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| さて……今回の講義では、ハンス・ウルリッヒ・ルーデルというドイツ軍人を紹介しましょう。
| 彼はドイツ空軍に所属して第二次世界大戦を戦い抜いた、急降下爆撃機の伝説的パイロットです。
| 少し知識のある軍ヲタに、人間の域を超えてしまった人物を二人上げろと言ったら――
| うち一人には、絶対にこのルーデルの名が入っているでしょう。
| まさに彼は、人類最高レベルといってもいいほどの破壊を成し遂げた人物なんですよ!!
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     ハンス・ルーデル(1916〜1982)
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    | ……どうせこのドイツ狂の言うことだから、大したことないんだろうな。
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         | そんなことを言っていたら、目玉が飛び出すハメになるぞ。
         | なお急降下爆撃機とは、戦車などの地上目標に爆弾や機銃をブチ込む機体。
         | ルーデルの愛機となったのは、代表的なドイツ急降下爆撃機のJu-87スツーカだ。
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| ルーデルは空軍所属といっても、一般的に言われるような戦闘機相手のエースとは色彩が違います。
| 対空戦闘ではなく、戦車などの地上攻撃でとてつもない戦果を叩き出した人物なんですね。
| ……実は敵機を全部で9機落としているので、エースの称号も問題ないという点は置いておきましょう。
| では、まず最初にルーデルが第二次世界大戦で達成した超絶の戦果を見てください。
| これは何の冗談でもなく、ルーデルたった1人が破壊したモノなんです。
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 ・出撃回数2530回(落とされた回数30回)
 ・破壊した戦車519両
 ・破壊した装甲車・トラック800台以上
 ・破壊した火砲150門以上(100mm口径以上限定)
 ・破壊した装甲列車4両
 ・戦闘不能にした軍艦3隻(戦艦、嚮導駆逐艦、駆逐艦)
 ・沈めた上陸用舟艇70隻以上
 ・落とした航空機9機(戦闘機2機、爆撃機5機、その他2機)
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    | ほら、言わんこっちゃない。
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| しかもルーデルは、激戦のさなかに片足を失ってしまいましたが――
| それでも彼は闘志を失わず、スツーカに乗って戦い続けました。
| スターリン言うとことの「ソ連人民最大の敵」、そしてソ連軍にかけられた賞金は10万ルーブル。
| 大戦を通し、ソ連軍からこんな扱いを受けた人物は後にも先にもルーデルただ一人。
| 他にもルーデルの残した強烈エピソードは数知れず、さらに心が震えるような名言をいくつも炸裂させています。
| では彼の生い立ちから遡り、ハンス・ルーデルの激烈な一生をじっくり講義していきましょう。
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 ルーデルの強烈エピソードの一部(wikiより)
 ・「何度も乗機を撃墜され、捕虜になりかけた」
 ・「出来る限り休暇を減らして出撃回数を増やすよう上司に嘆願し、そのために書類を偽造した」
 ・「撃墜されて満身創痍で基地に帰ったのに、そのまま再出撃しようとしたりした」
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    | ちょ……なんなの、この人?
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         | 板書の詳細も後で詳しく見ていくが、こんなのルーデルの側面に過ぎない。
         | この人物は、とうに人類の域を踏破しているんだ。
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| 時は1916年、第一次世界大戦のさなか……
| ドイツ東部のシュレージエン地方、サイフェルダウという小さな村でルーデルは生誕します。
| ルーデルは産まれながらに両足で立ち上がり、天を指差して「俺がスツーカだ」と宣言した――
| そういう逸話は、残念ながら特にありません。
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    | ないのかよ!
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         | ないんだ、さすがに。
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| そんなルーデル少年が、初めてパイロットという道を意識したのは八歳の時――
| 近くの町でお祭りがあり、父母はルーデル少年を留守番に残して祭りに行ってしまったのです。
| 祭りを堪能して帰ってきた父母に対し、当然ながらルーデル少年はカンカン。
| そこで母は、お祭りで見たものを色々と話して聞かせたのですが……
| その中に、ルーデル少年の心を強く惹き付けたものがありました。
| それが、パラシュートをつけて高いところから飛び降りる男の話だったんです。
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    | なるほど、そういう見せ物があったんだな。
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         | 空……
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| ルーデル少年がパラシュートに興味を抱いていることを知った母は、簡単なパラシュートを作ってあげました。
| 当然ながら人間が使うようなものではなく、石ころに取り付けてゆっくり降下させる程度のオモチャです。
| しかしルーデル少年はそれで遊んでいるうち、自分もこんな風に降下してみたくなりました。
| そこで彼はコウモリ傘を広げ、二階からダイブしたのですが……当然、まっさかさまに落下してしまいます。
| 幸いにして大きなケガはなく、母親に叱られ――そして彼は、「飛行機に乗るぞ!」という夢を抱いたんです。
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    | なんと、こんなに幼い頃から……
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         | ルーデルにしては、やけに牧歌的なエピソードだな。
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| そして、月日が流れ――20歳のルーデル青年は、大学入試を間近に控えて悩んでいました。
| 飛行機学校に入りたいのですが、彼の家にそんな余裕はありません。
| 飛行機乗りの夢を諦めようとしていたその時――ルーデルの前に、大きなチャンスが開けました。
| 祖国ドイツに空軍が創設され、予備将校の志願者が募集されたんです。
| 六百人の志願者の中で、六人が選ばれるという難関――なかば諦めていたルーデルでしたが、それをクリア。
| こうして彼は1936年12月、ビルトパーク・ウェルター軍学校に入学しました。
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    | 第二次世界大戦が勃発する3年前だな。
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         | つまり、卒業から少し経った後に第二次世界大戦が始まったということになるんだ。
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| そして約2年の時が流れ、一通りの操縦技術を学び――卒業間際。
| 仲間達の間では、「全員がスツーカ隊(急降下爆撃機)に配属されるらしい」という噂が囁かれます。
| 当然ながらパイロットの花形は戦闘機であり、スツーカ隊は人気のあるものでもありません。
| ルーデルはそんな噂を聞いて観念し、仕方なくスツーカ乗りを志願したんですが――
| いざ卒業式の後に配属先が発表されると、クラスの仲間達はほぼ全員が戦闘機部隊。
| 「噂を信じて馬鹿正直に志願先を決めたものだ……」と、ルーデルは自著に記していますね。
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          ハンス・ルーデル
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    | なんと。
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         | しかしこの時、ルーデルが戦闘機隊を志願していたら……どうなっていたのだろうな?
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| そして1938年6月、ルーデルはスツーカ隊に配属されたのですが……
| そこで最新型の急降下爆撃機Ju87に慣れたところで、偵察部隊への転任が決定してしまいます。
| 1939年1月には偵察飛行学校で一通りの過程を終え、ルーデルは偵察中隊へと配属されました。
| 自分の意思に反する形で、偵察機乗りになってしまったルーデル――そこで、第二次世界大戦が勃発。
| 彼にはポーランド東で、ポーランド軍とソ連軍の動きを偵察する任務が下りました。
| 初の実戦?に高揚しつつも、スツーカ隊に戻りたいというルーデルの思いはふくらみ続けます。
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    | なんで、ルーデルは偵察部隊に送られたんだ?
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         | 寡黙にミルクばかり飲んでいて、あまり周囲とは打ち解けなかったらしい。
         | なおポーランド戦において、ルーデルは二級鉄十字章を受章している。
         | そしてポーランド戦は一ヶ月も経たずに終わったが、ルーデルは冬を越しながらくすぶり続けた。
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| そして1940年春、いよいよフランス戦が勃発――ほぼ同時期、彼は念願のスツーカ隊帰還を果たしました。
| 彼は猛訓練を積み、意気揚々と実戦を待ったのですが――そんなルーデルを待っていたのは、絶望の日々。
| フランス戦が始まっても、彼に出撃は許されなかったんです。
| 同僚達がスツーカに乗って出撃していく中、自分だけが居残り――
| この時期の悔しさと怒り、絶望、屈辱、その他諸々の感情は回顧録からもひしひしと伝わってきますね。
| フランス戦でも、翌年のクレタ島侵攻作戦でも、スツーカ隊は参加したにも関わらずルーデルは居残りでした。
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 「出撃命令でエンジンが唸り出すたびに、拳を耳につめこみたくなる。
  ――スツーカ隊は、クレタで歴史を作っている。そう思って、私は口惜しさに男泣きに泣いた」
                                    ハンス・ルーデル『急降下爆撃』より
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    | なんで、出撃させてもらえなかったんだ?
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         | 副官が、なぜだかルーデルの航空技術は低いと判断していたらしい。
         | ……実際のところは、上と折り合いが悪かったようだがな。
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| そんな1941年も6月に入り、22日の午前4時にルーデルはラジオで独ソ戦開始のニュースを聞きました。
| 居ても立ってもいられなくなったルーデルは、明るくなると同時に故障機格納庫に疾走。
| そこで修理されたばかりの受け取ると同時に、いよいよ出撃許可をもらいます。
| こうして6月23日に、ルーデルは念願の初実戦を迎えたんですが――
| この辺の描写は淡々としすぎていて、あまり詳しく分かりません。
| とにかく、「敵戦線を突破して飛んだ」、「大量のソ連戦車がいた」……そんな感じです。
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    | 淡々とって……なんか凄いな。
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         | こうしてルーデルは、しばらく淡々とソ連の戦車など地上目標を破壊し続けたようだ。
         | 1941年7月18日には、1級鉄十字勲章をもらっている。
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| 何度か配属先を変えつつ、ルーデルの戦いは続くのですが――そんな彼にも、良き理解者がいました。
| それがステーン大尉という中隊長で、ルーデルとは顔なじみの人物だったようですね。
| ステーン大尉は非常に人格者で、この時期のルーデルの恩師といってもいいほどの人物。
| 「のちの自分の功績は、ステーンに追うところが大きい」と自著では記されています。
| またルーデルとステーンは共に散歩したりと、非常に良好な関係でもありました。
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    | ししょー!
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         | この時期のルーデルはステーンの後ろを飛び、様々な技術を教わっている。
         | まさに、恩師のような人物だな。
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| なおJu87は操縦士と後部機銃射撃手の二人乗り機で、操縦士のルーデルにも相棒の射撃手がいました。
| 彼の名は、シャルノブスキー伍長。編隊内では最年少でありながら、沈着冷静な人物。
| 彼を怒らせるのは不可能とまで言われる人物でありながら、深い闘志と高い技術を持っていたそうです。
| そんなシャルノブスキーがルーデルの後ろに乗り込み、近寄ってくる敵機に機銃をぶっ放すということですね。
| この二人は名コンビとして、熾烈な東部戦線で着々と戦果を伸ばしていきます。
| それを先導するのは、良き理解者であるステーン大尉――まさに、ルーデル幸福の絶頂期といえるでしょう。
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    | なんか、悪いフラグが立った気がするな……
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| 1941年9月、ルーデルのいるスツーカ隊はドイツ軍の包囲するレーニングラードの町に進出しました。
| この町はフィンランド湾に接しているため、駆けつけてきたソ連艦隊が作戦の障害となっていたんです。
| ソ連艦隊の内訳は戦艦「マラート」と他1隻、そして巡洋艦や駆逐艦が多数。
| これを撃退するため、9月16日にスツーカ隊はレーニングラードへ出撃しました。
| その編隊の1番機はステーン中隊長、そしてルーデル&シャルノブスキーの駆るスツーカが続きます。
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    | 今度の相手は、ソ連艦艇か。
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         | ただし第一回目の出撃の際、戦艦の装甲にも通用する2000ポンド爆弾は前線に到着してなかった。
         | 戦艦を相手にするには威力不足の1000ポンド爆弾で、仕方なくソ連艦隊狩りに向かったんだ。
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| ソ連艦隊の織り成す凄まじい対空砲火の中、ルーデルは戦艦「マラート」目掛けて急降下爆撃を実行!
| 1000ポンド爆弾は「マラート」の後部甲板に命中し、激しい火災を起こしたのですが――
| やはり威力不足からか、深いダメージではなさそうでした。
| 投弾を終えたスツーカ隊は激しい対空射撃の雨の中を高速離脱し、作戦を終えます。
| 「マラート」はおそらく大したダメージを受けておらず、その姿は偵察機の懸命な捜索でも見つかりませんでした。
| つづいての作戦では、駆逐艦一隻を瞬時に沈没させます。
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 「つづいての作戦で、駆逐艦一隻が瞬時に沈没した」
            ハンス・ルーデル『急降下爆撃』より
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    | やけにあっさりと言ってのけるなぁ……と思ったら、自著にそれだけしか書いてないのか。
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         | 恐ろしいほどあっさりとした一言で済ましてしまうのが、ルーデルクオリティ。
         | なお、この際に沈められたソ連駆逐艦は「ステレグーシチー」。
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| そしてレーニングラード初出撃から5日後の9月21日、いよいよ前線に2000ポンド爆弾が到着します。
| 時を同じくして、戦艦「マラート」が再び現われたのを偵察機が確認。
| 「今度こそ沈めてやる!」という深い闘志をもって、さっそくルーデル達は出撃します。
| 例によってステーン大尉が一番、ルーデルが二番という流れで「マラート」に対して急降下爆撃を敢行。
| かなり近距離で投弾したので、一瞬目の前が見えなくなったルーデルでしたが――
| 相棒のシャルノブスキーが発した「戦艦が炎上しております」という声で、彼は命中を知りました。
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    | 戦艦を殺ったのか……すげぇ。
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         | この爆撃で「マラート」は真っ二つ、事実上の大破着底状態に追い込まれてしまったんだ。
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| そして帰還時に、ステーン大尉の乗機が事故を起こしてしまいます。
| 滑走路にできた砲弾孔へ、着陸時に足を引っ掛けて機体を損傷させてしまったんです。
| そんなところへ、司令部から「巡洋艦キーロフを破壊するために再出撃」の命令が。
| 乗機が故障しているステーンは、ルーデルに機体を貸してくれないかと頼みました。
| ステーンは中隊長なので、基地で休んでいるわけにはいかなかったんですね。
| 恩師の頼みなのでルーデルは承諾し、基地で居残り。ステーンはルーデル機に乗って前線へ向かいました。
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    | むう……
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         | なおルーデルの相棒であるシャルノブスキーも、ステーンの操縦するルーデル機に乗っていった。
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| そして一時間半後、編隊は帰還してきたのですが――
| それを基地で出迎えたルーデルは、ステーンの乗った一番機がいないことに気付きます。
| そして彼は、ステーンとシャルノブスキーは乗機ごと敵艦に突っ込んで戦死したという事実を聞かされました。
| ステーン機は対空砲火の直撃を食らってしまい、機体はみるみるコントロール不能に。
| 最期の力を振り絞り、ステーンはそのまま巡洋艦「キーロフ」に体当たりを食らわせたのです。
| こうしてルーデルは、恩師と相棒の二人を同時に失ってしまうという悲劇を体験しました……
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    | それが戦争とはいえ、悲しいことだな。
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         | さすがのルーデルも、ショックは大きかったようだ。
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| それからのルーデルの相棒は、エルヴィン・ヘンシェルという有能な青年が務めます。
| 彼はルーデルと出撃中に、後部機銃でソ連戦闘機を落としてしまうというとんでもない戦果も果たしたほど。
| ルーデルとヘンシェルはスツーカを駆って着々と戦果を増やしていったのですが……
| 1941年も冬を迎え、ルーデルの活躍も虚しくバルバロッサ作戦は頓挫してしまいます。
| ソ連の地の厳しい冬を体験しながら、彼は各地を転戦し続け――
| 1942年1月、ルーデルは戦艦破壊などの功績によって騎士十字賞を与えられたんですよ。
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         ハンス・ルーデル
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    | ルーデルが前線に出るようになって、半年が経ったんだな。
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         | その激戦の中で、ルーデルは何度も対空砲火によって撃墜されている。
         | しかし太平洋戦争と違って真下は陸なので、帰還出来る可能性はそれなりにある――それなりに。
         | ただしルーデルは大戦を通して30回も撃墜され、いずれも無事に帰ってくる化け物だったが。
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| この頃になるとルーデルの飛行回数も莫大なものになり、休暇が命じられるようになりました。
| 本人は「休んでなんかいられない! 前線へ向かうのだ」と繰り返していますが、命令なので逆らえません。
| こうしてルーデルは田舎に帰り、しばらくのどかな日々を過ごすこととなりました。
| そんな休暇の後に前線へと帰還、戦いの日々が再開した、と言いたいところですが……
| ここでルーデルは、なんと病気にかかってしまったんですよ。
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    | 一応、人間の病気にも掛かったみたいだな。
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         | そういうこともある。
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| 1942年11月――650回の出撃を成し遂げた頃、ルーデルは黄疸に掛かってしまったんですよ。
| こうして病院送りとなったルーデルですが……一週間ほどしか大人しくしていられませんでした。
| 入院生活に耐えられず、「休んでなどいられない。すぐに出撃だ!」と動き出すルーデル
| 治療のために帰国しろという医者を強引に説き伏せ、前線へと戻ってしまったんです。
| 「だめだよ出て来ちゃあ」と驚く司令にも負けずに、ルーデルは今日もスツーカで飛び立っていきました――
| 今度の彼の戦場は、スターリングラード。病気など、戦っているうちに勝手に治ってしまったようですね。
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    | どうなってるの、この人の身体……?
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         | この時の医者はルーデルの退院におよび、「私は何があっても責任を持たん」と念押し。
         | けっけうヤバい病状だったみたいだな……前線で暴れているうちに治ったが。
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| しかしスターリングラードでの戦いは熾烈を極め、その激烈な対空砲火の前にルーデルも苦戦。
| それでも相応の数の敵要塞などを破壊したのですが――ドイツ軍はもはや、完全な劣勢。
| ルーデルは退散するルーマニア軍(同盟軍)を機上から目撃、大いに憤慨しています。
| こうしてスターリングラードに残ったドイツ軍は降伏、この戦いは敗北に終わってしまいました。
| いくらルーデルでも、たった一人で戦局を変えることはできなかったんです。
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 「帰る途中も潰走するルーマニア軍を見た。
  もし弾が残っていたら、この臆病者どもの頭上にお見舞いしていたかもしれない。
  彼らは何もかも放棄して逃げて行くのだ。 防御し得る陣地も、重砲も、弾薬倉も。
  彼らの不甲斐なさが、やがて全戦線の崩壊を導くことは必至であろう」
                             ハンス・ルーデル『急降下爆撃』より
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    | 同盟軍に対して、なんて過激な……怖いぞ、ルーデル
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         | この頃になると、ルーデルの破壊スコアも莫大なものになっていた。
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| そして1943年の初頭には、ついにルーデルの出撃回数は1000回を突破しました。
| 同時に、ルーデル最大の敵がまたも襲い掛かってきました――それは、休暇です。
| ルーデルは必死で抵抗し、単身で空軍省に乗り込んで上層部を説得。
| とうとう休暇を取り消してもらい、前線に留まることができたんです。
| 休んでなどいられない、さあ出撃だ!
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 「大体この休暇というのが、私の作戦飛行回数の高いのが唯一の理由なのだ。
  これからは回数なんか数えてもらいたくないものだ」
                           ハンス・ルーデル『急降下爆撃』より
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    | この人、メチャクチャだ……
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         | この程度で、何を驚いているんだ。
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| その直後にルーデルは、対戦車実験隊に配属となり――そこで、運命的な出会いがありました。
| そこでとうとうルーデルは、対戦車用新兵器であるJu87Gを手にしたんです。
| これは37mm砲などというものを搭載した戦車攻撃用のスツーカであり、その攻撃力は激烈。
| ただしそんなものをブラ下げていたら、機動性はガタ落ちになってしまう諸刃の剣。
| それでもルーデルはこの機を気に入った様子で、さっそくソ連軍相手に暴れ狂います。
| このJu87Gを、ルーデルは終戦の時まで愛用することになるんですよ。
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    | さ、37mm砲を航空機に搭載したのか……?
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         | 巨砲を航空機に搭載しようとする目論見は、どこの軍でもやっているが――
         | Ju87Gが、その中でも最も活躍した機と言えるだろうな。
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| そして1943年5月になると、ヒトラー総統じきじきに柏葉付騎士鉄十字章が授けられました。
| この際にルーデルはヒトラーと一時間ほど語り合い、多大な感銘を受けていますね。
| この後もルーデルは総統を敬愛する発言を続け、その信念は戦後どころか死ぬまで変わりませんでした。
| そこらへんでネオナチの崇拝を受け、一部の(多くの?)戦後ドイツ人からは煙たがられていくことに。
| ただ彼は戦後もヒトラー敬愛の念を失いませんでしたが、ナチ党員ではありませんでした。
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 「ロシアの第一回の冬、スターリングラードの凄惨なる戦い、
  総統はそれらについて、実に驚くべきほどの正確な知識を持っている。ドイツ兵を決してとがめてはいない。
  私達が戦線で経験した通りのものを、いな、それ以上のものをはっきりと把握している。
  あふれるばかりの思慮と計画とをもって、絶対的な自信をもっている。
  私たちは、いまさらながら尊敬と畏愛の念を深くするのであった」
                                             ハンス・ルーデル『急降下爆撃』より
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    | ルーデルは、ヒトラー崇拝者だったのか……
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         | 当時、大多数の人間はそうだったのさ。
         | 戦後になって、ほとんどの人間がそれを無かったことにした――が、ルーデルは違った。
         | それが良いか悪いかはさておき、彼は戦後も自らの信念を貫き通すことになるんだ。
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| そしてヒトラーと対面した感動を胸に、ルーデルはまたも前線で暴れ狂います。
| 1943年も半ばを過ぎると、ソ連の反撃は激しさを増していきました。
| ルーデルのいとこが戦死したという報せを聞き、彼の軍学校時代からの友人も命を落としていき――
| そんな苦境にもめげず、ルーデルはひたすらに進出してくるソ連戦車を破壊していきます。
| いつしか相棒のヘンシェルも1000回出撃を達成し、騎士鉄十字章を受けるまでになっていました。
| そしてルーデルはというと、1943年11月に総統から柏葉・剣付騎士鉄十字勲章をもらっています。
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    | 相棒も騎士鉄十字章持ちって……すごいコンビだな。
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         | ヘンシェルはソ連戦闘機を落とすなど、並外れた活躍を示していたんだ。
         | しかしそんなヘンシェルにも、悲しい運命が――
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| そして年を越し、ソ連の反撃が激烈になっていく一方の1944年3月20日――
| ルーデルは、大戦中に二度あった大ピンチのうちの一回目を迎えてしまうことになるのです。
| ドニエステル河に掛かったヤンポール橋を渡り、ソ連軍がドイツ軍を圧迫。
| そこでルーデル達はソ連軍の侵攻を留めるため、ヤンポール橋を破壊するという任務に駆り出されます。
| こうして目標の橋を吹き飛ばしたのはいいものの、隊の新米機が対空射撃に当たってしまいました。
| そして新米二人の乗った機体は、そのまま地上へと不時着してしまったんです。
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    | なんと、仲間の危機か。
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         | この時のルーデルは隊長であり、部下の生命にも責任を持つ立場だった――
         | とは言え、ここから先の展開はムチャクチャだな。
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| 隊長であるルーデルは、他の友軍機には帰還を命じ、自身は新米機の救難へと向かいます。
| こうして不時着地点に着陸したところ、新米二人は幸いにも無事でした。
| そこでルーデルは彼らを自機に乗せ、そのままその場を離脱しようとしたのですが――
| 非常に足場が悪く、車輪が泥に食い込んでしまって離陸出来なくなってしまったのです。
| そうこうしている内に、ソ連軍兵士多数の影が――!!
| ルーデルは機をその場に乗り捨て、相棒のヘンシェル、新米二人と共に総勢四人で逃げ出します。
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    | なんと、敵がウロウロしている場所を徒歩で……
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         | この時、持っていた武器は拳銃とナイフ程度。
         | 見つかったらその場で射殺か、収容所送りは確実だ。
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| 30分ほど必死で走ると、目の前にはドニエステル河。そして、後ろからは追っ手が。
| 捕虜か、生死を懸けた寒中水泳か――覚悟を決めた四人は、服を脱いで河に飛び込みます。
| まず水泳が上手なようだった新米Aが、ルーデルも驚くほどのスピードで向こう岸に到着。
| 次になんとかルーデルが向こう岸へ、続いて新米Bも河から上がり――
| そして一番遅れていたヘンシェルは、「もう進めません、駄目です」と言い残して沈んでしまったんです。
| 慌ててルーデルが再度河に飛び込みましたが、助けることはできませんでした……
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    | ああ、二代目相棒ヘンシェル……
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         | 流石にヘンシェルの死はルーデルにもショックだったようで、何度も彼を悼んでいる。
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| しかし残された三人も、窮地を脱したとは到底言えない状況です。
| 凍える寒さの中で水泳をし、体力を消費し、おまけに空腹にまで苦しめられ――
| びしょ濡れのまま、三人の逃避行が続き――
| そしていよいよ日が暮れる頃になると、前方に友軍のルーマニア兵らしき三人の男が。
| そしてルーデルは彼らに話し掛けるも、なんと三人はソ連兵。慌ててルーデルは逃げ出します。
| なお新米二人は後には出て来なくなるので、ここで捕まってしまったのでしょう。
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    | ああ、新米……
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         | なおこの後、新米二人はソ連側の尋問でルーデルが逃げていることを白状してしまったようだ。
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| 三人のソ連兵から逃げる際に肩を撃たれ、いつのまにか敵応援が押し寄せてきて20人以上。
| とうとう日が落ちてしまうと、ソ連兵達は軍用犬まで引っ張り出してルーデル狩りを始めます。
| ルーデルは地面に横たわって体の上に土をかけ、なんとか急場をやり過ごす事に成功。
| 周囲に敵の姿が見えなくなったのを見計らって、再び走り出します。
| もはや足の裏は裂けて血が溢れ、肩も負傷し、体力は消耗し、腹は減り――
| ボロボロになりながらも、ルーデルは一軒の農家を発見したんです。
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 「それにしても勘のにぶい軍用犬だ」
     ハンス・ルーデル『急降下爆撃』より
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    | 軍用犬をやり過ごすって……ほんとにこの人、どうなってるんだ?
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         | ルーデルは、地上に降りてもスゴいんだぞ。
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| フラフラになりながらその民家に入ると、中にいたのは年老いた老夫婦。
| ルーデルはロシア語が喋れないので話は通じませんが、彼が危害を加えるつもりがないのは伝わった様子。
| そのままルーデルはベッドに横たわり、三人は川の字で寝ます(ルーデルは真ん中)……いや、マジで。
| 途中でいったん目を覚まし、老婆に食料を分けて貰いました。
| それを味わった後で、もう一度体力回復のために睡眠。
| そして午前一時になると、ルーデルはお世話になった民家を辞して再び逃走を開始します。
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    | なんかスゲェ……
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         | のどかな話……ではないな。
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| そしてルーデルは一晩を歩き明かし、翌朝にはルーマニア人の農夫と連れの女性に出会いました。
| 二人にパンをもらい、一番近くの町の位置を教えてもらい――
| ようやくフロレスチの町に到着する直前に、ルーデルは二人のドイツ兵に遭遇。
| こうして彼らに保護され、彼はなんとか一命を取り留めたんですよ。
| とてつもない窮地を脱し、満身創痍ながら帰還を果たしたルーデル
| これ以来、彼に対しては「味方飛行場以外で着陸してはならない」という命令が下されました。
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    | こんなアレな命令を受けるのも、この世でルーデルくらいだったろうな……
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         | 危機脱出時のルーデルはボロボロで、とても偉い軍人には見えない状態。
         | 騎士十字章を見せるまで、ドイツ兵二人から中隊長だと信じて貰えなかった。
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| 当然ながらルーデルは、ただちに入院が必要なほどの肉体的ダメージを受けていました。
| 早急に帰国しろという命令も出てたのですが、ルーデルがそんなの聞くはずもありません。
| 翌日は雨で出撃できず、その次の日、さっそくルーデルはスツーカに乗り込む――!
| ……と言いたいところですが、彼はまだ歩ける状態ではありませんでした。
| そこで新相棒のロースマン准尉に機内まで運んでもらい、なんとか出撃したんです。
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 「いま、このまま帰国する気持ちにはなれない。
  ドニエステル河から南方に進撃しているソ連軍をどうして食い止めるか、
  これを考えると、一日も寝てなどはいられない」
                        ハンス・ルーデル『急降下爆撃』より
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    | いいから休めって……
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         | しかもこの時のルーデルは、ソ連に対してかなり怒っていたようだ。
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| この日、ルーデルはなんと6回もの出撃を果たしました。
| 敵の対空射撃も激烈で、ルーデルは1日のうちに何度か機体を替えなければいけなくなったそうです。
| 追いかけ回された怒りを解き放つかのように暴れ続け、この日だけでソ連戦車を17両破壊……
| 翌日は9両破壊し、合計26両。この地域に展開していたソ連戦車、約4分の1をたった1人で殺っちゃいました。
| この地域の敵戦車を根絶やしにし、眼下に広がるはソ連戦車の残骸のみ――
| そこでルーデルは、「すべてが静かに、まるで死んだように見える」と一言。
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 「もう誰の忠告も聞いてはいられない。片手でも片足でも、動いている限りは、
  名誉あるスツーカ隊の一員として、あくまでもソ連軍撃滅に尽くさねばならぬ」
                           ハンス・ルーデル『急降下爆撃』より
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    | あなたはどこの破壊神ですか?
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         | いよいよこの辺から、ルーデルの言動は化け物じみてくる。
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| またこの頃に後部に座ったロースマン准尉が三代目相棒なんですが、彼は何とも恵まれません。
| 「この困難な出撃に、ヘンシェルと一緒でないのが悔やまれる。私の後ろにいるのはロースマンなのだ」。
| 「うるさい、物をいう代わりに撃つんだ」などと、散々に言われる可哀想な人。
| この直後に柏葉・剣・ダイヤモンド付騎士鉄十字勲章を貰いに行く時にも、ルーデルいわく……
| 「ヘンシェルが一緒であれば全く嬉しいのだが、後ろに座っているのはロースマンである」。
| おまけにロースマンは途中で再起不能になったらしく、いつの間にか出て来なくなりました。
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    | 不幸な人だ……ルーデルに関わったばっかりに。
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         | 人外につきあった人間がどうなるか良く分かるな。
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| なお勲章をヒトラーから受け取る時、「これ以上飛んではいけない」と言われます。
| 凄まじい技量のルーデルを地上任務にし、新米パイロットの育成にあてようと思ったのですね。
| またルーデルほど有名になってしまうと、仮に戦死してしまった場合、士気に与える影響は底知れません。
| しかしルーデルは「受章によって前線に出られなくなるなら、受け取れません」と総統に向かって豪語。
| これにはヒトラーも、「まあいいわ、飛びたまえ」(原文そのまま)と言わざるをえませんでした。
| こうしてルーデルは、今日も前線へと向かう!!
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    | ヒトラーを前に、とんでもないことを言う……
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         | この時もルーデルとヒトラーは長時間話し込み、その言葉に感銘を受けている。
         | 「私は総統に会うごとに、感激が深まっていくのだった」。
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| そしてこの辺りから、相棒は四代目のエアハルト・フォン・ガーデルマンに代わったようですね。
| このガーデルマンこそがルーデルの相棒の代表的人物であり、以後は終戦まで共に乗機にあります。
| 彼はルーデルと一緒に850回以上出撃し、騎士十字章を授与されることになるんです。
| ロースマンとは違い、普通にルーデルと一緒に暴れることができたあたり……
| この人もまた、人間の域を踏破しつつあったんでしょう。
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   エアハルト・フォン・ガーデルマン
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    | 人外のパートナーは、やはり人外にしか務まらん。
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         | 機体がバラバラになるくらいの不時着で座席もろとも吹っ飛んでも、肋骨折っただけ。
         | 言動も徐々にルーデル色に染まっていく、なんとも頼もしい相棒だ。
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| そして場所を替えて転戦しつつ、1944年7月――今日も敵陣を爆撃していると、友軍機が被弾!
| 部下のフィッケル機が、そのまま敵陣の道路へと不時着してしまったんです。
| さっそく助けようとしたルーデルでしたが、彼は「味方飛行場以外で着陸してはならない」と厳命されている身。
| 流石のルーデルも命令には逆らえず、さてどうしたものか――と、ここで名案が閃きました!
| 着陸とは、地面に降りて機体を完全に停止させること。
| つまり地面に降りて、そのまま滑走し続け、フィッケルを回収して離陸――この間、止まらなければいいのだ!
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    | いや、違う! それ、絶対に違う!!
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         | 当然ながら、そんなのは普通に出来る機動じゃない。
         | 敵陣でこれをやるなんて、この世にあるどんな曲芸飛行よりムチャクチャだ。
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| こうしてルーデルは、不時着したフィンケル機のところまで高度を下げていきます――敵弾の間を縫いながら。
| いったん地面に着き、その上で止まらないまま、フィンケルと相棒を機内に回収――敵弾の間を縫いながら。
| そのままいっさい止まらず、滑走して離陸――敵弾の間を縫いながら。
| ルーデルは見事にやってのけ、無事に部下を救って帰還したのです。
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    | いやいや、着陸が禁じられてるからって……これはないだろ。
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         | 普通に敵前着陸した方が何百倍も楽なのは言うまでもない。
         | 荒技というか、神業というか、無茶技というか……
         | 敵陣でこんなことをやった奴は、後にも先にもルーデルただ一人だろう。
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| それからもルーデルとガーデルマンは暴れ狂い、ソ連戦車をひたすら撃破。
| しかしある日、対空射撃を受けてしまいます――空中でエンジンが燃え、パラシュートも使えないほど低い高度。
| そのままルーデル機は森の大木に激突し、機体はバラバラ。二人は大怪我をしてしまいました。
| ルーデルの太腿は機体の金属片が突き刺さり、ずぶりと貫通。
| ガーデルマンは座席ごと投げ出され、前部座席にいたルーデルのさらに前にまで吹っ飛んでいったんです。
| しかしすぐにドイツ兵に助けられ、基地に戻った二人――その日の内に、颯爽と出撃していきました。
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 「空軍大隊から軍医が派遣されてきた。
  腿の傷に手当てをして、脳震盪を起こしていると診断した。ガーデルマンは肋骨を三本折っていた。
  休養などはとっていられない。すぐに出撃だ!」
                                        ハンス・ルーデル『急降下爆撃』より
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    | ガーデルマンも、いよいよ怪物じみてきたな……
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         | この直後の出撃で、さっき落とされた地域の敵戦車やトラックを次々と破壊。
         | 周囲を火の海にしてしまう……
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| そして夏にも、ルーデルは危険な目に合っています。いつものように敵戦車を狩り、その帰り際――
| 飛行場に着地しようとしたところに、敵戦闘機のP-51数機が襲ってきたんです。
| ルーデル機は着陸態勢に入っており、車輪を地面に着いて滑走している状態。
| 機体が止まるまで待っていたら殺られる!と判断したルーデルは、風防を開けて主翼の上に飛び降りました。
| そして、まだ飛行機が滑走し続けているにもかかわらず地面へと飛び降ります。
| それと同時にP-51が機銃を放ち、無人と化した機体は爆発! 実に危ないところでした。
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    | どこのハリウッドだよ……
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         | 味方の飛行場まで敵が追い掛けてくるぐらい、制空権は奪われていた……
         | ルーデルみたいな一握りの化け物が頑張っても、どうしようもない現実もある。
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| 1944年10月末になると、どこもかしこもドイツ軍は撤退続き。
| それを助けるため、ルーデルが今日も出撃していると――なんと、眼下には見たこともない新型の敵戦車が。
| 「イワンめ、また新型を造りおったか」(原文そのまま)と呟きながら、たちまち五両を破壊してしまいます。
| 好奇心にかられ、その残骸を観察しようと高度を下げたところ――敵対空砲火を受けてしまいました。
| 弾丸はルーデルの身体に当たってしまったらしく、頭が朦朧としつつも、なんとか操縦桿を握ります。
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    | つーかソ連新戦車、いきなり5両も片付けたんだな……
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         | とは言え、今回はカウンターを受けてしまった。
         | まあ新戦車に興味を持ち、不用意に接近してしまったからなんだけどな。
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| 弾丸はルーデルの左腿を貫通してしまうものの、なんとか操縦桿を離さず基地に帰還。
| もう一箇所貫通していたのですが、摘出に成功。完治まで、六週間入院しなければいけないと告げられます。
| こうして八日後に病院を退院(事実上の脱走)したルーデルは、ギブスを付けたまま前線に。
| そんな風に暴れ狂いながらクリスマスも過ぎ、1945年――ドイツ敗北の年に突入します。
| 祖国ドイツは絶望的状況ですが、ルーデルのスコアは凄いことになっていました。
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 「よし行こう。すぐ退院だ」
    ハンス・ルーデル『急降下爆撃』より
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    | 二行目と三行目、繋がりがおかしいんだけど……
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         | いい加減、君の目も飛びやすくなってきたな。
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| そして1945年元日、ルーデルは「金柏葉・剣・ダイヤモンド付騎士鉄十字勲章」をヒトラーから授けられます。
| この「金柏葉・剣・ダイヤモンド付騎士鉄十字勲章」は末期のドイツにおいて新しく出来た最上位の勲章。
| ドイツが滅亡の危機に瀕した時、十二人の英雄(円卓の騎士になぞらえて)が現われる――
| そんな、あらゆる意味で末期的な発想の元にヒトラーが制定した十二人限定の最上位勲章なんです。
| これを授けられ、ドイツを救う十二人の筆頭になったルーデルでした。
| なお後の十一人は現われず、この勲章を貰ったのは後にも先にもルーデルただ一人なんですよ。
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    | なんて厨二病的発想の勲章……そして、それを本当に与えられてしまうルーデル……
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         | ルーデルみたいなのが12人も現われたら、世の中はどうなってしまうんだ。
         | とは言え戦闘機乗りとか戦車乗りとか、ドイツ軍人には人間を踏破した人がいっぱいいるんだけど。
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| この受章の際に、ヒトラーは「君はもう十分に飛んだ。その経験は保存されなければならない」と切り出します。
| これはまずい!と察したルーデルは「もし前線に出られないのでしたら、受章と昇進を辞退します」と豪語。
| これ、今までに何度もあった展開だったんですが……ここでもヒトラーはいったん折れざるをえませんでした。
| しかし前線に戻ったルーデルに対して、「これ以上飛んではならぬ」という命令が突き付けられます。
| 「君を前にして面と向かっては言いにくいが、もうこれ以上は飛ぶな」とはヒトラーの弁。
| こうしてルーデルは、とうとう命令で飛ぶことを禁じられてしまったのです。
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    | とうとう、飛行禁止令が出てしまったのか……
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         | 正式な命令である以上、ルーデルにもかなり葛藤はあったようだ。
         | しかしそれでも、ルーデルは止まらなかった。
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| それでもルーデルは前線に出撃し、敵戦車を破壊し続けました。
| 彼の破壊した戦車は公式な記録には載せられませんので、「隊での共同戦果」ということにしておきます。
| しかし数が増えてくると、「破壊した者の分からない戦車が増えたのはどういうわけか」と上層部からお咎めが。
| ルーデルは「全機一斉に突っ込んだからです」と答えますが……さすがに、これはバレるでしょう。
| とは言え上からはほぼ黙認の状態で、彼は前線に向かい続けました。
| 1945年2月9日、大戦におけるルーデル最大のピンチが巡ってくるまでは。
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    | さ、最大のピンチ……?
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         | 終戦の3ヶ月前、ルーデルの身を悲劇が襲ったんだ。
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| 1945年2月9日、オーデル戦線にてソ連戦車12両を撃破したルーデルでしたが――
| 13両目のIS-1を撃破した瞬間、カウンターのような形で対空射撃を受けてしまったんです。
| しかもそれは、操縦席にいたルーデルの右脚を吹っ飛ばしてしまいました。
| 薄れ行く意識の中で、なんとか不時着に成功し――気付いた時、彼は病院のベッドで横たわっていました。
| そこで彼は右脚を失ってしまったことを悟り、悲嘆に暮れてしまいます。
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 「もう足がない。新しいスキーで丘を滑ることも、棒高跳びをすることも、みんなできない。
  が、それもいい。たとえ、足や腕を、あるいは命をなくしても、
  その犠牲によって祖国が危機から救われるならば、大して重要なことではない。
  ただ一つ大事なことは、この現在の危急存亡の時に際して、私が少なくとも数週間飛べないということだ」
                                            ハンス・ルーデル『急降下爆撃』より
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    | さすがのルーデルも、右脚を失ったのはショックだったろうな……
    | ……って、黒板に書いてること、明らかにおかしいんだけど……
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         | さすがルーデル、これからも飛ぶ気マンマンだ。
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| こうしてルーデルは義足を作ってもらい、六週間で退院。
| 片足での飛行にも慣れ、さっそくソ連戦車を撃破――しかしその帰りに、足の傷口が開いて大出血。
| それにもめげず、ルーデルは出撃を続けたんです。
| なおここから終戦までに30両以上の戦車を破壊しているはずなんですが、書類記録では5両。
| 公式には入院していることになってたんで、書類申告できなかったようですね。
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    | どうなってるの、この人?
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         | 人ではない、ルーデルだ。
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| そんな間にも4月が訪れ、いよいよソ連軍はベルリンまで迫ります。
| ヒトラーは自殺し、そして5月1日――ルーデルは、それでも出撃に向かいました。
| 最後の出撃でも足の痛みに耐えながら、数多くのソ連戦車を葬っています。
| そして5月7日……飛行場のルーデル達は、ドイツが無条件降伏を受諾したことを知りました。
| これ以上は、いかに闘志があろうとも戦いようがありません。祖国ドイツは、敗北を受け入れたんです。
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    | さすがのルーデルも、これ以上は戦いようがないな……
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         | シンイチ、驚いてもいないのに目が飛び出してるぞ。
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| こうして、スツーカ隊は解隊されたのですが――ソ連に捕まるよりは、米英軍に捕まる方がマシ。
| ルーデル一同は、使えそうな飛行機に乗って米英軍の支配地域へと逃げ込むことにしました。
| Ju87が3機、Fw190が4機の逃避行――そして、それを逃がすまいと攻撃を仕掛けてくるソ連機。
| それに応戦し、あまつさえ撃退しながら、ルーデル達はアメリカ占領地のキッチンゲンにある基地に到着します。
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 「ザーツ地区でソ連機に遭遇、勝利に酔ってか、かさにかかって突っ込んで来る。
  昨日と今日で、そう急に変わってたまるものか、たちまち撃退――」
                             ハンス・ルーデル『急降下爆撃』より
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    | ……って、まだまだ戦ってるじゃないか。
    | 「昨日と今日で、そう急に変わってたまるものか」って、降伏受諾……
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         | 見なかったことにしよう。
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| 着陸したルーデルが風防から出ようとすると、一人のアメリカ兵が銃を突き付けてきました。
| そして、ルーデルが胸に付けている勲章に手を伸ばす――その瞬間、ルーデルはアメリカ兵を突き飛ばします。
| そのまま風防を閉じ、アメリカ将校が駆けつけてくるまで出ようとはしませんでした。
| 無礼な下っ端とは話す舌を持たん、と言わんばかりの態度が素敵ですね。
| こうしてルーデル達は捕虜として広間に通され、そこに現われた米軍将校に対してルーデル達は敬礼。
| 「英語は話せるか? あと、ナチ式敬礼はやめてもらいたい」という米軍将校に対し、ルーデルは言いました。
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 「ここはドイツだ。英語が話せたって、ドイツ語以外はしゃべろうとは思わない。
  どんな敬礼をしようと君らの知ったことではあるまい。
  われわれはドイツ軍人としての敬礼法を教わり、それをそのままやっているだけの話だ。
  スツーカ隊は空の戦いで敗れはせぬ。われわれは囚人ではない。
  ドイツ兵はすべての戦闘に負けたものではなく、ただ物量の重圧に屈したにすぎない。
  われわれがここに来たのも、ソ連軍地域にとどまるのを欲しなかったからだ。
  ま、そんなことはどうでもいい、身体を洗わしてもらいたい。それから何か食べ物がほしい」
                                   ハンス・ルーデル『急降下爆撃』より
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    | 命が惜しくないのか、ルーデル……
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         | 捕虜とは思えないほど堂々とした言葉に、ルーデルファンはメロメロ。
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| そして後の尋問で、ドイツにあった捕虜収容所の写真を見せられたルーデル
| そこには残虐な惨状が映っていましたが、ルーデルは捕虜収容所など全く知りません。
| 当然ながらルーデルはパイロットであり、そんな戦争犯罪とは関わってもいませんでした。
| それでも、ルーデルはこう言い放ちます。
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 「全然知らない。だが、戦争の常だ、多少のことはやむを得まい。
  いつの時代、どこの国でも悲惨なことは起こり得る。ボーア戦争の残虐さを君たちも知っていよう。
  それにしても、この写真は捕虜収容所のもののみとは限らない。
  ドレスデン、ハンブルクその他の都市で四発爆撃機が襲来したあとには、もっと大きな死がいの山が築かれた。
  罪もない女や子供が無数に虐殺されたのだ。
  君たち紳士が、もしこのような写真に関心を払うなら、東の方に行ってみるがいい。
  写真ではない実物が、現に東方の蛮族の手によって行われているのだ」
                                              ハンス・ルーデル『急降下爆撃』より
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    | すげぇ、米軍将校を前にここまで言ったのか……
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         | 東方の蛮族って、なにげに凄い事を言っている。
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| そして尋問生活はしばらく続いたのですが、その待遇は非常に良かったのだそうです。
| 米英軍の将校達はひっきりなく訪ねてきて、誰もが聞きたがるのはルーデルの超絶な戦果。
| 「いったいどんなカスタム機に乗っていたのか?」と、誰もがルーデルに尋ねたようですね。
| しかし彼の愛機であるJu87Gは、37mmカノンを搭載した対戦車攻撃用の機体。
| 別に特別なカスタムなど施されていないどころか、通常のJu87よりも鈍重であるくらいです。
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 「時速何マイルということを何よりも重大と考えている彼らには、
  私があんなに足の遅い飛行機で二千五百回以上も出撃し、いまだに生きている事実が、
  どうにも腑におちないことらしい。私には別にこれといった秘訣もなかったのだが……」
                                  ハンス・ルーデル『急降下爆撃』より
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    | これといった秘訣はない……か。ないのなら仕方ないな。
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         | 秘訣とか、そういうレベルの問題じゃないだろう。
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| ともあれ、ルーデルは戦争犯罪に値することは全くやっていない、祖国のために戦い抜いた軍人でした。
| 1946年4月には釈放され、とうとう自由の身となり――これで、ルーデルの戦いは終わったんです。
| さて、ここでもう一度彼の記録を見ておきましょう。
| これは公式に認められているだけの数字であり、本当はもっと多いことは確実。
| ルーデルは公式には出撃したことになっていない出撃も数多く、また戦友に戦果を譲ったことも数知れず。
| 戦友達の証言から、前線に留まり続けるためにスコアを過小申告していたのは日常茶飯事だったとか。
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 ・出撃回数2530回(落とされた回数30回)
 ・破壊した戦車519両
 ・破壊した装甲車・トラック800台以上
 ・破壊した火砲150門以上(100mm口径以上限定)
 ・破壊した装甲列車4両
 ・沈めた軍艦3隻(戦艦、嚮導駆逐艦、駆逐艦)
 ・沈めた上陸用舟艇70隻以上
 ・落とした航空機9機(戦闘機2機、爆撃機5機、その他2機)
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    | これが過小申告ってのもムチャクチャだが、ともかくこれでルーデルの戦いは終わりか。
    | これでようやく、目玉を飛ばさないで済むな。
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         | ……………………
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| しかし当時のドイツでは、旧ドイツの軍人は迫害されているも同然の状況でした。
| 戦犯狩り、ありとあらゆる差別……祖国に戻ったドイツ軍人達に、まともな未来はなかったんです。
| 名も顔も売れているルーデルにとっては、なおのことドイツの地は生きにくい場所と化していたでしょう。
| こうしてルーデルは、スイス、イタリアと流れ、1948年には南米のアルゼンチンへと渡ります。
| そして南米の地で落ち着いた1955年、彼は24歳年下の女性と結婚しました。ルーデル、当時39歳のことです。
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    | じゅ、じゅうご……!?
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         | さっそく目玉が飛んでいってるぞ。
         | 覚えておけ、歴戦のパイロットに不可能なことなどないんだ。
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| こうして実業家として戦後を生きるかたわら、ルーデルは南米にて友人を増やしていきました。
| アルゼンチンの独裁者であるフアン・ペロン、パラグアイの独裁者アルフレド・ストロエスネル――
| なんとも愉快なメンバーと親しくなったルーデルは、「カメラーデンヴェルク」という組織を結成しました。
| これは、戦後の迫害にさらされていたドイツの戦友達を救うための組織。
| 連合軍に捉えられていた戦犯――ルドルフ・ヘスやデーニッツ達を支援して弁護料などを負担。
| そればかりか、戦犯の国外逃亡さえ手助けさえしています。
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    | かつての戦友のために、ルーデルは戦後も戦い続けたんだな。
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         | 戦後になって、多くの軍人が「自分達はヒトラーにだまされていた」と発言。
         | しかしルーデルは自身の信念を翻さず、ヒトラー敬愛の発言さえ隠そうとしなかったんだ。
         | 時代は変った……が、ルーデルは変らなかった。
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| そして戦後のルーデルは、プライベートの時間は登山を愛好していました。
| 決して、ハイキングみたいな趣味レベルのものではありません。
| 南米最高峰のアコンカグア(6962m)や、ユヤイヤコ(6739m)などアンデス山脈最高峰に挑んでいます。
| またユヤイヤコには3回の登頂、うち1回は登山仲間のノイベルトが滑落事故で死亡するという悲劇を体験。
| その際、ルーデルはノイベルトの亡骸を抱えながら、山頂にまで到達しています。
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    | ルーデルって、戦争中に片足を失ってたよね……?
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         | 片足だったから、登山程度で済んだんだろう。
         | 五体満足だったなら、きっと月まで行っている。
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| その後もルーデルの巻き起こしたエピソードには事欠かず、あちこちでまずい発言を連発。
| 「ローマ教会がナチス戦犯の逃亡を手助けしてくれた」とか、「あの戦争はドイツ生存のための戦争」などなど。
| 1976年、ドイツ軍に招かれて講演を行ったルーデルですが……その時も、何かやらかしてしまった御様子。
| これは大きな問題となり、結果的にルーデルを招いた高位の軍人二人の首が飛んでいます。
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    | なんて爆弾発言連発……怖いものなんてないんだな。
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         | またアメリカがA-10「サンダーボルトII」という地上支援機を開発する際、ルーデルを顧問に招いた。
         | 彼の助言が反映され、A-10は非常に頼もしい地上支援機に仕上がったんだ。
         | このA-10「サンダーボルトII」は現役機であり、根強いファンの多い機体だな。
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| そして1982年12月18日、ルーデルはバイエルンで死去します。
| 葬儀の際にはルーデルの信望者であるネオナチ達も詰め掛け、大変な騒ぎに。
| 体面上、西ドイツ軍の正規軍人はナチスドイツの英雄の葬儀になど出席できません。
| それでも大勢の退役軍人が詰め掛けたんですが――葬儀中、真上では西ドイツ空軍機2機が追悼飛行。
| 当然ながら、この西ドイツ軍の行動は大問題になったのですが――
| 西ドイツ軍は、「あれは訓練飛行。下で誰か葬式してたって? 知らんよ?」の一点張りだったそうです。
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    | さすがルーデル、死んだ後も大波乱だな……
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         | とは言え、これで前大戦の英雄も逝ってしまった。
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| こうしてハンス・ルーデルは、永遠の眠りに就きました。
| しかし彼の残した驚天動地の戦果は、これからも残り続けるでしょう。
| そして大規模消費型戦争が過去のものとなった今、この記録はもはや破られないでしょう。
| しかも恐ろしいことは、ドイツには人間を踏破したエースパイロットや戦車乗りが他にもいたということ。
| ぶっとび具合やエピソードの多さではルーデルに譲るものの、不屈の闘志で暴れ回った連中がゴロゴロ。
| そこら辺が、戦後50年以上経っても、ドイツが我々を惹き付け続ける所以でもあるのです。
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    | こんな化け物がいっぱいいても、ドイツは勝てなかったんだな……
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         | なお板書したのは、この講義でも引用したルーデルの自伝。
         | 訳にちょっと難があるが、ぜひ読んでみてほしい。
         | やってることの凄まじさと、淡々とした描写のギャップにびっくりだ。
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