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| ジーク・ハイル! 久々に講義を始めましょうか。
| 今回から、「ふゆやすみ特別企画〜第二次世界大戦」をやっていきましょう。
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第38回兵器史・第二次大戦への歩み1(ふゆやすみ特別企画・第二次世界大戦史1)
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| どうした後ろギコ! そのカッコは!?
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| 武装親衛隊(Waffen-SS)がいるー!!
| 助けて! ロイヤルネイビー、助けて!!
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| この講義用に新しい服を新調してしまいましてね…
| ドイツの町をこの格好で練り歩いていると、余りのカッコ良さに逮捕されてしまいましたよ。
| さて、この一連の講義シリーズで受講者の皆さんをドイツ燃え(萌え)の世界に御招待しましょう。
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なつやすみ特別講義のようなハイペースではなく、週に1回程度の予定。
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| おいおい、大丈夫かよ。ドイツマンセーな講義にならないだろうな…
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| 俺に任せろ。このバカ講師が暴走した時は、大英帝国の素晴らしさを叩き込んでやる!
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| お前も充分暴走してるよ。
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| しかし第二次世界大戦について語るには、ヴェルサイユ体制を知っておく必要があって…
| ヴェルサイユ体制について語るには、第一次世界大戦を知っておく必要がありまして…
| 第一次世界大戦について語るには、19世紀後半のヨーロッパ情勢を知っておく必要があります。
| そういう訳で、19世紀後半からのヨーロッパの流れをドイツ中心にやっていきましょうか。
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| もう、本題の前に時代を遡るのも恒例だな…
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| 本当は、19世紀後半のヨーロッパ情勢を知るにはナポレオン辺りからやらなきゃならんけどな。
| でもそれやると、いい加減キリがなくなる。人類の創世記まで戻ってしまうハメになるからな…
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| イギリスやフランスと違い、ドイツは18世紀あたりまでは分裂した小国でした。
| しかしナポレオンの侵略を経て、さらにヨーロッパには産業革命が到来。
| 内部に小国が乱立したままでは、ドイツはヨーロッパの発展についていけない可能性がありました。
| このままではいけない、という思いがドイツ地方の人々の間に広がります。
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| ドイツって、そんな状態だったのか…
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| それでも、ドイツ地方の中で最大のプロイセンという国の軍隊は非常に強力だった。
| ドイツに乱立する小国の中でのリーダーみたいな存在だな。
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| そんな1862年、プロイセン皇帝ヴィルヘルム1世はビスマルクを外相&首相に任命します。
| 後に鉄血宰相ビスマルクと呼ばれたこの男は、ドイツ史のトップに輝く偉大な政治家でした。
| そして政治を担当したのがビスマルクなら、軍事を担当したのは参謀総長モルトケ。
| このビスマルクとモルトケの黄金コンビが、ドイツをヨーロッパの超大国に押し上げるんですよ。
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| 周囲の国に次々にケンカを売って、ブッ倒して領土を広げたんだな。
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| まあそうなんだが、そのやり方は非常に巧みだった…
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| ビスマルクは卓越した政治家だったので、周囲と巧みに同盟関係を結びながら領土を広げていったんです。
| オーストリアと同盟してデンマークを倒し、さらに非常に上手なタイミングでオーストリアに戦いを挑み…
| 最後にはフランスを叩き潰してパリに進軍、1871年にヴェルサイユ宮殿にてドイツ帝国の成立を宣言します。
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| 進軍した敵国の重要施設で統一帝国の成立を宣言したんだな…
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| この一件でフランスに与えた敗北感と屈辱感は相当なものだった。
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| ビスマルクが凄かったのは、これだけムチャクチャな軍事行使をやりながらも、
| 巧みに外交関係を構築して、他国と決定的な対立関係を生まなかった事なんです。
| つまり、卓越した外交手腕で、余計な敵は一切生まなかったという事ですね。
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| なるほど。単なる強硬派とはレベルが違うんだな。
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| これだけ暴れれば、ヘタしたらヨーロッパを巻き込んだ全面戦争になってもおかしくなかった。
| そうなれば、軍事国家プロイセンといえどもひとたまりもなかっただろう。
| この時代のイギリス(ロイヤルネイビー)は無敵だしな。ハァハァハァ、今も無敵だけど…
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| そしてこれらのプロイセンの連戦連勝には、参謀総長モルトケの手腕も大きく貢献していました。
| 彼はドイツ参謀本部を率いて、世界が驚くような大勝利を何度も実現します。
| ドイツ帝国成立後は、最新の軍事トレンドはベルリン。
| ドイツ軍が新たなシステムを取り入れたと耳にすれば、各国軍がこぞって真似をするというほどでした。
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・ドイツ参謀本部
モルトケが参謀総長を務めた、世界最初の軍令組織。
まるで機械を操縦するように軍隊を動かし、一連の戦勝に大いに貢献する。
無名であったその名はもはや世界中に響き、ドイツ国内から優秀な人間が結集するようになった。
しかし、この組織の能力がドイツ軍内で神格化しはじめ…
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| なんか、板書の最後の一行がテラヤバス。
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| モルトケは、参謀本部の限界を知っていた。
| しかし彼の魔術のような手腕を見ていた後継者達は、しだいにモルトケ率いる参謀本部の力を…
| そして、今では自分達が率いる参謀本部の力を、過剰に盲信するようになったんだ。
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| さて、この頃のパワーバランスを見てみましょう。当時のヨーロッパの五大国はと言うと…
| 好き勝手絶頂の大帝国イギリス、まだまだ侮れないフランス、そして新興軍事国家ドイツ、
| 意外かもしれないオーストリア・ハンガリー、欧州というには地理的に微妙なロシアでした。
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・その他の国の様子
イタリア:なにかとゴタゴタ。オーストリアとの領土問題を抱え、仲が悪い。
アメリカ:育ち盛りだが、まだまだ強国には遠い。国内にも幾多の不安要素を抱える。
日本:国際情勢に顔を見せ始めたものの、まだまだ後進国。何より世界の中心ヨーロッパから遠過ぎ。
中国(清):欧州諸国に食われ放題。しかし「眠れる獅子」とも呼ばれ、本格的に怒らせたら危ないとも。
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| オーストリア・ハンガリーがヨーロッパの五強、本当に意外だな…
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| ロシアは果て無き領土拡大思想を持っていたが、1853年のクリミア戦争でヨーロッパ連合に敗北。
| ヨーロッパ方面への領土拡大を諦め、極東に目を付け始めるんだ。
| こうしてしばらくの間、基本的にロシアはヨーロッパ情勢に絡んでこなくなる。
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| さて、ドイツに視線を戻しましょう。
| フランスをボコボコにしたのはいいものの、それによってカエル食いの奴等は明らかに根に持っていました。
| しかし、そんな不安材料を放置しておくビスマルクではありません。
| すかさずオーストリア・ハンガリー&イタリアと同盟を結び、逆にフランスを国際的に孤立させてしまいます。
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・三国同盟(1882年)
ドイツ、オーストリア・ハンガリー、イタリアの三国が結んだ秘密軍事協定。
しかし後には、このような錯綜した同盟関係が第一次大戦に各国を引きずり込む原因となる。
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| カエル食い?
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| フランス人の蔑称。
| なお、さっき板書にあったが、オーストリア・ハンガリーとイタリアは仲が悪かった事も覚えておけ。
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| しかし1890年、なんと皇帝のヴィルヘルム2世はビスマルクを解任してしまいます。
| ヴィルヘルム2世は植民地とか帝国主義が大好きで、ビスマルクとなにかと衝突。
| 彼はビスマルクが築いていた外交関係の重要さが理解できなかったんですね。
| で、ヴィルヘルム2世がいらんことした結果、ドイツとロシア・イギリスとの関係が悪化。
| ここぞとばかりにフランスはロシアと同盟し、ビスマルクの画策してきた外交体制はメチャクチャに。
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・露仏同盟(1894年)
ロシアとフランスの結んだ軍事同盟。
野心をムキ出しにして勢力を広げつつあったドイツへの対抗策でもある。
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| なんかもう、やっちまったって感じだな…
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| こうして、ビスマルクが最も恐れていた、ドイツのヨーロッパ内での孤立という事態に近付いていく。
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| こうしてドイツにおいて、ロシアとフランスの二大国と同時に争う可能性が急浮上。
| ロシアとフランスはそれぞれドイツの東西に位置しているので、挟まれた形になります。
| そこでドイツ参謀本部は、ロシア・フランスと同時に戦争を行うプランを作成しました。
| それが悪名高きシュリーフェン・プランなんです。
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・シュリーフェン・プラン
当時のドイツ参謀総長シュリーフェンが作成した、ロシアとフランスの同時攻略プラン。
ロシアのドイツ進軍は地理的に時間が掛かる事を利用し、開戦後ただちにドイツ軍はフランスへ進軍。
ドイツ−フランス国境のみでなく中立国ベルギーをも進軍路にして、速攻でパリを包囲。
とにかく即座にフランスを打ち破った後、ようやくドイツ東側の国境に現れたロシア軍を迎え撃つというもの。
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| 要は、ロシア軍の進軍の遅さを最大限に利用した作戦だな。
| でも中立国を他国軍隊が通るって、非常にマズいんじゃないのか…?
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| 当然、非常にマズい。
| 軍事的な必要性だけを重視し、政治的な観点を全く持ち合わせていないプランだ。
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| 代行君の言った通り、これは政治的に見て非常にまずい戦争計画なんですよ。
| 当時のドイツ参謀本部は、軍事的な必要性があるなら、政治的な問題は排しても良いとまで考えていたんです。
| このドイツの軍事優先・作戦万能の傾向は、第一次大戦全般において顔を見せました。
| とにかくシュリーフェン・プランは、あの参謀本部が考え出した戦争計画という事で、ドイツ国内で重視されます。
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シュリーフェン・プランの3つの問題点
・中立国ベルギーへの侵犯行為による国際的批判を考慮していない。
→第一次世界大戦では、イギリスが参戦してくる結果に。
・ロシアの進軍速度、またロシア軍そのものを甘く見ている。
→第一次大戦はもちろん、第二次大戦においても同様のミスを…
・最後の1つは、後のお楽しみ。
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| とんでもない欠陥プランってことか。
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| ただ近年になって、一般的に知られているシュリーフェン・プランと、
| 本来のシュリーフェン・プランは異なったものじゃないか?という説も出ているんだ。
| まあ、ここら辺は研究待ちだな。
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| さらにドイツは3B政策を唱え、西アジア進出を企んでいました。
| これは、世界規模で植民地政策を取っていたイギリスと真っ向から対立。
| イギリスも、ドイツに対して危機感をつのらせていきます。
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・3B政策
ドイツが計画した西アジア進出プラン。
3Bとは、バグダッド・ビザンティウム・ベルリンの頭文字を指す。
・3C政策
イギリスが実行していた世界規模での植民地政策。
3Cとは、カイロ・ケープタウン・カルカッタの頭文字を指す。
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| フランス−ロシアは対ドイツの軍事同盟を結んだし、イギリスも敵愾心を燃やし… ドイツ大ピンチ。
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| ただしドイツと敵対していたこれらの国も、足並みは全然揃っていなかった。
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15/19
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| 代行君が言った通り、イギリスにはドイツ以外にも大きな仮想敵がいました。
| それは、クリミア戦争の敗北以来、極東に勢力拡大の触手を伸ばし始めたロシア。
| イギリスは、極東にも多くの植民地を抱えていたんですよ。
| そして極東には、大陸方面に進出したい新興国家… 大日本帝国の姿もありました。
| 対ロシアの点において両者の利害は一致し、イギリスは日本と軍事同盟を結びます。
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・日英同盟(1902)
日本とイギリスとの間に結ばれた軍事同盟。
「栄光ある孤立」を唱えていた超大国イギリスが、極東の小国をパートナーと認めた事に世界は仰天する。
さらに大陸進出を企てていたアメリカも日本を支援、アメリカとイギリスの後押しで日本はロシアを破った。
こうして大日本帝国は大陸に進出し、世界でも無視できない存在に。
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| 1904年、日露戦争だな。
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| こうして、日本はイギリス・アメリカの多大な援助を受け、一応はロシアを破った。
| しかし日本は英米との約束(大陸利権を分配)を守らず、おかしな行動を取り始める。
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16/19
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| こうして極東方面も妙な雲行きになっていくんですが、ここで視点をヨーロッパに戻しましょう。
| 日露戦争が始まった年、イギリスはフランスとも同盟を結びます。
| 正確に言えば協商ってのは同盟ほど強固ではないんですが、この講義ではあえて区別しません。
| そして日露戦争に敗北したロシアは、再びヨーロッパ情勢に顔を出すという事になります。
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・英仏協商(1904年)
長年のライバルであったイギリスとフランスが締結した同盟。
対ドイツが主目的である。
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| なんか、敵対・友好関係が錯綜し始めたな。
| イギリス−フランスとフランス−ロシアは関係良好で、イギリスとロシアは激悪。
| ドイツは上の三国のいずれとも対立していて、オーストリア・イタリアとは同盟関係。
| でも、イタリアとオーストリアの仲は悪い… こんな感じか。
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| しかし日露戦争後、イギリス・ロシア・日本の三国は急速に親密化するんだ。
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17/19
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| 代行君の言った通り、対立していたイギリスとロシアはとうとう同盟関係に。
| こうしてイギリス−フランス−ロシアの三国からなるトライアングル同盟関係が成立します。
| いずれもドイツと敵対し、もはや対ドイツ包囲網状態に。
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・英露協商(1907年)
イギリスとロシアの結んだ同盟。これによりイギリス−フランス−ロシアの三国協商と、
ドイツ−オーストリア・ハンガリー−イタリアの三国同盟との対立が決定化する。
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| でも三国同盟側は、オーストリア・ハンガリー−イタリアの足並みが揃ってないんだよな…
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| それどころかイタリアは、少し前から三国協商(正確には成立以前)側に歩み寄っていた。
| 1902年に、フランスとイタリアは仏伊協商を結んだんだよ。
| 連中の鋭敏な嗅覚は、これ以上ドイツと関わっていたら危険だと判断したんだ。
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18/19
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| とは言ってもね… ヨーロッパ各国は、度重なる戦争にくたびれてたんですよ。
| ドイツと各国は睨み合っているものの、決定的な対立点は存在しませんでした。
| 国境紛争はほぼ皆無で、ドイツも含めた各国の為政者達も戦争を始める気は全くなし。
| 時代はもはや20世紀。科学の発展は、必ずや人間を幸福にしてくれるだろう。
| こんな輝かしい時代に、戦争なんて馬鹿らしい。そんな思いが、当時の人々の心を支配してたんですよ…
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・ドイツはライン川の観光事業を発展、多くの外国人が訪れる。
・ドイツの投資家がイギリスに大量投資、共同会社の設立を発表。
→ドイツは政治的にこそ孤立していたものの、そのような後ろ暗さは感じさせない。
・フランスでは首相の妻が殺人事件を起こし、スキャンダラスな話題が世論を埋めた。
→ワイドショーネタで盛り上がり、ドイツ憎しの風潮はかけらもない。
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| 当時のヨーロッパ、物凄くマターリムードだったんだな…
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| 軍事同盟というのは、相手を威圧して戦争を防ぐ為という一面もあり、そのものが抑止力なんだ。
| 実際の戦争の影は、ヨーロッパのどこにも見られなかったんだよ。
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19/19
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| そんな中、オーストリアが統治していたバルカン半島のサラエボにて運命の事件が起こります。
| オーストリア・ハンガリーの皇位継承者であるフランツ・フェルディナント大公夫妻がサラエボを視察中、
| セルビア人青年プリンチプに暗殺されてしまういました。1914年6月28日、サラエボ事件の勃発です。
| 本来なら、セルビアにおける民族紛争の1ページでしかなかったこの事件。
| これがヨーロッパ…いや、世界全体を巻き込んだ大戦争に発展してしまうなんて、誰が想像したでしょうか。
| …って事で、今回の講義を終わります。
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第38回兵器史・第二次大戦への歩み1(ふゆやすみ特別企画・第二次世界大戦史1)
完
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| 確かにこのサラエボ事件、歴史の授業で習った時から不思議だったんだ。
| なんでこの事件が第一次世界大戦に発展するのか、さっぱり分からない。
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| まあ、それは次回だな。
| …ってか、第二次大戦の講義なのに、第一次大戦まで行かないというのはなんともはや。
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