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| どうもこんにちは。ギコ教授が戻ってくるまでは、普通のギコに戻れない後ろギコです。
| 今回は受講者の要望に応え、「震電」… っていうか、海軍の局地戦闘機について講義しましょう。
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第26回兵器史・「雷電」・「紫電」改・「震電」 〜あヽ局地戦闘機〜
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| 講義タイトルの数字がアラビア文字(26)になってる。前回まで漢数字(二十五)だったのに…
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| まあいいじゃないか。スピットファイアだって、Mk.]]の次はMk.21だし。
| 数字が大きくなると、イギリス人でも訳分かんなくなるんだ。
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| 今回やっていく「局地戦闘機」という機種については、以前の講義でも説明しましたね。
| 日本海軍が「局地戦闘機」の必要性を感じたのは、1930年代後半… 日中戦争のさなかです。
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・局地戦闘機
日本海軍における防空用の戦闘機で、いわゆる迎撃機。
侵入してくる敵爆撃機を叩き落すのが基本任務。
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|つまりは、基地防空用の戦闘機だな。
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| この講義は、第二十二回・日本陸軍戦闘機の海軍バージョンでもある。
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| いままで散々説明してきた通り、日本海軍の戦闘機は徹底的に軽量化されていました。
| この時代の主力戦闘機である九六式艦戦はもちろん、その性質は零戦にも受け継がれます。
| ですがこの軽戦闘機、敵戦闘機との接近戦ならメチャクチャに強かったんですが…
| 重厚な敵爆撃機をブチ倒すには、少々不向きだったんですよね。
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各機に求められる能力とは?
・軽戦闘機(味方爆撃機を護衛したり、敵戦闘機と殴り合うのが主任務)
俊敏な旋回性能。抜群の操作性。長めの航続距離。
・局地戦闘機(敵爆撃機を叩き落すのが主任務)
抜群のスピード。ただちに上がれる上昇力。重防御の爆撃機をも葬れる火力。
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| なるほど… 任務が違えば、同じ「戦闘機」って機種でも求められる能力が違うんだな。
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| 局地戦闘機が相手をするのは鈍重な爆撃機だから、旋回性能は余り必要じゃない。
| でも敵爆撃機に追いつけなかったら話にならないので、高スピードは必須。
| 必然的に自軍基地の近くで戦う事になるので、航続距離はほとんど問題にならない。
| 敵爆撃機と同じ高度まで上がる為、上昇力も重要… まあ、従来の海軍戦闘機とは全然違う訳だ。
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| そして日本海軍は、「陸上攻撃機」という機種を重視していたことも何度も説明しましたね。
| これはあちこちの離島に造られた航空基地から飛び立つ、長距離対艦攻撃機のことです。
| もはやお馴染みになった、以下の板書の2番のとこで大活躍する予定の航空機でした。
| アメリカ艦隊を漸減する手段の1つでしたね。
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1.アメリカ艦隊が攻めてきた! いよいよ決戦だ!!
2.潜水艦や航空機などの補助的手段で、アメリカの艦を減らせるだけ減らす(漸減)。
3.敵艦隊が弱ってきたところに、日本の主力部隊(戦艦)が突撃!
日本の戦艦は少数だが非常に強力なので、2の時点で弱っているアメリカ艦隊を一網打尽!
4.大日本帝国万歳!!
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| 漸減作戦も、もう聞き飽きたな。
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| そして、「陸上攻撃機」などというものを重視していた海軍も日本くらいだった。
| それも全て、漸減作戦のため…
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| しかし… 日中戦争において、中国の航空隊が日本側航空基地に何度も奇襲を仕掛けてきたんですよね。
| 日本側は「何をするだァーッ ゆるさん!」と直ちに上がりましたが、中国機はその途端に逃走。
| 結局やられるだけやられ、敵爆撃機はまんまと逃げおおせるという事例が相次ぎます。
| そんな中、とある航空部隊から以下のような意見書が海軍上部に届きました。
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「航続力、操縦性の一部を犠牲とするも速力を極度に要求す」
第12航空隊による意見書
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| 必要は発明の母、か。
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| 従来の海軍戦闘機では、敵爆撃機と同じ高度に上がるまでに時間が掛かる。
| さらに、逃げる敵爆撃機に追いつけなきゃならなかった。
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| 代行君の言う通り、従来の海軍戦闘機では爆撃機の迎撃に凄まじく不向きです。
| ここで日本海軍は、初めて迎撃戦闘機の重要性に気付きました。
| そこで、いよいよ「局地戦闘機」という種類の航空機の開発がスタートするんです。
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ここが違うぜ、局地戦闘機!
・爆撃機迎撃に特化し、格闘戦は苦手。
・上昇力が極めて高い。
・空母では扱えず、陸上の飛行場からしか離着陸できない。
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| 空母では扱えない… 普通の海軍なら、局地戦闘機なんてまず不要な航空機だな。
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| 漸減作戦があるからこそ「陸上攻撃機」が存在し、
| 「陸上攻撃機」があるからこそ「局地戦闘機」が存在する。日本海軍独特の事情だ。
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| こうして日本海軍は1939年、三菱に十四試局地戦闘機… 後の「雷電」の開発を指示しました。
| 開発主任は、あの零戦の生みの親である堀越二郎氏。
| しかしこの「雷電」開発、零戦以上に苦戦します。
| 海軍が提示した「十四試局地戦闘機計画要求書」のハードルは、非常に険しかったんですよ。
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十四試局地戦闘機計画要求書
・高度6000mで、時速602km以上。時速630kmをクリアするのが望ましい。
・高度6000mまでに、5分30秒で到達可能。
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| この条件を達成した航空機を造らなきゃならなかったんだな。
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| まあ、そういう事だ。堀越氏も、最初は零戦より楽そうだと思ったんだが…
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| まず… 日本の航空業界のネックとして、高性能エンジンが無かったんです。
| 極論すれば、零戦の格闘性能の強力さも、低性能エンジンのデメリットを軽減する為の対処。
| しかし迎撃機の場合は高速性能が重要になるため、そんな小細工は通じません。
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| 零戦の強さが、低性能エンジンへの対処…?
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| 日本のエンジンじゃ高速性能は見込めなかったから、その方向性は切り捨てたんだ。
| そして、バリバリに軽量化して「格闘戦機」という方面に進化させた。
| つまり「格闘戦機」ってのは、低性能エンジンのデメリットが最も小さくなるんだよ。
| しかし、局地戦闘機の場合はその手は通じない。
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| そこで、大型機用の「火星」ってエンジンを「雷電」に載せる事になったんですが…
| このエンジンが無駄にバカでかく、搭載した事によって胴体が肥大化。
| そこまでやっても最高速度が目標に届かず、そうしてるうちに時間はどんどん経過していきます。
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| 軽量で高出力なエンジンは造れなかったのか。
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| 本当に、日本の航空業界のネックはエンジンなんだよな… 昔も今も。
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| そして… なんとか「火星」を強化して、最高速度がアップ!!
| すると今度は、胴体の異常震動が発生してしまいます。
| もう、あっちが直ればこっちに問題発生。こっちが直れば、そっちに問題発生…
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| 本当に、悪戦苦闘したんだな。
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| この異常震動を解決するには、プロペラの改良から始めなければならなかった。
| もう開発期間は、伸びに伸びる事になる。
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| また胴体がでっぷりとした形状であるせいで、操縦席が圧迫。
| 下方の視界がメチャクチャに悪くなっちゃったんですよね。なんかもう、問題がてんこ盛り。
| 1940年になっても、年が明けて41年になっても、41年の末になっても「雷電」は完成しませんでした。
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| 41年末って、もう対米開戦するじゃん。日中戦争に間に合うどころじゃない話だな。
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| 「雷電」の下方の視界は悪いものの、操縦席自体は非常に広かった。
| 「3人乗れる」とか、「中で宴会ができる」とか言われたな。
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| 日本海軍は三菱に「雷電マダー?」と催促しても、よい返事は全く返ってきません。
| 待ちきれなくなった日本海軍は1941年12月、川西航空機に「強風」を陸上機に改造しろという指示を出しました。
| 水上機である「強風」を陸上機化し、局地戦闘機として用いようというわけですね。
| なお水上戦闘機「強風」自体、この時点ではまだ試作段階です。
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・水上戦闘機「強風」
日本海軍が開発していた水上戦闘機。
飛行場の無い小島に、防空用として海上に浮かべておくという運用を想定している。
性能が極めて微妙な上、完成時は既に日本の水上基地など存在しなかった。
生まれた時には既に存在価値を失っていた、悲しい戦闘機。
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| 水上機…?
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| 車輪の代わりに、フロート(浮き)をつけた航空機。
| モーターボートのように海面を滑走する事ができ、海面への離発着が可能なんだ。
| その代わり車輪が無いから、陸上基地や空母からの離発着は出来ないが。
| 板書にある風に、飛行場の無い離れ島とかでの運用が目的だった。
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| しかし、陸上版「強風」… 後の「紫電」の開発にもてこずります。
| フロートを外して、代わりに車輪を、ってな訳にはいきませんでしたからね。
| 結局は機体のほとんどが設計し直しとなり、「紫電」の開発は遅れに遅れます。
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| なかなか完成しない「雷電」への繋ぎのはずなのに、そっちにも問題発生したわけか。
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| その間にも、対米戦は盛り上がる一方。
| 「雷電」でも「紫電」でもいいから、早く完成させてくれ〜!ってのが海軍のキモチだったろうな。
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| そして1942年の2月、「雷電」の試作1号機が完成しました。
| 翌月に行われた試験飛行では、なかなかの高性能を発揮します。
| まあ、それでも問題は山積みでしたがね…
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「難点は視界不良と着速(着陸速度)の速さ。
乗りこなすのは大変だが、高性能の代償としてはやむをえない」
一連のテストの結論
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| それでも、性能は良かったのか。
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| 良いとこと悪いとこが物凄く顕著だった。それが「雷電」クゥオリティ。
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| 一方1942年の12月、「紫電」試作1号機も完成しましたが…
| エンジンは不調、視界は悪く主脚にも不具合発生、「雷電」に負けないほどの問題児ぶり。
| それでも、とにかく早急に局地戦闘機が欲しい日本海軍は1943年8月に「紫電」量産を指示します。
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| いよいよ量産…って、1943年8月!? 遅すぎないか!?
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| 局地戦闘機の構想は日中戦争の頃から生きてたから…
| もう、実用化までが無茶苦茶に遅いな。当時の技術力を考えれば、仕方ないが。
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| そして1ヵ月後の1943年9月、いよいよ「雷電」の方の生産も開始されました。
| 実際は問題が解決されてたとは言えず、かなり危なっかしかったんですが…
| 一気にアメリカが反撃を始めてきた情勢、一刻も早く局地戦闘機が必要だったんですよね。
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| 「局地戦闘機」は2機とも、問題大発生だったんだな。
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| とは言え、とりあえず「雷電」、「紫電」ともに生産が開始された。
| 1943年後半ともなると日本はかなり追い詰められ、悠長に改良を待つどころじゃなかったんだ。
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| ではまず、「雷電」の方から細かく紹介しましょうか。
| 先程も言った通り、視界の悪さと機体の異常震動は直ってません。
| 他にも着陸時にスピードが出過ぎたりと、かなり危険な機体でした。
| 新米パイロットではほぼ乗りこなせませんし、熟練者でも油断はできません。
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局地戦闘機「雷電」(二一型)
・全長:9.70m ・全幅:10.80m ・全高:3.87m ・自重:2,490kg ・最大重量:3,440kg
・最大速度:時速610km ・航続距離:1,900km ・上昇限度:11,000m ・乗員:1名
・エンジン:「火星」二三甲型(1575hp)
・武装:20mm機関砲×4、60kg爆弾×2
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| それ… 欠陥機って言わないか?
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| でも、並外れた上昇力は海軍機で堂々のトップ。
| この性能が余りにも輝いていた為、「雷電」を使わないって選択肢は存在しなかった。
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| そして、ついたアダ名は「殺人機」。
| 実戦で、訓練で、試験で… あらゆる状況で事故を起こし、殉職者が続発。
| 細かな改良は以後も重ねられましたが、完全な問題改善には程遠かったですね。
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| でっぷりしたボディが特徴的だな。
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| この体躯に魅せられたファンも多いぞ。
| 当時のアダ名は、「爆弾」とか「ダルマ」。
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| 「紫電」も、「雷電」に負けず劣らずの問題児振りを発揮。
| エンジンは止まるわ、プロペラが壊れるわ、主脚は折れるわ、下方視界に問題があるわ… 問題だらけ。
| 性能自体は、なかなかに優れてたんですがね…
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局地戦闘機「紫電」(一一乙型)
・全長:9.35m ・全幅:12.0m ・全高:3.96m ・自重:2,657kg ・最大重量:4,860kg
・最大速度:時速594km ・航続距離:2,000km ・上昇限度:10,760m ・乗員:1名
・エンジン:「誉」二一型(1825hp)
・武装:20mm機関砲×4、250kg爆弾×2
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| 局地戦闘機の開発は茨の道だな…
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| 本当に茨だったのは、乗る側だったわけだが。
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| 「紫電」は高空性能はイマイチでしたが空戦性能は高く、零戦のサポートに活躍しました。
| 本来の任務である、爆撃機迎撃に適していたとは言い難いですね。
| また故障もひどく、結局は「零戦よりはマシ」っていう程度の存在でした。
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| 局地戦闘機なのに、爆撃機迎撃に適してないって一体…
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| そう言ってやるな。完成しただけでも奇跡に近い。
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| さて… 「雷電」は、本土防空部隊に優先的に配備されました。
| 現場でのパイロットの評判は極めて悪いながら、一部のベテランには非常に好まれます。
| 優れた性能を持っていることは間違いないのですが、扱いにくすぎるんですね。
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「雷電」が配備された部隊例
・第381航空隊(ボルネオ島パリクパパン)
・第302航空隊(厚木)
・第332航空隊(岩国)
・第352航空隊(大村)
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| まさに、「素人はすっこんでろ」な戦闘機だな。
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| 中でも第302航空隊に属する「雷電」隊は、かなりの数のB-29を葬った。
| B-29がP-51戦闘機を護衛に付けるようになってからは、「雷電」では手も足も出なくなったがな。
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| ちなみに、「雷電」は1機たりとも特攻に使われていません。
| 特攻を行うのは主に新米パイロットなんですが、彼等では「雷電」をまともに扱えなかったんですよ。
| 「殺人機」と恐れられた「雷電」が、皮肉な事ですね。
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| ホントに、皮肉な話だ…
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| 他にも、航続距離が短かった事も特攻に不向きだったがな。
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| 「紫電」に関しては、とりあえず幾多の問題を解決するため、胴体部分を再設計します。
| そして1943年12月に、「紫電」の改良型… 「紫電」改が完成しました。
| 「紫電」からの改良点は幾多にものぼり、もはや別の機体に生まれ変わったんですよ。
| 視界の悪さも、エンジン不調も、パキパキ折れる主脚もちゃんと直っています。
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局地戦闘機「紫電」改(二一型)
・全長:9.35m ・全幅:11.99m ・全高:3.96m ・自重:2,657kg ・最大重量:4,000kg
・最大速度:時速596km ・航続距離:2,000km ・上昇限度:10,760m ・乗員:1名
・エンジン:「誉」二一型(1825hp)
・武装:20mm機関砲×4、250kg爆弾×2
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| おお、すごいじゃないか!!
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| まさに、思わぬ傑作機。
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| 「紫電」改では、「強風」から受け継いだ自動空戦フラップというのを改良。
| また防弾タンクや防弾ガラス、自動消火装置などが搭載されて防御面でも極めて優秀。
| 問題点は、登場が余りにも遅かった事ですね。
| さらに爆撃で生産工場がやられちゃいまして、総生産数は極めて少ないです。
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| 自動空戦フラップ?
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| フラップってのは、主翼後方に沿うようについてる部分。
| 機体の速度やGに応じて、このフラップの角度を自動的に調節するっていう画期的なシステムだ。
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| しかし空戦能力は極めて高かったものの、高高度の性能はそこまで優れているとは言えませんでした。
| B-29を相手にするには、少々厳しかったみたいな感じですね。上昇力では「雷電」の方が上でした。
| なんか局地戦闘機というより、零戦の応急処置的後継機って言った方が合ってるかもしれません。
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「ライトフィールドで「紫電」改に乗って、アメリカ空軍の戦闘機と空戦の演習をやってみた。
どのアメリカ機も「紫電」改には勝てなかった」
某アメリカ空軍中佐
「B-29に対する有効な迎撃機としては高空性能が不十分であった」
スミソニアン博物館による解説
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| ここらへんの特性は、「紫電」とおんなじだな。
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| まあ… 傑作機には違いは無い。当初の予定とは違っちゃったけど。
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| この「紫電」改を用いた部隊で有名なのは、源田実大佐率いる第343海軍航空隊。
| 最強クラスのエースパイロットと、最強クラスの機体… 「紫電」改を集めた部隊です。
| 3月19日に行われた松山上空の空中戦は、余りにも有名ですね。
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| 確か、以前の講義で聞いたな。
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| 第343航空隊は、無線を用いた編隊戦法を積極的に用いたんだ。
| 今までの日本側の空戦は、バラで勝手に戦ってるも同然だったからな。
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| 松山での空中戦で、第343航空隊は57機(52機説も存在)の敵機を落としたという話が一般に広まってますが…
| アメリカ側の記録から見ると、どうも怪しいらしいです。
| まああっちの記録も決して正確ではなく、日本の航空機総生産数の2倍近くの航空機を撃墜したりしてますけどね。
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| 記録が怪しいのは、どっちもどっちか。
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| どこの国でも、敵への損害を過大に、味方への損害は過小に見積もってしまうもんだ。
| そこら辺を考慮に入れても、57機って撃墜数は多すぎるってのが現在の主流だが。
| まあそれでも、この戦いで米軍が度肝を抜かれたってのは紛れも無い事実。
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| さらに日本は、B-29対策の決定版となる局地戦闘機の開発を進めます。
| しかし、従来の航空機スタイル(前面にプロペラ、主翼の位置など)では、時速700kmが限界だと目されていました。
| そこで日本海軍は、今までの常識を覆すようなスタイルの戦闘機の開発を指示。
| 一般に先尾翼式と言われる形状を持つ、局地戦闘機「震電」の開発が始まりました。
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| 「雷電」や「紫電」改じゃ満足できなかったんだな。
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| 「震電」は、まさにB-29キラーとなるべく開発されていたんだ。
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| 当然ながら、全く未知の領域だけに開発は難航。
| そして1945年の6月、試作機が完成します。8月には飛行試験で成功を収めるんですが…
| その直後に終戦、「震電」は未完の機体となってしまいました。
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| 機種に、尾翼みたいなのが… 主翼もやけに後ろだし、プロペラも後ろについてるし…
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| つまりは、今までの航空機を逆転させたみたいな形なんだ。
| ttp://www.geocities.jp/jp_j7w1_shinden/date/4st.htmlの四面図を見ると、
| どっちが前なのかさっぱり分からん。
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| その性能は並外れたものなんですが、結局は幻に消えてしまいました。
| まあ完成して実戦配備されたところで、戦況がどうにかなるとは思えませんがね…
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局地戦闘機「震電」
・全長:9.66m ・全幅:11.11m ・全高:3.92m ・自重:3,645kg ・全備重量:4,928kg
・最大速度:時速750km ・航続距離:2,000km ・上昇限度:12,000m ・乗員:1名
・エンジン:三菱「ハ四三」四二型(2130hp)
・武装:30mm機関砲×4、30kg爆弾×4
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| こんな高性能なのに、アメリカには勝てないのか?
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| 「ゲル○グを完成・量産すれば、我が国は勝てる!」とか言ってる同時期、
| 敵国ではZガ○ダムが生産体制に入ってて、ZZガン○ムの試作機が完成してたみたいなもんだ。
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| まあ、未完成兵器ってのは夢を見せてくれます。
| 素晴らしい性能を予感させてくれる上に、実戦に出た訳では無いのでアラが見えませんからね。
| 「震電」も夢が広がりんぐな機体でした、と。
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| なんかこの講義、未完成兵器にドライだな…
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| だって、未完成だもん。戦力化できなかったものは、語りようが無い。
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| …って訳で、今回の講義はここまでです。
| 以後の講義予定はこんなもんですか。まあ、のんびりとやっていきましょう。
| やる順番は適当ですが、一刻も早く講義してほしいテーマがあればどうぞ。
| ギコ教授の動向に関しては、まあそのうちに。
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・B-1「ランサー」 ・「ジパング」
・朝鮮戦争 ・SR-71「ブラックバード」
・イージス艦. ・フォークランド紛争
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| 「ジパング」もやるのか…
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| あくまで、番外としてやるかもしれないって事。
| ただ、「ここがおかしい!」とか「これがありえない!!」とか指摘するだけの講義はやらん。
| …ってか、そういう軍ヲタ嫌いだし。
| 「ジパング」って作品を好きな人に、さらに楽しんでもらえるような講義をするつもりだ。
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| では、また来週あたりに会いましょう。
| あと、ギコ教授不在ってのはこの兵器史講義だけの設定なんで、無理に合わせる必要はありませんよ。
| そうでないと、こっちも前ギコ殺害とか大学崩壊とかの無茶が出来ませんしね。
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第26回兵器史・「雷電」・「紫電」改・「震電」 〜あヽ局地戦闘機〜
完
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| つ ∇ (゚Д゚#) (゚Д゚,,)
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| おい! 俺を勝手に殺すな!!
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| まあ、例えばの話だよ。
| いきなり、こないだの予告編みたいになるかもしれないし。
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