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         | うらー。あっちには、木が1728本あったのら。
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 某月某日、強制労働従事中。     ミ~~~~~~~~~~~~~~ミ
 シベリアにて。              ミ            ゙ミ
                       ミ   ★      .゙ミ
                       ミ;======゙ミ
                      ,/ ● L_/    'i,
                     /     l ,/  ●   i
                   ,-、'i      しii     丿
                   ||`:、\     'ii   __,/
                   / 'i、 ̄~~     ij  乙__,-、
                   |ウォ.|-ァ        __,| .|
                   | ッカ| i'        'l  / ヽ
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  (,, ゚Д゚) |.|       ミミ ヽ         `'‐
   |   つ|.|     (::;:;:;:;)::::;:;)__
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| こっちも、昨日掘った穴がだいぶ埋まってきましたよ。
| たまには労働も楽しいものですね。
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〜同時刻、ギコ田大学〜

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| さて… 終戦60周年ということで、8月いっぱいは「なつやすみ特別企画・太平洋戦争史」をやっていきましょうか。
| とはいえ、あくまで兵器にスポットを当てるという従来のスタンスは変わりません。
| 第八回の今回は、有名な「零戦」についてやりましょう。
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    第八回兵器史・零式艦上戦闘機(なつやすみ特別企画・太平洋戦争史1)
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    | 零戦… めちゃくちゃ有名な日本の戦闘機だな。
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| 零戦について語る前に、陸上機と艦載機の違いについて板書しておきます。
| なお、ここでは艦上機と艦載機の区別はないものとしておきますね。
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 ・陸上機
  陸の飛行場で離着陸できる、いわゆる普通の航空機。
  空母での運用は(基本的に)不可能。

 ・艦載機
  航空母艦への離発着が可能な航空機。
  空母への離発着機能を備えている為、航空機としての性能は陸上機に劣る。
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    | 逆に言えば… 空母への離発着を可能にするには、機体性能の一部を犠牲にする必要があるんだな。
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| まあ、そういう訳ですね。
| RPGでいえば、ある特性が付く代わりにステータスがダウンするアビリティを装備してると思ってください。
| 艦載機の場合は、「ある特性」が離着艦機能である訳です。
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  基礎知識:艦載機の性能は、陸上機に劣る。
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    | また、RPGやらん人には分からん例えだな。
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| では、零戦が登場する時代背景を見ていきましょう。時は1920年代、日本はヤバい局面にありました。
| 日露戦争でゲットした満州の利権を巡ってアメリカと睨み合いになり…
| なおかつ北には、ソ連という領土獲得の野心に燃えた軍事大国が存在していたんです。
| いつしか満州地方は、「日本の生命線」と呼ばれるようになりました。
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    | あの地方がソ連に取られてしまえば、日本本土がヤツラの射程内に入るからな。
    | 満州地域を、他のどの国にも渡す訳には行かなかった訳か。
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| そして満州地方で一番実権があった張作霖と、
| 満州に派遣されていた日本軍(関東軍)は仲良しこよしだったんですが…
| 張作霖は徐々に中国共産党に接近。
| 関東軍はこれに対し、彼の乗る電車をスタイリッシュに爆破して暗殺してしまいます。
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 ・張作霖爆殺事件(1928年6月4日)
  奉天近郊にて張作霖の乗った電車が爆発、即死した事件。
  関東軍による暗殺で、独断行動であった可能性が高い。
  なお、当時の中国では国民党と共産党が権力闘争を繰り広げていた。
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    | 独断って… 政府の指示もなく、勝手にやった訳か。
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| その後に張作霖の跡を継いだ張学良は、張作霖の息子。日本軍に良い顔をする訳がありません。
| 両者の関係は悪化する一方… そんな中、とうとう関東軍は暴挙に出ます。
| 1931年、柳条湖の南満州鉄道線路上がスタイリッシュに爆発。関東軍は張学良達の仕業と宣伝します。
| …自分らでやっておいてねぇ。この柳条湖事件が、満州事変のスタートとなりました。
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 ・柳条湖事件(1931年9月18日)
  柳条湖付近の南満州鉄道線路上で爆発が起き、関東軍は張学良による破壊工作と宣伝。
  ただちに周辺地域を制圧。実際のところは、関東軍による自作自演である。
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    | 関東軍、とんでもない連中だな…
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| 日本政府の事態不拡大方針を完全に無視し、満州全域を制圧していく関東軍。
| そして、とうとう満州国という国をでっち上げるという凶行にでます。
| 無論、関東軍の傀儡(操られるがまま)国家としてね。
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 ・満州事変(1931年9月18日〜1933年)
  柳条湖事件から始まった一連の騒乱で、ほぼ全てが関東軍の独断。
  不拡大方針を維持していた政府に対し、マスコミや国民は関東軍の行動を支持。
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    | マスコミも国民も、関東軍の独断を支持してたのか…
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| 当然ながら、世界各国は日本の行為に猛反発。
| 国際連盟は満州国を認めず、それに反発した日本は1933年に国際連盟を脱退します。
| 日本は世界から徹底的に孤立。にもかかわらず、日本国民は国際連盟脱退をバンザイして喜んでいました。
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    | マトモな情報が行き届いてなかったんだなぁ…
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| ここでちゃんと考えてみて下さい。なんで、国民にマトモな情報が行ってなかったんですか?
| 政府は当初は不拡大方針だった為、国が情報を統制していたなんて言い訳は成り立ちません。
| にもかかわらず、関東軍を支持したマスコミ… そして、無批判にそれに乗った大多数の日本人。
| 暴走していたのは、本当に軍部だけだったんですかねぇ?
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    | 言論の怖さか…
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| 何も私は、高見に立って「悪いのはマスコミだ」とか「当時の日本人は馬鹿だ」なんて言いたい訳じゃありません。
| もともとマスコミはそういうものですし、大衆心理もそんなもんです。
| 要は、未来において同じような状況になった時、ふとこの時の事を思い出してほしいってことですね。
| マスコミの言う事でノリノリになって良いのか。場の雰囲気に流されていいのか…
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    | 歴史を教訓とする、か…
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| さらに、実際に満州は「日本の生命線」だったかというと、これにも大きな疑問符が付くんです。
| 無論、侵略云々がどうこうと道義的な事を言いたいんじゃありません。
| 世界を敵に回してまで、満州は日本にとって重要だったのかって事ですね。
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 どっちがお得?
  1.世界を敵に回してでも、満州を貰う。
  2.満州を諦め、世界と仲良くする。
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    | 満州がそんなに重要じゃなかったんなら、関東軍のやった事は何だったんだ…?
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| この辺の問題は、産業等のデータと向き合ったり、地政学的に考えたりしなきゃいけませんが…
| 結局のところ、満州獲得による利益はリスクに見合ってなかったってのが実際のところでしょうね。
| 世界を敵に回してまで、やらなきゃいけない事では決してありませんでした。
| ここら辺の優先性を、すでに関東軍は履き違えていたんです。
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    | そもそも満州は「日本の生命線」だと思い込んだのが、ケチの付け始めって事か。
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| そして1933年、中国と日本は塘沽協定を結びます。
| これは事実上の中国による満州国の承認で、以後は騒乱は沈静化する事となりました。
| それを覆したのが、1937年に起きた盧溝橋事件。これで一気に、日中戦争に突入します。
| この戦争は日本VS中国という単純なものではなく、アメリカやソ連、中国の思惑がひしめいていました。
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 ・盧溝橋事件(1937年7月7日)
  北京の盧溝橋で鳴り響いた一発の銃声をきっかけに、日中は全面戦争に突入。
  この一発の銃声が何なのかは現在も議論されている(中国軍の偶発的射撃説、共産党の陰謀説など)。
  なお「日中戦争」という名称には異議も存在するが、本講義ではこの用語を使用する。
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    | 確か、互いに宣戦布告はしてないんだったな。
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| そして1938年、とうとう近衛内閣は「国民政府を対手(あいて)とせず」という正式声明を出します。
| こうして日本政府は、中国の国民政府との和平交渉を打ち切りました。
| 以後は、日中戦争の泥沼に足を踏み入れていくこととなります。
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    | 日本政府の不拡大方針は、完全に消滅したんだな。
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| そういう訳で、日本から中国の都市への渡洋爆撃が何度も実行されます。
| この任務についたのは九六式陸上攻撃機で、日本海を横断して爆撃するという離れ業に世界が驚きました。
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 ・九六式陸上攻撃機(九六式陸攻)
  1936年に採用された、日本海軍の陸上攻撃機(陸の飛行場からしか離着陸できない)。
  日本海軍の命名基準では「爆撃機は急降下爆撃が出来ること」とあった為、
  この機体は爆撃機に近い運用がなされたが、攻撃機の名を冠する事となった。
  長大な航続距離を活かし、日中戦争では渡洋爆撃の任に就く。
  また、太平洋戦争の初期においても活躍した。
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    | 九州から中国まで、爆弾抱えて往復できたのか。
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| 以前に講義しましたが、爆撃機(攻撃機)は地上を攻撃するための軍用機。
| 対空戦闘は不得手であり、敵戦闘機には弱いです。
| この九六式陸上攻撃機の渡洋爆撃部隊にも、戦闘機の護衛が付いていたのですが…
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 ・九六式艦上戦闘機(九六式艦戦)
  九六式陸攻とほぼ同時期の艦上戦闘機(空母で運用する戦闘機)。
  九六式陸攻とコンビを組み、護衛役として渡洋爆撃に同行するも、航続距離が九六式陸攻に及ばず。
  結果として九六式陸攻の部隊は護衛無しで敵地の奥深くまで入り込み、損害を増やしていった。
  そんな事情はあったものの、当時の戦闘機としては非常に優秀。日中戦争でも大いに活躍している。
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    | 九六式陸攻の航続力が凄過ぎて、護衛しきれなかったんだな。
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| そんな苦境の中、情勢を覆すような戦闘機が現れました。
| 大陸奥地までの護衛が可能なほどの航続力を誇り、かつ脅威の空戦能力。
| 三菱の天才技師、堀越二郎氏が設計した伝説の戦闘機…
| それが十二試戦闘機、後の零式艦上戦闘機。通称、零戦です。
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  零式艦上戦闘機二一型
   ・全長:9.05m  ・全幅:12.00m  ・全高:3.525m  ・自重:1,745kg  ・正規全備重量:2,421kg
   ・最大速度:時速533km  ・航続距離:2222km(増槽無し)  ・上昇限度:10,080m  ・乗員:1名
   ・エンジン:栄一二型(1100hp)  ・武装:7.7mm機銃×2、20mm機関砲×2
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| 航空機だけではなく、兵器全般に言えることなんですが…
| 兵器開発ってのは、リソースの割り振りが全て。
| 何を犠牲にして、どの能力を伸ばすかが重要なんですよ。
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 例) 航空機の場合
  ・武装(機銃など)強化 → 強力な武装は総じて重いため、重量UP → スピード低下
  ・防御力強化 → 装甲を入れた分、重量UP → スピード低下
  ・航続力を強化 → 燃料タンクが大きくなり、重量UP → スピード低下
  ・速度強化 → 機体を軽量化する必要があり、結果的に攻撃力や防御力が低下
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    | どの能力を伸ばすか、用途に応じて決めるんだな。
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| 限られた能力値をどんな風に割り振るか、って言い方をすると余りにゲーム的ですがね。
| 板書の例えは、あくまで無茶苦茶に単純化したものです。
| 現実は、もっと複雑な要素が絡み合っていることに注意。
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 例)
  基本数値:100 ← エンジンの質や機体設計技術の上昇により、この数値は底上げできる。
         ~~~~
   ・案1         ・案2         ・案3
   攻撃力:40     攻撃力:20       攻撃力:50
   防御力:20     防御力:20       防御力:30
    速度 :40      速度 :60       速度  :20
    合計 :100       合計 :100      合計 :100
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    | これが、リソースの割り振りって事か。
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| それで、零戦はどうリソースを振り分けたのかと言えば…
| 極まった旋回能力と高速性能、そして長大な航続能力。その分、防御力はまったくのゼロ。
| 全てのリソースを格闘性能だけに振り分けた、当時最強の格闘戦機なんです。
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| 堀越技師は、機体を極限まで軽量化する事に執念を見せました。
| 防弾装備などの重量性が増すようなものは全て外し、超々ジュラルミンという新素材を採用します。
| その結果完成した零戦は、防御を全て犠牲にして攻撃のみに特化したような戦闘機でした。
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 開戦初期は卓越していた機動性で敵機を圧倒していたが、
 徐々に防弾性の欠如が裏目に出る事となる。
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    | 防弾性の欠如と、異常なまでの機動性は表裏一体だったんだな…
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| そして零戦に備え付けられた20mm機関砲は、当時の戦闘機の装備としては非常に強力でした。
| 当初は初速が遅くて対戦闘機戦では役立たずと言われていたものの、
| 防御性能の高いB-17やB-24などのアメリカ爆撃機を次々に葬ったのも20mm機関砲なんです。
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 20mm機関砲は「ションベン弾」として評判が悪いが、
 強力なアメリカ爆撃機に対して絶大な威力を誇ったのも事実。
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    | 強力な攻撃力と機動性を活かした接近戦で敵を撃破する、サムライチックな戦闘機だったんだな。
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| では、零戦の外観を見ていただきましょう。まさに機能美の極みですね。
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・空を舞う零戦
ttp://www.warbirdpictures.com/NavyBWZeros/Zeronew.jpg

・パイロットといっしょ
ttp://www.warbirdpictures.com/NavyBWZeros/A6M-K-2.jpg

・ずらり
ttp://www.warbirdpictures.com/NavyBWZeros/Shokaku-SantaCruz.jpg

・テンション高め
ttp://www.warbirdpictures.com/NavyBWZeros/zerofield.jpg

・余計なマーク付き(カラー)
ttp://www.warbirdpictures.com/NavyBWZeros/Zerocapt2.jpg
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    | こうして見ると、やっぱ洗練されてるな。
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| そして、この写真に写っているオッサンはなんと…! その詳細は、後の講義で。
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・行ってらっさい
ttp://www.warbirdpictures.com/NavyBWZeros/Zero-Yamamoto-85s.jpg

・行ってらっさい2
ttp://www.warbirdpictures.com/NavyBWZeros/Zero-Yamamoto-86s.jpg
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    | これって、ひょっとして山本五十六長官…?
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| 余談ですが… 一般に良く言われている、
| 「『ゼロせん』という名前は戦争中には使われておらず、『れいせん』が正しい読み方」という論は誤り。
| パイロットは普通に『ゼロせん』と呼んでましたし、新聞でも『ゼロせん』の呼称が使われてました。
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 坂井三郎(海軍のエースパイロット)の記述や、『ゼロせん』とルビが打たれた当時の新聞が存在。
 戦時中に『ゼロせん』という読み方が無かった言われているのは、実は俗説。
 『ゼロせん』と『れいせん』、どっちの呼称も使われていた。
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    | いまだに「正しくは『れいせん』だ!『ゼロせん』とは呼ばれていない!」って主張する人がいるからなぁ…
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| さて… 先ほど言ったように九六式艦戦が奥地まで護衛に来れず、九六式陸攻の損害が増加していました。
| そこで海軍が目をつけたのが、長大な航続力を持つ十二試戦闘機(後の零戦)。
| なんと、試作機を前線に送るという異例の措置が行われたんですよ。
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 零戦の初陣は、1940年8月19日の重慶。敵に会わず、戦果は無し。
 ちなみに、初陣の直前に「零式艦上戦闘機」として正式採用。
 「零式」とは、採用された皇紀2600年(1940年)の末尾から。
 ちなみに九六式艦戦や九六式陸攻は、皇紀2596年(1936年)に採用。
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    | 零式とか九六式とか、そういう意味があったのか。
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| そして初の実戦で、零戦はとんでもない戦果を叩き出します。
| 9月30日、13機の零戦はI-15とI-16からなる27機の敵戦闘機に遭遇。
| 数の上では2倍以上の劣勢にかかわらず、敵を全機撃墜。味方の損害はなんとゼロ!
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  零戦13機 VS I-15、I-16(ソ連製戦闘機)27機
   →戦果27機、損失0機の圧勝
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| 日中戦争において、零戦は以降も敵無しの活躍を続けます。
| 太平洋戦争が始まるまでに、270機の敵機を撃墜。こちらの被害は、地上砲火による2機だけ。
| その、凄まじいまでの戦闘能力を世界に示しました… が、英米は信じませんでしたがね。
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 中国に派遣されていたアメリカのシェンノート少将は、零戦の脅威を本国に打電。
 しかしアメリカはその報告を信用せず、シェンノート少将の単なる責任逃れと判断。
 アメリカが零戦の脅威に気付くのは、太平洋戦争勃発後の事である。
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    | アメリカは何かと合理的なイメージだけど、こういう事も意外と多いんだな。
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| そして、運命の1941年12月8日。日本の空母部隊がパールハーバーを襲います。
| この時も、零戦はその強力な空戦能力を存分に発揮しました。
| 迎撃に来たアメリカ戦闘機4機を一瞬のうちに叩き落し、やる事が無くなったので飛行場を銃撃します。
| なお、真珠湾攻撃の詳細は後の講義でやりますね。
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 真珠湾攻撃において、零戦は飛行場を集中的に銃撃。
 結果的に、232機のアメリカ軍用機が地上で失われる。こちらの零戦の損害は、出撃した78機中の9機。
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    | これで、アメリカも零戦の優秀性に気付いたんだな。
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| さらに、南方に進出して快進撃を重ねる日本軍。
| フィリピンへの爆撃の際は、零戦はなんと台湾からフィリピンまでの超長距離飛行を実行します。
| そして、あっという間にP-40からなるアメリカ陸軍航空隊を壊滅。
| 指揮官のマッカーサーは、まさか零戦が台湾から飛んできたとは思いもよらず、
| 周辺の海域で居もしない日本空母を必死で探し回ったと言われていますね。
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    | 零戦、大活躍だな。
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| その余りに凄まじい空戦能力に、アメリカは震え上がります。
| 「積乱雲か零戦に遭遇したら、任務を放棄して良い」という上部からの布告まで出るほど。
| そんな情勢の中で、とある事件が起きました。
| 1942年6月、敵地にほぼ無傷で不時着した零戦が、アメリカ軍の手に渡ってしまったんです。
| 彼らは徹底的にこの零戦を研究し、高性能の陰に隠れた弱点があらわになりました。
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 研究の結果、アメリカが見出した零戦の弱点
  ・防弾性能の欠如
  ・高々度性能、急降下性能の悪さ
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    | 結果的に、守勢に回ると弱いことがバレちまったんだな。
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| そしてアメリカは、「サッチ・ウェーブ」という零戦の弱点を踏まえた戦法を編み出しました。
| それは零戦の上空から2機1組で攻撃を仕掛け、そのまま離脱。再び高度をとって攻撃を仕掛けるというもの。
| 高低差に弱く、防弾性が欠如している零戦にとって、この反復される一撃離脱戦法は非常にキツいものでした。
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 ・F4F「ワイルドキャット」
  零戦と同期に採用されたアメリカの艦上戦闘機で、大戦初期は零戦のカモにされた。
  しかし「サッチ・ウェーブ」の採用により、零戦と互角の戦いが可能に。
  「1対1の戦いでは零戦に負けるが、2機のF4Fならば10機の零戦にも勝利する」と言われた。
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    | 現代に通じる、編隊戦闘を編み出したんだな。
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| こうして、零戦の不敗神話は崩壊していきます。
| ガダルカナルでは苦戦を繰り広げ、ブーゲンビル島沖航空戦では惨敗し…
| アメリカの新鋭戦闘機、F6F「ヘルキャット」が登場するに及んで、零戦の優位性は完全に砕け散りました。
| なお、それぞれの戦闘の詳細については、以後の「なつやすみ特別企画・太平洋戦争史」の講義で。
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 ・F6F「ヘルキャット」
  F4F「ワイルドキャット」の後継となる米海軍の新鋭戦闘機。
  旋回能力と航続力以外は全ての点で零戦に勝り、圧倒的な力を見せつけた。
  結果的に、零戦に対し19対1のキルレシオ(F6Fが1機落ちるまでに、19機の零戦を葬れる)を誇る。
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    | アメリカの最新鋭戦闘機か…
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| 1944年にもなると優秀なパイロットもほぼ全滅、もはや飛ぶことが精一杯の新米パイロットばかり。
| マリアナ沖海戦や台湾沖航空戦では、零戦は悲惨なまでの惨敗を喫しました。
| マリアナ沖海戦に参加した零戦151機のうち、生き残ったのはわずか17機という有様…
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 ・マリアナの七面鳥撃ち
  マリアナ沖海戦において米軍は新技術を導入(詳細は後の講義)。
  アメリカの戦闘機に追われてよたよたと逃げ惑う零戦を七面鳥に例え、「マリアナの七面鳥撃ち」と嘲られた。
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    | もう、零戦の最強神話なんて完全に崩壊したんだな。
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| そして、零戦は特攻に使われることになるんですが…
| 特攻についても、「なつやすみ特別企画・太平洋戦争史」の1回を割り振るつもりでいます。
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    | 特攻か…
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| そして1945年に日本は無条件降伏。零戦の長い戦いも終わりを告げます。
| 総括すれば、零戦の最大の不幸は後継機が完成しなかったこと。
| アメリカは次々に新鋭戦闘機を生み出していったのに対し、日本海軍は零戦しかありませんでしたからね…
| 零戦が圧倒的に優位だったのは最初の1年だけで、以後は凋落の一途でした。
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 ・烈風
  零戦の後継機となるはずだった艦上戦闘機だが、試作機8機が完成した時点で終戦。量産は間に合わず。
  試験機は凄まじい性能を誇り、テストパイロットは「烈風200機があれば、戦局の挽回が可能」と語る。
  実際のところ、アメリカにはF8FやP-80が控えていたことを考えれば、戦局の挽回など夢のまた夢。
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    | 零戦の後継機は、間に合わなかったんだな。
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| ここで、零戦の主なタイプを紹介しておきます。
| 「結局のところ、零戦は二一型で完成していて、後は全て改悪である」という論調もありますね。
| 実際のところ、現在言われているほど零戦五二型等は嫌われていなかったようですが。
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 一一型:初期生産型。
 二一型:両翼を折り畳めるようにしたタイプで、日中戦争で活躍。
      非常にバランスが良く、後に続くタイプが登場しても一線で戦い続けた。
 三二型:エンジンを改修し、主翼を改良してスピードを僅かにアップさせたタイプ。
      しかしスピードの増加分以上に航続性能や運動性が落ち、なにかと評判が悪い。
 二一型:三二型の主翼を二一型に戻したタイプ。いわば、二一型からの正当な進化系。
      二一型に劣らずバランスが良い。
 五二型:防弾装備を取り入れた、いわば零戦の最終進化系。
      しかしバランスが激しく崩れてしまい、運動性は極端に低下。
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    | 単純に、だんだん改良されていった、って訳でもないんだな。
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| 結局のところ… 零戦とは究極の1000hp級戦闘機であり、それ以上でもそれ以下でもありませんでした。
| 同級の戦闘機相手だと無敗を誇り、それ以上の戦闘機だと防弾性の欠如という弱点がモロに出る。
| 何かの能力を極めるには、何かを犠牲にする必要があり…
| 極めた能力による優位性が大戦初期の大活躍に繋がって、
| 犠牲にした能力による劣位性が大戦中期〜後期への大没落に繋がった。それが零戦の悲劇なんです。
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 それでも零戦の旋回性能や航続性能はアメリカの研究者をも驚嘆させ、
 零戦は太平洋戦争初期における最優秀機として輝いている。
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    | やっぱり最大の問題は、後継機が存在しなかったことか。
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| そういう訳で、今回の講義を終わりましょう。
| 次回は「なつやすみ特別企画・太平洋戦争史2」として、航空母艦「赤城」と真珠湾攻撃を講義します。
| おっと! 開け放していた窓から突風が…!
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    | 昨日の台風の影響か…?
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| ギコ教授、今頃ロシアで強制労働してるんだろうなぁ…
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 第八回兵器史・零式艦上戦闘機(なつやすみ特別企画・太平洋戦争史1)

                      完
  ∧∧   /                     ミ  ,__
━ (,,゚Д゚) / ━━━━━ ∧∧━━━━━━━ミ  iii■ ヒュゥゥゥ ━━━━━
   |   つ ∇      (゚Д゚,,)
   |  |┌─┐   /⊂   ヽ
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                          \ \\\   ミ
                           ⊂  \i \  パタン
                             ゝ    く  =3
                  ∧               `' 、r、r'
    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    | 頑張れ、後ろギコ。今日のお前は輝いてたぞ。
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