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| いよいよ、第一次世界大戦に入っていきましょう。
| 当時のヨーロッパ5強は、イギリス・フランス・ドイツ・ロシア・オーストリア。
| この5大国が、芋蔓式に第一次世界大戦に引きずり込まれる事となりますね。
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・第一次世界大戦(1914年〜1918年)
サラエボ事件をきっかけに始まった、ヨーロッパの大国を巻き込む大戦争。
第二次大戦前は『the great war』と呼ばれ、現在でも外国ではたまに呼ばれる。
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| 意外にも、オーストリアも5大国に入ってたモナね。
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| 第一次世界大戦の敗北で落ちぶれちまうんだよ。
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| サラエボ事件により、暗殺されたフェルディナント大公…
| オーストリアは彼の死を、政治的に利用します。
| 1914年7月28日に、オーストリアはセルビアに宣戦布告。ここに第一次世界大戦が勃発します。
| オーストリアは、セルビア相手に帝国の力を見せ付けるつもりでいました。
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同盟国であるドイツのヴィルヘルム2世は、オーストリアが強硬策を取るよう助言。
「何かあれば、ドイツが面倒を見る」とまで言い放つ。
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| セルビア相手に帝国の力って… 他国の参戦は考えなかったモナか?
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| 実は、オーストリアの宣戦布告は深い考えがあってのもんじゃなかった。
| 外相のベルヒトルトは、ロシアやドイツの参戦なんて無いと思ってたんだ。
| こんな小人物のこんな稚拙な判断で、第一次世界大戦は拡大していったんだよ。
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| ロシアのニコライ2世は、こう語りました。
| 「サラエボ事件が拡大する事はないよ。ヴィルヘルム2世はああ見えて慎重だ」。
| そして、7月31日にロシアは総動員令を出します。
| 同時に、ドイツのヴィルヘルム2世には「絶対にドイツには攻撃しないよん」という手紙を出していますね。
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| そ、そんなんでいいモナか…?
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| 良い訳ないだろ。
| 余談だが、ニコライ2世とヴィルヘルム2世はいとこ同士だ。
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| しかし、ドイツはロシアに対して8月1日に躊躇無く宣戦布告します。
| こうして、サラエボ事件から始まった一連の騒動はとんでもないところまで行ってしまいました。
| こんな状況、誰もが想像していませんでしたね。
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| 全然、慎重じゃね――!!
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| まあ、ドイツだしな。
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| ロシアを敵に回す気なんて全く無かったオーストリアですが…
| いきなり暴れ出したドイツに引きずられ、8月6日にロシアに対し宣戦布告。
| なお、以降はイギリス・フランス・ロシア側を連合軍、ドイツ・オーストリア側を同盟軍と呼称します。
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| オーストリアも、とんだ災難… いや、まあ自業自得だけど。
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| 開戦までの経緯は余りにも緊迫感が無くマヌケなのに、
| それが引き起こした結果は人類史上でそれまで例が無いほど悲惨なものだった。
| 大戦争になると誰もが思ってなかったのが、第一次世界大戦の特徴だな。
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| ドイツでは、あの『シュリーフェン・プラン』が発動してしまったんですよ。
| これは以前に解説した通り、フランスとロシアの二面同時制圧戦略。
| ロシアは国土が広大な為、総動員令が発令されてから戦線到着までに間があります。
| そのタイムラグを利用し、中立国ベルギーを通ってフランスを撃破。
| その後に、ようやく戦線に到着したロシアと戦うプランです。
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シュリーフェン・プランの内容は、ロシアやフランスに漏洩していた。
にもかかわらず、大国は状況を楽観視。
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| 問題点は色々モナね。
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| このシュリーフェン・プランの重要点は、ロシアの動員の遅さを利用する点だ。
| それでも、ロシアが総動員令を発すれば、すぐにこちらも対応しないと間に合わない…
| こちらの行動の遅れは致命的だと、ドイツは思い込んでいた。
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| そういう訳でロシアの総動員令に対し、ドイツは早急に対応します。
| サラエボ事件とはあんまり関係ないのに、唐突に槍玉に挙げられるフランス。
| 8月3日には、ドイツ軍はフランスへの通り道としてベルギーに侵入します。
| この時のドイツの参謀総長は、小モルトケ。あの軍事的天才モルトケの甥でした。
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8月4日、中立国であるベルギーに軍を進めたドイツに対し、イギリスが宣戦布告。
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| モルトケの甥… 優秀だったモナか?
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| これから先の講義を受ければ、自ずと分かる事だ。
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| そもそも、この戦争でシュリーフェン・プランを実行する必要なんてこれっぽっちもありませんでした。
| なんで実行されたかというと、「戦争が起きればシュリーフェン・プランを実行する」とあらかじめ決まっていたから。
| 状況を考えずに、あらかじめ決まっていたからというだけの理由で実行する、極めて官僚的な考え方です。
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フランスとロシアは同盟を結んでいたものの、
ドイツVSロシア戦に参戦してくる可能性は低いとみられていた。
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| そう決まってたから… ヒドい話モナね。
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| まさに官僚思考。目的と手段がごっちゃになっちまった。
| 周囲の状況なんて考えずに、計画立案時とは状況が違っている事なんてお構い無しに、
| シュリーフェン・プランは発動されてしまったんだ。
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| この時、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世は小モルトケを呼び出しています。
| そして、「フランスはあんまり関係ないんだし、攻めるのやめねぇ?」と言っていますね。
| これに対し、小モルトケは「そんな事をすれば全作戦の実施は不可能になるのですよ」と猛反論。
| ヴィルヘルム2世のマトモな突っ込みは、小モルトケの訳の分からない理屈により粉砕されてしまいました。
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| 皇帝が(比較的)常識的で、軍指導者や政治家が暴走するという珍しいパターンモナね。
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| 後に小モルトケは回顧録で、「暗愚な君主の思いつきの提案を、正当な論理で諭してやった」
| などと意味の分からない事を書き残している。
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| さらにシュリーフェン・プランは、動員と戦争開始がイコールなんですよ。
| つまり、戦争準備と戦争開始がセットだったんです。
| シュリーフェン・プランが発動されてしまえば、もう戦争まで一直線。
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ドイツの『シュリーフェン・プラン』に対して、フランスには『プラン17』という戦争計画が存在した。
その詳細は後の講義で。
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| ギリギリでの外交上の歩み寄りが、一切出来ないモナね。
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| さらにドイツは、シュリーフェン・プラン以外の戦略を用意してなかった。
| 各国外交の失敗に続く失敗で舞台は整っていき、
| シュリーフェン・プランの発動が、第一次世界大戦のスイッチを押したんだよ。
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| 第二次大戦に向かう兵士達の表情は悲壮なものでしたが…
| 第一次大戦に向かう兵士達の表情はみな明るいものでした。
| 彼等は老人達の武勇伝を聞いて戦争に憧れ、まだ見ぬ戦場に期待感を募らせ、
| 「クリスマスには帰ってくるさ」… そう言って、戦場に向かいました。
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| 彼等を待ち受けているのは、人類史上最悪の修羅場だったと…
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| 第一次世界大戦の陸戦の悲惨さは、第二次世界大戦と同規模かそれ以上だ。
| 地獄なんて言葉すら生ぬるい。
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| ちなみに… この時期に、一番戦争経験が豊富だった軍は日本軍です。
| 日清・日露という近代戦争を短期間に2つも味わっていますからね。
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| それに比べ、ヨーロッパでは長い平和が続いていたモナね。
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| 普仏戦争に従軍した者も、ほとんど老人だけだった。
| 彼等が知っているのは近代戦じゃなく、牧歌的な戦争風景だしな。
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| さて、こうして第一次世界戦が始まります。フランス国境を目指してベルギーに侵入したドイツ軍。
| 彼等が最初に相対した相手は、フランス軍ではなくベルギー軍でした。
| ドイツはベルギーに対して「進軍するだけで、領内に攻撃は加えない」という書簡を送っていたんですが…
| そんなもん、マトモな主権国家が「ならばよし!」と了承するワケがありません。
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ベルギー国王アルベール1世は「ベルギーは道路ではない。国だ!」とドイツを一喝。
ベルギー国内は一丸となって、ドイツ相手に徹底抗戦を決意。
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| ウホッ! アルベール1世、素敵…!
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| 戦後、フランス大統領クレマンソーはこう語った。
| 「まさかドイツはベルギーに侵攻したとは思わなかっただろう」。
| この言葉が、当時のドイツの病理を良く表してるな。
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| そういう訳で、ベルギーはリエージュ要塞でドイツ軍の進撃を遮ります。
| そもそも小モルトケは、ベルギーが抵抗するとは思っていませんでした。
| これにより、ドイツがフランス国境に達するのが遅れる結果となります。
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・リエージュ攻城戦(1914年8月5日〜8月16日)
リエージュ要塞で行われた、ドイツ軍とベルギー軍の戦い。
ドイツ軍の数度に渡る突撃は要塞からの機関銃で防がれ、死体の山を築いた。
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| 機関銃が備わった要塞に歩兵突撃って、日露戦争の時にヤバいって実証されたんじゃあ…
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| あの時も講義で言ったが… 日露戦争での観戦武官の報告は、ほとんど信じられてなかった。
| 正しいにしても、局地的なものだと思ったんだよ。
| だから、こんな無駄な事をヨーロッパにおいて繰り返す羽目になったんだ。
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| 仕方なく、ドイツ軍が持ち出した攻城兵器は42cm臼砲。
| 日露戦争で日本軍が旅順攻略戦で用いた28cm臼砲を参考に、あらかじめ用意していたものでした。
| つーか日露戦争の戦訓を参考にするなら、機関銃が備わった要塞への突撃は何だったんだって話ですが…
| 秘密兵器の活躍でリエージュは墜ち、ベルギー軍は撤退しました。
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埒があかなくなったドイツ軍は、『こんな時の為に』用意していた攻城兵器42cm臼砲を使用。
陣地は次々に陥落、ベルギー軍は撤退する。
最初に市内に突入したのは参謀ルーデンドルフで、彼はリエージュ攻城戦の英雄として名を挙げる。
なお、ベルギー軍はここでは撤退したものの、第一次世界大戦終結まで抵抗を続ける。
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| 参謀ルーデンドルフ…?
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| こいつは、第一次世界大戦における主役級人物の1人。
| この時は一介の参謀に過ぎないが、最終的にはドイツを独裁してしまうんだ。
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| このルーデンドルフは戦術面では凄まじい冴えを見せますが、戦略・政治面では小学生以下。
| 作戦本位の思考も徹底していて、ドイツ参謀本部の美学を体現し過ぎ。
| いつ、『諸君、私は戦争が好きだ』と演説始めるかと思うと心配で心配で…
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| つ ∇ (´∀` ) (゚Д゚,,)
| |┌─┐ /⊂ ヽ /⊂ ヽ
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∪∪ | | || ━┳┛ || ━┳┛
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| ルーデンドルフ…
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| 実際は単なる戦争好きとは明らかに性質が違ったが…
| ルーデンドルフの思考は、余りにも戦争第一なんだ。
| まさに、『政治は戦争を遂行する為の道具』と思ってたフシがある。
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| こうしてベルギーを破ったドイツ軍は、いよいよフランス軍と激突する事になりますが…
| 今までシュリーフェン・プランを、ベルギーを通ってフランスをシバくと説明していましたね。
| どうやってフランスをシバくのかも決まっていました。2分で作った地図を見てください。
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海 , -'" "ヽオランダ, -'"
, -'" ̄"ヽ ベルギー ヽ/ ̄
 ̄ ̄ "ヽ | ロシアは遥かあっち →
ヽ、 | (東部戦線)
(西部戦線) `ー、
l ドイツ
フランス ヽ
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| つ ∇ (´∀` ) (゚Д゚,,)
| |┌─┐ /⊂ ヽ /⊂ ヽ
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| なんか変だぞ、この地図… ベルギーがやけにカワイイ形してるし、消えてなくなってる国もあるし…
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| 多少のズレは勘弁な。あと、オランダとスイスは今回は無関係だ。
| ドイツ、フランス、ベルギーの位置関係だけ頭に入れてくれ。
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| まずドイツ軍兵力を分散させ、7/8は西部戦線に、1/8は東部戦線に向かわせます。
| 国土の広大さ故にロシアの移動は遅い(という事になっている)ので、
| 1/8が頑張っているうちに、西部戦線の決着を着けてしまいましょうという計画でした。
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海 , -'" "ヽオランダ, -'"
, -'" ̄"ヽ ベルギー ヽ/ ̄
 ̄ ̄ "ヽ | ロシアは遥かあっち →
ヽ、 | (東部戦線)
(西部戦線) `ー、
l ドイツ
フランス ヽ
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| つ ∇ (´∀` ) (゚Д゚,,)
| |┌─┐ /⊂ ヽ /⊂ ヽ
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| その説明は、何度か聞いたモナね。
\____ ∧
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| フランスやイギリス、後から参戦したアメリカとの戦いが西部戦線で、
| ロシアとの戦いが東部戦線… つまり、挟み撃ちのカタチになるな。
| 第二次世界大戦でも、この基本的なカタチはおんなじ。
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| で、ドイツの侵攻ルートはだいたいこう。
| 本当は7軍に分かれてるんですが、全ルートを正確には書けないので…
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海 , -'" "ヽオランダ, -'"
, -'" ̄"ヽ ベルギー ヽ/ ̄
 ̄ ̄ "× ̄ ̄ ̄| ̄
/ × ̄ ̄| ̄
1〜3軍 / `ー、 ドイツ
↓ ↓ ←┼─ 4・5軍
フランス × ̄
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6・7軍 ̄ /__
,__ / スイス
B■∧ /
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| つ ∇ (´∀` ) (゚Д゚,,)
| |┌─┐ /⊂ ヽ /⊂ ヽ
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∪∪ | | || ━┳┛ || ━┳┛
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| うわッ! 国境線と混じって分かりにくッ!!
\____ ∧
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 1〜3軍が、ベルギーを突き抜けてフランスへ侵功。
| 4〜7軍がドイツ-フランス国境から侵攻。
| ベルギー軍と戦ってたのは、ドイツ第2軍だな。
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 結局、片翼方位を狙ったものですね。
| 1〜4軍は一番左端の大きな矢印の向きに沿って、囲い込むように進軍します。
| その間に6・7軍がフランス軍に押されてロレーヌ・アルザス地方に侵攻されるでしょうが、むしろそれでOK。
| 1〜4軍に追いかけられたフランス軍もロレーヌ・アルザス地方に集まり、ドイツ軍による包囲完成。
| 速攻でフランス軍を全滅させ、あとは東から向かってくるロシアと全面対決!!
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海 , -'" "ヽオランダ, -'"
, -'" ̄"ヽ ベルギー ヽ/ ̄
 ̄ ̄ "× ̄ ̄ ̄| ̄
/ / × ̄ ̄| ̄ ドイツ
| 1〜3軍 / `ー、
| ↓ ↓ ←┼─ 4・5軍
| × ̄
\| |/ | ロレーヌ地方
 ̄ 6・7軍  ̄ / アルザス地方
ドイツ軍の侵攻方向 / ̄ ̄
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| つ ∇ (´∀` ) (゚Д゚,,)
| |┌─┐ /⊂ ヽ /⊂ ヽ
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| なるほど。そういう計画モナか。
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| そういう計画だったんだ。
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| このドイツのシュリーフェン・プランに対し、フランスでは『プラン17』という戦争計画がありました。
| 3週間で300万人を大動員し、そのうちの40万をロレーヌ・アルザス地方に突っ込ませます。
| 一番モメそうな地域を、広範囲波状攻撃で奪い取ってしまおうということですね。
| そしてロレーヌ・アルザス地方を占領し、そのままベルリンへ向かってカイザーと握手という計画です。
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海 , -'" "ヽオランダ, -'"
, -'" ̄"ヽ ベルギー ヽ/ ̄
 ̄ ̄ "ヽ |
ヽ、 |
`ー、
l ドイツ
フランス ヽ
→ |
20個師団→ / ローレヌ地方
→ / アルザス地方
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| なんか、やけにシンプルモナね…
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| つーか、普通はこんなもん。シュリーフェン・プランが派手すぎるんだ。
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| そして、この『シュリーフェン・プラン』と『プラン17』が緒戦において真っ向からブツかります。
| それが、いわゆるフロンティアの戦いですね。
| 一連の戦闘が徐々に東から西へ移動していった為、『フロンティア』の戦いと呼ばれてます。
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・フロンティアの戦い
ロレーヌの戦い、アルデンヌの戦い、シャルルロアの戦い、モンスの戦いの総称。
基本的には、ドイツ軍が徐々にフランス軍を追い詰めていったと見てよい。
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| |┌─┐ /⊂ ヽ /⊂ ヽ
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| ドイツ、フランスを追い詰めていったモナか。
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| ドイツは、いつも最初は調子良いんだけどな…
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| 両者の戦争計画による侵攻ルートを組み合わせると、こう。
| ゴチャゴチャするんで文字を消してしまいましたが、ロレーヌ・アルザス地方で激突する事になりますね。
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海 , -'" "ヽオランダ, -'"
, -'" ̄"ヽ ベルギー ヽ/ ̄
 ̄ ̄ "× ̄ ̄ ̄| ̄
/ × ̄ ̄| ̄
ドイツ1〜3軍 / `ー、
↓ ↓ |
ヽ
→ | ←
フランス20個師団→ / ←ドイツ6・7軍
→ / ←
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B■∧ /
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| つ ∇ (´∀` ) (゚Д゚,,)
| |┌─┐ /⊂ ヽ /⊂ ヽ
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∪∪ | | || ━┳┛ || ━┳┛
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| なるほど。
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| フランスは、シュリーフェン・プランを知ってたはずなんだが…
| いろいろ失敗して、ドイツに押される結果になるんだよ。
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| そういう訳で、フランス軍はロレーヌ・アルザス地方に攻勢をかけたんですが…
| この時のフランス側の司令官はフォッシュ。こいつは突撃こそ命のジィサンでした。
| その結果、フランス軍は見事に敗北します。この地域には、ドイツの要塞線が広がっていたんですよ。
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ドイツ1〜3軍 / `ー、
↓ ↓ | ・ロレーヌの戦い(1914年8月14日〜8月20日)
ヽ ロレーヌ地方における、フランス第1軍・第2軍とドイツ第6軍・第7軍の激突。
→ | ← フランス軍は突撃を掛けたが機関銃の前に倒れ、敗北を喫した。
フランス1・2軍→ / ←ドイツ
→ / ←6・7軍
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| ドイツは、有利な場所で戦ったモナね。
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| そうなるように、小モルトケが仕組んだんだけどな。
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| フランス軍第20軍団長フェルディナン・フォッシュ…
| 後に連合国最高司令官となる彼は、名将には違いありません。
| ですが、『攻撃精神が勝利を決定付ける』ってのが信条の人でした。
| そして、突撃突撃突撃突撃突撃突撃突撃突撃突撃突撃突撃突撃突撃突撃…
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| 本当に名将モナか?
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| 最終的に連合軍がドイツに打ち勝ったのも、彼の働きによるところが大きい。
| それでいて、鋭い観察眼も備えている。
| ベルサイユ条約締結時には「これは平和ではない。20年間の休戦協定にすぎない」と言った。
| そしてバッチリ20年後、第二次世界大戦が勃発するんだ。
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| ドイツのシュリーフェン・プランがフランスのプラン17より優秀だった事が、この戦勝で証明されます。
| …とは言えシュリーフェン・プランの本来の流れからいくと、ここで勝っちゃうとマズいんですけどね。
| 最終的な包囲が成り立たなくなりますから。
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| シュリーフェン・プランって、ダメダメな戦争計画じゃなかったモナか?
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| 作戦単位で見ると、シュリーフェン・プランは極めて優れてたんだよ。
| ただ、いくつかの大きな要素で見落としがあっただけ…
| そしてその大きな見落としが、致命的にダメすぎたんだ。
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| そういう訳で、ロレーヌの戦いに敗北したフランス。
| そんな8月18日に、フランス軍参謀総長ジョッフルは『13号命令』を発令します。
| これは、フランス第3軍と第4軍が、手薄と思われるアルデンヌの森を突破するというものでした。
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海 , -'" "ヽオランダ, -'"
, -'" ̄"ヽ ベルギー ヽ/ ̄
 ̄ ̄ "× ̄ ̄ ̄| ̄
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ドイツ1〜3軍 / `ー、
(右翼) ↓ ↓ フランス→l← ココ(アルデンヌの森)
第3・4軍ヽ
→ | ←
フランス1・2軍→ / ←ドイツ6・7軍
→ / ←(左翼)
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| つ ∇ (´∀` ) (゚Д゚,,)
| |┌─┐ /⊂ ヽ /⊂ ヽ
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| うわっ、地図がゴチャゴチャしてきた…
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 戦力が薄いと思われる、ドイツ軍右翼と左翼の中央突破を試みたんだが…
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| しかし、小モルトケはその動きをあらかじめ読んでいました。
| あらかじめ配置していたドイツ第4軍と第5軍の兵力は、フランスの見積もりより遥かに多かったんです。
| こうして、フランスはまたしても散々に敗れました。
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ドイツ1〜3軍 / `ー、
(右翼) ↓ ↓ フランス→l← ドイツ ・アルデンヌの戦い(1914年8月21日〜8月23日)
第3・4軍ヽ4・5軍 『13号命令』により進撃するフランス第3軍・第4軍と、
→ | ← ドイツ第4軍・第5軍の戦い。
フランス1・2軍→ / ←ドイツ フランスの目論見と違いドイツ側の兵力はフランス側より多く、完敗。
→ / ←6・7軍 フランス第4軍の指揮官であるドラングルは、
/ ̄ ̄(左翼) 「奇襲をかけるつもりだったが、かけられたのは我々だった。」と語った。
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| ドイツ参謀本部はダテじゃない!!
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| 小モルトケだって、決してアホではなかった。むしろ優れた戦術家だ。
| 政治的な感覚が完全に終わってただけ。
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| さらにフランスはベルギーに救援の兵を差し向けたのですが…
| ドイツ軍の凄まじい勢いには勝てず、撤退を余儀なくされます。
| これが、シャルルロワの戦いですね。
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海 , -'" "ヽオランダ, -'"
, -'" ̄"ヽ ベルギー ヽ/ ̄ ・シャルルロワの戦い(1914年8月20日〜8月23日)
 ̄ ̄ "× ̄ ̄ ̄| ̄ ベルギー救援に向かったフランス第5軍と、ドイツ第2軍・第3軍の戦い。
/ × ̄ ̄| ̄ 激しいドイツ軍の猛攻の結果、フランス第5軍は敗退。
ドイツ1〜3軍 / `ー、
(右翼) ↓ ↓ フランス→l←ドイツ第4・5軍
1・2軍ヽ
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| ドイツが強いのか、フランスが弱いのか…
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| 決してフランスが弱いなんて事はないが、多勢に無勢だな。
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| そんな中、同盟軍であるイギリス遠征軍(BEF)がフランスのモンスに到着。
| イギリス軍はしばらくモンスで情報収集に努めていたのですが、そこにドイツ軍が来襲。
| 凄まじい戦いの結果、撤退したのはイギリス軍の方でした。
| しかしドイツ側のダメージも激しく、追撃どころではありませんでした。
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海 , -'" "ヽオランダ, -'"
, -'" ̄"ヽ ベルギー ヽ/ ̄ ・モンスの戦い(1914年8月23日〜8月24日)
 ̄ ̄ "× ̄ ̄ ̄| ̄ イギリス遠征軍とドイツ第1軍の戦い。
/ × ̄ ̄| ̄ ドイツ軍の猛攻によりイギリス側が撤退するが、ドイツも相応の損害を受けた。
ドイツ1〜3軍 / `ー、 このフロンティアの戦いで、ドイツ軍は破竹の勢いを見せた。
(右翼) ↓ ↓ フランス→l←ドイツ第4・5軍
1・2軍ヽ
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| イギリス軍までやられちゃったモナか…
\____ ∧
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そもそも、フランスはドイツ軍の総数を誤ってたんだ。
| ドイツ軍には第1師団と予備第1師団みたいな、名前は似てるけどまるで別の師団が一杯あった。
| それをフランスは、予備第1師団は第1師団の予備だと勘違いしたんだ。
| このミスが原因で、ドイツ軍の兵力を本来の6割ほどに見誤っていた。
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| さて、ここで視点を東部戦線に移しましょう。
| シュリーフェン・プランによって、ロシアとの国境がある東プロイセン地方に1/8の兵力を送るドイツ。
| しかし、ロシアは思いのほか早く突っ込んできました。
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8月17日、ロシアの第1軍は国境に到達。第2軍も2日後に後に続く。
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| 8月17日… 予想よりムチャクチャ早いんじゃ…
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| しかも、ロシア側の兵力はこの時点でもドイツ第8軍の2倍以上。
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| そこでドイツ第8軍は、突出してくるロシア第1軍を誘い込んで包囲する作戦を実行しようとします。
| ところが… ドイツ第8軍第1軍団司令官のフランソワ率いる軍団が唐突に敵に向かって突っ込みました。
| 彼の率いる軍団、そしてフランソワ自身も東プロイセンの出身で、愛郷心が爆発したんです。
| 当然、ドイツ側の作戦は台無しになりますね。
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| おいおい、独断専行かよ…
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| フランソワ… フランス人みたいな名前だが、熱い男だ。
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| しかし… このフランソワ軍団の攻撃は、完全にロシア側の不意を突いてしまいます。
| これにより、ロシア第1軍の一部は自国まで撤退してしまいました。
| それでも、ロシア軍の進撃は止まりません。結局、ドイツ第8軍は敗北してしまいました。
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・グンビネンの戦い(1914年8月17日〜8月19日)
ドイツ第8軍と、ロシア第1軍の戦い。
一部のドイツ軍人の奇襲が効果を示すも、最終的にはドイツ側が敗北する。
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| やっぱり、数には勝てないモナね…
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| ロシアの猛攻でドイツ第8軍がボロボロになる中、
| フランソワ軍団だけは敵を押し続けたんだけどな…
| 結局は他の味方がことごとく逃げたんで、仕方なく撤退したんだが。
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| 想定より早いロシア軍の到着と、第8軍の敗北…
| そこで小モルトケは、心強い助っ人を東プロイセンに送りました。
| その助っ人とは、リエージュ攻城戦の英雄であるルーデンドルフ。
| しかし彼はまだ階級が低く、第8軍の司令官にはなれなかったんです。
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| そんなの、特別扱いで司令官にすれば…
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| そんなフレキシブルな対応など出来ないのが、ドイツ軍人のドイツ軍人たる所以だ。
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| そこで、ヒンデンブルグという退役軍人をとりあえず第8軍司令官にして、
| ルーデンドルフは彼の補佐にするという形で落ち着きます。
| こうして、ヒンデンブルグ&ルーデンドルフのコンビが成立する事となりました。
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| わざわざコンビを強調するところを見ると、この2人がじきにドでかい事をやらかすモナか?
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| ドイツを乗っ取って、独裁状態にするんだよ。
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| 一方、ドイツのケーニヒスベルグに迫るロシア軍。
| しかし… ロシアの進撃は余りに早かったが故に、補給が追いつかない状態になっていました。
| さらに、ロシアは兵力を分散してしまったのです。そこへ、フランソワの独断専行がまたしても炸裂。
| それすら利用し、優れた手腕で包囲・殲滅するルーデンドルフ。
| ロシアはたまらず撤退、数の差にもかかわらずドイツが勝利を飾りました。
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・タンネンベルクの戦い(1914年8月17日〜9月2日)
ドイツの第8軍とロシアの第1軍と第2軍の戦い。
ドイツ側の巧みな包囲により、ロシアは大ダメージを受けつつ撤退。
絶望的状況から勝利を手にした司令官ヒンデンブルクと参謀長ルーデンドルフの名は、ドイツ中に轟いた。
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| フランソワ… またやっちゃったモナね。結果は良かったにしろ。
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| 独断専行はドイツ軍名物だからなぁ…
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| このタンネンベルクの戦いにおいて、航空機は大きな役割を果たしました。
| ロシア軍の移動を、ドイツの偵察機タウベが発見したのです。
| この情報は、ドイツ軍の勝利に大きく貢献しました。
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| 航空機の地位が、この一件によって向上したモナね。
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| また、ロシアの無線はほとんど暗号化されず、平文で行われてたってのもある。
| それにより、ロシア側の情報はダダ漏れだった。
| ドイツの参謀は「ロシア軍の作戦会議室にいるようなものだ」と言ったとか。
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| さて… 再び西部戦線に視点を戻しましょう。
| 緒戦でフランスをボコボコにしたドイツ軍の進撃は続き…
| 8月24日には、ドイツ第1〜3軍がとうとうフランス領内になだれこみました。
| それに対するは、シャルロワの戦いで敗れたフランス第5軍とモンスの戦いで敗れたイギリス遠征軍(BEF)。
| しかしイギリス・フランス両軍は奮戦するものの、明らかに情勢は不利でした。
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ドイツ1〜3軍 / `ー、
(右翼) ↓ ↓ l
↑ ↑ ヽ
フランス第5軍・BEF |
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| ドイツ軍の快進撃は続くモナね。
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| 上の地図、両軍が激突したのはもっと北なんだけどな。
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| 徐々にイギリス・フランス両軍を押しながら南下するドイツ右翼。
| しかしパリを目前にして、ドイツ第1軍司令官クルップは軍団を東にターンさせます。
| そうすると、パリ方向から見れば側面がガラ空きに。
| この隙を、パリ軍事総督ガリエニは見逃さしませんでした。彼は、フランス第6軍に側面攻撃を命じます。
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│ ,-'" ̄"
, +'" ̄" マルヌ川
'" ̄" \
\ ドイツ第1軍
_ \|
/| _  ̄ _
フランス /| |\ フランス第5軍
第6軍 BEF
・ パリ
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| なんで、ドイツ第1軍はパリ目前でターンしたモナか?
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| ドイツ軍右翼は、パリ陥落よりも敵軍撃滅が第1目的だったんだよ。
| だから、徐々に退いていたフランス第5軍に攻撃を仕掛けようとしたんだ。
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| こうして、フランス第5軍・第6軍・BEFと、包囲状態に陥ったドイツ第1軍との激突…
| 1914年9月5日、こうしてマルヌ会戦が始まりました。
| BEFの巧みな動きによって友軍からも切り離され、ドイツ第1軍は慌てて撤退。
| ドイツ第2軍・第3軍もフランスに押され、エーヌ川付近まで後退します。
| 以後、このラインでドイツ軍とフランス・イギリス軍は睨み合い、長い長い戦線膠着状態になりました。
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・マルヌ会戦(1914年9月5日〜9月12日)
パリを目前にターンした第1軍と、フランス・イギリス連合軍の戦い。
事実上のドイツ軍敗北であり、これをもってシュリーフェン・プランは破綻。
以後、両軍は4年もの間膠着状態に陥る。
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| 4年も戦線膠着したモナか…
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| この時、ガリエニはパリ中のタクシーを総動員して兵士を前線に送ったんだ。
| この戦いでは、老将軍ガリエニの判断が勝利に大きく貢献してるな。
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| 膠着状態と言っても… 兵同士の激突自体は何度も行われ、凄まじい数の命が散っていきました。
| この頃はまだ毒ガスも禁止されていませんので、非常に悲惨な陸戦が繰り広げられていました。
| それにも関わらず、なんで両軍とも戦局に進展がなかったかというと… それは、後で解説しましょう。
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| 毒ガス、禁止されてなかったモナね…
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| 第一次世界大戦で余りにも悲惨な事になった為、戦後に毒ガスは禁止された。
| だから第二次世界大戦では、毒ガスが使われていない… とでも言っておこう。
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| ドイツでは、マルヌ会戦の敗北をもって小モルトケは参謀総長をクビになります。
| 彼はドイツ第1軍がターンしたという報を聞いて、すぐに停止を命じたんですけどね。
| 戦術家としての小モルトケは、かなり優秀なんですよ。戦略・政略がまるでダメだっただけで…
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1914年9月、モルトケは参謀総長の座を解任。
1916年、心臓発作で死亡。
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| すぐに死んじゃったモナね…
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| こいつの一番の不運は、叔父の大モルトケと違ってビスマルクがいなかった事かな。
| 軍事の大モルトケと政治のビスマルクの黄金コンビのような、戦略面でのパートナーがいなかった。
| 優れた戦略家の元で作戦だけを担当していたら、もっと違った形で歴史に名を残せたかもしれない。
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| そして、新たに参謀総長の座に就いたのはエーリッヒ・ファルケンハイン。
| 戦術家としては優れているんですが、戦争全体を見る目は無く…
| ってか、ドイツの参謀ってこんなのばっか。
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| それがドイツクオリティ。
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| ドイツ参謀本部の弊害だな。
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| ドイツだけが話題の中心になってますが、同盟国のオーストリアを忘れてはいけませんよ。
| ここは最初に宣戦布告したにもかかわらず、戦争準備が整うのは異常に遅れました。
| 戦闘態勢が整ったのは、フロンティアの戦いやタンネンベルグの戦いの勝利が聞こえてきた頃。
| そして、オーストリア軍はロシアに向かうのですが… 予想通り、ボコボコにされます。
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・ガリシアの戦い(1914年8月23日〜9月11日)
ガリシア地方におけるオーストリア軍とロシア軍との戦い。
当初はオーストリア軍が押していたものの、ロシア軍の逆襲に合い大敗北。
オーストリア軍はガリシア地方を失う結果となる。
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| つ ∇ (´∀` ) (゚Д゚,,)
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| あ… すっかり忘れてた。
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| セルビア相手には3度に渡るドリナ川渡河作戦を行い、かなり追い詰めるが…
| 12月に入ると、セルビアの猛反撃に押され後退する。
| 仕方なく、またもやドイツ軍が援軍を向かわせるハメになるんだ。
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| ドイツ参謀総長ファルケンハインはオーストリアの敗北を聞き、東部戦線にも援軍を送ります。
| 新たに編制されたドイツ第9軍はオーストリア軍と合流し、ロッヅ方面に進撃しましたが…
| タンネンベルク戦での借りを返すように、ロシア軍はドイツ軍を包囲してしまいます。
| しかしドイツ軍は、すかさず包囲脱出戦を展開。結果的に、ロシア軍を破ってしまいました。
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・ロッヅ付近の会戦(1914年11月11日〜)
東部戦線に赴いたドイツ第9軍と、ロシア軍との戦い。
包囲されたにもかかわらず、ドイツは奮戦し包囲を破る事に成功。
以降、東部戦線はドイツ有利に展開していく。
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| つ ∇ (´∀` ) (゚Д゚,,)
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| 圧倒的に不利な状況での、大逆転劇モナね。
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| ロシアは、1915年5月のゴルリッツ突破戦でも大敗北を喫する。
| ブルシロフ攻勢ではドイツを押す事に成功したが、本国ではロシア革命が勃発する。
| こうしてロシアは、戦争継続が不可能になってしまうんだ。
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| この時期には、前にも言った通り航空機が本格的に活躍していましたね。
| 両軍は偵察の為に航空機を飛ばし… 上空で敵機とすれ違っても、なんと敬礼して別れていました。
| 第一次世界大戦初期には、まだ騎士道精神が残っていたんですよね…
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最初期の軍用機の任務
・敵地の偵察、敵の作戦行動を監視、重要拠点の位置を確認など
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| (どこから持ってきたモナ…?)
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| 実際に、当時のパイロットは貴族階級が多かったみたいだな。
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| しかし、ある操縦士が気付いてしまったのです。
| 目の前の敵偵察機をみすみす帰してしまえば、自軍の被害に繋がる事に…
| 操縦士は、ムカついて昼食の弁当を敵機に投げつけました。
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・戦果…なし(敵機撃墜ならず)
・損失…昼食の弁当(腹が減って、余計にムカついた)
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|…マターリした話モナね。
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| 食い物粗末にするなよ…
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| これでは効果が無いという事で、彼は飛行前に小石を機内に載せておきました。
| 相手は、それに対抗してレンガを投げつけてきます。
| こうして争いはヒートアップしていき、とうとう軍用機自体に機関銃を取り付けます。
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弁当→小石→レンガ→拳銃→機関銃
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|…悲しい話モナね。
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| 大空のロマンも、血で汚れてしまった…と。
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| そんな中… こんな風に上空から真下を見下ろした時、こう閃いた人がいました。
| 「ここから何か落とせば、敵軍に損害を与えられるんじゃないか?」ってね…
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| 物騒な事を…
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| 飛行機からの投下物で死者を出した史上初の物は、なんとスイカだ。
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| そこで「フレシェット」という投下用の矢が開発されたんですが、それがいつしか手榴弾に姿を変え…
| そして、爆弾を投下するようになります。戦争のあり方を変えてしまった、『爆撃機』の誕生ですね。
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θ θ θバラバラ…
θ θ
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| やッ、やめるモナ――ッ!!
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| うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
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| とは言え、まだこの時期は専用の爆撃機はありませんでした。
| 偵察機に余裕があれば爆弾を積み、偵察ついでに落としていこうって感じですね。
| 本格的な専用爆撃機の登場は、もうしばらく待つ事になります。
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| 偵察機と爆撃機の境目が、はっきりしてなかったモナね。
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| まだ、黎明期だからな。
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| そんな1915年1月、世界で初めての航空機撃墜事例が。
| 連合軍の航空機乗員が機内に持ち込んだライフルで、ドイツ偵察機を撃墜してしまいました。
| この出来事により、各国はいかにして飛行機に機関銃を搭載するかで試行錯誤します。
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| 取り付け場所… 適当じゃダメモナか?
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| ダメに決まってるだろ。
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| 当時の飛行機は飛ぶだけでも精一杯なので、機関銃を載せるのも一苦労。
| また、どこに付けるのが効果的か… 変な場所に取り付けても、狙いが付けられなければ意味がありません。
| そういう訳で、一番効果的な取り付け場所はココでした。
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| なんで、ココモナか?
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| 航空機の進行方向と射撃方向が一致するから、非常に狙いを付けやすい。
| だが… 黒板の図を見れば分かる通り、自機のプロペラに弾が直撃しちまうんだよな。
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| ギコ君の言った通り、自機のプロペラに弾が当たるというのはシャレにならない問題でした。
| これの解決策に各国が悩み… そして、フランスのローラン・ギャロは閃きました。
| 「どうせプロペラに当たるんなら、プロペラが弾丸を弾けるほど頑丈にすればいいんだよ!」
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・モラーン・ソルニエ L
新方式でプロペラと同軸に機関銃を搭載した、黎明期の戦闘機。
ドイツの航空機相手に、大いに活躍していたが…
・全長:6.88m ・全幅:11.2m ・全高:3.93m ・自重:385kg ・全備重量:655kg
・最大速度:115km/h ・航続時間:2時間 ・上昇限度:4.000m ・乗員:2名
・エンジン:ノーム 80HP ・武装:7.7mm機関銃×1
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| おいおい、そんなんでいいのかよ…
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| 言うほどムチャだった訳でもない。これはこれで、そこそこ画期的な解決策だった。
| 実際は単に頑丈にしたんじゃなく、弾丸を弾くミゾを付けたんだ。
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| しかし1915年4月18日、上で紹介したモラーン・ソルニエがドイツ内に不時着。
| どうやって機関銃を搭載してるかがドイツにバレてしまいます。
| このなんともやっつけ的な解決策を見て、ドイツ人技師アントニー・フォッカーは閃きました。
| 回転するプロペラが銃口の前に来ている時だけ、弾丸が発射されない装置を作ればよい!
| こうして完成した画期的なシステムが、『プロペラ同調機構』でした。
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・フォッカーE3
ドイツの開発した、プロペラ同調機構を搭載した単葉戦闘機。
瞬く間に連合軍の偵察機や爆撃機を狩り落とし、その余りの強力さに『フォッカーの懲罰』とあだ名される。
・全長:7.20m ・全幅:9.52m ・全高:2.40m ・自重:399kg ・全備重量:610kg
・最大速度:140km/h ・航続距離:220km ・上昇限度:3.500m ・乗員:1名
・エンジン:Oberursel U1 100HP
・武装:7.9mm機関銃×1
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| つ ∇ (´∀` ) (゚Д゚,,)
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| おお! さっきのと違って、なんか凄い発明!!
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| この頃から、戦闘機同士の空戦が頻繁に行われるようになったな。
| この機に乗ったマックス・インメルマンとかオズワルト・ベルケといった撃墜王が登場し、
| 連合軍は恐怖に陥った。
| フォッカーE3はまるで悪魔のように扱われ、それに対する恐怖が膨らんでいったんだ。
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| で、フォッカーE3にこっぴどくやられたイギリス戦闘機が、BE2c。
| この原型はフォッカーE3が登場する3年も前の機体なので、比べるのは可哀想なんですがね…
| これら連合軍の戦闘機は、『フォッカーのまぐさ』と自嘲されました。
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・BE2c
1912年に初飛行した、(当時は)極めて優秀なイギリスの複葉偵察機。
その最新タイプであるc型は、無理やりに機関銃を搭載している。
とはいっても基本設計が古いので、フォッカーE3には全く太刀打ちできなかった。
・全長:8.31m ・全幅:12.42m ・全高:3.66m ・自重:650kg ・全備重量:900kg
・最大速度:132km/h ・航続時間:3時間15分 ・上昇限度:2,700m ・乗員:2名
・エンジン:Renault 70HP
・武装:7.7mm機関銃×1〜2
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| まぐさ?
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| 馬の食べる、エサ用の草。
| フォッカーに食われ放題だったという事だ。
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| さて、この辺で今回の講義は終わりです。
| 次は… ヨーロッパで起きた大戦に日本はどう関わったか、から解説していきましょう。
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/)/)/)/) スルスルスル…
| 日本は、第一次世界大戦に参加しなかったモナね。
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| いや… ドイツともガチで戦ったし、地中海に艦隊派遣してるんだけどな。
| 前者は有名だが、後者を知らない人が何と多い事か…
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| 次はいよいよ、戦車も出てきますしねぇ…
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|/)/)/)/)/)/)/)/)/)/)/)/)/)/)/)/)/)/)
スルスル… これで、陸海空兵器の代表格が揃うモナね。
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| やっとだな。現代にはまだまだ遠い…
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