつもりだったんだが……
         | これ以降の対空戦車は数が確保できず、結局のところメーベルヴァーゲンが主力対空戦車に。
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| メーベルヴァーゲンの試作型が完成した1943年12月には、早くもそのヤヴァさは自明。
| そこで、さらに強力な新自走対空砲――IV号対空戦車ヴィルベルヴィントの開発が始まります。
| 車体は
IV号戦車の流用と変わりませんが、搭載したのは20ミリ4連装砲。
| さらに砲塔式となり、上部は無防備ながらも防御性能には改善が図られました。
| しかし20ミリ4連装砲というのは、メーベルヴァーゲンよりも明らかに弱体化。
| そのせいで、1944年7月〜12月の期間に84両が完成したのみで生産は中止されています。
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 ・IV号対空戦車ヴィルベルヴィント
  IV号戦車の車体に20ミリ4連装砲を搭載した対空自走砲で、オープントップの砲塔を採用。
  武装が貧弱なのが災いし、ごく少数で生産は打ち切られてしまう。
  4連装から繰り出される弾幕の見た目は派手なので、連合軍は結構怯えたようだ。

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    | やっぱ、真上はガラ空きなんだな。
    | それはともかく、なんで前バージョンより弱い武装をわざわざ搭載したんだ?
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         | それは、良く分かっていない。
         | なお、生産は打ち切られないで終戦間際まで続けられ、122両が生産されたという説もある。
         | またこの車両は、次に解説するオストヴィントへの繋ぎに過ぎないとする説も存在。
         | ドイツ末期だけあって資料が錯綜し、この辺は色々と謎が多い。
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| そんなヴィルベルヴィントがまだ開発中の1944年3月には、早くも後継の対空自走砲の開発がスタート。
| ……なんかこれ、1コマ前にも言ったような気がしますが。
| とにかく前回の失敗を反省し、搭載したのは砲塔型の37mm機関砲。
| こうして完成したのが、IV号対空戦車オストヴィントでした。
| しかし末期ドイツはボロボロで大量生産を実行する余力はなく、1944年12月から翌年3月までに44両のみ。
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 ・IV号対空戦車オストヴィント
  
IV号戦車の車体に37mm機関砲を搭載した対空自走砲。
  末期のドイツにおいて、わずか44両のみが完成している。

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    | ベースになったのは、IV号戦車ばっかりなんだな。
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         | IV号戦車の講義でも解説した通り、この車体は改造に最適だったんだ。
         | なお、この車両も真上はガラ空きのオープントップ。
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| これらの対空自走砲は、全て防御性能に問題があるものばかりでした。
| そこでドイツは、砲塔部分が360度完全にガードされた対空自走砲の開発に取り組みます。
| 問題は開発の開始時期があまりにも遅く、1944年12月という末期であること。
| 1945年2月には試作型2両が完成しましたが、これを量産する余力など残っていませんでした。
| そんな悲運の対空自走砲が、IV号対空戦車クーゲルブリッツです。
| その性能は、第二次大戦期の対空自走砲でトップクラスとも言われる車両でした。
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 ・IV号対空戦車クーゲルブリッツ
  
IV号戦車の車体に30mm機関砲2門を搭載した対空自走砲。
  砲塔は完全密閉式で防御性能は格段に増しているが、試作型のみの完成で終わっている。

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    | たった2両だけか……
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         | たった2両だけ完成したクーゲルブリッツ試作型は、ベルリンの防空戦に投入されたようだ。
         | どういう働きをしたかについては、全く記録に残っていないがな。
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| なお最末期には、
V号戦車パンターを自走対空砲化したV号対空戦車ケーリアンというのも存在します。
| パンターの車体に3.7cm連装対空機関砲を搭載した車両なんですが、試作型すら存在していません。
| 元々パンターの数が少なくて転用するどころじゃないですし、そもそもドイツは崩壊寸前でしたから。
| モックアップ(木製の実物大模型)のみが制作され、実車はいっさい存在しない計画のみの車両です。
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 ・V号対空戦車ケーリアン
  パンターの車体に3.7cm連装対空機関砲を搭載した車両。
  計画のみで、試作車両すら完成していない。

 写真
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    | これなんて、計画のみか……
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         | この車両が、ドイツにおける本命の対空自走砲の予定だったんだがな。
         | 開発が遅れまくったあげく、試作車すらできないままに終戦。
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| 結局のところ、ドイツの対空自走砲は生産数が少なすぎました。
| ハーフトラック搭載型の自走対空砲も平行して生産され続けましたが、それでも火に油。
| 押し寄せる連合軍航空機の前では、大した力になれなかったのが現実。
| しかしこの種の車両に多く物資を裂く余裕もドイツにはなく、仕方なかったといったところでしょうか。
| 結局のところ、貧乏がいけないんですよ。貧乏でなければ、そもそも戦争なんてしなくて済みますから。
| 貧乏……! 貧乏さえ……!!
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    | どういうシメだよ。
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         | みんなお金持ちなら、世界は平和になるのにねって話。
         | 他国の自走対空砲はどうなのか、戦後はどうなったかってのはまた別講義だ。
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