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| では、今回はV号戦車パンターについて講義しましょう。
| この戦車は、大戦時にドイツ軍が生み出した中戦車の究極系――
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| ん……? なんだあれ、ラジコンか?
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| おや、後ろギコ。
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| これがゴリアテ、いわゆる世界最小の戦車です。
| 実際は戦車ではなく、リモコン地雷とも言うべき車両でしたが。
| このゴリアテには様々な用途が存在し、結構な数が生産されました。
| ……おい、きたないから片付けておけよ、そのボロくずを。
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・ゴリアテ
ドイツの開発した、有線で遠隔操作が可能な小型車両。
60kgの爆薬を搭載可能で、敵の仕掛けた地雷の処理や敵陣地のささやかな破壊が主任務。
ガソリンエンジン型などの亜種も存在している。
写真 写真
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iii■V やっちゃったか……
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| また学内テロか。物騒だな。
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| さて、V号戦車パンターとは、ギコ教授も言っていた通りドイツ軍の中戦車の究極系。
| ではVI号戦車ティーガーは何かというと、あれは重戦車としての運用が想定されていた車両。
| 生産も限定的ですし、部隊への配備も通常の戦車とは違っていたんです。
| 後期のドイツ軍において主力戦車としての働きが期待されていたのは、このV号戦車パンターなんですよ。
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| わりかしマトモに講義するみたいだな。
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| ここには、代行ギコみたいに対抗する人物もいないしな。
| 自分では「ゼロ戦は大したことない!」って常々主張してても、
| 他人(特に外国人)から「ゼロ戦は大したことない」って言われたらキれる人っているだろ?
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| このV号戦車の開発のきっかけになったのは、たった一つの出来事――T-34ショックでした。
| ドイツ軍はこの敵戦車の対策に大わらわ。強力な対戦車砲を備えたマルダーなどを開発したり、
| III号戦車やIV号戦車、III号突撃砲の主砲を長砲身化したりと、間に合わせの対策に努めます。
| しかしこれらは、あくまで窮余の一策に過ぎません。
| ドイツ軍は、T-34に打ち勝てる戦車を開発することになりました。
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・T-34ショック
対ソ戦で遭遇したT-34のあまりの強力さに前線兵士は恐怖、ドイツ戦車開発陣も愕然とした一件。
このT-34ショックは、後のドイツの戦車開発に大いに影響を与える。
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| やはり、鬼戦車T-34が絡んでたのか。
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| 実は戦前からIII号戦車の後継となる次期主力戦車の開発計画は存在したんだが――
| それらに上書きされる形で、T-34を凌駕する主力戦車の開発計画が浮上したんだ。
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| なお、後のVI号戦車ティーガーに発展していく30トン級戦車計画というのは、戦前から存在していました。
| つまりV号戦車パンターの方が後に出来た計画であり、実戦デビューもティーガーの後だったんです。
| しかし、なぜ番号が前後してしまったのか……それは、この新主力戦車の方が優先順位が高いとされたから。
| こうして、30トン級を表すVK30.02――後のV号戦車パンターの開発が始まったんですよ。
| なおT-34をそのままコピーするという、ある意味では屈辱的な案もあったんですが……
| エンジンのコピーが不可能だったので、完全コピー計画は頓挫してしまいます。
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| 後のVI号戦車ティーガーに発展していく30トン級戦車計画……?
| 30トン級を表すVK30.02……? パンターもティーガーも、同じ30トン級ってことなのか?
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| 30トン級戦車計画ってのは、戦前からあった重戦車開発計画。当時のドイツからすればデカい。
| しかしT-34を研究した結果、30トン級の主力戦車でないと相手にならないことが発覚。
| こうして、30トン級主力戦車であるVK30.02(V号戦車パンター)の開発がスタートする。
| そして30トン級戦車計画はというと、これじゃ重戦車としては不足ってことで、45トン級戦車計画に。
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| この新主力戦車VK30.02の開発計画を提示された戦車メーカー三社は、それぞれ試作車両の開発を開始。
| クルップ社はここで脱落し、MAN社とダイムラーベンツ社は開発案を軍に提示します。
| 板書を見れば分かる通り、走行性能はVK30.02(M)の方が優れていました。
| しかし足回りが保守的な分、整備性はVK30.01(D)の方が優れております。
| ドイツ軍の中の人たちは悩みましたが、結果的に軍配が上がったのはVK30.02(M)の方でした。
| こうしてMAN社のVK30.02(M)が、V号戦車パンターとして生産されることになったのです。
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・VK30.02(M)
MAN社の試作車両。独自に開発していた20トン級戦車VK20.02(M)を拡大設計し直したもの。
T-34に取り入れられている傾斜装甲に加え、新式のサスペンションを採用している。
・VK30.01(D)
ダイムラーベンツ社の試作車両。独自に開発していた20トン級戦車VK20.01(D)を拡大設計し直したもの。
全体的に斬新だが、足回りは保守的な設計で、T-34に外見が酷似している。
また砲塔が完成しておらず、これもMAN社の案に敗れ去る一因となった。
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| ってことは……V号戦車パンターは、整備性に問題があるってこと?
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| まさにその通り。
| ヒトラーは斬新な設計のVK30.01(D)に惹かれていたが、周囲に説得された。
| VK30.02(M)の方が量産性も良いということで、最終的にヒトラーはOKを出している。
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| こうして生産が決定したV号戦車パンターですが、ここから大きな問題に悩まされることに。
| この戦車の前面装甲は60mmだったのですが、「それではいかん! 80mmにしろ!」と総統からの一喝が。
| この発言が生産まで間もない時期に飛び出したため、緊急改造で関係者は大わらわ。
| そもそも30トン級戦車のはずなのに、開発案がまとまってみれば45トンオーバー。
| それに加えて装甲を80mmに増加させれば、45トン超えは確実。
| 足回りに不安があり、それをテストできないままに大量生産を行ってしまうという事態になったんです。
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| なんか、ヤな予感……
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| 生産自体が非常に急かされていたため、当然ながらテストはろくに行われなかった。
| 生産直前に大きく手が加えられたにもかかわらずな……
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| こうして1943年の夏には、200両程度のパンターが陸軍の手に渡りました。
| そしてこの時期に控えていた計画が、押され気味の対ソ戦を一発逆転させるというツィタデレ作戦。
| この新戦車パンターの数が揃うのを待つために、このツィタデレ作戦は二ヶ月ほど延期されます。
| それだけ、ヒトラーはパンターに期待を掛けていたんですよね。
| カタログデータでは、当時存在したあらゆる中戦車を上回る最強戦車――
| しかしこの新主力戦車は、まともにテストもされていない欠陥だらけの車両でもあったんです。
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・クルスクの戦い
1943年7月4日から始まった、クルスク近郊におけるドイツ軍とソ連軍の激突。
ドイツの計画した攻勢作戦であるツィタデレ作戦によって勃発し、史上最大の戦車戦とも呼ばれる。
ソ連はこの作戦を事前に把握し、待ち伏せ同然の状況でドイツ軍の撃退に成功。
以後の独ソ戦において、ソ連軍は完全に優勢となる。
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| しかも、いきなり大きな作戦に投入か……
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| しかもこの際にパンターを与えられた戦車兵は、この新戦車で訓練するヒマすらなかった。
| 初期不良てんこもりの新戦車に、ほとんど訓練されていない戦車兵の組み合わせ――
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| そして1943年7月、ツィタデレ作戦開始!! 戦場のパンターが、次々と火を噴きます――自分のエンジンから。
| エンジンのオーバーヒートや、原因不明の火災、さらに足回りの故障がてんこもり。
| 勝手に自滅したり、動けないところを殺られたりで、パンター192両中まともに生き残ったのは42両のみ。
| 前線からは兵士達のクレームが殺到し、ヒトラーも大激怒。兵器局はトラブル解決に走り回ることになります。
| それ以後1943年9月まで、機械的不良をちまちまと潰し、エンジンを換装しながらじっくり生産すること842両。
| この初期生産型は、公式文章ではV号戦車パンターD型とされていますね。
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・V号戦車パンターD型:最初の生産型で、幾多の機械的不良を抱えている。
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| 最初の生産型なのに、どうしてD型?
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| それはドイツ戦車七不思議の一つで、現在も明快な答えは出ていない。
| A〜C型は試作車両として存在するとか、情報撹乱のためとか、単に間違えたとか……
| 実際のところ、どの説にも矛盾があるのが実情だな。
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| さて、このD型の生産が始まったばかりの時期の話――パンターが初陣で醜態をさらす前のことです。
| ヒトラーは、大量生産が始まったパンターの装甲はまだまだ不足していると考えていました。
| そこで浮上したのが、V号戦車パンターのさらなる装甲強化計画。
| 前面装甲を100mm、側面装甲を60mmに設計し直した新戦車パンターIIとして、開発が始まります。
| このパンターIの生産をとっとと打ち切って、パンターIIを主力戦車として量産する計画だったんですよね。
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| ヒトラー……
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| これに関しちゃ、ヒトラーの判断もそうアレじゃない。
| 兵器局でも、現在のパンターIの装甲厚ではまだまだ不安って見解で一致してたからな。
| なおパンターIIとの区別のために、従来のパンターをパンターIと呼ぶぞ。
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| そんなパンターIIはそもそも防御強化型のはずだったんですが、他にも新しい要素が取り入れられました。
| それが、後のティーガーIIとの部品共有化。これにより、生産効率を上げようということですね。
| これだけの重装甲となると、車体重量も絶大なもの。それを走らせる強力なエンジンの開発に大わらわ。
| そうこうしているうちにパンターIの生産続行が決定され、パンターIIへの生産切り替え計画が消滅。
| パンターにシェルツェン付ければ、防御力の不足は補えるってことになったんですよね。
| こうしてパンターIIはいらない子に。結局のところ試作型車体1両のみ完成し、開発が打ち切られています。
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・パンターII
パンター初期型の量産開始時期に持ち上がった、装甲強化型のパンター開発計画。
後のティーガーIIと部品の共有化も図られたが、試作型1両の車体が完成した時点で計画は中止。
なお、その設計の一部は後のV号戦車パンターG型に流用されている。
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| オレはまだのぼりはじめたばかりだからな。この長く険しいパンターII坂を。
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| パンターI生産続行が決定された(≒パンターII打ち切り)のは、1943年5月と意外に早い。
| クルスクの戦いの二ヶ月前、つまりパンターが大醜態をさらした初陣の前だな。
| こんなもん作ってたらパンターの量産に支障が出ると、非常に常識的な結論を下したんだ。
| なお特別に区別する必要がなくなったため、以後はパンターIをパンターと呼ぶぞ。
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| こうしてパンターIIの計画は消え、パンターD型に改良を施していくこととなりました。
| クルスクの戦い後の1943年8月からは、パンターD型の次のタイプであるA型の生産が開始されます。
| これは砲塔を中心に改良を加えたもので、1944年7月まで2200両が生産されました。
| なおパンターも同型の生産の途中にも色々と改良が施されているんですが、ここでは省略しますね。
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・V号戦車パンターA型:D型の砲塔や足回りに改良を施したタイプ。
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| 最初の生産型はD型、二番目の生産型はA型……どうなってるんだ?
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| E(ドイツ発音:エー)とA(ドイツ発音:アー)が紛らわしいので間違えたという珍説まであるが……
| 母国語を間違えるほど、ドイツ人も馬鹿じゃないだろ。
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| このA型の次がG型、1944年3月から1945年4月――ほぼ終戦までに2953両が生産されました。
| パンターの中で最多の生産数であり、パンターIIの開発経験も踏まえながら車体を全体的に再設計。
| こうして側面装甲が強化され、他にも様々な点に改良が施されています。
| このG型が事実上の最終生産型、さらに改良を施されたF型も存在するんですが……
| このF型は、試作車が完成した時点でドイツ降伏。量産されることはありませんでした。
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・V号戦車パンターG型:A型の車体を再設計し、多くの改良を施した最多生産タイプ。
・V号戦車パンターF型:G型の砲塔に改良を加えたタイプだが、量産される前に終戦を迎える。
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| 2953両……これで最多ってのも、主力戦車では少ないよな。
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| 結局のところ、パンターは主力戦車と言えるほどには部隊に行き渡らなかった。
| その代役を務め続けたのが、IV号戦車だったってことだな。
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| ではここで、V号戦車パンターの特徴について詳しく見てみましょう。
| このV号戦車パンターの主砲は70口径7.5cm砲、とんでもない長砲身です。
| その貫通力はVI号戦車ティーガーの8.8cm砲に匹敵し、それでいてかなり高い水準にある機動力。
| 持ち前の80mmという重装甲に加え、T-34を見習った(パクった)傾斜装甲により、防御性能は激高。
| 仮想敵であったT-34の性能を完全に超越し、一対一ならほぼ確実に打ち勝つことが可能。
| 英米の戦車をも凌駕、この時代最強の中戦車といっても過言ではないでしょう。
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・V号戦車パンター
T-34の撃破を主眼に開発された戦車で、自身の設計にもT-34の影響を受けている。
重戦車(重武装・重装甲・低機動)の色合いが強いVI号戦車に比べ、攻・防・速がバランス良くまとまっていた。
初陣においては機械的トラブルで多数がリタイアしたが、解消された後は強力な戦車に。
VI号戦車ティーガーと並び、ドイツ陸軍2枚看板の1つ。
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| まさに、ドイツ中戦車の究極型ってとこか……ってか、主砲長ッ!!
| 貧弱な初期ドイツ戦車の面影がどこにもないな。
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| 傾斜装甲を採用したことで、今までのドイツ戦車とはデザインも一新。
| 鬼戦車T-34の特色を取り入れ、さらに強化したドイツ流の主力中戦車だ。
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| デビュー戦こそ機械的不良でズタズタだったものの、改善された後はその本領を発揮します。
| 側部装甲以外の性能はVI号戦車ティーガーに匹敵し、なおかつ軽快な機動力を両立。
| このパンターの活躍は凄まじく、T-34を次々に撃破するに及んで、今度はソ連側がびっくり。
| これに対抗し、T-34の新タイプを開発を余儀なくされる――立場がまるで逆になってしまったんです。
| また英米の主力戦車M4シャーマンだと、パンター1両を殺う間に5両が殺られるという統計があります。
| とにかく、凄まじい性能を誇る中戦車だったんですよ。
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V号戦車パンターG型
・全長:8.86m ・全幅:3.40m ・全高:2.98m ・重量:45.5t ・乗員:5名
・最大出力:700hp ・最大速度:55km/h ・行動距離:177km ・装甲厚:16〜110mm
・エンジン:マイバッハHL230P30(水冷V型12気筒ガソリンエンジン)
・武装:7.5cm戦車砲KwK42×1、7.92mm機銃MG34×2
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| T-34打倒の目的は、立派に果たすことができたんだな。
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| ただし側面装甲は(正面などに比べて)脆弱で、パンターの弱点となっていた。
| 敵に待ち伏せされて、側面を狙われて撃破されるパターンが非常に多い。
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| そんなパンターの伝説は数多いですが、代表的なものを一つ。
| 1944年の南フランスにおいて、バルクマンSS曹長の乗ったパンターA型がたった1両で十字路に陣取ります。
| そして、進軍してくるM4シャーマンを次々と撃破! 9両を破壊し、1両を中破にまで追い込むという活躍。
| 後にこの十字路はバルクマン・コーナーと呼ばれ、観光名所のようになったとか。
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| それはパンターだけではなく、中の人も凄いのでは……
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| それまでにもバルクマンは5両以上のシャーマンをパンターA型で仕留め、
| さらにこの戦闘から3日間も戦い続け、愛車の喪失と引き替えに連合軍戦車15両を葬っている。
| その後もバルクマンはパンターG型に乗り換え、暴れ続けた。
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| また面白い事例としては、アメリカ戦車に偽装しようとしたパンターというのが存在します。
| これは1944年末のアルデンヌ攻勢の際にその場しのぎ的に作られたもので、M10駆逐戦車に似せたモノ。
| このパンター改造ニセM10が10両に、敵から奪ったM4を加えてニセ米軍部隊を組織しました。
| 結局のところトラブルで目的地に辿り着けず、偽装の効果は不明に終わりましたが。
| その後のニセM10は、そのまま普通に戦場へ投入されて撃破されています。
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| そりゃ勿体ないな。トラブルで目的地に辿り着けなかったって、何があったんだ?
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| 交通渋滞に巻き込まれた……
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| そんなパンターですが、実は欠点も数多いです。根本的な数の不足もその一つ。
| III号戦車の後継車両として登場したパンターでしたが、数の上では後継と言える状況ではありませんでした。
| 結局はパンター不足ということでIV号戦車の生産を平行して行う、という事が終戦まで行われます。
| 1945年2月、終戦間際の時点でパンターの所持数はわずか2133両という数だったんですよ。
| また整備性は悲惨ともいえる有様で、足回りが故障しがちという問題点は最後まで改善されませんでした。
| ちょっと走っては点検、整備、部品交換、またちょっと走っては整備――
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| うわぁ、面倒くさそう。
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| 実際の機動性はかなり問題があり、時にはティーガー以下とまで言われるほど。
| とにかく足回りの悪さが、パンターのネックだったんだ。
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| そしてパンターは戦後もソ連軍やフランス軍で使われていますが、その評判となると……
| フランス陸軍はこのパンターを運用した結果、「こんなモノ使ってたら戦争なんてしてる暇がない」と結論。
| とにかく整備や点検の手間が掛かり、少し走ってはすぐに足回りの部品がイカれるありさま。
| 生真面目なドイツ軍人なら文句も言わなかったんでしょうが、フランス人には耐えられなかったようです。
| これはそもそもの設計に無理が大きかったという点に加え、粗悪な部品を使っていたという事情も大きいです。
| 万能戦車に見えたパンターの裏からも、ドイツの末期的な状態が十分に伺えるんですよね……
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| やっぱドイツって、負けるべくして負けてるんだよな。
| 強力な戦車を持ってたのに連合は数で押し切ったとか、あまりにも視野が狭い見方ってことか。
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| パンターが第二次大戦中最優秀の戦車という人もいるが、私論ながらそうは思えないなぁ。
| ドイツ戦車TUEEEEしたり、最強戦車決定戦やるんなら見逃せない存在だろうけど……
| 稼働率とかを考えると、少なくとも戦争の道具として優れているようには思えない。
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| 単純に、戦車などの強さ比べは否定しません。
| 夢やロマンがありますし、私だって○○と××が一対一で戦ったらどちらが強いかなど考えたりもします。
| ただしそれを拡大解釈し、兵器の優劣――それどころか戦争の勝敗にまで言及してしまうのは危ういですね。
| 「ドイツ戦車の方が優秀だったのに、連合軍が数で押し切った」なんてトンチンカンな事を言い出すと危険信号。
| なぜ連合軍が数を揃えられたのか……これを見逃しては、次の戦争も、次の次の戦争も勝てませんよ。
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| そんな制服なのに、マトモなこと言ってる……
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| マトモじゃないだろ。
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| さて、ここでドイツ名物自走砲化の話に移りましょう。
| やはりドイツは我々の期待を裏切らず、このV号戦車パンターにも自走砲化の計画が浮上します。
| 開発が決定したのは1943年10月で、生産開始はドイツの敗色濃厚な1944年1月でした。
| 搭載したのは71口径8.8cm砲。前面80mm、側面50mmの装甲を傾斜させ、数値以上の防御性能を誇る化け物。
| それが、ヤークトパンター。素早い動きこそ出来ませんが、持ち前の重火力・重装甲で敵戦車を狩りまくり。
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・ヤークトパンター
パンターの車体に71口径8.8cm砲を備え付けた駆逐戦車。
その性能は極めて高く、最良の駆逐戦車とも評される。
しかし生産数は415両と少なく、戦場で貢献したとは言えない。
なお「ロンメル戦車」という俗称があるが、これは日本の模型メーカーが便宜的に付けたもの。
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| いくらなんでもゴツ過ぎだろう。こんなのに出会ったら生きて帰れそうにないぞ。
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| 側面装甲の脆弱さというパンターの欠点を受け継いでいるが……
| 駆逐戦車という運用の性質上、大した弱点にはならなかった。
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| このヤークトパンター、素早い動きは出来ないと言いましたが……
| 実際のところ足回りも改良されてるので、実質的な機動力はパンターより上だったんです。
| むしろ、パンターの足回りがケタ外れに劣悪過ぎるとも言えますが。
| 1944年冬、アルデンヌの戦いに大量投入されましたが劣悪な戦況を挽回することはできませんでした。
| 終戦までに完成したのは392両。いかに化け物でも、この数では何もできないのは明白です。
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| 優秀だったのに、切ないよな。
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| 各車両とも能力相応の活躍はしたけれど、400両ぽっちではどうにもならない。
| 結局、資源のムダ使い感は否めないところだ。
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| 他の派生型はこんなものですか。
| 戦車回収車の重要視は、この時期のドイツ戦車の問題点を表しています。
| 重戦車ティーガーの出現以来、遺棄戦車の多発は大きな問題になっていました。
| 燃料切れや機械的不調で動かなくなった戦車を、泣く泣くその場に放置するケースが多発したんです。
| そういう戦車を引っ張って自陣に戻れる、専門の回収車両は重宝されたんですよ。
| なおV号対空戦車ケーリアンについては、別講義を参照のこと。
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・パンター指揮戦車:無線装備を強化した指揮戦車タイプ。主砲は撤去されていない。
・パンター装甲砲兵観測車:パンターD型の車体を流用した観測タイプの車両。主砲はダミーに換装されている。
・パンター戦車回収車:パンターの主砲を撤去した戦車回収車。ベルゲパンターとも呼ばれる。
・V号対空戦車ケーリアン:パンターの車体に3.7cm連装対空機関砲を搭載した車両、計画のみ。
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| 燃料切れとか、機械的不調とか……それ、かなり末期的な状態じゃないのか?
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| だから、末期的なんだって。
| パンターやティーガーの火力や装甲は凄まじいが、その分足回りに負担が掛かっていた。
| 燃料不足で戦車放棄なんて、もう言うに及ばず。軍組織のボロボロさが伺える話だ。
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| ドイツ軍が細分化の極みを目指すかのごとく陸戦兵器を開発していったのは周知。
| しかし攻防速を高水準で満たしたパンターは、一台でその中の多くの任務をこなせる万能戦車でもありました。
| 対戦車戦闘、歩兵支援、偵察――これは、戦後世代のMBT(主力戦車)に通じるモノだとも言えますね。
| また次世代の主力戦車を、大戦中に完成させたというのも評価されてしかるべき。
| さらに問題点は多いながらもバランス良くまとめ上げた性能、そしてとてつもない戦歴。
| そんなパンターは戦後何十年も経った現在でも、世界中で非常に人気の高い戦車なんですよ。
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・V号戦車パンターD型:最初の生産型で、幾多の機械的不良を抱えている。
・V号戦車パンターA型:D型の砲塔や足回りに改良を施したタイプ。
・V号戦車パンターG型:A型の車体を再設計し、多くの改良を施した最多生産タイプ。
・V号戦車パンターF型:G型の砲塔に改良を加えたタイプだが、量産される前に終戦を迎える。
・パンターII:パンターの装甲強化型だが、未成に終わる。
・ヤークトパンター:パンターの車体に71口径8.8cm砲を備え付けた駆逐戦車。
・パンター指揮戦車:無線装備を強化した指揮戦車タイプ。主砲は撤去されていない。
・パンター装甲砲兵観測車:パンターD型の車体を流用した観測タイプの車両。主砲はダミーに換装されている。
・パンター戦車回収車:パンターの主砲を撤去した戦車回収車。ベルゲパンターとも呼ばれる。
・V号対空戦車ケーリアン:パンターの車体に3.7cm連装対空機関砲を搭載した車両、計画のみ。
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| パンターは、派生車両が少ないんだな。
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| ここまで高コストな戦車になると、改良型に回す余裕がないからな。
| そもそもの戦車タイプですら絶望的に不足していたんだし。
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