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| さて……もっともっと私だけを見て、しぃ助教授の世界史講義です。
| 前回の講義において、サルがパワーアップしていく様をじっくりと語りましたね。
| そして講義の最後に、アフリカにおいて出現した現生人類の系譜に連なる新人類について触れました。
| 20万年前にアフリカに現れたこの人類がこそ、私達現生人類の祖先なんです。
| しかしこの時期、ネアンデルタール人ジャワ原人北京原人が世界中に展開していることを考えると……
| こいつらと現生人類とは、ほとんど何の関連もなかったんだよ!
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    | な、なんだってー!!
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         | 遠縁でこそあるものの、彼らと現生人類とは直接の血の繋がりはないということだ。
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| この驚くべき結論は分子生物学から生まれたもので、遺伝子の研究が進んで明らかになった事実なんです。
| 詳細な解説は省きますが、ミトコンドリアと呼ばれる細胞小器官を元に起源を辿ったんですよ。
| その結果、現代の全ての人間は20万年前のアフリカで共通の先祖を持っていたことが発覚。
| この女性には「ミトコンドリア・イヴ」という愛称が与えられます。
| そして当然の如く、これ以前に世界中に展開していた原人や旧人は現生人類と関係ないということに。
| この分子生物学という今までにない分野からの発見に、化石研究者は猛反発します。
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    | そりゃ化石研究者に取ってみれば、畑違いの分野が常識を覆してきたんだからな……
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         | この新しい理論は「アフリカ単一起源説」と言われるようになった。
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| しかし化石分野の方からも、「アフリカ単一起源説」を裏付ける証拠が出てきました。
| 
ジャワ原人の頭骨が新たに発掘され、色々と比較してみたんですが……
| その結果、現生人類と異なる方向に進化していったことが判明したんですよ。
| 結果的にジャワ原人と現生人類の断絶は決定的、その他の原人や旧人も同様であることが推察されます。
| 他にもいくつか発見があり、「アフリカ単一起源説」はほぼ間違いないということで現在は落着していきました。
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    | もう、ほとんど確定したも同然なのか……
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         | 「アフリカ単一起源説」が、現在の学会では主流になっている。
         | 異論を唱える人もいるにはいるが、かなりの少数になってしまったな。
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   ※この部分の記述は、学会でも色々と異論が噴出しています。現在勉強中。


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| では、そんな初期の現生人類の特徴を詳しく見てみましょう。
| 南アフリカで発見された7万5千年前のブロンバス洞窟からは、何かが記された土片が発見されています。
| 模様みたいなものですが、明らかに人為的なもの。何の意味もなかったとは思えません。
| 同じ場所からは貝殻を用いたアクセサリーも発見されており、この穴に糸を通してネックレスにしていたようです。
| 何か明確な価値観があったことが伺え、創作起源ともされていますね。
| これは今までの人類には見られない、画期的な発展と言えるでしょう。
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    | なんか造ってたんだな。
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         | 当然ながら、当時の慣習において明確な意味があったものだろう。
         | 今となっては、それが何だったのか分からないが……
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| 言語に関してですが、これはなかなか難しい問題ですね。
| 同種へのコミュニケーションそのものは、人類に限らず多くの動物に存在します。
| そして人類が狩りをやり始めると、仲間への合図などでコミュニケーションツールは複雑化したでしょう。
| それを声という形で伝達するようになったのはいつ頃か――これ、何をもって言語とみなすかが難しいんです。
| 鳴き声で同種にメッセージを伝えているのは、人間だけに限った話ではないですからね。
| 言語とはやはり異なるものでしょうが、どこで線引きをするかというのは難しい問題です。
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    | これも定義の問題か……
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         | まあ、そういうことだな。
         | なおネアンデルタール人辺りから、原始的ながら発声は可能になっていた。
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| そして現生人類の一部はいとこの原人達の後を追うように、アフリカを出ようとします。
| そんな勇気ある者達が北アフリカや中東付近に達した頃、気候や環境の変動が激化。
| 草原であったサハラは砂漠化し、もはや通れないほど過酷な環境になってしまいました。
| つまり北アフリカに渡った現生人類の一部は、もう南に引き返せなくなったわけです。
| さらに砂漠化は彼らのいる北アフリカにも進行し、ここに移動した者達は死に絶えてしまいました。
| つまり北へ向かってアフリカを出ようとした目論見は、無惨にも失敗に終わってしまったんです。
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    | ええっ!? 失敗したの!?
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         | 北アフリカには9万年〜11万年前にかけて現生人類が生存していたんだが……
         | その後の4万5千年間は、ぱったりと生存の形跡が途絶えてしまっている。
         | これは化石や石器などの遺物だけではなく、遺伝子解析でも裏付けられているんだ。
         | 原人達がこの地域を通過した時よりも、環境は遙かに過酷になっていた。
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| そしてもう一つ、世界中の人類学者を悩ませている新たな難問があります。
| オーストラリアに現生人類が着いた時期はかなり早く、おそらくヨーロッパ到着以前なんですよ。
| ヨーロッパ人とオーストラリア人の遺伝子はかなり似ており、そしてヨーロッパの方が後発なんです。
| 従来の考え方だとアフリカを出た現生人類は北上し、ヨーロッパに向かったということですが――
| このオーストラリア先発論により、何が何だか分からなくなってしまいました。
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    | なんで、オーストラリアの方が先に着いたって分かったんだ?
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         | ミトコンドリアDNAを分析して、全世界の母系遺伝子を系樹化した……
         | 説明が面倒なので、詳しくは省略。
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| さらなる詳細な遺伝子解析の結果、こういう面白い仮説があります。
| 現生人類は紅海を渡り、サハラ砂漠を通らないルートでアラビア半島に到達。
| つまり北ではなく、東側に進んだということになりますね。
| アフリカ脱出に成功したのは、この1回のみ――これが、約8万5千年前のことだと思われます。
| そのままインドを経て、当時は陸地であるインドネシアを進み、ちょっとだけ海を越えてオーストラリアに到着。
| 5万年〜4万年前には、アジアの方からヨーロッパへも北上――といった具合になるようです。
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    | そんな時代の人類に、海が渡れたのか?
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         | 海岸で採集生活をしていた者達は、イカダ程度の舟なら造れただろう。
         | 少なくとも、紅海では12万年前に海岸採取をしていた痕跡が見つかっている。
         | そして紅海の海峡は、氷期の間に干上がりそうになった事が何度かあるんだ。
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| こうして現生人類は、ヨーロッパにまで進出したんですが……
| この時期、
ネアンデルタール人(滅びたのは3万年前とされる)が先住民としてまだ存在していました。
| ネアンデルタール人クロマニョン人は、顔を合わせていたんです。
| お互い「うおっ! 変なヤツがいる!!」とでも思ったのでしょうか、その際の反応は謎。
| そして両者はどうなったかも学者によって諸説あり、共存説や混血説などがあります。
| 中には、クロマニョン人ネアンデルタール人を滅ぼしてしまったという派手な説もありますね。
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 ・クロマニョン人
  ヨーロッパで発見されたホモ・サピエンスの一種。
  正式な種名ではなく、「ヨーロッパに渡ったかつての現生人類」程度の用語。
  クロマニ『ヨ』ン人ではなく、クロマニ『ョ』ン人であることに注意。
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    | そりゃ、お互いビックリしただろうな。
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         | 異文化交流か。
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| まず共存説ですが、ネアンデルタール人の石器とクロマニョン人の石器が近接した場所で見付かっています。
| この際のネアンデルタール人の石器は非常に洗練されたもので、クロマニョン人のものに酷似。
| それまでのネアンデルタール人の石器製作技術は停滞しており、かなり長い期間において発展はありません。
| それがいきなり、先進的な石器になっていました――つまり、クロマニョン人に教わった可能性が高いです。
| 教わったといっても、ネアンデルタール人は言語をほとんど話せなかったとされています。
| ボディーランゲージを用いたのか、いったいどんな交流が行われたのか……想像は膨らむばかりです。
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    | 謎は膨らむばかりか。
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         | 化石に残らないからな、そんなことは。
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| 次に混血説――これは共存説の延長ですが、遺伝学的見地によればその可能性は極めて低いようです。
| 現生人類に、ネアンデルタール人の遺伝的特徴は全く見られません。
| つまり、ネアンデルタール人クロマニョン人の混血はなかったということですね。
| これも断言は難しいところなんですが、まあ混血はなかったと思ってもらって構いません。
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    | ネアンデルタール人の遺伝子は、残らなかったってわけか。
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         | つまり、彼らは滅びてしまったんだ。
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| クロマニョン人ネアンデルタール人を滅ぼしたという説ですが、これも支持されていません。
| 両人類が血で血を洗う争いを繰り広げ、ネアンデルタール人は滅ぼし尽くされた――
| そういう直接的な滅亡劇は、まず間違いなく起きていないとみなされていますね。
| 当時は財産や領土が存在しない以上、そもそも争う理由などありません。
| 個々での突発的な争いはあったかもしれませんが、一方を絶滅に追い込むほどの種族間闘争はなかった――
| 現在の学会では、そういう直接的に滅亡へと追い込んだ事実はないという見方が主流です。
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    | 間接的には、あり得たかもしれないということか?
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         | クロマニョン人は、ネアンデルタール人とは比較にならない智恵をもって食料を採取。
         | それは非常に効率的に行われ、結果的にネアンデルタール人を圧迫する結果となった――
         | そういうことなら、あったのかもしれないな。
         | ともかく、3万年〜2万5千年にネアンデルタール人は絶滅してしまったのは事実だ。
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| またクロマニョン人は、数々の芸術的足跡を残しています。彫像や壁画、さらに楽器まで――
| まず彫像ですが、最古のものはドイツ南西部の洞窟で見付かった約3万年〜3万5千年前のもの。
| マンモスの牙を用い、鳥や馬の頭、人間の体にライオンの頭を持つ生物などが彫られていますね。
| これらは何のために彫られたのかは、やはり良く分かっていません。
| 宗教的儀式とか、芸術心の発露とか、そういう感じであることは予想されますが。
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    | やはり、考え方までは化石や遺跡に残らないからな……
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         | 類推するしかない、ってことだ。
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| 最古の壁画はフランスのショーベ洞窟で発見されたもので、約3万年前の遺物。
| 260もの数の動物が描かれており、非常に賑やかなものです。
| 約1万5千年前のものとなると、アルタミラ洞窟(スペイン)やラスコー洞窟(フランス)の壁画が有名ですね。
| いずれも動物が描かれているというのは、注目するポイントかもしれません。
| そして楽器ですが、ドイツ南西部の洞窟にて3万7千年〜3万年前のフルートが発見されています。
| 象牙を彫ったもので、レプリカを造ってみたところ非常に美しい音がしたとか。
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 ・ショーベ洞窟の壁画
 

 ・アルタミラ洞窟の壁画
 

 ・ラスコー洞窟の壁画
 

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    | そんな昔から、いろいろやってたんだなぁ。
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         | オーストラリアにも、同様に壁画が残されている。
         | これらの壁画は危険を伴うほど深いところに描かれていることも多く、
         | 彼らにとってはただの落書きではないと推察されるが――謎!
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| さて、こんな風に現生人類(クロマニョン人)は4万年前にヨーロッパに到達、先住民にも遭遇しています。
| しかし7万年前に東アジア入りした現生人類が、北京原人に出会ったかどうかは定かではありません。
| まだ彼らは生存していたのか、すでに現生人類が来た時には滅びていたのか――
| 同時期に存在したことを示す化石がないので、それも謎のままです。
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    | 北京原人と現生人類は、顔を合わせていたのか……
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         | 今後の研究が待たれるが……新たな北京原人が発掘されない限り厳しいだろうな。
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| ジャワ原人に関しては――これ、非常に興味深い事例があるんですよ。
| 2004年にインドネシアのフローレンス島で、とても奇妙な人類の化石が見付かりました。
| 身長は1メートルほどで体重は20キロ程度、幼児なみ。子供のものと思いきや、成人女性と判明。
| 同様の化石は6人分ほど発見されているので個体の病気でもなく、そういう体格の種だったんです。
| この小型人類の化石は、ジャワ原人の子孫――そして、1万8千年前のものと分かりました。
| つまりフローレンス島という孤島にて、ジャワ原人は独自独特の進化を遂げていたんです。
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    | 1万8千年前っていったら、すでにインドネシアにも現生人類は到達してるはずだな。
    | すると当然ながら、顔を合わせていたのかって疑問が出てくるな。
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         | 体格が小さいのに従い、脳も小さいんだが――
         | この小型人類は石器や脳の発達を見る限り、知性はそう劣っていなかったようだ。
         | 「脳が大きくなり、人類は賢くなった」という常識にも、例外があることが分かったんだよ。
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| この小型人類は、1万2千年前に島で起きた火山噴火で絶滅してしまったというのが有力です。
| 1万2千年前といったら、人類全体の歴史で見れば驚くほど最近のことですね。
| しかし、本当に彼らはそれで一人残らず滅びてしまったのでしょうか。
| 驚くべき事に、この地域の住民の間では「森の中に小さな人間が住んでいる」という言い伝えがあるんです。
| 現生人類は、かつて小型人類と遭遇していたのか――想像は膨らむばかりです。
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    | オラ、ワクワクしてきたぞ!
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         | しかし、詳しいことは分からない……
         | この小型人類発見が僅か3年前(2007年現在)のことなんで、まだ研究の余地はたっぷりある。
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| また、アメリカには1万4千年あたりに到達しています。
| 当時はベーリング海が陸続きで、極東アジアからアメリカ大陸まで徒歩で行けたんですね。
| アメリカには4万年前の足跡や5万年前の石器があり、その時期には現生人類がいたとする説もありますが……
| 年代測定や信憑性に疑問も多く、定説を覆すには至っていません。
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    | これ、後のインディアンだよな。
    | アジアを通ってきたってことは、アジア人と近縁になるのか?
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         | その通り。インディアンは、人種的にはモンゴロイドに近いんだ。
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| で、日本に人類が渡来してきたのはいったいどの時期なのか?という話です。
| それはなんと、約70万年前。現生人類が誕生する前であり、実は北京原人よりも古い――
| ――ってのが学会の定説だったんですが、2000年に発覚した旧石器捏造事件により完全崩壊。
| 日本に残る最古の人類化石は、5万年前のものと一気に後退してしまいました。
| あの捏造事件は幾つかの遺跡がニセモノだったとか、そういう次元ではありません。
| 最古の記録が70万年前から5万年前になったように、日本の考古学史を根本から揺るがせたんです。
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    | くやしいのう、くやしいのう……
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         | シンイチ、ばかたれ、ばかたれ……
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| こうして、世界各地に散らばったホモ・サピエンス
| 彼らはそれぞれの地で独自に代を重ね、その地の気候や地理条件の環境・文化的影響を受けていきました。
| そして、徐々にその地域特有の特徴が見られるようになっていきます。
| 皮膚の色、髪の色、瞳の色、体格、顔付き――そういう差による分類を、ここでは人種と呼んでおきますね。
| 「人種」って言葉は実際のところ、「民族」という言葉と同じく非常に曖昧。
| その曖昧さを利用して、これらの言葉を政治的に用いる例も散見されます。
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    | これも、あんまりしっかりとした言葉じゃないんだな。
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         | 日本では、これらの用語が曖昧さを孕んでいる事自体が理解されていない。
         | また、人種や民族、語族などの概念がグチャグチャ。
         | ユダヤ人とか、アメリカ人とか、アーリア人とか、アフリカ人とかが概念として並立している有様。
         | 詳しくは、今後の講義で個々の事例を見ていくが。
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| さて、この時期における人類の戦争に関してですが――この分野の研究は、驚くほどに軽視されてきました。
| 原始時代の社会や宗教には幾多の研究があるんですが、戦争に関しては研究が遅れています。
| 何より証拠が少なく、戦争があったかどうか判別できる遺物は致命的に少ないんですね。
| そんな中にも、原始の争いを示す証拠とされるものはいちおう存在します。
| それがアウストラロピテクスの頭骨で、顎の部分が正確に狙い澄ましたかのごとく破壊されていました。
| 骨製の棍棒で殴られたのではないか、という可能性が高いようですね。
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    | それでも、組織的な戦争なのか、個人的な争いなのかは分からないよな。
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         | また、腰骨に槍で突かれた傷を持つネアンデルタール人の化石も見つかっている。
         | どういう背景で争われたのかは分からないから、なんとも言いようがないが。
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| 少なくとも、原人の時代になると狩猟用の武器は存在していました。
| それを同種に向けた、という事象を示す化石も見つかっています。
| しかし、それがどのような経緯で起きたのかが分からないんですよ。
| クロマニョン人の時代になると、彼らは洞窟に様々な壁画を残していますが――
| それはどこか牧歌的なものが多く、実に平和な暮らしが伺えます。
| まあ壁画に描いてないからといって、戦争がなかったとは断言などできませんが。
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 ・狩りで返り討ちに遭う人間(ラスコー洞窟壁画)
 
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    | うおっ! 動物に頭突きされてる!
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         | 狩りの風景のようなものも描かれているが、かなり興味深い絵がある。
         | 板書を見て分かる通り、狩りにおいて動物に逆襲されたと思われる人間の姿もあるんだ。
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| さらに時代が下って約1万年前あたりになると、弓矢の出現が確実視されています。
| それは、壁画にも弓矢を用いた狩りの様子が描かれているからなんですが――
| こういう狩りの隊形から、戦争における戦術が発展していたのではないかとされていますね。
| 板書した洞窟画の先頭には、頭飾りを付けて差別化されている統率者がいるのにも注目です。
| これらの隊形は、いつでも戦争に応用できるものであったことは想像に難くありません。
| 結局のところ、まだまだ確かなことは言えないんですがね。
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    | 分からないことばかりだな。
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         | 「そもそも人間は攻撃的生物なのか平和的生物なのか」というのは、常に話題の総論となる。
         | 戦争というのは生物的必然なのか、社会性を獲得した代償としての産物なのか――
         | それらの論争は数多いが、結局のところ哲学の域を出た試しはない。
         | 証拠物が少なすぎて、社会科学的な考証は不可能に近いしな。
         | 論証されないこの種の議論は無益なので、ここでは紹介しないでおく。
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| さて、こんな風に現生人類は世界中に広がり、高度な社会性を獲得していきました。
| そして約1万年前より、原始の産業革命――農耕が始まります。
| クソ面白くなさそうなテーマですが、次回はこれをなるべく楽しく講義していきましょう。
| 次の講義でも私だけを見ていて下さい、しぃ助教授でした。
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    | 人類の700万年のうち、699万年の講義を終えたわけか。
    | 残り1万年なんて、あっという間だな。
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         | そんなわけないだろ。
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農耕と牧畜の開始へ


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