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| 今回の講義では、III号突撃砲短砲身型から長砲身型、そして駆逐戦車の登場までを見ていきましょう。
| 元々は歩兵支援が専門だった車両が、なぜ戦車狩り専門へと特化していったのか……
| そんなドイツにおける戦車狩り車両の発展を追うのが、今回の講義です。
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    | 対戦車車両とか突撃砲とか駆逐戦車とか、よく分からんぜ。
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         | なお大戦中の他国の戦車狩り車両および戦後の同種車両は、また別の講義で。
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| 「陸戦兵器の歴史」でも解説した通り、戦車というのは第一次大戦から戦間期まで、歩兵支援兵器でした。
| 前線で突っ込む歩兵と混じって突撃し、その攻撃を助けるという運用がなされていたんです。
| しかしドイツの中の偉い人は発想を転換、戦車を機動戦力として用いるという戦法を編み出しました。
| ところが、ここで一つの問題が浮上してくることになります。
| 歩兵支援兵器であった戦車が機動部隊として引き抜かれると、誰が歩兵の支援をするんでしょうか?
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    | 今までその仕事をしてた戦車が、別の仕事を与えられちゃったからなぁ……
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         | しかし、歩兵と一緒に突撃してズガズガ撃ちまくる砲は必要だった。
         | 支援火力なしでやっていけるほど、近代戦が甘くないのは明らかだな。
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| 開戦から4年も前の1935年には、早くもドイツにおいて装甲突撃砲兵の必要性が言われ始めています。
| 後の名将であるマンシュタイン少将が、歩兵師団における支援火力兵器について言及したんですね。
| そして1936年6月には、歩兵と一緒に突撃する砲――すなわち突撃砲の開発がスタートしました。
| その車体として目が付けられたのは、同時期に開発が難航していたIII号戦車
| このIII号戦車は将来において主力となるべき戦車であり、車体のサイズも十分(当時の感覚では)。
| そんなIII号戦車の車体をベースに、突撃砲の開発は進んでいきます。
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 突撃砲への要求
  ・車高が人間の背丈を越えない(被弾率を下げるため)。
  ・360度をガードできる装甲、前面は20mm。
  ・主砲は75mm以上の榴弾砲(IV号戦車とほぼ同じ砲)。
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    | 戦車みたいに、砲塔が360度旋回する必要はないんだよな。
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         | 歩兵支援が主任務なので運動戦の能力は不要、射撃方向の固定はほぼデメリットにならない。
         | ……ってのが開発陣の考え方。
         | 砲塔の旋回機構を省略することで、車体に対して大きめの砲が乗せられるしな。
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| そして1937年から1938年にかけて、III号戦車B型の車両をベースにした突撃砲のプロトタイプが5両完成します。
| その性能は軍の中の人が期待していた以上で、大いなる成功作。
| 「突撃砲」という名称を名乗ることが許され、改良が施されつつ生産体制に移行していきます。
| 前線で暴れ回るということで、無装甲に近い自走砲よりも非常に頑丈。
| 車高が低いので被発見率も被弾率も低く、旋回機構がないので生産も非常に容易。
| 主砲は歩兵支援に特化した短砲身榴弾砲、貫通力はないので対戦車戦は向いてないものでした。
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 ・III号突撃砲
  III号戦車の車体に短砲身7.5cm砲を搭載した、自走する歩兵支援砲。
  歩兵支援や対戦車戦闘に活躍し、自身の能力だけでなく「突撃砲」という兵器の便利さそのものを証明した。
  以後は、IV号突撃砲ブルムベアなどに発展していく。

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    | うわっ。本当に車高が低いな。
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         | このIII号突撃砲、当初は「突撃砲」とだけ呼ばれていた。
         | IV号突撃砲が登場してから、従来の突撃砲はIII号突撃砲と呼ばれるようになったんだ。
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| ただし対戦車戦には向いていないというだけで、全く考慮されていないということもありません。
| 前線で歩兵支援を行う以上、敵戦車との相対も十分にありえる事態。
| よって突撃砲が携えた主砲は、徹甲弾の発射も可能なようになっていたんです。
| こうして1940年1月から5月まで、III号突撃砲A型は50両が生産されました。
| これはIII号戦車F型を改造した車両であり、前方装甲は50mm、側面、後方の装甲は30mmという頑丈なもの。
| ポーランド戦はすでに終わっており、フランス戦が目の前に控えている時期の登場でした。
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 III号突撃砲E型
 ・全長:5.40m  ・全幅:2.95m  ・全高:1.96m  ・重量:22t  ・乗員:4名
 ・最大出力:300hp  ・最大速度:40km/h  ・行動距離:165km  ・装甲厚:11〜50mm
 ・エンジン:マイバッハHL120TRM(4ストロークV型12気筒液冷ガソリン)
 ・武装:24口径7.5cm砲StuK37×1、7.92mm機関銃MG34×1、9mm機関短銃MP40×1
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    | ポーランド戦には間に合わなかったのか……
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         | なお細かい知識だが、III号突撃砲A型の後期生産型はIII号戦車G型の車体がベースになっている。
         | 分類上は同じ型でも細かな仕様が違うというのは、ドイツ車両で良く見られるケースだ。
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| こうしてIII号突撃砲はフランス戦が初陣となり、期待以上の活躍を示します。
| 初期III号戦車IV号戦車よりも重装甲であり、この時期のドイツ車両で最も防御力が高かったんですよ。
| そして1940年6月には、III号突撃砲B型が生産開始。
| これはA型に足回りの点での改良を施したタイプで、250両が生産されました。
| バルカン半島での戦いに投入され、やはり歩兵の支援兵器として大活躍します。
| 共に戦う歩兵からは、「戦車5両よりも突撃砲1両を」と言われるほど心強い存在だったわけですね。
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 ・III号突撃砲A型:初期生産型。
 ・III号突撃砲B型:A型の走行系統を改良したタイプ。
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    | そりゃすごい、まさに傑作兵器じゃないか。
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         | ただしグデーリアンは、この突撃砲そのものに反対だった。
         | 「こんなもん作るなら、主力たる戦車を1両でも多く作れ!」ってとこだな。
         | この突撃砲は区分の上では砲だから、砲兵部隊の手に渡ってたんだ。
         | 戦車部隊の手には、突撃砲は渡らなかった――これ、あとでちょっと大事になる。
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| そして1941年3月、ソ連戦を間近に控えた時期――III号突撃砲C型が登場します。
| このC型に施された改良はごく小さいものであり、照準関連に手が加えられた程度。
| C型は100両が生産された後、1941年5月にはIII号突撃砲D型の生産が始まりました。
| D型は、C型に車内通話装置を取り付けたもので、これも極めて細かい進化。
| このD型は150両が生産され、ソ連戦へと赴くことになります。
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 ・III号突撃砲C型:弱点だった照準口を塞ぎ、ペリスコープ式の照準器を備え付けたもの。
 ・III号突撃砲D型:C型に車内通話装置を取り付けたタイプ。
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    | そのソ連戦で、例のショックが待ってるわけだな。
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         | このC型D型は、不足する戦車の穴埋め的な視点で部隊に配備されていった。
         | 激烈なフランス戦で戦車が減った挙げ句、部隊の数自体は増えたんだからな。
         | 戦車不足に陥るのも当然の話だ。
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| そしてソ連戦が始まった時期には、指揮官用に整備されたIII号突撃砲の開発が進んでいきます。
| これが無線機能を増強したIII号突撃砲E型、1941年9月から500両を生産する予定でしたが――
| 1942年3月、284両が完成した時点で生産を打ち切られてしまいました。
| なぜ、そうなってしまったのか……それは、ソ連戦で相対した恐ろしい敵によるものでした。
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 ・T-34ショック
  対ソ戦で遭遇したT-34のあまりの強力さに前線兵士は恐怖、ドイツ戦車開発陣も愕然とした一件。
  このT-34ショックは、後のドイツの戦車開発に大いに影響を与える。
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    | ドイツ戦闘車両の発展を語る上で、T-34との遭遇は避けて通れないんだな。
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         | それほど、T-34は凄まじかったんだよ。
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| III号突撃砲も、このT-34の脅威と無関係ではいられませんでした。
| 突撃砲は対戦車兵器ではなかったとは言え、歩兵支援を行う上で敵戦車を退治する局面もありますからね。
| しかしIII号突撃砲の短砲身タイプの主砲では、T-34の装甲の前ではまるで歯が立ちません。
| そこで1941年9月には、対戦車戦に適した長砲身砲に換装しようという計画が持ち上がります。
| こうして主砲の仕様を変更し、対戦車能力がアップしたのがIII号突撃砲F型でした。
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 ・III号突撃砲E型:指揮官用に、無線機能を増強したタイプ。
 ・III号突撃砲F型:E型の主砲を43口径7.5cm砲に換装したもの。後期型は48口径7.5cm砲を搭載している。
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    | なんと、対戦車兵器として生まれ変わったのか……
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         | こうして、マルダーといった対戦車自走砲と用途が被ることになってしまう。
         | まあ、対戦車兵器はどれだけ数があったところで余るというのはありえない状況だったがな。
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| III号突撃砲F型は、主砲を長砲身型に換装しただけの改良であり、車体に変更はほとんどありませんでした。
| こうして1942年3月から9月までに359両が生産されたのですが、後期生産型にはさらに改良を施されました。
| F型の主砲のスタンダードは43口径7.5cm砲ですが、より強力な48口径7.5cm砲を搭載したんですよ。
| こうしてF型の生産が進むわけなんですが、1942年9月にちょっとしたトラブルが。
| III号突撃砲F型がベースにしていた車両はIII号戦車H型なんですが、この車体がJ型に発展。
| それに対応して、以後生産されるIII号突撃砲F型F8型と呼称が変更されたんです。
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 ・III号突撃砲F8型:ベースとなった車体の変更による呼称変化。主砲は48口径7.5cm砲。
 ・III号突撃砲G型:F型の基本設計を改め、大改良を施したタイプ。
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    | なんと、色々ややこしいんだなぁ……
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         | なおF8型は、F型の後期生産型の特徴を受け継ぎ48口径7.5cm砲を搭載している。
         | 他にもマズルブレーキなど、細かい改良がなされているな。
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| この頃には、III号突撃砲は前線になければならない兵器となっていました。
| F8型は1943年9月から12月まで334両が生産され、さらに洗練されたG型へと発展していくことに。
| F型F8型は間に合わせ的に長砲身の主砲を乗せた簡易改造タイプだったんですが、これを大幅に改良。
| 基本設計から改め直したのが、III号突撃砲の最終生産型であるG型なんですよ。
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 III号突撃砲G型
 ・全長:6.77m  ・全幅:2.95m  ・全高:1.85m  ・重量:23.9t  ・乗員:4名
 ・最大出力:300hp  ・最大速度:40km/h  ・行動距離:155km  ・装甲厚:11〜80mm
 ・エンジン:マイバッハHL120TRM(4ストロークV型12気筒液冷ガソリン)
 ・武装:48口径7.5cm砲StuK40×1、7.92mm機関銃MG34×1

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    | つまり、これがIII号突撃砲の決定版か。
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         | 全般的に戦闘室を拡大し、部品の組み合わせを簡略化して生産性をアップ。
         | キューポラや機関銃用防盾を増設し、シュルツェンを標準装備。
         | 性能も生産性もアップした、最終正産型としてふさわしい逸品だ。
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| 現場で重宝されるIII号突撃砲とは裏腹に、III号戦車の旧式化は明らか。
| そこで戦車タイプの生産を打ち切って突撃砲型の生産に専念することになり、生産数は爆発的にアップします。
| 1942年2月から1945年3月まで、なんとG型は7720両という莫大な数が生産されるということになりました。
| なおIII号突撃砲の派生型は板書の通り、自走砲型はまた後述しますね。
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 ・III号突撃砲弾薬運搬車:G型の主砲を撤去した弾薬運搬車、事実上の現地改造モデル。
 ・突撃砲火炎放射型:F8型を改良した火炎放射戦車。改修数はわずか10両で実戦にも投入されていない。
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    | 終戦まで用いられたってことは、III号突撃砲に発展系は存在しなかったのか?
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         | とんでもない、ドイツ軍を甘く見るな。あらゆる車両をドイツ的にいじり回して開発に勤しんでいたぞ。
         | 結果的に、III号突撃砲がこの種の兵器のスタンダードであり続けたってだけだ。
         | より性能の向上した車両もあったんだが、III号突撃砲ほどは生産が進まなかったんだよ……
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| さて、III号突撃砲に関してはここまで。ここで、駆逐戦車というものについて解説しましょう。
| 駆逐戦車というのは、その名の通り戦車を倒すための戦車、つまりは戦車狩り用の兵器です。
| 砲塔こそ旋回しませんが非常に強力な対戦車砲を備え、また十分な装甲を備えた車両。
| 運動戦には向きませんが、待ち伏せなどでは多大な火力を発揮する兵器が駆逐戦車なんです。
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 ・駆逐戦車
  砲塔が回らない代わりに戦車よりも強力な砲を持つ車両で、性質としては「戦車」より「自走砲」に近い。
  運動戦は苦しいので、必然的に待ち伏せなどの戦法を多用する事になる。
  コストが戦車よりも安いため、戦車不足に苦しんだ末期のドイツにおいて重宝された。
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    | ……あれ? 後期型の突撃砲とどう違うんだ?
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         | 本来なら歩兵支援用の兵器だった突撃砲は、事実上の戦車狩り兵器へと変質していった――
         | そう、実は突撃砲と駆逐戦車にほとんど差異はないんだ。
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| では何が違うのかというと、突撃砲は砲兵部隊の所有物、駆逐戦車は戦車部隊の所有物だった点でした。
| この駆逐戦車というのは、兵科間の縄張り争いの産物であるという一面を持っていたんです。
| ちょっとした兵科間の管轄問題が関わり、とある出来事で一気に計画が進むことに。
| この駆逐戦車が生まれた過程は、幾多の要因が絡み合った複雑なものだったんですよ。
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    | 兵科間の縄張り争いって……
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         | 軍隊ってのは、どこでもそういうもんだ。
         | 国によって程度の激しさはあるがな。
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| 事の初めは1943年、装甲師団の父と言われるグデーリアンが軍務に復帰した時の事です。
| 彼はその一年前に、ヒトラーと意見が衝突したことによりクビにされていたんですよ。
| しかし戦局の悪化により復帰を果たしたグデーリアンは、それを期にシステム再編に取り組みます。
| そこで目に付いたのが突撃砲、これは事実上の対戦車兵器と化していたんですよ。
| そこでグデーリアンは、突撃砲は戦車部隊が所有すべきものだと主張。
| しかし砲兵部隊はこんな便利な兵器を手放すような事はせず、グデーリアンの主張を退けます。
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 グデ:突撃砲、装甲科にちょうだい。
 砲兵:「砲」って付いてる以上はワシラのもんじゃハゲ!!
 グデ:じゃあ「戦車」って付いてたら貰って良いんだな! みてろ、みてろ!
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    | この失礼な寸劇、何度も板書するなよ……
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         | そもそもグデーリアンはハゲてないしな。
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| そういう事情で、戦車部隊が所有する突撃砲――すなわち駆逐戦車が誕生することに。
| この駆逐戦車開発を一気に進めたのが、1943年末に起きたある出来事でした。
| III号突撃砲の生産を引き受けていたアルケット社の工場が激しい爆撃を受け、業務停止状態になったんです。
| こうして、III号突撃砲の生産がストップしてしまうという実に困った事態になってしまいました。
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    | じゃあ、別の工場で作ったらいいじゃん。
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         | 工場には当然ながら設備ってのがあり、その設備は割り当てられた兵器の生産にのみ特化してる。
         | そう簡単に、別の兵器が造れるわけじゃないんだ。
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| だからと言って、III号突撃砲はなくてはならない兵器。諦める訳にはいきません。
| ドイツの偉い人は、チェコにあるBMM社の工場でIII号突撃砲の生産を進めようとしますが――
| このBMM社の工場は
38(t)戦車の生産が本業であり、その設備は非常に小さいもの。
| 中戦車以上の車両の生産は不可能であり、III号突撃砲もBMM社の工場では量産できなかったんです。
| そこでドイツの偉い人は、38(t)戦車をベースにIII号突撃砲の代替兵器ができないかな……?と思案。
| こうして1943年3月には軽駆逐戦車の開発が本格稼働、駆逐戦車ヘッツァーの開発が始まります。
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 砲兵総監は、この新車両を突撃砲の発展型であると主張、「38(t)突撃砲」と呼ぶ。
 グデーリアン率いる機甲総監部では「38(t)車体搭載軽戦車駆逐車」と呼び、管轄を巡って対立が発生。
 結果的にグデーリアンに軍配が上がり、この新車両は戦車部隊の持ち物となる。
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    | 本当に、運用思想云々よりも縄張り争いが先行してたんだな。
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         | なおIII号突撃砲生産中止の一件は、駆逐戦車ヘッツァー以外にも代替車両の開発を促した。
         | この時に誕生したIV号突撃砲については、少し後に講義するぞ。
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| もともと38(t)戦車を対戦車自走砲化したマルダーIIIは、前線から装甲の不安が寄せられていました。
| そういうわけで、このマルダーIIIをどうにかしよう、という計画が以前からあったんです。
| 38(t)戦車の部品を用いて車体を再設計、軽戦車には明らかに過大な48口径7.5cm砲を搭載。
| こうして完成した駆逐戦車ヘッツァーの生産は1944年4月から始まり、1945年5月までに2584両が完成。
| もはや状況は絶望的、敗色濃厚の戦場で奮戦を続けることになるんですよ。
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 ・38(t)駆逐戦車ヘッツァー
  突撃砲と同じようなコンセプトで開発された陸戦車両で、48口径7.5cm砲を搭載している。
  末期のドイツにおいて大量生産された優秀な兵器だが、戦局の挽回には至らなかった。
  生産性や機械的信頼性に優れた有用な兵器であるが、欠陥も多い。

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    | まるまる! かわいい! すてき!
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         | 装甲板が傾斜しているせいで、うまいこと弾丸が直撃しない仕組みになっていた。
         | また車高の低さは敵弾の命中率を低め、被発見率をも低下させていたんだ。
         | ヘッツァーたんのボディは、合理性のカタマリだぞ。
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| このヘッツァーは生産性が極めて良い、燃費が良い、故障が少ないなど、目に見えない良点が多い車両。
| その特性は、末期になって資源が欠乏していたドイツにとって非常にありがたいものでした。
| ヒトラーは最優先車両の一つに指定し、戦争末期の貧窮したドイツで2500両以上が造られたのも頷けます。
| III号突撃砲どころか戦車そのものの代替として、ヘッツァーは終戦の日まで戦い続けました。
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 38(t)駆逐戦車ヘッツァー
 ・全長:6.27m  ・全幅:2.63m  ・全高:2.17m  ・重量:15.75t  ・乗員:4名
 ・最大出力:160hp  ・最大速度:42km/h  ・行動距離:178km  ・装甲厚:8〜60mm
 ・エンジン:プラガAE(4ストローク直列6気筒液冷ガソリン)
 ・武装:48口径7.5cm対戦車砲PaK39×1、7.92mm機関銃MG34 or MG42×1
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    | ドイツは、最初から最後まで戦車不足だったんだな……
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         | なおアルケット社工場によるIII号突撃砲生産中止の一件だが、結局はすぐに工場が復帰。
         | III号突撃砲の生産中止も一時的なものに過ぎなかった。
         | それでも、かなり使い勝手の良いヘッツァーの生産は続行されたがな。
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| そんなヘッツァーは戦略的視点で見れば優れた車両でしたが、実際にこれで戦えと言われると閉口もの。
| 車内がとにかく狭く窮屈で、乗員同士の意思疎通にも困るほどの有様。射界も視界も同様に狭いです。
| また砲が地面に近い分、射撃の際には土煙が巻き起こって次弾発射が困難。
| おまけにマズルフラッシュ(発射時の炎)が激しいので、射撃位置が敵にバレバレ。
| 死角も非常に多く、とても頼もしい兵器とは言えない存在だったのも一つの事実。
| そんな欠点を無数に抱えながら、極めてコストパフォーマンスに優れた車両として活躍したのもまた事実。
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    | 戦争に役立つ兵器と、実際に乗って楽しい兵器もまた別物なんだな。
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         | 戦略的には優れながらも、前線における一般兵の視点では嬉しくないヘッツァー……
         | 一般兵の視点では心強いが、戦略的にはろくでもないティーガーなどとは対局だな。
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| またヘッツァーも、例によって車体が再利用されて派生型を生み出しています。
| 板書にはありませんが、38(t)15cm自走重歩兵砲ヘッツァーってのも派生型の一つですね。
| そんな駆逐戦車ヘッツァーですが、生産工場がチェコにあった事は解説した通り。
| なんとドイツ降伏後、独立したチェコスロヴァキアはヘッツァーの生産を続行しています。
| ナチスドイツが残した兵器を他国が戦後も使用したケースは数あれど、生産までされたのはヘッツァーのみ。
| 戦後に生産されたヘッツァーは、チェコスロヴァキア陸軍のみならずスイスにも輸出されました。
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 ・38(t)火炎放射戦車ヘッツァー:主砲の代わりにを火炎放射器に置き換えた火炎放射戦車。
 ・38(t)戦車回収車ヘッツァー:主砲を撤去した戦車回収車。
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    | 戦後も使われたのか……
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         | なお、スイス陸軍が使用したヘッツァーにはG-13という制式名称が与えられた。
         | 戦争映画でヘッツァー役として出てくる車両は、実はほとんどがこれ。
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| ここでヘッツァーから離れ、アルケット社爆撃によってIII号突撃砲の生産が中止に陥ったところまで遡ります。
| この一件をきっかけとして開発が進んだのが駆逐戦車ヘッツァーというのは、上で解説した通り。
| しかし他にも、この一件によってIII号突撃砲の代替となるべく開発が促進された車両がありました。
| それが、IV号突撃砲――
IV号戦車の車体に、III号突撃砲主砲を搭載した突撃砲なんです。
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    | なんと、他にも代替手段があったのか……
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         | III号突撃砲が造れなくなるってのは、ドイツにとって緊急事態だからな。
         | その対策に大わらわだ。
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| そもそも1943年の初頭から、IV号戦車の車体にIII号突撃砲の主砲を載せるという計画は存在していました。
| しかし技術的に問題がある上に、主力戦車であるIV号戦車の生産が阻害されるって理由で偉い人は渋い顔。
| ですが1943年末、先ほど述べた通りアルケット社の工場が爆撃を受けるにあたって事態は一変。
| このIV号戦車車体+III号突撃砲主砲はIII号突撃砲の代替になるということで、計画が動き出します。
| こうして完成したのがIV号突撃砲なんですが、生産数は1141両とそう多くはありません。
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 ・IV号突撃砲
  IV号戦車の車体にIII号突撃砲の主砲を載せたもの。
  III号突撃砲の代替として登場し、それなりの活躍を果たした。

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    | III号突撃砲の生産数は1万両以上だもんなぁ。代替戦力にはなりえなかったのか?
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         | 爆撃を受けたアルケット社だが、すぐに復旧に成功したからな。
         | IV号突撃砲も決して悪い兵器じゃないが、生産性はあっちの方が遙かに上なんだよ。
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| さて、結果的にはIII号突撃砲が終戦まで主力突撃砲となり続けることとなったんですが……
| このIII号突撃砲に、後継車両が存在しなかったわけではありませんでした。
| ここで時を遡り、1942年9月。ソ連戦の経験を生かし、より強力な突撃砲の開発が始まります。
| 色々検討した末に、
IV号戦車の車体を流用した駆逐戦車を開発することになりました。
| こうして完成したのがIV号駆逐戦車、1944年11月までに769両が生産されました。
| やはり数が足りず、主力突撃砲の座はIII号突撃砲が独占していましたが。
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 ・IV号駆逐戦車
  IV号戦車H型の車両をベースに、48口径7.5cm砲を備えた車両。
  本来ならV号戦車パンターと同等の70口径7.5cm砲を装備する予定だったが、主砲の数不足により断念。
  III号突撃砲の後継として開発されたものの、これを大量生産する余裕はなかった。
  あらゆる戦線に投入され、絶望的な戦いを続ける。

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    | なんか枝分かれした開発計画が多すぎて、頭の中がパンパンだぜ。
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         | 軍隊ってのもまた官僚機構だからな。
         | さらに場当たり的に登場した開発計画も多く、その中には被ってるモノも多い。
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| さらにこのIV号駆逐戦車の主砲を強化し、70口径7.5cm砲を搭載したのがIV号戦車/70(V)です。
| 元々IV号駆逐戦車にはこの長身砲を載せる予定だったんですが、
パンターと被って数が足りなかったんですよ。
| それでも諦めきれずに、隙を見てIV号戦車/70(V)の開発に踏み切ったんですが――
| 1944年8月から1945年3月までに生産数が930両と、やはりIII号突撃砲には及ばない有様。
| また攻撃力は大満足だったんですが、IV号駆逐戦車よりも機動性が低下してしまいました。
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 ・IV号戦車/70(V)
  IV号駆逐戦車の主砲を70口径7.5cm砲に換装した車両。
  車体そのものは、長砲身化に伴って若干の改装を施した程度。
  当初はIV号駆逐戦車ラング(V)と呼ばれていたが、IV号戦車/70(V)に改称された。
  なお(V)は、フォマーグ社製という意味である。
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    | 本当に、ドイツ人っていじくり回さなきゃ気が済まないんだな……
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         | この車両は、ヒトラーの大のお気に入りでもある。
         | 「戦闘車両の究極型」と大絶賛だ。
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| またIV号駆逐戦車はアルケット社も生産しており、これをIV号戦車/70(A)と呼称します。
| このIV号戦車/70(A)IV号戦車/70(V)と幾つか相違が見られました。
| IV号戦車/70(A)は、
IV号戦車の車体をほとんど改造せずにそのまま流用しているんです。
| できるだけIV号戦車に手を加えずに、安易に生産できるように工夫されたのがIV号戦車/70(A)なんですよ。
| なんでこんなもんが必要になったかというと、やはり総統の命令でした。
| 「IV号戦車を全てIV号駆逐戦車として完成させよ!」とのお言葉を、なんとか実現させようとしたんです。
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 ・IV号戦車/70(A)
  IV号駆逐戦車の主砲を70口径7.5cm砲に換装した車両で、アルケット社製。
  IV号戦車/70(V)と若干の差異があり、車体はIV号戦車の流用に近い。
  なお(A)は、アルケット社製という意味である。
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    | 総統、戦車なくなるよ総統。
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         | 1944年8月から、1945年3月まで278両が完成した。
         | これらのIV号駆逐戦車シリーズは合計で2000両程度が完成したんだが……
         | III号突撃砲の後継になるという本来の目的は果たせなかったな。
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| 
エレファントヤークトパンターヤークトティーガーなど、さらなる重駆逐戦車に関しては別の講義で。
| この辺の怪物達に関しては、パンターティーガーの講義でやりましょう。
| ではここで、突撃砲がそもそも歩兵支援用の車両だったことを思い出して下さい。
| しかしソ連戦車の脅威の前で、突撃砲は対戦車用の車両として扱われました。
| そうなると、歩兵を支援する車両がまた必要になってくるということ。
| こうして、歩兵への火力支援専用の車両の開発が始まったんですよ。
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    | そもそも、ドイツにおいては戦車が歩兵支援の任務から外されたんだろ?
    | そこで歩兵支援を行う専門の車両が、突撃砲じゃなかったっけ? ループしてない?
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         | その突撃砲がいつしか戦車狩り車両となり、本来の任務ができなくなってしまった。
         | そうなるとまた代わりがいる……まあ、ループだな。
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| こうして1942年3月に完成したのが、42式10.5cm突撃榴弾砲です。
| III号突撃砲F型の車両を改良した上で流用し、主砲を10.5cm榴弾砲に変更した車両。
| その装甲も80mmと強固で、ヒトラーもその性能に大満足。全部で1299両が完成します。
| 東部戦線でも良好な活躍を見せ、前線の歩兵の剣となり、盾となり、大いに奮戦しました。
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 ・42式10.5cm突撃榴弾砲
  III号突撃砲F型の車体に10.5cm榴弾砲を搭載した車両。
  前線での使用も考慮に入れ、その防御力は非常に高い。
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    | ヒトラーも満足って……あの人って、いちいち兵器の一つ一つにコメントしてたの?
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         | ヒトラーを甘く見るな。コメントなんてレベルじゃないぞ。
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| さて、ここでまた別の話に飛びましょう。
| 以前に講義した、
15cm33型重自走砲II号15cm重歩兵砲搭載自走砲の系列を覚えているでしょうか。
| sIG33重歩兵砲を搭載したタイプの自走砲はさらに発展するんですが、ここで突然変異を起こしました。
| 基本的にこの主の自走砲は軽装甲(無装甲)だったんですが、ここで突撃砲の思想が混じります。
| こうしてIII号戦車の車体にsIG33重歩兵砲を搭載、前線での使用も考慮して装甲を備えた車両が完成。
| それが33B突撃歩兵砲。スターリングラード戦に向けた1942年末、24両が生産されました。
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 ・33B突撃歩兵砲
  III号戦車の車体にsIG33重歩兵砲を搭載した自走砲。
  スターリングラード戦に対応するため、市街戦に適した仕様を追求。
  ゆえに火力だけでなく重装甲も追求され、これまでの系列とは趣を異にする車両となった。
  開発が急がれたために非常にシンプルだが、東部戦線において良好な性能を発揮している。
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    | つーかもう、頭の中がゴチャゴチャなんだけど。
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         | 大丈夫、ドイツ軍の中の人だってもうゴチャゴチャだから。
         | sIG33重歩兵砲を搭載した車両としては、スタンダードな流れはグリレに相当するわけだしな。
         | この33B突撃歩兵砲は、スターリングラード戦に特化した傍系と言えんこともない。
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| この33B突撃歩兵砲はなかなかに美味しい車両だったんですが……
| 
III号戦車の車体は過小気味で、sIG33重歩兵砲(15cm砲)を乗せるにはかなり無理な改造が必要でした。
| そこで余裕のあるIV号戦車の車体を流用し、より優れた発展系を開発することに。
| そうして完成したのがIV号突撃榴弾砲ブルムベア、一連の自走重歩兵砲の究極型ですね。
| 1943年4月から5月までツィタデレ作戦向けに60両が完成して、いったんは生産が打ち切り。
| しかし後に有効性が見直されて生産再開、1943年12月から1945年3月までに306両が完成しました。
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 ・IV号突撃榴弾砲ブルムベア
  IV号戦車の車体にsIG33重歩兵砲を搭載し、重装甲を施した車両。
  生産時期によって細部が異なり、一般的には3タイプに分けられる。

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    | ごっつ!!
    | それにしても、「〜の車体を流用し」ってフレーズ、一連の講義で何度聞いたっけ?
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         | ドイツの中の人は、生産をちょっとでも楽にするつもりだったんだろうけどな。
         | 結果的に訳が分からなくなるほど派生型が大量発生し、逆に非効率的なことになった。
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| そういうわけで、そもそも歩兵支援兵器だった突撃砲は対戦車車両へと変質。
| むしろ前線で戦う場合、対戦車戦闘が避けては通れなくなっていたという時流を反映したとも言えます。
| さらに戦車不足という事情も拍車を掛け、戦車そのものの代替兵器という役割すら演じました。
| そして突撃砲も駆逐戦車も運動線は苦手ですので、原則的には自分から敵戦車を狩りに行ったりはしません。
| 敵を待ち伏せし、十字砲火を食らわせるというのがこの種の兵器のセオリーでした。
| つまり駆逐戦車は、防御兵器に近い運用がなされたんですよ。
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    | 突撃砲は、最初に考えられていた使用法と、実際に用いられた使用法が違ってしまったんだな。
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         | 最初のうちはよかったんだが、わんさか敵戦車が現れるようになるとな。
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| III号突撃砲ヘッツァーの生産数や活躍は凄まじく、ドイツ傑作車両として三本の指に入るでしょう。
| 私見になりますが、ドイツにおいて最も戦場で貢献した車両を三つ答えろと言われれば……
| 私ならIV号戦車III号突撃砲ヘッツァーの三つを挙げるでしょうね。
| そういうわけで、ドイツで花開いた突撃砲〜駆逐戦車の講義を終わります。
| これらの車両は戦後どうなったか、それはまた別の講義でやっていきましょう。
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 ・III号突撃砲A型:初期生産型。
 ・III号突撃砲B型:A型の走行系統を改良したタイプ。
 ・III号突撃砲C型:弱点だった照準口を塞ぎ、ペリスコープ式の照準器を備え付けたもの。
 ・III号突撃砲D型:C型に車内通話装置を取り付けたタイプ。
 ・III号突撃砲E型:指揮官用に、無線機能を増強したタイプ。
 ・III号突撃砲F型:E型の主砲を43口径7.5cm砲に換装したもの。後期型は48口径7.5cm砲を搭載している。
 ・III号突撃砲F8型:ベースとなった車体の変更による呼称変化。主砲は48口径7.5cm砲。
 ・III号突撃砲G型:F型の基本設計を改め、大改良を施したタイプ。
 ・III号突撃砲弾薬運搬車:G型の主砲を撤去した弾薬運搬車、事実上の現地改造モデル。
 ・突撃砲火炎放射型:F8型を改良した火炎放射戦車。改修数はわずか10両で実戦にも投入されていない。
 ・38(t)駆逐戦車ヘッツァー:38(t)戦車の車体を再設計し、48口径7.5cm砲を搭載した車両。
 ・38(t)火炎放射戦車ヘッツァー:主砲の代わりにを火炎放射器に置き換えた火炎放射戦車。
 ・38(t)戦車回収車ヘッツァー:主砲を撤去した戦車回収車。
 ・IV号突撃砲:VI号戦車の車体にIII号突撃砲の主砲を載せた車両。
 ・IV号駆逐戦車:IV号戦車H型の車両をベースに、48口径7.5cm砲を備えた車両。
 ・IV号戦車/70(V):IV号駆逐戦車の主砲を70口径7.5cm砲に換装した車両。
 ・IV号戦車/70(A):IV号駆逐戦車の主砲を70口径7.5cm砲に換装した車両で、アルケット社製。
 ・42式10.5cm突撃榴弾砲:III号突撃砲F型の車体に10.5cm榴弾砲を搭載した車両。
 ・33B突撃歩兵砲:III号戦車の車体にsIG33重歩兵砲を搭載し、重装甲を備えた自走砲。
 ・IV号突撃榴弾砲ブルムベア:IV号戦車の車体にsIG33重歩兵砲を搭載し、重装甲を施した車両。
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    | パンターティーガーは当て嵌まらないんだな。
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         | その戦車は伝説を作ったが、戦争の役に立ったかというのとは別の話。
         | 兵器として優れているのは、間違いなくIV号戦車III号突撃砲ヘッツァーなんだ。
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